2023.05.03  2023.04.27|新規開業ノウハウ

飲食店を開業資金ゼロで開業できる?融資や自己資金の調達、資金の節約

飲食店を開業資金ゼロで開業できる?融資や自己資金の調達、資金の節約

本記事で、「飲食店を開業資金ゼロで開業できる?」という疑問にお答えします。融資や自己資金の調達、開業資金の節約方法もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

飲食店を開業資金ゼロで開業できる?難しい理由

飲食店を開業資金ゼロで開業できる?難しい理由

飲食店を開業資金ゼロで開業できるのでしょうか?結論として、開業資金ゼロの飲食店開業は難しいです。本記事では、開業資金ゼロの飲食店開業が難しい理由について、初期投資と運転資金、自己資金の3点に整理して解説します。

開業前に初期投資が必要である

開業資金ゼロの飲食店開業が難しい理由として、まず開業前に初期投資が必要である点が挙げられます。業態や規模に応じて変動しますが、飲食店には300万〜1,500万円程度の初期投資が必要です。

飲食店開業前の初期投資には、以下の経費が含まれます。

  • 賃貸物件取得費
  • 内装工事費
  • 厨房設備費
  • 原材料費
  • 人件費
  • 広告宣伝費
  • 諸経費

開業資金ゼロのため初期投資できないと、飲食店の開業準備(物件取得や内装工事、人材採用など)を進められません。飲食店開業資金の内訳と計算・調達方法について詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業後に運転資金が必要になる

次に開業後に運転資金が必要になる点も、開業資金ゼロの飲食店開業が難しい理由です。飲食店の開業から数か月間は、集客や売上が不安定で赤字になる恐れがあります。開業前に賃料12ヵ月分程度を蓄えておくと、開業後の運転資金不足を回避できます。

なお飲食店の運転資金(毎月の固定費)として、以下の経費が挙げられます。

  • 物件の賃料
  • 人件費
  • 原材料費
  • 水道光熱費
  • 宣伝広告費
  • ローン返済

飲食店経営に必要な運転資金について解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

資金調達に自己資金が求められる

さらに資金調達に自己資金が求められる点も、開業資金ゼロの飲食店開業が難しい理由です。一般的に自己資金額は、公的機関の補助金・助成金や金融機関の融資を申請する条件とされています。

自己資金額を示すことで、公的機関や金融機関から事業の将来性や計画性を認められ、補助金・助成金や融資が通りやすくなります。自己資金が不足する場合の開業資金の調達方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業資金ゼロの飲食店が融資を受ける方法

開業資金ゼロの飲食店が融資を受ける方法

開業資金ゼロの飲食店開業は難しいため、資金調達が必要です。例えば飲食店が申請できる補助金があります。

  • 小規模事業者持続化補助金(一般型)
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • IT導入補助金
  • 受動喫煙防止対策支援補助金(東京都)
  • インバウンド対応力強化支援補助金(東京都

本記事では、開業資金ゼロの飲食店が融資を受ける方法をご紹介します。

日本政策金融公庫の新創業融資制度

開業資金ゼロの飲食店が融資を受ける方法として、日本政策金融公庫の新創業融資制度があります。新たに事業を始める人に向けて、事業開始後に必要となる設備資金および運転資金を融資する制度です。

新創業融資制度は、基本的に開業資金(自己資金)がある事業者が申請できる制度です。しかし例外的に、開業資金ゼロ(自己資金なし)でも融資を申請できる条件が定められています。

参照:日本政策金融公庫「新創業融資制度」

開業資金ゼロで新創業融資制度を申請できる条件

飲食店が開業資金ゼロ(自己資金なし)で新創業融資制度を申請できる条件は、以下のとおりです。いずれか1点の条件を満たせば、申請可能です。

  1. 「開業する業種に関連する企業に通算5年以上」の勤務経験がある
  2. 「大学等で学んだ内容に関わる業種に継続2年以上」の勤務経験を積んで関連業種を開業する
  3. 「認定特定創業支援等事業」を受ける
  4. 民間金融機関と公庫による融資を受ける
  5. 事業の新規性が見られる
  6. 研究や試作販売に6ヵ月以上かけ、3期目の事業年度以内に収支の黒字化が見込める
  7. 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」に適用予定である

参照:日本政策金融公庫「新創業融資制度 自己資金の要件を満たすものとする要件」

上記の3については、自治体で開催される創業セミナーなどを受講する場合に、「認定特定創業支援事業による支援を受けたことの証明書」を交付してもらいましょう。証明書が交付されることで、自己資金なしでも新創業融資制度を申請できます。

参照:渋谷区「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書について」

新創業融資制度を申請する流れと必要書類

開業資金ゼロ(自己資金なし)の飲食店が新創業融資制度を申請する流れは、次のとおりです。

  1. 相談
  2. 申し込み
  3. 面談
  4. 実地確認
  5. 審査結果の通達
  6. 融資実行の手続き
  7. 借用証書の発行
  8. 預金口座利用届の提出

また新創業融資制度を申し込む際には、以下の必要書類を準備しましょう。

  • 借入申込書
  • 創業計画書
  • 月別収支計画書
  • 履歴事項全部証明書の原本
  • 見積書
  • 不動産の登記簿謄本または登記事項証明書

なお業種や業態を問わず必要となる書類は、「借入申込書」「創業計画書」の2点です。他の書類は、必要な場合に提出を求められます。日本政策金融公庫の各支店か公式サイトにて、上記の必要書類を入手できます。

参照:日本政策金融公庫「創業予定の方」

飲食店開業資金ゼロから自己資金を調達するときの注意点

飲食店開業資金ゼロから自己資金を調達するときの注意点

飲食店開業前には、補助金や融資だけではなく、自己資金の調達も検討しましょう。補助金や融資の申請が通らない恐れがあるからです。それでは飲食店開業資金ゼロから自己資金を調達するときの注意点をご紹介します。

自己資金として認められる範囲を確認する

飲食店開業資金ゼロから自己資金を調達するときの注意点として、まず自己資金として認められる範囲を確認する点が挙げられます。下記のように、出所が明確で返済義務のない資金だけが自己資金として認められます。

  • 自分や配偶者名義の口座にある預貯金
  • 親族からの贈与金
  • 資産の売却金
  • 会社から支給された退職金
  • 生命保険の解約金
  • 企業の出資金

また補助金や融資を申請する前に多額の現金を入金すると「見せ金」と判断され、自己資金として認められない恐れがあります。開業資金としてタンス預金を蓄えているなら、補助金や融資を申請する6か月前には銀行口座へ入金しておきましょう。

開業資金の3割程度を調達する

次に開業資金の3割程度を調達する点も、飲食店開業資金ゼロから自己資金を調達するときの注意点です。2020年度に新規開業した企業の資金調達先が、「自己資金2割程度と融資額7割程度」と報告されています。

参照:日本政策金融公庫総合研究所「2020年度新規開業実態調査」(10ページ)

したがって開業資金の3割程度を自己資金から調達し、補助金や融資の申請に通れば、必要な開業資金を調達できると想定できます。ただし上記調査結果では、4割の開業者が「事業以外の収入も得ている」と報告されている点にご注意ください。

必要な開業資金を正確に計算する

また必要な開業資金を正確に計算する点も、飲食店開業資金ゼロから自己資金を調達するときの注意点です。飲食店の初期投資として補助や融資された資金から、物件取得費や内装工事費を賄えないと、開業準備を進められません

また初期投資として補助や融資された資金が余ると、返済を求められる恐れもあります。一般的に補助金や融資の制度においては、事業報告が求められます。基本的に補助や融資された資金には、使途が定められますので、ご注意ください。

必要書類を漏れなく揃える

さらに飲食店開業資金ゼロから自己資金を調達するときの注意点として、必要書類を漏れなく揃える点も忘れないでください。金融機関や公的機関から求められる必要書類に漏れがあると、審査が滞ってしまうからです。

特に通帳には、注意が必要です。通帳のコピーにはデータ改ざんのリスクがあるため、原本の提出を求められます。細かい提出方法は申請先によって異なるため、事前に確認しましょう。

飲食店開業資金の無駄をゼロに近づける方法

飲食店開業資金の無駄をゼロに近づける方法

開業資金ゼロの飲食店開業は難しいため、自己資金を調達するとしても、初期投資や運転資金の無駄をできるだけ省く必要があります。そこで飲食店の業態や物件、資金管理、設備・機器・什器などに関して、飲食店開業資金の無駄をゼロに近づける方法をご紹介します。

業態に合う居抜き物件

飲食店開業資金の無駄をゼロに近づける方法として、まず業態に合う居抜き物件を探しましょう。飲食店の開業資金において、物件取得費と内装工事費、厨房設備費の占める割合が高いです。内装や設備が施工された状態の居抜き物件であれば、内装工事費や厨房設備費などを削減できます。

ただし譲渡される内装や設備の状態が悪いと、改装工事費がかかる恐れもあります。居抜き物件のメリットやデメリットや立地選びのコツなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

間借りやシェアキッチン

次に間借りやシェアキッチンでの開業も、飲食店開業資金の無駄をゼロに近づける方法です。間借りやシェアキッチンで開業すると厨房の設備・機器が揃っているため、物件取得費と内装工事費、厨房設備費を削減できます。

飲食店を間借りするメリットやデメリットなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

またシェアキッチンのメリットや利用料金なども紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

テイクアウトやデリバリーの専門店

またテイクアウトやデリバリーの専門店の開業も、飲食店開業資金の無駄をゼロに近づける方法です。店内飲食を提供しないため、ダイニングフロアのスペースが不要な分だけ物件取得費や内装工事費を削減できます。

またダイニングフロアの配膳や型付けも不要なため、接客にかかる人件費の節約も可能です。テイクアウト専門店の開業についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

ゴーストレストラン

さらにゴーストレストランの開業も、飲食店開業資金の無駄をゼロに近づける方法です。ゴーストレストランとは、実店舗のない飲食店の業態です。調理施設の間借りやシェアキッチンで開業できるため、物件取得費と内装工事費、厨房設備費をゼロに近づけられます。

またデリバリーサービスに登録して飲食物を提供すると、デリバリースタッフが不要となり、開業後の人件費も削減できます。ゴーストレストランのメリットやデメリットについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

フランチャイズ

そして飲食店開業資金の無駄をゼロに近づける方法として、フランチャイズでの開業も挙げられます。フランチャイズに加盟して、フランチャイズ本部に開業エリアや店舗物件の選定物件購入費の負担をしてもらえれば、開業資金や開業準備の時間的なコストを削減できます。

またフランチャイズ本部のブランド力や広告宣伝力なども活用できると、集客にかかる費用も節約可能です。社員研修や資金管理などに関する支援を受けられる場合もあります。ただしフランチャイズの加盟料やロイヤルティの支払いを求められる点にはご注意ください。

綿密な資金管理計画

それから綿密な資金管理計画も、飲食店開業資金の無駄をゼロに近づける方法です。開業資金や運転資金の用途と金額を計算して、事業計画書にまとめましょう。事業計画書は、開業資金として補助金や融資を申請する際にも必要です。

飲食店事業の計画性や将来性の判断材料となるため、資金管理計画を綿密に立てることが大切です。飲食店における事業計画書の書き方についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装や設備のDIY

加えて内装や設備のDIYも、飲食店の開業資金の無駄をゼロに近づける方法です。DIYすることで業者にデザイン費や工賃などを支払わなくて済むため、内装工事費用を削減できます。

ただし水道や電気などの設備工事については、国の定める資格保有者しか工事を行うことができません。無資格で水道や電気などの設備工事を行うと危険なだけでなく、違法行為を問われます。店舗の内装をDIYするメリットやデメリットについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装や設備の中古品やリース品

なお飲食店の開業資金の無駄をゼロに近づける方法として、内装や設備の中古品やリース品もあります。中古やリースのパーテーションや厨房設備などを活用することで、新品を購入するよりも費用を削減できるからです。

ただし中古品やリース品の状態を確認して、比較的新しくメンテナンスの行き届いている設備・機器・什器を選びましょう。飲食店に必要な厨房設備・機器・什器の選び方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

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監修者

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