2024.07.15 2024.07.19|新規開業ノウハウ
古物商の開業資金!届出・許可や事例も紹介
本記事で、古物商の開業資金を解説します。また開業に必要な届出・許可や開業事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
古物商開業の基本情報
古物商の開業準備を計画する際には、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、開業準備を進めやすいからです。それでは古物商の主なサービスや開業のメリット・デメリット、リサイクルショップとの違い、業態の種類をご紹介します。
主なサービス
まず古物商の主なサービスは、古物の売買や交換、古物市場の営業、古物競りの斡旋と法的に定められています。古物とは、一度使用された物品(商品券や家電など)や使用されていないが使用のために取引された物品、手入れされた物品です。
したがって古物商を開業する際には、取り扱う古物や業態(売買や市場の営業、競りの斡旋)を選択しましょう。開業に必要な資格・免許・届出・許可については、後ほどご紹介します。
メリット・デメリット
次に古物商を開業するメリットは、市場規模の大きさや参入のしやすさなどです。古物の市場規模は年々拡大しており、実店舗だけではなく、フリマサイト・アプリを活用した取引もされています。
参照元:リユース経済新聞「リユース業界の市場規模推計2023(2022年版)」
ただし防犯上の義務は、古物商を開業するデメリットです。古物営業には、防犯上の義務(取引相手の確認と不正品の申告、帳簿等への記録)が求められます。古物営業の義務を果たすためには、コストがかかります。
参照元:
リサイクルショップとの違い
それから古物商とリサイクルショップとの違いは、サービスの内容です。古物商のサービスには、古物の売買や交換だけではなく、古物市場の営業や古物競りの斡旋も含まれます。古物営業法に基づいて、古物商許可が必要です。
一方でリサイクルショップのサービスは、主に古物の売買や交換です。古物営業法に基づいて古物商許可が必要であり、防犯上の義務も果たさなければなりませんので、古物商の一つの業態といえます。
業態の種類
そして古物商の業態の種類は、経営主体によって個人経営とフランチャイズ経営に分類されます。個人店は、自由な経営方針で営業できますが、仕入れや集客などを独自に進めなくてはなりません。
もう一方のフランチャイズ加盟店は、本部のブランド力やノウハウを活用して、仕入れや集客を進められますが、契約条件の遵守や加盟料・ロイヤリティの支払いなどが求められます。
古物商開業の注意点
基本情報だけではなく、古物商開業の注意点も確認しましょう。8点(コンセプト設計・事業計画書と営業所、設備・機器・什器、資格・免許・届出・許可、仕入先・買取先、採用・研修、集客活動)をご紹介します。
コンセプト設計・事業計画書作成
まずコンセプト設計・事業計画書作成が、古物商開業の注意点として挙げられます。コンセプトは店舗経営の基本方針であり、競合店との差別化や事業計画書の作成などに必要です。フランチャイズに加盟する際には、本部の設計するコンセプトに基づかなくてはなりません。
事業計画書は、開業資金の調達や店舗経営の評価・改善などに活用され、個人店にもフランチャイズ店にも必要です。古物商の開業にも活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
開業資金の調達
次に開業資金の調達も、古物商開業の注意点です。開業前の初期投資(店舗物件の取得費やデザイン・工事費用など)や開業後の運転資金(毎月の光熱水費や店舗物件の賃料など)が不足する場合には、開業資金の調達方法を検討しましょう。
開業資金の調達方法には、出資や借入、融資、補助金・助成金などがあります。古物商の開業にも活用できる開業資金を調達する際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてください。
営業所の物件選定とデザイン・工事
また営業所の物件選定とデザイン・工事も、古物商開業の注意点です。古物商の開業には、基本的に営業所の登録が求められます。営業所として登録する物件(店舗や店舗付き住宅、事務所など)を選定しましょう。
物件を購入・賃借できたら、デザイン・工事を計画します。古物商の営業所にも活用できる店舗付き住宅の内装デザイン・工事をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
設備・機器・什器の手配
それから設備・機器・什器の購入も、古物商開業の注意点です。実店舗を構える場合には、電気・水道などの設備や照明・エアコンなどの機器、陳列・会計用の什器などを手配しましょう。
設備・機器・什器を手配する方法には、新品の購入だけではなく、中古品の購入やレンタル・リースなどもあります。古物商の開業にも活用できるおしゃれな什器を選ぶポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてください。
資格・免許取得と届出・許可申請
続いて資格・免許取得と届出・許可申請も、古物商開業の注意点です。古物商の開業に特別な資格・免許は必要ありませんが、以下の届出・許可が求められます。
- 古物商許可・古物市場主許可
- 開業届(個人事業主)または法人設立届(法人)
- 所得税または法人税の青色申告承認申請(希望する場合)
- 給与支払事務所等の開設届出(従業員を雇用する場合)
- 適格請求書発行事業者の登録申請(希望する場合)
参照元:
営業所を管轄する警察署に相談したうえで、開業予定日に間に合うように手続きを進めましょう。
仕入先・買取先の選定
さらに仕入先・買取先の選定も、古物商開業の注意点です。仕入先・買取先の選定は、古物の価格や品質を保つために重要です。仕入先・買取先には、古物の売却希望者や買取希望者、古物市場、卸売業者などがあります。
そこで複数の仕入先・買取先を調査して、古物の品揃えや取引価格などを比較しましょう。古物商の開業にも活用できる仕入先を選ぶ際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてください。
人材の採用・研修
そして人材の採用・研修も、古物商開業の注意点です。古物営業法に基づいて、営業所・古物市場ごとに管理者を選任しなければなりません。複数の営業所・古物市場を開く場合には、従業員を採用しましょう。
従業員を採用したら、開業予定日までに、営業所の管理方法に関する研修が必要です。古物商の開業にも活用できる人材採用のコツや研修の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてください。
集客活動の展開
なお集客活動の展開も、古物商開業の注意点です。古物商営業に新規参入する場合には、知名度や認知度がないため、開業前からの集客活動が重要です。ターゲットとする顧客層に基づいて、集客方法を検討しましょう。
店舗へ集客する方法には、オンライン集客(WebサイトやSNSなど)とオフライン集客(ポスティングや交通広告など)があります。店舗へ集客する方法をまとめてありますので、次の記事も併せてください。
古物商の開業事例
注意点に気をつけて古物商を開業できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(24時間無人営業とブランド品買取専門、被災地復興支援、昭和レトロ、空港内)をご紹介します。
24時間無人営業の古着屋
まず「STOPY」は、24時間無人営業の古着屋です。1,000点以上の古着が、数千円で販売されています。セルフレジのシステムにより、キャッシュレスで決済できます。無人営業により人件費が削減されるため、手ごろな価格で販売が可能です。
STOPYのインスタ公式アカウントでは、新店舗のオープンや入荷された古着などの情報が発信されています。販売や集客の方法を工夫している古物商の開業事例です。
参照元:PR TIMES「【STOPY】24時間営業無人古着屋「STOPY 布施店」がオープン|株式会社JAM TRADING」
ブランド品の買取専門店
次に「なんぼや」は、ブランド品の買取専門店です。時計やバッグ、ジュエリー、貴金属、骨董・美術品、自動車などを買い取り、日本全国だけではなく海外にも販路を開拓しています。
各店舗内には、接客用の個室がレイアウトされています。鑑定士による顧客(ブランド品の売却希望者)との対話を重視している古物商の開業事例です。
参照元:
PR TIMES「バリュエンスジャパンの「なんぼや」「BRAND CONCIER(ブランド コンシェル)」、 ブランド品総合買取金額で3年連続日本一を獲得!|バリュエンス」
被災地復興支援に貢献する古書店
それから「すけだちBOOKS」は、被災地復興支援に貢献する古書店です。ネットショップを運営する古物商ですが、能登半島地震被災地支援のために、地元のショッピングセンター内で販売会を開催しています。
すけだちBOOKSは、日本国内の被災地支援だけではなく、ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナに対する支援のためにも、販売会を開催してきました。ネットショップ上でも寄付を募っている古物商の開業事例です。
参照元:
岩手日報「古本販売で能登復興後押し 大船渡・サンリアで6日まで」
岩手日報「古本を販売しウクライナ支援に 大船渡・サンリアで25日まで」
昭和レトロな骨董屋
続いて「Katsu」は、昭和レトロな骨董屋です。昭和初期の家電製品や看板、郵便ポスト、雑貨などを修理して販売しています。例えば当時のテレビは、骨董品として販売されているわけではなく、現在のテレビやDVDなどを視聴できるように改造されています。
昭和レトロなインテリアを求める高齢層の日本人や外国人観光客が訪れています。以前は骨董品の販売だけではなく、古い家電製品の修理にも対応していた古物商の開業事例です。
参照元:
骨董&リサイクルショップ活(katsu)「昭和レトロ・アンティークの家具・真空管ラジオ・柱時計の通販サイト」
ささっとー「昭和のテレビやラジオがよみがえる 福岡市南区の骨董店を訪ねた」
空港内にある金券ショップ
そして「アクセスチケット 羽田エアポートガーデン店」は、空港内にある金券ショップです。空港内外の店舗で利用できる株主優待券や金券などを売買しています。外貨の両替にも対応しており、営業時間外には自動販売機で外貨を両替しています。
空港ターミナルビル2階に立地しており、小規模な店舗物件です。羽田空港を離発着する便の利用客をターゲットにした古物商の開業事例です。
参照元:
TRAICY「『知る人ぞ知る店』になりそう? 羽田に金券ショップがひっそり出店」
金券ショップ アクセスチケット「アクセスチケット 羽田エアポートガーデン店」
古物商の開業資金
事例のような古物商を開業するためには、資金が必要です。そこで古物商の開業資金の相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、開業資金の節約法も確認しましょう。
相場
まず古物商の開業資金の相場は、坪単価30万〜100万円程度です。例えば10坪で賃料月10万円の店舗物件を賃借するなら、300万〜1,000万円程度の開業資金がかかります。ただし営業所の立地や物件の規模、種類(居抜きかスケルトン)、設備・機器・什器の台数などによって、開業資金は変動します。
内訳
次に古物商の開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、10坪で賃料月10万円のスケルトン物件を賃借する際にかかる開業資金を試算してあります。
開業資金の内訳 | 各費用の目安 | 各費用の試算 |
フランチャイズ契約料 (加盟金や保証金など) | 0~30%程度 | 0万~300万円程度 |
物件取得 (敷金や礼金、前賃料など) | 10%程度 (賃料の3~10か月分程度) | 30万~100万円程度 (賃料10万円で10坪の スケルトン物件) |
店舗デザイン・工事 (内装や外観、設備・ 機器・什器など) | 40%程度 (坪単価20万~40万円程度) | 200万~400万円程度 |
諸経費 (開業前の資格や届出・ 許可、採用・研修、集客など) | 10%程度 | 30万~100万円程度 |
運転資金 (開業後の光熱水費や 賃料、人件費など) | 10%程度 (賃料の5~7か月分程度) | 30万~100万円程度 |
合計 | 100%坪単価 (30万~100万円程度) | 300万~1,000万円程度 |
上表のとおり、古物商の開業資金において、フランチャイズ契約料と店舗デザイン・工事の占める割合が大きいです。ただしフランチャイズに加盟しない場合やネットショップを開業する場合には、開業資金を削減できます。
節約法
そして古物商の開業資金の節約法には、相見積もりや居抜き物件、補助金・助成金などがあります。相見積もりを取って、各業者の見積もり(工事の内容や期間、費用など)を比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。
居抜き物件を契約して、外観や内装、設備・機器・什器などを譲渡してもらえると、新規工事費用を削減できます。しかし居抜き物件にはデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧ください。
なお補助金・助成金の申請が通れば、基本的に返済義務がない資金を獲得できます。ただし補助金・助成金ごとに申請条件や用途などが異なりますので、次の記事も併せてご覧ください。
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監修者
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IDEAL編集部
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