2023.07.17 2023.08.21|店舗デザイン
店舗に空調設備をデザインするポイント!工事費用や事例も紹介
本記事で、店舗に空調設備をデザインするポイントを解説します。店舗空調設備の工事費用や事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
店舗に施工される空調設備の基本情報
店舗の空調設備を計画する前に、基本情報を確認しましょう。店舗デザインに活用できるように、空調設備の主な機能と換気設備との違い、店舗用と家庭用の違い、店舗用の形状に関する基本情報をご紹介します。
主な機能
まず店舗に施工される空調設備の主な機能を確認しましょう。ただし空調設備の種類によって機能が異なるため、ご注意ください。
- 冷暖房・気流調整
- 換気・空気清浄
- 脱臭・消臭
空調設備の冷暖房・気流調整機能によって、店舗内の温度を適切に保つことができます。また換気・空気清浄機能により、店舗内の二酸化炭素濃度を下げ、ホコリや粉塵を除去できます。そして脱臭・消臭機能の付いている空調設備なら、嫌な臭いも取り除くことが可能です。
換気設備との違い
次に店舗に施工される換気設備と換気設備との違いは、機能性とコストです。空調設備には幅広い機能が備わっているため、店舗内の空気環境を保つことができます。ただし換気設備よりも、本体価格や運転にコストがかかります。
一方で換気設備の主な機能は、換気です。冷暖房機能が付いていない分だけ、空調設備よりもコストがかかりません。ただし店舗内の温度を保ちながら換気できる全熱交換ユニットのコストは高いです。機械換気設備の種類と費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
住宅用との違い
また店舗に施工される空調設備と住宅用との違いとして、性能や耐久性、サイズ、コスト、形状が挙げられます。一般的な業務用空調設備は、住宅の部屋よりも広いフロアに設置され、長時間使用されます。高い性能(冷暖房の風量や換気の効率)と耐久性が求められるため、住宅用に比べてサイズが大きいです。
そして住宅用よりも高い性能と耐久性、サイズが求められるため、業務用空調設備には本体や運転にコストがかかります。また壁掛け型や置き型が採用される住宅用空調設備とは異なり、さまざまな形状がありますので、引き続きご紹介します。
形状と価格帯
それでは店舗に施工される空調設備の形状と価格帯もご紹介します。
空調設備の形状 | 価格帯 | 特徴 |
天井埋込型 (ダクトタイプ) | 1台30万~100万円程度 (室外機や工賃込み) | 自由にレイアウトできる 温度のムラが少ない コストがかかる |
天井埋込型 (カセットタイプ) | 1台30万~100万円程度 (室外機や工賃込み) | 化粧パネルだけしか見えない 温度のムラが少ない コストがかかる |
露出型 (壁・床設置タイプ) | 1台10万~30万円程度 (室外機や工賃込み) | 簡単に施工できる スペースを取り、性能が劣る |
空調設備の形状によって、価格帯と特徴が異なります。予算と希望条件に基づいて、店舗に適した空調設備を選びましょう。
店舗に空調設備をデザインするポイント
空調設備の基本情報を押さえたうえで、店舗に空調設備をデザインするポイントも確認しましょう。間取りと熱負荷、機能性、デザイン性、メンテナンス性に関するデザインポイントを取り上げます。
店舗の間取りを考慮する
まず店舗に空調設備をデザインするポイントとして、店舗の間取りを考慮しましょう。店舗の間取りによって、空調設備の形状や台数、施工場所などが変わるからです。顧客の入店から退店までの動線も考慮しなくてはなりません。
例えば狭いフロアに設置される場合には、高い機能性が求められないため、露出型の空調設備が向いています。一方で広いフロアに設置される場合には、冷暖房や換気の効率が高い天井埋め込み型が適しています。
それからシンプルな間取りの店舗内には、空調設備の施工が容易です。反対に仕切りや壁が多い店舗では、空調設備の台数を増やす必要があります。快適な空気環境を保つために、店舗の間取りを考慮して、空調設備をデザインしなくてはなりません。
なお店舗をレイアウトするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
熱負荷を計算する
次に熱負荷を計算する点も、店舗に空調設備をデザインするポイントです。熱負荷とは、建築物内の温度を保つために必要な熱量を意味します。内装デザイン業者や工事業者に相談することで、熱負荷を考慮した空調設備の選定が可能です。
また下記のさまざまな要因によって、熱負荷は変化します。
- 外気負荷:窓やドアから入る外気
- 太陽輻射:ガラスを通り抜ける太陽光
- 熱伝導 :室内と外気との温度差
- 室内の熱:室内の人間や設備・機器などから発生される熱
したがって店舗の広さや収容人数、商品・サービスなどを考慮して、熱負荷を算出しなくてはなりません。例えば火気を使用する飲食店においては、他業種に比べて熱負荷が大きくなります。
機能性にこだわる
また機能性にこだわる点も、店舗に空調設備をデザインするポイントです。空調設備の機能性によって、店舗内の快適さが変わります。快適な空気環境を整備して、居心地の良さを感じてもらえれば、顧客満足度の向上を期待できます。
そこで自店舗の業種・業態などに応じて、冷暖房・気流調整だけではなく、換気・空気清浄や脱臭・消臭などの機能が搭載されている機種を検討しましょう。ただし空調設備の動作音や配色などにもご注意ください。
また各部屋の用途に応じて、空調設備に必要な機能が異なります。例えば熱を多く発生する部屋には、冷暖房や換気の性能が高い空調設備が必要です。小規模な従業員用の休憩室であれば、壁掛け型や露出型の空調設備でも対応できます。
内装のデザイン性に合わせる
さらに店舗に空調設備をデザインする際には、内装のデザインに合わせましょう。空調設備の形状によって、内装のデザイン性を下げる恐れがあります。内装のデザイン性を下げないように、空調設備の本体や配線などのレイアウトを検討しなくてはなりません。
またアートやメニューボードが配置されている壁面に、壁掛け型の空調設備を施工すると、内装のデザイン性を下げてしまいます。天井埋め込み型の空調設備なら、壁面のデザインに影響を与えづらいです。
ただし空調設備の配色や配置を工夫することで、内装の一部としてデザイン性を高めることも可能です。内装デザインのアクセントカラーや装飾などを取り入れることで、空調設備のデザイン性を高めましょう。
なお店舗のおしゃれな内装デザインをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メンテナンス性に配慮する
なお店舗に空調設備をデザインするポイントとして、メンテナンス性に配慮しましょう。空調設備のメンテナンス性に配慮することで、故障を防いだり、電気代を抑えたりできます。修理や交換の回数を減らすことで、中長期的なコスト削減が可能です。
空調設備のメンテナンスとして、フィルターの交換や室外機の掃除などが挙げられます。メンテナンスのしやすい場所に空調設備を施工しましょう。また必要以上にサイズの大きい空調設備を選ぶと、メンテナンスの手間が増えるため、ご注意ください。
また専門業者によるメンテナンスが必要な業務用空調設備もあります。店舗に空調設備をデザインする際には、メンテナンスの方法や頻度を確認しましょう。本体価格だけではなく、メンテナンス費用を考慮することも必要です。
店舗に施工された空調設備の事例
店舗に空調設備をデザインする際には、参考情報として、施工事例を調査しましょう。本記事ではIDEALの施工事例を取り上げて、店舗に空調設備をデザインするポイントが活かされている部分をご紹介します。
内装のデザイン性に合わせた天井埋込型空調設備
「ヘッドコンシェルジュ心斎橋店」様は、質の高い睡眠に導くヘッドスパを提供する専門店です。内装のデザイン性に合わせて、天井埋込型の空調設備がデザイン。グレーやブラウンの内装と調和するように、黒色の空調設備です。
また各部屋の冷暖房や換気の効率を高められるように、天井の適切な位置に空調設備が施工。ランニングコストも意識されており、各部屋のフロア面積に応じて、空調設備のサイズが異なります。サロンの施術においては、空気環境が重要です。
各部屋に適したサイズの天井埋込型空調設備
「ブランディア広島本通店」様は、ブランド品やお酒の買い取り専門店です。各部屋に適したサイズの天井埋込型空調設備が施工。例えば顧客との商談ルームには、1方向の吹出口が付いた空調設備が選択されています。
また応接室よりも広いエントランスの天井には、4方向の吹出口が付いた空調設備が施工されています。各部屋の収容人数に基づいて、ランニングコストが考慮された空調設備のデザインです。
熱負荷が計算された天井埋込型空調設備
「焼肉 にくずき」様は、プライベート空間で黒毛和牛を楽しめる焼肉店です。熱負荷が計算されて、各座席の近くに天井埋込型空調設備が施工されています。焼肉店においては、空調設備に冷暖房はもちろん、換気機能も求められます。
内装は、和モダンと高級感のテイストでデザイン。大衆店とは異なり、おしゃれな照明や什器が選択されています。幅広い顧客のニーズに応えられるように、半個室や個室もレイアウトされています。
スケルトン天井の露出型空調設備
「24H FITNESS&LOUNGE POLFIT」様は、経験豊富なトレーナーが在籍するフィットネスジムです。カフェのように毎日通ってもらいたいという想いから、開放的な内装がデザイン。スケルトン天井に、露出型空調設備が施工されています。
またジムスペース全体の冷暖房効率が均等になるように、4方向の吹出口が付いた空調設備が選択されています。むき出しになった空調の配管や照明の配線も、内装の一部として活用されたデザインです。
シーリングファンと併用される埋込型空調設備
「Café くろすぽいんと」様は、運営している居酒屋のメニューをランチタイムに提供しているカフェです。冷暖房・気流調整の効率を保てるように、埋込型空調設備が、シーリングファンと併用されています。
また空調設備は、マルシェコーナーの上にレイアウト。地元の野菜が販売されているため、鮮度に配慮されています。ベージュの天井材に合わせて、同系色の空調設備です。
店舗空調設備の工事費用
店舗にデザインした空調設備を施工するためには、予算の確保が必要です。そこで店舗空調設備工事費用の相場や内訳をご紹介します。無駄を省いて施工できるように、節約法をご確認ください。
相場
まず店舗空調設備工事費用の相場は、1台10万〜100万円程度です。空調設備の形状によって本体価格が異なるため、工事費用が変動します。
- 天井埋込型(ダクト) :1台30万~100万円程度(室外機や工賃込み)
- 天井埋込型(カセット):1台30万~100万円程度(室外機や工賃込み)
- 露出型(壁や床に設置):1台10万~30万円程度(室外機や工賃込み)
天井埋込型の空調設備には、天井に穴を開けたり、配管をつないだりする作業が必要です。露出型よりも、工賃が高くなります。
なお小規模店舗であれば、住宅用の壁掛け型エアコンの施工も可能です。機能性は劣りますが、業務用よりサイズが小さい分だけ、本体価格が安いです。
内訳
次に店舗空調設備工事費用の内訳について、下表にまとめました。
工事費用の内訳 | 各費用の目的 |
空調設備の本体価格 | 形状や機能性によって異なる |
施工箇所周辺の養生費用 | 天井や壁、床を傷つけないために保護する |
材料費 | 配管や配線、固定金具などが含まれる |
天井や壁の穴あけ費用 | 配線を接続するための穴をあける |
空調設備の取付費用 | 天井や壁などに施工する |
室外機の取付費用 | 屋根や天井に施工する場合には追加費用がかかる |
真空引き費用 | 室外機を接続した空調設備の内部を真空にする |
諸経費 | 交通費や通信費などを含む |
以上の内訳は、見積書においては「空調設備工事費用」などとまとめて表記されます。例えば空調設備の本体価格30万円と工事費用5万円なら、合計は35万円です。
節約法
そして店舗空調設備工事費用の節約法を押さえましょう。
- 相見積もりを取る
- 中古品やリース品を選ぶ
- 空調設備のある居抜き物件を探す
相見積もりを取ることで、複数業者の提案する空調設備工事の内容と費用を比較・検討できます。適正な価格や割引キャンペーンの見積もりを選びましょう。
また中古品やリース品を選ぶことで、本体価格を抑えることができます。ただし状態の悪い設備を選んでしまうと、修繕や交換の費用がかかるため、ご注意ください。
そして店舗開業前においては、空調設備のある居抜き物件を探すことで、本体価格や工事費用を削減できます。ただし居抜き物件にはメリット・デメリットがありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗の空調設備工事を計画しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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