2024.10.11  2024.10.25|新規開業ノウハウ

グループホームの開業方法とは?開業の資格・支援・事例・資金も紹介

グループホームの開業方法とは?開業の資格・支援・事例・資金も紹介

本記事で、グループホームの開業方法を解説します。また開業の資格・支援・事例・資金もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

グループホーム開業の基本情報

グループホーム開業の基本情報

グループホームの開業準備を計画する前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、計画を進めやすいからです。それではグループホームの業態の種類やサービス、施設数の不足についてご紹介します。

業態の種類

まず開業できるグループホームの業態は、2種類(障害者向けグループホームと認知症高齢者グループホーム)です。障害者向けグループホームは、障害者が、家庭的な雰囲気で共同生活できる地域の住まいです。

参照元:厚生労働省「障害者の居住支援について(共同生活援助について)」(24ページ)

認知症高齢者グループホームは、認知症の高齢者が介護や機能訓練などを受けながら、共同生活できる住まいです。グループホームのサービスについては、次にご紹介します。

参照元:厚生労働省「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム」(1ページ)

障害者向けグループホームのサービス

次に障害者向けグループホームのサービスは、日常生活(入浴・排泄・食事など)や社会生活(就労先との連絡調整・余暇活動など)に対する援助です。入居者は、援助を受けながら、地域で生活できます。

障害者向けグループホームは、さらに3タイプ(介護サービス包括型・日中サービス支援型・外部サービス利用型)に分類されています。タイプによって、援助を受けられる内容や時間帯が異なります。

参照元:厚生労働省「障害者の居住支援について(共同生活援助について)」(24ページ)

認知症高齢者グループホームのサービス

それから認知症高齢者グループホームのサービスは、介護(入浴や排泄、食事など)や機能訓練(作業療法や運動療法、音楽療法など)です。入居者は、援助を受けながら地域で生活できます。

認知症高齢者グループホームは、2タイプ(ユニット型・サテライト型)に分類されています。ユニット型では少人数で共同生活を送り、サテライト型では1人暮らしをしながら援助を受けられます。

参照元:厚生労働省「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム」(1ページ)

施設数の不足

そしてグループホームの施設数は不足しています。以下の記事によると、グループホーム入居を待機している障害者が全国に延べ2万人以上いるからです(2024年7月時点)。親の高齢化が進むほど、待機者の生活は困難になります。

参照元:NHK「“受け入れ施設 空きがない”障害者 延べ2万2000人待機」

また以下の記事によると、高齢者の介護を担う職員が2026年度に25万人程度不足すると試算されています。グループホームの施設数を増やすことはもちろん、人材の採用と育成が重要です。

参照元:厚生労働省「介護人材確保に向けた取組」

グループホーム開業の方法とポイント

グループホーム開業の方法とポイント

基本情報だけではなく、グループホーム開業の方法とポイントも確認しましょう。9点(コンセプト・事業計画書と開業資金、立地・物件、設備・機器・什器、資格・免許、届出・許可、採用・研修、集客活動)をご紹介します。

コンセプトの設計と事業計画書の作成  

まずコンセプトの設計と事業計画書の作成が、グループホーム開業の方法とポイントとして挙げられます。コンセプトはグループホーム経営の基本方針であり、競合施設との差別化や事業計画書の作成に必要です。

設計したコンセプトに基づいて、事業計画書を作成しましょう。事業計画書は、開業資金の調達や経営の評価・改善などに必要です。グループホーム開業にも活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業資金の調達

次に開業資金の調達も、グループホーム開業の方法とポイントです。開業前の初期投資(物件取得費や設備・機器・什器購入費など)や開業後の運転資金(賃料や人件費、光熱水道費など)を計算したうえで、開業資金の調達方法を検討しましょう。

開業資金の調達方法には、出資や借入、融資、補助金・助成金などがあります。グループホームにも活用できる開業資金を調達する際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

立地・物件の選定とデザイン・工事

それから立地・物件の選定とデザイン・工事も、グループホーム開業の方法とポイントです。立地は集客に影響し、物件の規模や間取りは入居者の満足度を左右します。ターゲットとする顧客層に適した立地と物件を選定しましょう。

立地と物件を選定したら、グループホームの外観・内装のデザイン・工事を計画します。グループホームの外観・内装にも活用できるデザイン・工事のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

設備・機器・什器の手配    

続いて設備・機器・什器の手配も、グループホーム開業の方法とポイントです。グループホームの内装空間には、電気・ガス・水道・空調・換気などの設備や照明・厨房・トイレ・浴室などの機器が必要です。

設備・機器だけではなく、ソファやベッド、カウンター、収納棚などの什器もレイアウトしましょう。グループホームにも活用できる什器の分類や入手方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

資格・免許の取得

また資格・免許の取得も、グループホーム開業の方法とポイントです。グループホームの管理者が全ての資格・免許を取得するわけではなく、資格・免許を保有する職員を採用して配置できます。

  • 税務や財務、保険などに関する資格や免許
  • 介護福祉士
  • 介護職員初任者研修
  • 介護支援専門員
  • 生活相談員
  • 社会福祉士や精神保健福祉士
  • サービス提供責任者またはサービス管理責任者

参照元:厚生労働省「障害福祉サービスにおけるサービス管理責任者について」

以上の資格・免許について詳説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

届出・許可の申請

さらに届出・許可の申請も、グループホーム開業の方法とポイントです。届出・許可ごとに申請条件が異なりますので、必ず最新情報を確認しましょう。

  • 事業者指定申請
  • 調理師免許(食事を提供する場合)
  • 防火管理者の資格(該当する物件の場合)
  • 税務に関する手続き(法人の設立届など)
  • 防火管理者選任届・防火対象設備使用開始届(該当する物件の場合)
  • 社会保険や労働保険の加入手続き(従業員を雇用する場合)

参照元:

愛知県「事業所の指定申請の手続きについて(障害者総合支援法)」

愛知県「事業所の新規指定申請について(介護サービス事業を始めるには)」

国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」

日本年金機構「事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」

厚生労働省「労働保険の成立手続」

従業員の採用・研修

そして従業員の採用・研修も、グループホーム開業の方法とポイントです。関係法令に基づいて、グループホームに必要な従業員(管理者やサービス提供責任者・管理責任者、介護従事者・世話人など)を採用しましょう。

参照元:

厚生労働省「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム」(1ページ)

厚生労働省「障害者の居住支援について(共同生活援助について)」(25ページ)

従業員の採用からグループホームのオープンまでの間には、援助や介護などに関する研修を計画します。グループホームにも活用できる人材採用のコツや研修の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

集客活動の計画

なお集客活動の計画も、グループホーム開業の方法とポイントです。開業当初から入居者を獲得するために、開業前からの集客活動を計画します。ターゲットとする顧客層に応じて、集客方法を検討しましょう。

集客活動には、オンライン(WebサイトやMEO、SNSなど)とオフライン(ポスティングや交通広告など)の方法があります。グループホームにも活用できる集客方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

グループホームの開業事例

方法とポイントを押さえたうえでグループホームを開業できるように、参考となる事例を調査しましょう。本記事では事例5点を取り上げて、各事例の特徴(自立生活支援とe-sports、ペット共生型、自立支援ケア、複合福祉施設)をご紹介します。

自立した生活を支援する障害者グループホーム

自立した生活を支援する障害者グループホーム

まず「にこにこ」は、自立した生活を支援する障害者グループホームです。共同生活の基本的なルールを設定していますが、入居者が自立した生活を送れるように、職員は適度な距離感を保っています

具体的には、職員と利用者との間では個人的な連絡先の交換はしません。ただし利用者の変化を見逃さないように、観察したり職員間で情報を共有したりしています。物件所有者や地域住民からの理解も得ている障害者グループホームです。

参照元:

PR TIMES「障がい者家族の本音から生まれたグループホーム「にこにこ」創設者・現場責任者が目指す「生きづらさを抱えるすべての人が笑顔で過ごせる世界」とは|株式会社にこにこ」

にこにこ「基本方針」

e-sportsを取り入れた障害者グループホーム

e-sportsを取り入れた障害者グループホーム

次に「e-sportsの館@北小岩」は、e-sportsを取り入れた障害者グループホームです。入居者はe-sportsが好きな障害者で、プロ選手の育成を目指しています。ゲーミングパソコンやモニター、チェアなどの設備・機器・什器が配置されています。

e-sportsの地域大会を開催して、近隣住民との交流を図っているグループホームです。同じ運営会社は、ペット共生型の障がい者グループホームも経営していますので、次にご紹介します。

参照元:

PR TIMES「目指せ日本一!eスポーツを極めたい障がい者のためのグループホームが東京都江戸川区に誕生!|株式会社アニスピホールディングス」

株式会社アニスピホールディングス「弊社アニスピホールディングスで運営している障害者グループホーム「e-sportsの館@北小岩」が毎日新聞で取り上げられました!!」

ペット共生型の障害者グループホーム

ペット共生型の障害者グループホーム

それから「わおん」「にゃおん」は、ペット共生型の障害者グループホームです。アニマルセラピー効果を期待して、動物と共生できる環境を整備し、保護犬や保護猫の引き取りを推奨しています。

障害者の支援と動物の愛護を目指している障害者グループホームです。同じ運営会社は、日中支援型の障害者グループホームや精神科訪問看護ステーションの事業も経営しています。

参照元:

PR TIMES「【全国累計1,752拠点】ペット共生型障がい者グループホーム『わおん』『にゃおん』」

株式会社アニスピホールディングス「わおん にゃおん」

自立支援ケアを提供する認知症高齢者グループホーム

自立支援ケアを提供する認知症高齢者グループホーム

続いて「愛の家グループホーム」は、自立支援ケアを提供する認知症高齢者グループホームです。栄養や運動に関するプログラム(タッチケアやふまねっと、ミッケルアートなど)を提供しています。

認知症ケア専門の介護士が在籍しており、食事や入浴、洗濯、掃除などを支援しています。集団生活を送りながらも、個人の時間を尊重するように心がけている認知症高齢者グループホームです。

参照元:

PR TIMES「【新規開設】4月1日、認知症高齢者対応『愛の家グループホーム』3棟、新規開設に関するお知らせ|株式会社 学研ホールディングス」

愛の家「『愛の家』のグループホーム」

複合福祉施設の認知症高齢者グループホーム

複合福祉施設の認知症高齢者グループホーム

そして「グループホームさかい」は、複合福祉施設の認知症高齢者グループホームです。1階に看護小規模多機能型ホーム、2階に特別養護老人ホーム、3階にグループホームがあります。

各施設には、必要な設備・機器・什器が配置されています。グループホームさかいには、居室設備やリクライニングベッド、車椅子対応洗面台、呼び出しボタンなどが配置されています。

参照元:

PR TIMES「【社会福祉法人愛宕福祉会】わたしたちの25年の実績と想いのこもったサービスを地域の皆様へ4月1日高齢者複合施設『あたごの杜坂井』開設|NSGグループ」

愛宕福祉会「あたごの杜坂井」

グループホームの開業資金

グループホームの開業資金

事例のようなグループホームを開業するためには、資金が必要です。そこでグループホーム開業資金の相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、開業資金の節約法も確認しましょう。

相場

まずグループホーム開業資金の相場は、坪単価20万~40万円程度です。例えば40坪で賃料月40万円の物件なら、800万~1,600万円程度の開業資金がかかります。ただし物件の立地や規模、入居者数、従業員数などによって、開業資金は変動します。

内訳

次にグループホーム開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、40坪で賃料月40万円程度の物件にかかる開業資金を試算してあります。

開業資金の内訳費用の目安費用の試算
物件取得費
(敷金や礼金、
前賃料など)
10%程度
(賃料の2〜4ヶ月程度)
80万〜160万円程度
(賃料40万円で
40坪の物件)
デザイン・工事費
(内装や外観、
設備・機器・什器など)
60%程度
(坪単価10万〜25万円程度)
480万〜960万円程度
諸経費
(開業前の資格や
届出・許可、
採用・研修、集客など)
20%程度160万〜320万円程度
運転資金
(開業後の光熱水費や
賃料、人件費など)
10%程度
(賃料の2〜4ヶ月程度)
80万〜160万円程度
合計100%
(坪単価20万〜40万円程度)
800万円〜1,600万円程度

上表のとおりグループホームの開業資金においては、デザイン・工事費が大半を占めます。つまり内装や外観、設備・機器・什器などにこだわるほど、開業資金が増額するわけです。

節約法

そしてグループホーム開業資金の節約法には、相見積もりや居抜き物件、補助金・助成金などがあります。相見積もりを取って、各業者の見積もり(工事の内容や費用、期間など)を比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。

居抜き物件を契約して、外観や内装、設備・機器・什器などを譲渡してもらえれば、デザイン・工事費を節約できます。ただし居抜き物件にはデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧ください。

補助金・助成金の申請が通れば、基本的に返済義務のない資金を獲得できますが、申請条件が定められています。例えば東京都では、障害者グループホームや認知症高齢者グループホームに対する補助金が支給されています。

参照元:

東京都福祉局「令和6年度障害者通所施設等整備費補助事業について(7ページ)

東京都福祉局「地域密着型サービス等整備費補助制度(認知症高齢者グループホーム等)」

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監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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