2023.09.29  2023.09.13|新規開業ノウハウ

民泊を開業する流れとポイント!開業の基本情報と資金・事例も紹介

民泊を開業する流れとポイント!開業の基本情報と資金・事例も紹介

本記事で、民泊を開業する流れとポイントを解説します。民泊開業の基本情報と資金、事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

民泊施設の開業に関する基本情報

民泊施設の開業に関する基本情報

最初に民泊施設の開業準備を始める前に、基本情報を押さえておきましょう。民泊経営の実態を知ることで、必要な開業準備を整理できるからです。そこで民泊の主なサービスと業態の種類、開業数、宿泊単価と利益率についてご紹介します。

主なサービス

まず民泊の主なサービスは、利用客に対する宿泊場所の提供です。戸建てやマンション、空き家などを活用して、地域活性化を図ったり、外国人旅行客の宿泊場所を確保したりできます。

また宿泊場所の提供だけではなく、民泊施設ごとに幅広いサービス(観光案内や体験教室、イベントなど)も提供されています。集客や顧客満足度の向上につながるからです。後ほど民泊施設の開業事例をご紹介します。

業態の種類

次に民泊施設の業態には、以下の3種類があります。

  • 旅館業法に基づく簡易宿屋
  • 国家戦略特区法に基づく特区民泊
  • 住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊

旅館業法に基づく簡易宿屋は営業日数が制限されませんが、住専地域での開業が許可されません。国家戦略特区法に基づく特区民泊施設には、条件(2泊3日以上の宿泊など)が課されますが、住専地域での開業が可能です。住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊施設にも、条件(年間提供日数180日以内など)が課されますが、住専地域での開業が可能です。

参照元:民泊制度ポータルサイト「minpaku」「はじめに「民泊」とは」

なお詳細については、各自治体の条例や各特区の制限をご確認ください。民泊の業態ごとの届出・許可については、後ほどご紹介します。

開業数

また民泊の開業数は、住宅宿泊事業法が施行された2018年より増加傾向にあります。住宅宿泊事業の届出件数は、34,719件(2023年7月14日時点)です。都道府県別では、北海道・福岡県・沖縄県に1000件以上の住宅宿泊事業が届出されています。

参照元:民泊制度ポータルサイト「minpaku」「住宅宿泊事業法の施行状況 住宅宿泊事業届出住宅数推移」

なお東京都と大阪府には、国家戦略特区法に基づく民泊事業者が多いです。例えば東京都新宿区には、2,714件の民泊事業者が届出されています(2023年7月14日時点)。

参照元:民泊制度ポータルサイト「minpaku」「住宅宿泊事業法の施行状況 都道府県別届出状況一覧」

宿泊単価と利益率

そして開業されている民泊施設の宿泊単価は、1万円未満だと想定されます。なぜなら観光庁の調査によると、宿泊単価1万円未満の民泊施設が70%以上で、3万円以上の民泊施設が約3%だと報告されているからです(2022年3月)。

参照元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査」(24ページ)

また開業されている民泊の利益率は、3割以下だと想定されます。同様の調査にて、利益率3割以下の民泊施設が約70%で、3割以上の民泊施設は15%程度だと報告されているからです。一戸建てや古民家において、利益率は高い傾向にあります。

参照元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査」(33ページ)

民泊施設を開業する流れとポイント

民泊施設を開業する流れとポイント

次に基本情報を把握した上で、民泊施設を開業する流れとポイントを確認しましょう。7点(業態とコンセプト、開業資金、届出・許可、施設のデザイン、業務委託、集客)に整理してご紹介します。

業態を決める

まず民泊施設を開業する流れは、業態を決める作業から開始されます。3業態(旅館業法と国家戦略特区法、住宅宿泊事業法に基づく民泊施設)から、1種類を選ばなくてはなりません。業態ごとに法令と所轄官庁が異なるため、開業条件は同じではないからです。

そこで民泊施設の業態を選ぶ際には、各業態の開業条件(物件の立地や設備の基準、管理委託の有無など)を確認しましょう。例えば住専地域での開業を希望するなら、国家戦略特区または住宅宿泊事業法に基づく民泊施設を選びます。

参照元:民泊制度ポータルサイト「minpaku」「はじめに「民泊」とは」

コンセプトを設計する

次に業態を決めたうえで、開業する民泊施設のコンセプトを設計します。コンセプトは民泊施設開業の基本方針となり、事業計画書への活用や競合施設との差別化を図るために重要です。

そこで民泊施設のコンセプトを設計する際には、次のポイントを押さえましょう。

  • 市場調査と競合分析
  • ターゲティングとポジショニング
  • 5W2Hによるコンセプトの言語化
  • コンセプトシートにまとめる
  • キャッチフレーズを考案する

以上のポイントについて詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業資金の調達

そしてコンセプトを実現させるために、民泊施設の開業資金を調達しましょう。開業後に民泊施設の経営を安定させるためには、資金計画の立案が必要です。自己資金だけで不足する場合には、以下の調達方法をご検討ください。

  • 出資
  • 借入
  • 融資
  • 補助金・助成金

以上の調達方法ごとにメリット・デメリットがあり、申請の条件や方法も異なります。調達方法ごとの特徴を把握したうえで、開業する民泊施設に必要な開業資金を調達しましょう。開業資金を調達するポイントもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

届出・許可を申請する

それから民泊施設を開業するためには、届出・許可を申請しましょう。以下のように、業態ごとに届出・許可を申請する公的機関が異なります

まず旅館業法に基づく民泊施設を開業する際は、簡易宿所営業の許可を取得してください。民泊施設の所在地を管轄する都道府県の保健所にて申請が可能です。

参照元:厚生労働省「民泊サービスを始める皆様へ~簡易宿所営業の許可取得の手引き~」(1ー4ページ)

また国家戦略特区に基づく民泊施設を開業する場合、管轄する自治体からの認定が必要です。各自治体の担当窓口へ問い合わせましょう。

参照元:大阪市「大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区)」

そして住宅宿泊事業法に基づく民泊施設の開業なら、管轄する都道府県に届出を申請する必要があります。各都道府県の担当窓口へ相談しましょう。

参照元:国土交通省観光庁「住宅宿泊事業(民泊)を始める方へ」

施設の外観と内装をデザインして工事する

また届出・許可の申請準備と平行して、開業する民泊施設の外観と内装をデザインして工事しましょう。外観デザインは施設の第一印象につながり、コンセプトの実現やブランディングに欠かせません。外観をデザインするコツをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

また外観デザインと同時に、内装のデザイン・工事も計画的に進めましょう。おしゃれな内装デザインの施工事例や工事費用などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

集客を開始する

いよいよ民泊施設の開業数か月前から、集客を開始しましょう。民泊施設の開業当初は、知名度も認知度も高くないため、売上を期待できません。そこで開業する民泊施設の情報(魅力やプランなど)を発信しましょう。

効果的にターゲットを集客するためには、オンライン集客(WebサイトやSNSなど)とオフライン集客(交通広告や折り込みチラシなど)を組み合わせましょう。集客のアイデアや成功事例などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

事業委託を検討する

なお住宅宿泊事業法に基づく民泊施設を開業する際には、事業委託を検討してください。宿泊者に安心して民泊施設を利用してもらうためには、住宅宿泊仲介業者もしくは旅行業者への仲介が必要です。開業前に、仲介を委託する業者を検討しましょう。

参照元:観光庁「住宅宿泊事業(民泊)を始める方へ」(19ページ)

また以下の条件に当てはまる場合には、宿泊者の本人確認などの対応を住宅宿泊管理業者へ委託する必要があります。

  • 届出住宅の居室の数が5を超える
  • 届出住宅に人を宿泊させる間に住宅宿泊事業者が不在となる

参照元:e-Gov法令検索「住宅宿泊事業法」第11‐12条

民泊施設の開業資金

民泊施設の開業資金

また民泊施設の開業準備を滞りなく完了するためには、開業資金が必要です。そこで民泊施設の開業資金について、相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、節約法も確認しましょう。

相場

まず民泊施設の開業資金の相場は、坪単価10万〜30万円程度です。ただし物件(所有または賃借)や立地、施設工事費(内装・外観・設備・機器・什器)などによって、開業資金は変動します。

例えば所有する自宅に民泊施設を開業する場合には、物件取得費用(敷金・礼金・前賃料など)や施設工事費がかかりません。また地価や物価の高いエリアに民泊施設を開業するほうが、賃料や工賃などの費用が高くなります。

内訳

次に民泊施設の開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、延床面積20坪の戸建て(賃料月10万円)にかかる開業資金を試算してありますので、ご覧ください。

資金の内訳各費用の目安各費用の試算
(延床面積20坪
賃料月10万円)
物件取得費
(敷金・礼金・前賃料など)
全体の10%程度
(賃料6か月分前後)
60万円前後
内装・外観工事費
(天井・壁・床・看板・
外壁・装飾など)
全体の20%程度40万〜120万円
設備・機器・什器費
(電気・ガス・水道・空調・
換気・照明・造作什器・消防など)
全体の50%程度100万〜300万円
諸経費
(届出・許可や集客など)
全体の10%程度20万〜60万円
運転資金
(賃料・光熱水道費・
仕入れ費など)
全体の10%程度
(賃料の6か月分程度)
60万円前後
合計100%
(坪単価10万~30万円程度)
200万〜600万円程度

上表のとおり、民泊施設の開業資金において、設備・機器・什器費の割合が60%程度を占めます。ただし物件を所有している場合には、物件取得費と毎月の賃料が不要です。

節約法

そして民泊施設の開業資金の節約法として、補助金・助成金中古品・リース品などが挙げられます。国や自治体からの補助金・助成金には、基本的に返済義務がありません。民泊を含む宿泊施設が申請できる補助器・助成金の一例をご覧ください。

  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金

参照元:

ものづくり補助金総合サイト「トップページ」

全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金」

IT導入補助金2023「トップページ」

なお補助金・助成金を活用する注意点などをまとめてありますので、次の記事を併せてご覧ください。

また設備・機器・什器などの中古品やリース品を選ぶことで、新品購入よりも初期費用の節約が可能です。ただし状態の悪い設備・機器・什器を選ぶと、開業後に修理や交換の費用がかかるため、ご注意ください。

民泊施設の開業事例

それでは集客と売上を伸ばせる民泊施設を開業できるように、参考となる開業事例を調査しましょう。本記事では開業事例5点を取り上げて、各民泊施設の特徴(コンセプトや独自性など)をご紹介します。

京町家からリノベーションされた民泊施設

京町家からリノベーションされた民泊施設

「京町家ゲストハウス仁」様は、京町家からリノベーションされた民泊施設です。旅館業法に基づく簡易宿所として、京都府京都市で開業されました。宿泊者は京都の伝統的な町家街を楽しみながら、一棟を貸切りで宿泊できます。

玄関には家紋がプリントされた暖簾が設置されており、木材と白色が組み合わせられた落ち着いた内装デザインです。宿泊場所の提供だけではなく、京都の観光案内サービスも提供されています。

参照元: Vacation STAY (バケーションステイ)「京町家ゲストハウス仁 – 京町家を改修した一棟独立貸切ハウスです。」

鉄道事業者と連携している民泊施設

鉄道事業者と連携している民泊施設

「4S STAY 阿波池田駅前」様は、鉄道事業者と連携している民泊施設です。旅館業法に基づく簡易宿所として、徳島県三好市池田町で開業されました。廃業した寿司屋からリノベーションされています。

実際に鉄道で使用されていた廃材が、室内のドアノブや椅子などに再利用されています。集客方法の工夫として、地元出身の映画監督により撮影された外国人旅行客向けの動画が配信されたり、体験メニュー(着付けや酒造見学など)が提供されたりしています。

参照元:【公式】 4S STAY 阿波池田駅前「四国周遊の拠点に便利な宿」

本格的な陶芸体験ができる民泊施設

本格的な陶芸体験ができる民泊施設

「アートスペース蔵」様は、本格的な陶芸体験ができる民泊施設です。住宅宿泊事業法に基づいて、三重県伊賀市で開業されました。地域おこしを目的に、観光資源である「伊賀焼」をテーマに、地域と連携しています。

蔵からリノベーションされた一戸建てで、木が取り入れられたスタイリッシュな内装が特徴的です。民泊仲介業者によって、民泊施設の運営(集客の代行・宿泊受け入れのアドバイスなど)が総合的にサポートされています。

参照元:アートスペース蔵「ホーム」

百姓の暮らしを体験できる日本家屋の民泊施設

百姓の暮らしを体験できる日本家屋の民泊施設

「百笑宿場 couch」様は、百姓の暮らしを体験できる日本家屋の民泊施設です。住宅宿泊事業法に基づいて、岐阜県本巣市で開業されました。宿泊者は築70年の日本家屋を貸切り、百姓の生活(山菜採り・田植えなど)を体験できます。

百姓の生活以外にも、柿渋染め体験やおせち料理教室なども提供されています。内装には、昔ながらの設備・機器・什器(囲炉裏や風呂釜など)が施工されています。

参照元:百笑宿場couch「HOME」

日本文化がコンセプトのSNS映えする民泊施設

日本文化がコンセプトのSNS映えする民泊施設

「MOSHI MOSHI ROOMS」様は、日本文化がコンセプトのSNS映えする民泊施設です。住宅宿泊事業法に基づいて、東京都渋谷区で開業されました。原宿カルチャーを発信するために、企業と住宅宿泊仲介業者により共同運営されています。

施設内には、日本文化(「相撲と銭湯」「原宿」「折り紙」「桜」)をコンセプトにした空間がデザイン。宿泊者に利用が限定されている屋上では、BBQやDJ機材を使用した音楽イベントの開催が可能です。

参照元:MOSHI MOSHI ROOMS「HOME」

集客できる民泊を開業しよう!

IDEALは、店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

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監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
店舗づくりをプロデュースする「IDEAL(イデアル)」が運営。
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