2023.12.14  2023.11.17|店舗運営ノウハウ

無人店舗ビジネスの経営課題と対策!市場規模・メリット・デメリット・事例・資金

無人店舗ビジネスの経営課題と対策!市場規模・メリット・デメリット・事例・資金

本記事で、無人店舗ビジネスの経営課題と対策を解説します。市場規模・メリット・デメリット・事例・開業資金などもご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

無人店舗ビジネスの基本情報

無人店舗ビジネスの基本情報

無人店舗ビジネスを始める前に、基本情報から確認しましょう。基本情報を確認することで、無人店舗ビジネスの経営を進めやすくなるからです。無人店舗ビジネスのシステムとメリット、デメリット、向いている業種、市場規模についてご紹介します。

システム

まず無人店舗ビジネスに導入されるシステムには、セルフレジや認証ゲートなどがあります。セルフレジは、顧客が自ら商品のバーコードを読み込んだり、利用するサービスを選択したりすることで、商品・サービスを購入できるシステムです。

もう一方の認証ゲートは、各顧客の購入したい商品・サービスがカメラやセンサーなどで認識されて、ゲートを通過する際に精算が完了されるシステムです。従来に従業員が対応していた業務をシステムに任せることで、業務の効率化につながります。

メリット

次に無人店舗ビジネスのメリットは、人手不足の解消や人件費の削減、営業時間の拡大、来客データの活用などです。セルフレジや認証ゲートなどのシステムを導入することで、接客対応の従業員数を減らせるため、人員不足の解消や人件費の削減に繋がります。

また従業員の労働時間を気にすることなく営業できるため、早朝・深夜などの時間帯に営業を拡大できます。そして来客データを活用することで、新たなマーケティング施策やビジネスの展開が可能です。

デメリット

また無人店舗ビジネスのデメリットとして、初期費用の増加や犯罪のリスク、無人化できない業種・業態などが挙げられます。セルフレジや認証ゲートなどのシステムを導入するためには、専用の設備・機器などを購入しなければならず、通常の店舗よりも初期費用が増加する恐れがあります。

そしてカメラやセンサーを設置しても、盗難や破壊行為などの犯罪のリスクがあります。なお年齢制限のある商品・サービスを扱う業種・業態においては、完全には店舗を無人化できません。

向いている業種や業態

それから無人店舗ビジネスに向いている業種や業態について、下記の具体例をご確認ください。共通点として、顧客自身が安全で簡単に商品・サービスを取り扱える業種・業態に、無人店舗ビジネスが向いています。

  • 小売業(コンビニや無人販売所)
  • 飲食業(ネットカフェ)
  • 宿泊業(ビジネスホテル)
  • 生活サービス(コインランドリーやコインロッカー、セルフエステ、コワーキングスペース)
  • 娯楽業(インドアゴルフやフィットネスジム)
  • 教育学習支援業(音楽教室)

市場規模

なお無人店舗ビジネスの市場規模について、「無人店舗型・無人決済店舗型」が約2兆円で「進入退出ソリューション」は約2.8兆円と試算されており、さらなる拡大が予想されています。

参照元:日経クロステック「『非接触入退出』は約3兆円規模へ、コロナ後も伸びる『非接触テック』市場を予測」(2ー3ページ)

例えばコンビニ業界においては、一般的なコンビニの無人店舗化だけではなく、従来とは異なる立地(オフィスやマンションなど)へ無人店舗が進出しています。

参照元:Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)「無人コンビニという新市場 レジなし「ローソンGO」も」

また食品販売業界においては、コロナ禍に急増した冷凍ギョーザ販売の無人店舗が、2020年から2023年に約10倍に増加。増加の要因として、食品販売業だけではなく、他業種(駐車場やクリーニング店など)の店舗経営者の参入が挙げられます。

参照元:帝国データバンク「「餃子無人販売店」動向調査」

無人店舗ビジネスの経営課題と解決策

無人店舗ビジネスの経営課題と解決策

無人店舗ビジネスの基本情報を押さえたうえで、無人店舗の経営課題と解決策を把握しましょう。7つの経営課題と解決策(ICT人材の採用・研修、初期費用の回収、トラブル対応、内装のデザイン・工事、店舗メンテナンス、集客方法、DX)についてご紹介します。

ICT人材の採用・研修

まずICT人材の採用・研修が、無人店舗の経営課題です。無人店舗の経営には、コンピュータの基本操作はもちろん、導入するICTシステムの操作・メンテナンススキルなども求められます。特に従業員に無人店舗の営業を管理させる場合には、ICT人材の採用・研修が不可欠です。

そこでICT人材の採用・研修に対する解決策として、採用する人物像を明確にすることや研修の目的を周知することなどが必要です。他にも店舗経営における人材採用のコツや注意点などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

初期費用の回収

次に初期費用の回収も、無人店舗の経営課題です。売上目標に対して過剰な設備投資をして、初期費用の回収が長引くと、赤字が膨らんで店舗を休業・廃業するリスクが高まります。

そこで初期費用の回収に対する解決策として、市場の調査と分析、初期費用の削減、投資回収の計画などが必要です。店舗経営で投資回収するポイントや投資回収の期間と計算、投資回収計画書の立案方法などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

トラブルの対応

またトラブル対応も、無人店舗の経営課題です。不測の事態(ネットワーク障害や災害など)に備えて、対策を講じておく必要があります。

そこでトラブルの対応に対する解決策として、安全衛生管理の方法と注意点を把握しておきましょう。

  • リスクアセスメントの実施
  • 内装や設備の適切なデザイン
  • チェックリストやマニュアルの作成
  • 研修の計画
  • 定期的な評価と改善
  • データベース化

店舗経営における安全衛生管理の体制や事例などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装のデザイン・工事

そして内装のデザイン・工事も、無人店舗の経営課題です。無人店舗に適した内装をデザイン・工事できなければ、顧客満足度を高めて、集客と売上を伸ばせません。法的な制限や耐用年数などを踏まえる必要もあります。

そこで内装デザイン・工事に対する解決策として、無人店舗の内装デザイン・工事に対応できる業者に依頼しましょう。店舗内装デザイン・工事の注意点や工事業者の選び方などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗のメンテナンス

それから店舗のメンテナンスも、無人店舗の経営課題です。店舗物件や導入したシステムなどにメンテナンスが必要な理由をご確認ください。特に特別な資格やスキルが求められるメンテナンスには、自店舗の従業員が対応できません。

  • 内装や外装の劣化と破損の修繕
  • 設備・機器・什器の保守点検
  • 業務効率の向上
  • 安全の管理

そこで店舗のメンテナンスに関する解決策として、重点箇所と方法を確認しましょう。店舗メンテナンスの業者を選ぶ際の注意点や費用などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

集客の方法

さらに集客方法も、無人店舗の経営課題です。単に無人店舗を開業しただけでは、集客や売上を期待できません。またターゲットとする顧客層に合わない集客方法を選ぶと、効果的に情報を届けられません

そこで集客の方法に対する解決策として、ターゲットに合わせてオンライン(SNSやブログなど)とオフライン(チラシや新聞広告)の集客方法を組み合わせましょう。業種・業態ごとの集客アイデア​や事例などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗のDX

なお無人店舗の経営課題として、店舗のDXもあります。DX(デジタル技術による店舗経営の仕組みや商品・サービスなどの変革)を推進することで、業務効率化や生産性向上、競争力の強化などを図りやすいです。

そこで店舗のDXに対する解決策として、以下のようなシステムやツールを導入しましょう。

  • オンライン予約システム
  • デジタルサイネージ
  • セルフオーダーシステム
  • キャッシュレス決済システム
  • 店舗営業分析システム
  • 店舗管理システム

店舗DXのメリット・デメリットや事例などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

無人店舗ビジネスの最新事例

無人店舗の経営課題・解決策を把握するだけでなく、無人店舗ビジネスの最新事例も調査しましょう。本記事では5つの業種を取り上げて、導入されているシステムなどをご紹介します。

DXの推進された音楽教室

DXの推進された音楽教室

「EYS音楽教室」は、DXの推進された音楽教室です。オンラインシステムにより受付業務(レッスンの予約から当日の案内まで)が無人化されており、人件費が削減。45種類以上の楽器・ボーカルレッスンが提供されています。

また講師と受講生しかいない状態でも安全なレッスン環境を整備するために、自社で開発したセキュリティシステムが導入。LINE連携されたチャット機能も活用されて、講師と受講生のコミュニケーションがサポートされています。

参照元:

PR TIMES STORY「 習い事業界におけるDX化・無人化の先進企業『2nd Community』、IoT技術を活用した”DX教室経営”で驚異の3億円コストカットする『無人運営の音楽教室』の秘密とは?」

大人の音楽教室「EYS音楽教室」

リトリート体験のできるホテル

リトリート体験のできるホテル

「SEN. RETREAT CHIKATSUYU」は、リトリート体験のできるホテルです。開業当初から無人で運営されていますが、食材や食器などが完備されているため、手ぶらで来館して様々なリトリート体験(ピザ釜を使用したピザ作りや焚き火など)を楽しめます。

チェックインの際には、事前に宿泊客にメールで送付された暗証番号を入力し、スカイプを利用してオペレーターと通話することで入館できます。従業員が駐在していないことで、家族や友人らとプライベートな空間を楽しめる宿泊施設です。

参照元:

PR TIMES STORY「和歌山・熊野古道の無人ホテル『SEN.RETREAT CHIKATSUYU』。現地に社員を常駐せずに運営してきた、開業後1年間の歩み」

SEN. RETREAT「CHIKATSUYU」

24時間無人営業のインドアゴルフ場

24時間無人営業のインドアゴルフ場

「LoungeRange」は、24時間無人営業のインドアゴルフ場です。無人店舗ですが、早朝や深夜でも専用アプリで入退室して、ラグジュアリーな空間でシュミレーションゴルフを楽しめます。

1店舗1打席の完全個室ブースで、会員であれば、ゴルフのスコア(初心者や熟練者)を問わずに予約でき、会員1名につきゲスト1名を招待できます。インドアゴルフ業界の基準(1店舗4打席以上)を覆した無人店舗ビジネスの事例です。

参照元:

PR TIMES STORY「創業時はビジネスとして成り立たないと指摘された”完全個室の1ブース”の新しいインドアゴルフの形。新たな業態を生み出した『Lounge Range(ラウンジレンジ)』が3年で60店舗に至った軌跡」

LoungeRange(ラウンジレンジ)「完全個室・会員制のインドアゴルフ場・シミュレーションゴルフ場

オンラインカウンセリングの可能なコスメショップ

オンラインカウンセリングの可能なコスメショップ

「ORBIS Smart Stand グランデュオ立川店」は、オンラインカウンセリングの可能なコスメショップです。事前登録不要の無人店舗で、入店時に専用フォームに情報を入力すれば、15分程度のオンラインカウンセリングを受けられます。

店内の天井に複数のカメラが設置され、顧客が商品を手に取ると棚の重さが検知されて、商品が特定される仕組みです。会計時に不明点などがあれば、呼び出しボタンを押して従業員に問い合わせできます。

参照元:

Web担当者Forum「無人店舗をオープンした化粧品ブランドのオルビス、有人→無人化で見えた変化や課題とは?」

オルビス公式オンラインショップ「ORBIS Smart Stand グランデュオ立川店」

ドリンク購入で時間無制限のカフェ

ドリンク購入で時間無制限のカフェ

「セルフカフェ ささしまライブ店」は、ドリンク購入で時間無制限のカフェです。キャッシュレスまたは現金でドリンクを購入すれば、好きな時間だけ勉強や仕事などに取り組めます。無人店舗のため、従業員の存在が気になりません。

店内にはテーブルやカウンターなどが配置され、顧客が好きな席を選べます。高速Wi-Fiや電源コンセントが完備されているため、ノートパソコンでの作業も可能です。フロアが80坪近く、天井高が3mあるため、開放的な雰囲気です。

参照元:

PR TIMES「名古屋エリアで無人カフェが続々OPEN!!外出先で電源・Wi-Fiを確保して作業するならココ!都会のオアシス『セルフカフェ』があなたの街へ!?」

セルフカフェ「ささしまライブ店」

無人店舗ビジネスの開業資金

無人店舗ビジネスの開業資金

無人店舗ビジネスの市場動向を踏まえて開業するには、開業資金が必要です。本記事では無人店舗ビジネスの開業資金の相場、内訳、自己資金の目安、資金の調達方法についてご紹介します。

相場

まず無人店舗ビジネスの開業資金の相場は、坪単価20万〜50万円程度です。10坪のスケルトン物件なら、200万〜500万円程度かかります。ただし店舗の業種・業態や規模、立地、導入するICTシステムなどによって、開業資金は変動します。

内訳

次に無人店舗ビジネスの開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、スケルトン物件(10坪で賃料10万円)にかかる開業資金を試算してあります。

費用の内訳費用の相場費用の試算
物件取得費
(敷金・礼金・賃料など)
合計の10%程度
(賃料の3〜6ヶ月分程度)
30万〜60万円程度
(賃料10万円で10坪の
スケルトン物件)
店舗のデザイン・工事費
(内装と外観)
合計の30%程度
(坪単価10万〜30万程度)
60万〜150万程度
設備・機器・什器費
(電気・ガス・水道・
通信・空調・換気・
造作カウンターなど)
合計の40%程度80万〜200万円程度
諸費用(集客・消耗品・
備品・採用・研修など)
合計の10%程度20万〜50万円程度
運転資金
(毎月の賃料や光熱水費など)
合計の10%程度
(賃料の3〜6ヶ月分程度)
30万〜60万円程度
合計100%
坪単価25万~35万円程度
200万〜500万円程度

上表から分かるとおり、無人店舗ビジネスの開業資金においては、実店舗にかかる費用(内装・外観・設備・機器・什器)が大半を占めます。ただし自宅などの物件を所有する場合には、物件取得費が不要です。

自己資金の目安

また無人店舗ビジネスの開業資金における自己資金の目安は、3割程度です。日本政策金融公庫総合研究所の調査では、「創業資金調達総額に占める自己資金の割合は24%」(無人店舗に限らない全ての新規開業した企業が対象)と報告されています。

参考:日本政策金融公庫「創業計画Q&A」

例えば無人店舗ビジネスの開業資金が200万〜500万円程度(賃料10万円で10坪のスケルトン物件)かかるのであれば、自己資金として60万〜150万円程度が必要です。開業前に自己資金を蓄えたうえで、開業資金の調達方法を検討しなければなりません。

調達方法

そして無人店舗ビジネスの開業資金の調達方法は、主に4種類(出資と借入、融資、補助金・助成金)に分類されます。開業資金額や返済計画などに適した調達方法を選びましょう。

なお開業資金の調達方法ごとに、申請条件や返済方法などが異なります。上記の調達方法について詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

無人店舗ビジネスの開業を検討しよう!

IDEALは、店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外観のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

下のキーワードをクリックして、店舗デザインや開業準備などの関連記事もぜひご覧ください。また店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討の際は、ぜひご相談ください。

キーワード :

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
店舗づくりをプロデュースする「IDEAL(イデアル)」が運営。
新規開業、店舗運営のお悩みや知りたい情報をわかりやすくお届けいたします。

> IDEALの編集者ポリシー

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

店舗作り、集客の
無料見積もり・相談をする