「店舗の内装をデザインできない…
2023.05.22 2023.05.11|内装工事
店舗の防音対策とは?防音工事の流れと方法・事例・費用を紹介!
本記事で、店舗の防音対策について解説します。防音対策する流れと方法、防音工事の事例と費用をご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
店舗の防音対策とは?
そもそも店舗の防音対策とは、どういった目的から行われるのでしょうか?店舗の防音対策を検討できるように、目的とメリット・デメリットを解説します。メリットを活かして、デメリットを対策したうえで、防音対策を進めましょう。
目的
まず店舗の防音対策の目的は、「店内から店外への騒音」や「店外から店内への騒音」の防止です。例えば居酒屋からの騒音(BGMや話し声など)が店外へ漏れると、近隣からクレームが入る恐れがあります。反対に高級レストランに、走行車や通行者の雑音が入ってくると、顧客が穏やかな気分で食事を楽しめません。
そこでクレーム増加や集客低下を避けるために、店舗の業種・業態に応じて、必要な防音対策を講じましょう。店内の内装や設備はもちろん、店外の外装や設備に対しても防音対策が必要です。店舗を防音対策する流れと方法について、後ほどご紹介します。
なお店舗全般に活用できるクレーム対応マニュアルについてもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メリット
次に店舗の防音対策のメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 未然に近隣トラブルを防げる
- 近隣からの信用や信頼を得やすくなります
- 店外からの騒音を防げる
店内からの騒音(BGMや話し声や振動など)が漏れないように防音対策を講じると、未然に近隣トラブルを防げます。そして騒音を出さない店舗として認知してもらえると、近隣からの信用や信頼を得やすくなり、集客の増加も期待できます。
また店内からの騒音が漏れないように防音対策を講じると、店外からの騒音も防げます。店外の騒音を防ぐことで、顧客に落ち着いた雰囲気の空間を提供できます。特にサロンやクリニックなどの施術室においては、防音対策が必要です。
デメリット
一方で店舗の防音対策をするデメリットも挙げられます。
- 工事費用がかかる
- 定期的なメンテナンスも必要である
店舗の防音対策する箇所に応じて、工事費用がかかります。工事費用の相場や内訳については、後ほどご紹介します。店舗全体を工事する予算を確保できない場合は、工事する部屋やエリアを限定する必要があります。
また店舗の防音対策後には、内装や設備の定期的なメンテナンスが必要です。例えば防音工事した空調設備や壁材などが劣化すると、店内からの騒音が店内へ漏れてしまいます。工事内容に応じて耐用年数が異なりますので、数か月や数年ごとに工事個所を点検しましょう。
店舗を防音対策する流れと方法
店舗防音対策の基本情報を押さえたうえで、店舗を防音対策する流れと方法も確認しましょう。防音対策の目的の設定から工事業者への依頼、調査、対策方法や見積もり、工事開始までの流れに沿って、店舗を防音対策する方法をご紹介します。
ステップ1:目的を設定する
店舗を防音対策する流れは、目的を設定する作業から開始されます。「ダイニングフロアからの騒音が店外へ漏れないようにしたい」「静かな施術室をデザインしたい」などの目的を設定することで、防音対策の具体的な方法を決定できます。
なお店舗内装デザイン・工事の流れについてもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
ステップ2:工事業者に依頼する
目的を設定したら、工事業者に依頼しましょう。防音対策の目的を達成できる業者を選ぶためには、各業者のWebサイトや口コミサイトなどを閲覧すると、防音工事に関する知識や施工実績などを確認できます。
工事業者に依頼する際には、店舗の業種・業態や防音対策の目的・予算などを伝えることが重要です。特に店舗の規模や構造によって騒音の伝わり方が変化しますので、店舗物件の図面を提示すると良いです。
なお内装工事業者の選び方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
ステップ3:騒音レベルや周辺環境を調査する
工事業者に相談したら、騒音レベルや周辺環境を調査してもらいましょう。周辺環境が静かな場所と騒音レベルの高い場所とでは、必要な防音対策の方法が変わるからです。店舗の規模や構造、周辺の騒音や環境基準を把握したうえで、適切な防音対策を講じましょう。
なお事前調査をしないで、工事の内容や費用を提案される場合には、ご注意ください。必要に応じて、JISやISOなどの定めた環境騒音の測定を工事業者に依頼しましょう。
参照元:騒音計・振動計のリオン「JIS・IEC・ISO 騒音・振動・音響 規格集」
ステップ4:適切な工事方法を選ぶ
事前調査を踏まえて、適切な工事方法を選びましょう。店舗の規模や営業時間、必要な防音レベルによって、防音工事の内容は変わります。
下表に、主な防音工事方法をまとめましたので、ご覧ください。
防音工事の方法 | 材料 | 効果 |
遮音 | 遮音シート | 音が通り抜けないように反射させる |
吸音 | グラスウールスポンジ素材 | 音が反射しないように吸収する |
防振 | 防振材ゴムマット | 振動を抑えて周囲に伝えにくくする |
制振 | ゴムシート制振シート | 振動面から発生する音を抑える |
上表の通り、防音工事の方法ごとに、材料と効果が異なります。防音工事の目的や騒音の性質、必要な防音性能を考慮して、防音工事の方法を選びましょう。信頼できる工事業者に相談することで、必要な方法を選びやすくなります。
ステップ5:工期や費用の見積もりを取る
選んだ工事方法に基づいて、工期や費用の見積もりを取りましょう。店舗の立地や階数、防音工事の規模や方法、必要な防音性能などによって、防音工事の期間と費用は変わります。防音工事費用の相場と内訳、節約方法を後ほどご紹介します。
工事業者からの見積もりを取ったら、「防音工事の希望や予算に沿って計画されているか」を確認してください。疑問な点や不要な点がある場合には業者と相談して、納得をしてから契約へ進みましょう。
ステップ6:工事を開始してもらう
防音工事の工期や費用に合意できたら、契約を交わして工事を開始してもらいましょう。防音工事された材料は、内装や設備で隠れてしまいます。工事の様子を小まめに確認することで、施工の失敗を防ぐことができます。
防音工事後には、規制基準をクリアしていることを確かめるために、騒音レベルを測定してください。事前調査と同様の測定をすることで、工事前後の防音性能を比較できます。
店舗を防音対策した事例
店舗に適した防音対策方法を選べるように、参考となる事例を調べましょう。本記事では、音楽教室やスタジオ併設のサロン、和食店、保育園の防音対策事例を取り上げて、防音対策の方法をご紹介します。
シニア向けの音楽教室
「VOCALISTs」様は、シニア向けの音楽教室です。薬剤師監修のボイストレーニングを提供されています。防音性能によって提供できるレッスン内容が変わるため、念入りに防音対策について打合せが行われました。
また車イス利用者がアクセスしやすいように、1階の物件を契約。発表会やビデオ配信をできるスタジオとして、広々とした開放的なレッスンフロアがレイアウトされています。
子ども向けの音楽教室
引用元:トントンミュージックスクール「バンドも出来る音楽教室」
「トントンミュージックスクール」様は、子ども向けの音楽教室です。ピアノやリトミック・ボーカル、ギター、ドラムなどのレッスンが提供されています。防音スタジオが完備されており、大音量での楽器演奏が可能です。
またピアノやリトミックのレッスンには、専用スタジオがレイアウトされているため、大音量に不安を感じる赤ちゃんでも安心して通えるように配慮されています。
スタジオ併設のサロン
「音ラク空間」様は、スタジオ併設のサロンです。音楽教室には、楽器演奏やライブ配信、レコーディングができる防音室を完備。鉄道駅高架下の物件で、真上に保育園があるため、防音室の床は防振施工されています。
スタジオ利用者だけではなく、周辺環境に配慮してデザインされた防音室です。防音室では音楽教室が実施され、サロンでは整体・ストレッチの施術が提供されています。
落ちついて食事を楽しめる和食店
引用元:麻布 郡司「最高のふだん呑み おばんざいから本鮪トロカツまで」
「麻布 郡司」様は、落ちついて食事を楽しめる和食店です。天井と壁に吸音材が施工されたことで、防音対策前より室内の反響音が低減されています。
防音対策前は、天井と壁が打ちっぱなしコンクリートで仕上げられていたため、会話がしづらく、顧客から不満の声が上がることがありました。店舗の営業状態を踏まえて、防音対策をした事例です。
安全に遊べる保育園
引用元:レイモンド西橋本保育園「運営施設 | レイモンド チルドレン – 保育園・こども園・小規模保育・企業主導型・プリスクール」
「レイモンド西橋本保育園」様は、安全に遊べる保育園です。防音対策として、内壁に吸音パネルが施工され、室内の反響音を減らす工夫がされています。室外からの騒音の侵入も防ぐことができるため、園児が遊びに集中できる環境です。
また園内には、木の温もりを感じさせる内装がデザインされたり、広々とした園庭がレイアウトされたりしています。園児一人ひとりを大切に、育ちに寄り添った保育の提供に心がける保育です。
店舗の防音工事する費用
予算内に店舗の防音対策を講じられるように、工事費用の相場や内訳を確認しましょう。予算が足りなければ、適切な防音対策を講じられません。防音工事費用の節約方法も併せてご紹介します。
費用の相場
店舗の防音工事費用の相場は、数万〜数百万円程度になります。幅が広い理由は、防音工事の規模や方法などによって、工事費用は変動するからです。予算を立てる際には、店舗に必要な防音性能や工事の必要な部屋数を正確に計算しなくてはなりません。
なお内装工事の種類や費用もまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
費用の内訳
正確に予算を立てられるように、防音工事費用の内訳をご紹介します。下表に、工事箇所ごとに、工事の方法と費用をまとめてあります。
工事箇所 | 工事方法 | 工事費用 |
窓 | 二重窓を取り付ける 防音ガラスに取り替える | 1箇所5万~10万円程度 1箇所5万~15万円程度 |
壁 | 壁内に防音材を入れる 換気口に防音仕様を施す | 1面20万~25万円程度 1箇所2万~5万円程度 |
床 | 防音性能のある床材に張りかえる 床下に遮音材を入れる | 1面5万~25万円程度 1面30万~80万円程度 |
防音室 | 防音室にリフォームする 組み立て式の防音室を設置する | 1室200万~400万円程度 1室50万~250万円程度 |
上表のとおり、工事箇所が増えるごとに、防音工事の費用と期間は増えていきます。また「内装工事を終えて営業している店舗物件」と「内装工事前のスケルトン物件」とでは、防音工事にかかる工数も費用も異なります。
費用の節約方法
店舗の防音工事費用の節約方法として、相見積もりを取りましょう。複数の業者に同じ条件(予算や防音性能など)を提示することで、同じ工事内容を安く行える業者を選べます。マナーとして、事前に各業者に相見積もりの実施をご提示ください。
また店舗開業前にスケルトン物件を防音工事したり、防音施工済の居抜き物件を契約したりしても、工事費用を抑えることができます。店舗開業後の騒音トラブルを未然に防ぎ、休業して売上を減らしたり、防音工事を追加したりしなくて済むからです。
なお助成金の活用も、防音工事費用の節約方法になります。ただし防音工事の助成金は、以下のとおり住宅を対象としています。
- 航空機の騒音被害を受ける地域に住宅がある
- 幹線道路の沿道に住宅がある
参照元:
e-Gov法令検索「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」第4条
e-Gov法令検索「幹線道路の沿道の整備に関する法律」第13条
住宅以外の建築物(店舗付き住宅など)が助成対象になるかについては、地域の担当窓口へご相談ください。
参照元:
店舗に必要な防音対策を講じよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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