2023.06.28 2023.07.04|店舗運営ノウハウ
美容室経営に失敗する原因と成功するためのポイント！動向と事例も紹介
本記事で、美容室経営に失敗する原因と成功するためのポイントを解説します。美容室経営の動向と事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
美容室経営の動向
そもそも美容室経営の動向は、どうなっているのでしょうか？顧客の需要や経営のトレンド、経営者の年収、廃業率の4点をご紹介します。近年の動向を踏まえて、美容室を経営しましょう。
顧客の需要
まず美容室に対する顧客の需要は、コロナ禍前後に大きな変化はありません。美容室の年間利用回数は低下傾向にありますが、1回あたり利用金額は増加傾向です。
またカット以外の施術内容に対する需要も、美容室には求められています。ヘアカラーや縮毛矯正、まつ毛パーマなどの利用率が、増加傾向です。
参照元：ホットペッパービューティーアカデミー「【美容センサス 2022 年上期】≪美容室・理容室編≫」
経営のトレンド
次に美容室経営のトレンドとして、シェアサロンやサブスクリプション、訪問美容サービスなどが挙げられます。シェアサロンは空きスペースをフリーランスの美容師に貸し出す方法で、スペースの有効活用ができます。
サブスクリプションは、提携している美容室に定額で通えるサービスで、アプリ上で空いている美容室を探せます。
参照元：MEZON「トップページ」
訪問美容サービスでは、美容師が自宅や介護施設などを訪問して、要支援や要介護の高齢者らに美容サービスを提供します。
参照元：ホットペッパービューティーアカデミー「訪問理美容サービスに関する利用実態調査 2022」
ただし消費者のニーズや社会情勢は一定ではないため、変化を捉えながら、美容室経営のコンセプトやターゲットを検討しましょう。
経営者の年収
また美容室経営者の年収は、一般的に300万〜500万円程度だと想定されます。中小企業庁の報告によると、美容室経営者を含む個人事業主8割と法人経営者6割の平均年収は500万円未満だからです。
なお厚生労働省の調査結果などを基に試算すると、美容室経営者の平均年収は467万円程度でした（6000円×12人×270日×24%）。
- 顧客一人あたりの利用金額6000円
- 美容室の一日あたりの顧客数12人
- 年間営業日数270日
- 利益率24％
参照元：
ホットペッパービューティーアカデミー「【美容センサス 2022 年上期】≪美容室・理容室編≫」「（顧客一人あたりの利用金額）
厚生労働省「美容業 結果の概要」（美容室の顧客数と営業日数）
J-Net21「美容室 | 業種別開業ガイド 」（美容室経営の利益率）
廃業率
美容室経営の廃業率だけを調査した結果は、Web上に公開されていませんでした（2023年6月時点）。ただし美容室を含む企業の廃業率は、5年以内に2割程度です。諸外国と比べると、廃業率は低いです。
美容室経営に廃業する主な理由は、競争率の高さです。日本全国において、美容室は年に3000施設ずつ増加しており、令和2年度の時点で25万7890施設です。5歳以上の総人口（1億2061万人）を美容室と理容室の数（37万3346施設）で割ると、1施設あたりの顧客は323人になるので、競争率が高いといえます。
なお美容室の開業準備についてもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
美容室経営に失敗する原因
美容室経営の動向を踏まえたうえで、経営に失敗する原因を確認しましょう。本記事では、6点（経営の資金とスキル、コンセプト、サービスや接客、客単価、集客）を取り上げました。失敗の対策については、後ほどでご紹介します。
資金の不足
まず資金の不足が、美容室経営に失敗する原因として挙げられます。開業資金の配分が不十分で、開業後の運転資金が不足してしまうと、美容室経営を維持できなくなるからです。
例えば美容室の内装や設備に資金を使いすぎて、宣伝広告に回す資金が不足すると、集客を伸ばせない恐れがあります。集客が不安定で売上を獲得できなければ、賃料や光熱費など支払えません。
経営全般のスキル不足
次に経営全般のスキル不足も、美容室経営に失敗する原因です。美容師としての技術が高くても、人材採用や節税対策、メニュー開発、広告戦略などが上手くいかないと、利益率を上げることができません。
例えば魅力的な雇用条件や労働環境を提供できないと、技術ある美容師の採用と育成に失敗してしまいます。また消費者のニーズや社会情勢の変化に応じてメニューを提供できないと、競合美容室との競争に勝てません。
コンセプトの不明確さ
そしてコンセプトの不明確さ、美容室経営に失敗する原因です。美容室経営のコンセプトが不明確だと、競合美容室との差別化を図れないばかりか、従業員間でサービス全般について共通認識を抱きづらくなります。
またコンセプトが不明確だと、統一感のある店舗をデザインしづらいです。顧客が気分よく施術を受けられる魅力的な店舗をデザインできなければ、集客率が低下する恐れがあります。
サービスや接客の悪さ
加えてサービスや接客の悪さも、美容室経営に失敗する原因です。サービスや接客の質が悪いと、リピート率を下げるだけではなく、マイナスの評判や口コミが拡散される恐れがあります。
2022年の意識調査によると、「二度と施術してほしくない美容師」は「カットが下手」「イメージ通りの仕上がりにならなかった」でした。
また別のアンケート調査によると、美容室で嫌だった体験の過半数以上が、「美容師の接客が嫌だった」でした。
参照元：「HAIRLOG SPECIAL「美容院で嫌だった体験アンケート調査」
客単価の低さ
また客単価の低さも、美容室経営に失敗する原因です。厚生労働省の調査によると、美容室経営上の問題点として「客数の減少」（79.1％と）が最も多く、次いで「競合店舗の新規出店」（38.7％）が上げられています。
参照元：厚生労働省「美容業 結果の概要」
売上は「客単価×客数」で決まりますが、1店舗当たりの顧客数が減少しています。さらに客単価が低いとなると、売上を伸ばすことが困難です。
不適切な集客方法
なお不適切な集客活動も、美容室経営に失敗する原因です。集客方法がターゲットする顧客層に合っていないと、情報を効果的に届けられません。不適切な集客方法を採用していると、費用対効果を下げてしまいます。
例えば10ｰ30代女性と50－70代女性とでは、情報検索に活用する媒体に違いがあります。またポータルサイトに登録していても、常に最新情報を掲載していなくては、集客効果を上げづらいです。
なおサロン開業ポイントと業界動向もまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
美容室経営に成功するためのポイント
美容室経営に失敗する原因を対策するために、成功するためのポイントを押さえましょう。先ほど取り上げた原因6点（経営の資金とスキル、コンセプト、サービスや接客、客単価、集客）に対して、対策するポイントをご紹介します。
必要な資金を計算して調達する
まず美容室経営に成功するためのポイントとして、必要な資金を計算して調達しましょう。資金調達前には、美容室経営に必要な開業資金（店舗物件の取得費や内装工事費など）と運転資金（店舗物件の賃料や人件費など）を正確に計算しなければなりません。
また美容室開業からしばらく赤字が続くことを想定して、利益がなくても経営を続けられるだけの自己資金も必要です。美容室の資金調達について詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。
経営に関する知識やスキルを身につける
次に経営に関する知識やスキルを身につける点も、美容室経営に成功するためのポイントです。例えば美容室経営を安定させるためには、従業員の研修体制や経営の評価・改善などが必要です。
また独自性のある事業計画を立案したり、顧客情報を活用したりできれば、競合美容室との差別化を図ることができます。他にも美容室経営に関する知識やスキルなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
コンセプトを明確にする
またコンセプトを明確にする点も、美容室経営に成功するためのポイントです。サービスを通して顧客に提供する付加価値を明確にしましょう。店舗のコンセプトを設計する流れと方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
コンセプトが明確になることで、店舗をデザインしやすくなります。外装は店舗の顔として、集客に影響を与えます。おしゃれな美容室の外観をデザインするコツをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
内装もコンセプトに基づいてデザインすることで、外装との統一感を出せます。美容室の内装をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
採用条件と研修体制を整備する
そして採用条件と研修体制を整備する点も、美容室経営に成功するためのポイントです。美容専門学生への調査によると、働きたいサロンの要素として「経営が安定」「人間関係が良好」「福利厚生が充実」「給与・賞与が高め」などが挙げられています。
参照元：ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロンが知っておきたい「採用」のヒント」（ページ）
従業員の研修については、美容室内部の研修会だけではなく、外部講師による講習会もあります。美容の施術と接客の質を高められるように、定期的に研修を開催できる体制を整備しましょう。
参照元：一般社団法人アドバンシャル・サポート「セミナー/講座/研修」
店販を強化する
それから店販を強化する点も、美容室経営に成功するためのポイントです。店販を強化できれば、客単価の向上につながります。2021年の調査によると、店販の年間購入金額は毎年増加しており、購入の意向がある顧客は過半数を超えています。
参照元：ホットペッパービューティーアカデミー「店販に注目！ヘアサロンで年間の購入金額が大幅UP！」
店販を強化する方法として、顧客ニーズのある商品（美容室での施術後にヘアケアできるトリートメントなど）を揃えてください。施術の中で使用した商品を販売することも効果的です。
集客や営業の方法を工夫する
加えて美容室経営に成功するためのポイントとして、集客や営業の方法を工夫する点も挙げられます。ターゲットとする顧客層に情報が届きやすいように、適した集客の方法を選びましょう。
そして営業の方法は、目的（新規顧客とリピーターの獲得）によって異なります。初回限定のクーポン配布やポイントプログラム、季節限定メニューなどの方法を検討しましょう。新規顧客はもちろん、リピーターを獲得できれば、広告宣伝費の削減が可能です。
美容室経営の参考となる事例
美容室経営に成功できるように、参考となる事例を調査しましょう。本記事では事例5点を取り上げて、各美容室の経営手法をご紹介します。美容室のターゲット層やコンセプトに合わせて、経営手法をカスタマイズすることが必要です。
定額メニューが導入された美容室
「storia.f」様は、香川県の美容室です。ヘアカラーの定額メニューが導入されたことで、リピート率が向上。ヘアカラーと合わせてカットも提供することで、客単価を上げています。
また顧客に応じて追加メニュー（ヘッドスパやトリートメントなど）を提案することで、さらに客単価が向上。定額制によりヘアカラーの単価は下がりますが、追加メニューを販売できれば売上が維持されます。
参照元：ritz storia.f リッツストーリア「メニュー」
Web集客に取り組む美容室
「MYA」様は、山梨県甲斐市の美容室です。以前はチラシを使って集客活動を展開していましたが、現在ではWeb集客に取り組んでいます。集客力が強化されたことで、売上を伸ばし、新規出店が可能となりました。
例えば店舗公式サイトのブログでは、日々の営業の様子やヘアメイクに関する情報などが発信。各従業員の施術内容も紹介されているため、顧客が予約する前に美容室の特徴を理解しやすいです。
参照元：MYA「ブログ」
SNS集客に力を入れる美容室
「ALBUM HAIR」様は、東京都内の美容室です。SNS集客に力を入れており、インスタ公式アカウントのフォロワーは40万人以上（2023年6月現在）。施術内容やヘアカラーなどの情報が投稿され、リンクから予約も可能です。
またスタイリスト各自のインスタアカウントも開設。施術の様子などが投稿され、ヘアカタログとして活用されています。
LINEで予約を受け付ける美容室
「クチュリエ」様は、静岡県にある美容室です。LINEで予約を受け付け、髪の悩み相談に対応しています。またインスタやFacebookから、施術内容やヘアケアなどの情報が発信され、ターゲットとする顧客との関係性が構築されています。
また集客方法として、フリーペーパーよりも美容室の魅力を伝えやすいニュースレターを発行。美容室のコンセプトやおすすめメニュー、顧客の感想などが発信されています。手書き文字やイラスト、写真が多く使用され、割引クーポンも付いています。
参照元：美容室クチュリエ「トップページ」
紹介制度を導入した美容室
「GLAD.」様は、東京都表参道にある美容室です。「お客様紹介カード」という紹介制度を導入して、集客率を高めています。紹介カードを使って新規顧客が来店すると、紹介した顧客と新規顧客の施術料金が10％オフになる仕組みです。
従業員からただカードを手渡すだけではなく、施術中の会話を手掛かりに、実際に紹介してほしい相手を指名しています。紹介カードを渡してほしいか相手を指名したほうが、実際に紹介してもらえる確立が高くなるからです。
参照元：reservia「お客様紹介カードで美容室に毎月10名以上集客する方法とは？インタビューやポイントを紹介」
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監修者
-
IDEAL編集部
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