2021.05.18 2023.07.04|店舗運営ノウハウ
飲食店の開業・経営の失敗を防ぐ方法!失敗の実態・原因や対応方法も紹介
本記事で、飲食店の開業・経営の失敗を防ぐ方法を解説します。失敗の実態・原因や対応方法もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
飲食店の開業・経営に失敗した実態
そもそも飲食店の開業・経営に失敗した実態は、どの程度なのでしょうか?本記事では、コロナ前とコロナ禍を区別して、飲食店開業・経営に失敗した実態を調査しました。廃業の実態を把握したうえで、飲食店開業・経営の失敗を対策しましょう。
コロナ前から増加傾向
まず開業・経営に失敗した飲食店は、コロナ前から増加傾向にありました。帝国データバンクの調査によると、2000年から飲食店の倒産件数は増加してきました。
2000年に147件だった倒産件数は、2011年までに688件まで増加。2012年から2016年まで減少傾向にありましたが、2017年から2019年にかけて732件まで増加しました。
参照元:帝国データバンク「特別企画:飲食店の倒産動向調査(2020 年) 」
コロナ禍にも増加傾向
また開業・経営に失敗した飲食店は、コロナ禍にも増加傾向にあります。帝国データバンクの調査によると、2019年に732件だった飲食店の倒産件数は、2000年に780件まで増加。「酒場・ビヤホール」の割合が24.2%を占めています。
参照元:帝国データバンク「特別企画:飲食店の倒産動向調査(2020 年) 」
しかし東京商工サーチの調査によると、飲食業の倒産件数は、2020年度から2022年度にかけて減少傾向にあります。ただし新型コロナウイルス関連による倒産の割合が半数以上です。
参照元:東京商工サーチ「2022年度「飲食業の倒産動向」調査 低水準から一転して5カ月連続の増加、「宅配飲食」は2.3倍に」
特にテイクアウト・デリバリー専門店で増加傾向にある
そして開業・経営の失敗について、特にテイクアウト・デリバリー専門店で増加傾向にあります。コロナ禍には外出自粛と巣ごもり需要拡大によって、中食の需要が増加しました。しかしアフターコロナには外食の需要が増加すると予想されます。
東京商工サーチの調査結果において、2021年度と2022年度の倒産件数を比較すると、「持ち帰り飲食サービス業」では58.8%増加し、「宅配飲食サービス業」では138.8%増加しました。
参照元:東京商工サーチ「2022年度「飲食業の倒産動向」調査 低水準から一転して5カ月連続の増加、「宅配飲食」は2.3倍に」
なおテイクアウト専門店を開業する流れもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
主な原因は不況
なお飲食店の開業・経営に失敗する主な原因は不況です。東京商工サーチの調査結果によると、2022年度の倒産件数の中で、不況型倒産が87.8%に及んでいます。
また不況型倒産の理由として、「販売不振」が486件、「赤字累積」が34件、「他社倒産の余波」が23件です。自社製品を売掛(代金の後払い)として販売しても、販売先の企業が倒産してしまうと、売掛金を回収できずに倒産する場合があります。
参照元:東京商工サーチ「2022年度「飲食業の倒産動向」調査 低水準から一転して5カ月連続の増加、「宅配飲食」は2.3倍に」
飲食店の開業・経営に失敗する原因
廃業率だけではなく、飲食店の開業・経営に失敗する原因も確認しましょう。失敗する原因を押さえることで、失敗を防ぐ方法を検討できるからです。メニューやサービス、経営の仕組み・評価・改善、従業員、経費、トラブルを取り上げます。
ニーズのあるメニューやサービスを提供できない
飲食店の開業・経営に失敗する原因として、まずニーズのあるメニューやサービスを提供できないことが挙げられます。顧客のニーズに応えられないと、新規顧客はもちろん、リピーターも獲得できません。
また利益を追求しすぎて材料費や人件費を削減すると、メニューやサービスの品質低下を招きます。もちろん安さに対するニーズは高いですが、品質が損なわれていいわけではありません。
経営の仕組みを整えていない
次に経営の仕組みを整えていないことも、飲食店の開業・経営に失敗する原因です。資金管理や人材育成、集客活動などの仕組みが整っていないと、経費の無駄が発生したり、効果的に営業活動を展開できません。
また社会情勢の変化や顧客のニーズに柔軟に対応できるように、経営の仕組みを変化・発展させなくてはなりません。例えば集客活動において、ターゲットとする顧客層に適した手段を選べないと、情報を効率的に届けられません。
経営を評価・改善していない
また経営を評価・改善していないことも、飲食店の開業・経営に失敗する原因です。資金管理や人材育成、集客活動などを定期的に評価しないと、課題を解決しながら経営の仕組みを改善できません。
飲食店経営を評価・改善できないと、社会情勢の変化や顧客のニーズに対応できず、利益を獲得しづらいです。例えば人材育成や店舗物件の課題を解決できないと、接客の質を下げてしまいます。
従業員が不足している
そして従業員が不足していることも、飲食店の開業・経営に失敗する原因です。従業員が不足していると、飲食店の回転率を上げながら、売り上げを伸ばせません。また人材の採用と育成に係る経費が余分にかかります。
人材確保について調査したアンケート結果によると、4割以上の飲食店が従業員不足に陥っています。特にアルバイト・パートの不足が深刻で、従業員不足に陥っている飲食店の8割以上でアルバイト・パートが不足しています。
参照元:PRTIMES「飲食店の42.9%が人手不足。賃上げ実施の店舗増えるも、DX化によるマンパワー補填の動きは鈍足」
売上に対して原材料費や人件費の割合が高い
さらに売上に対して原材料費や人件費の割合が高いことも、飲食店の開業・経営に失敗する原因です。飲食店経営において、FL比率(経費に対する原材料費・人件費の割合)が6割を超えると、利益率が30%を下回ってしまいます。
しかし低賃金の雇用条件を設定してしまうと、優秀な人材を確保しづらいです。またコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などの影響から、多くの飲食店が原材料費の高騰の影響を受けて、値上げを検討しています。
参照元:PR TIMES「原材料費高騰に影響を受けた飲食店は90%超。約8割の店が10%未満の値上げを行う意向」
経営者にトラブルが発生した
なお飲食店の開業・経営に失敗する原因として、経営者にトラブルが発生したことも挙げられます。具体的には、経営者自身の体調不良やモチベーション低下などです。一時的に経営を任せられる人材がいなければ、経営の継続が困難になります。
特に個人事業主の経営する飲食店においては、経営者の代わりを任せられる人材を確保しづらいです。接客や厨房も兼任する場合には、体力的に疲弊しやすく、モチベーションを維持できない恐れもあります。
飲食店開業・経営の失敗を防ぐ方法
続いて飲食店開業・経営の失敗を防ぐ方法をご紹介します。飲食事業の計画や市場の調査、専門家への相談、メニュー開発、集客の工夫、採用・研修の体制について、具体的な方法をご紹介します。
事業の目的と目標を明確にする
まず飲食店開業・経営の失敗を防ぐ方法として、事業の目的と目標を明確にしましょう。飲食事業の目的を明確にすることで、ターゲットとする顧客層を絞り、適した立地を選定できるからです。
また飲食店の売上や集客の目標を設定することで、必要な運転資金や従業員数などを計算できます。飲食店における事業計画書の書き方を紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
社会情勢や顧客ニーズの変化を常に把握する
次に社会情勢や顧客ニーズの変化を常に把握することも、飲食店開業・経営の失敗を防ぐ方法です。ニュースサイトの閲覧や経営者向けのセミナー参加などにより、感染症対策や食材の値上げ、飲食業態のトレンドなどの情報をキャッチできます。
また市場調査と競合分析を行うことで、飲食店のターゲット層やポジションを絞り込みましょう。店舗のコンセプトを設計する方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
経営の専門家に相談する
また経営の専門家に相談することも、飲食店開業・経営の失敗を防ぐ方法です。飲食店コンサルティングを利用すると、店舗の立地選びからメニュー開発、運営ノウハウに至るまでについて、様々なアドバイスを得ることができます。
しかしコンサルタントによって、実務能力や実績、対応業務などに差があります。飲食店コンサルティングサービスの選び方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
経費を削減して利益率を高める
そして経費を削減して利益率を高めることも、飲食店開業・経営の失敗を防ぐ方法です。店舗の収支データを正確に計測すると、資金の流れを可視化できます。可視化したデータに基づいて、経費の無駄を省き、利益率を高めましょう。
飲食店の売上を管理するためには、損益分岐点の計算や売上目標の設定などが必要です。飲食店の平均売上と管理方法についてまとめてありますので、次の記事も併せてご確認ください。
看板メニューやセットメニューを開発する
それから看板メニューやセットメニューを開発することも、飲食店開業・経営の失敗を防ぐ方法です。看板メニューやセットメニューを提供することで、売上増加や集客向上を期待できます。飲食店のコンセプトに基づいて、メニューを開発しましょう。
ただし利益率を高めるためには、各メニューの原価率を抑えなくてはなりません。飲食店の原価率が低いメニューや原価率を抑えるポイントなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
集客方法を工夫する
さらに集客方法を工夫することも、飲食店開業・経営の失敗を防ぐ方法です。新規集客を増やすためには、ターゲット層の属性を分析して適した集客方法を選ばなくてはなりません。オンラインとオフラインで集客活動を展開しましょう。
またリピーターを増やすためには、メニューや接客の質を上げることはもちろん、ポイントやクーポン、キャンペーンなどの集客方法も検討しましょう。店舗へ集客する方法や業種・業態ごとの集客アイデアをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
人材採用・研修の体制を強化する
そして飲食店開業・経営の失敗を防ぐための方法として、人材採用・研修の体制を強化しましょう。従業員の離職率を下げるために、雇用条件や採用・研修の方法などを見直す必要があります。
例えば調理や接客のマニュアルを作成することで、従業員の業務に対する不安を軽減できます。飲食店の調理や接客の質を上げるためには、経営者や店長が人材育成について学ぶことも必要です。
飲食店開業・経営に失敗したときの対応方法
飲食店開業・経営の失敗を防ぐ方法を上手く実践できなかったら、どう対応すればよいのでしょうか。飲食店の経営改善や業務委託、事業売却、廃業手続きについて、対応方法をご紹介します。
経営改善
飲食店開業・経営に失敗する初期段階では、経営改善の可能性があります。飲食店経営で赤字が続いても、ニーズや競合を再調査して、コンセプトやメニューを変更できます。また資金管理を徹底して、経費の無駄を省きましょう。
飲食店経営の理念や実績は重要ですが、ゼロベースで再検討することも重要です。ゼロベースで再検討して、新たなニーズの発掘や経費削減アイデアの考案などができれば、利益獲得を期待できます。
なおコロナ禍における店舗デザインの課題もまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
業務委託
また業務委託も、飲食店開業・経営に失敗したときの対応方法です。業務委託により、飲食店経営を継続できます。また仕込みや集客などの一部の業務だけを委託すれば、外部業者のスキルやアドバイスを活用しながら、売上や集客の向上を期待できます。
そして飲食店の経営を委託すると、他の事業を展開しながら、店舗経営からの売上も期待できます。ただし業務委託には相談や費用などのコストがかかりますので、委託する業務の範囲や方法などの検討が必要です。
事業売却
そして事業売却も、飲食店開業・経営に失敗したときの対応方法として挙げられます。飲食店の経営権や設備・機器・什器などを売却することで、経営者は売却益を得られます。また閉店するための費用(賃貸物件の原状回復や設備・機器・什器の処分など)を避けることができます。
さらに飲食店経営の事業売却で店舗が残れば、顧客や従業員に迷惑が掛かりません。しかし売却された飲食店の経営方針が変われば、メニューやサービス、人材採用などの仕組みが変わります。
廃業手続き
なお飲食店の開業・経営に失敗した最終段階では、廃業手続きを検討しなければなりません。仕入先や店舗物件の管理業者、従業員、リース業者などへ解約予告を通知して、店舗物件の原状回復工事の手配や行政機関への届け出などが必要です。
そして個人事業主は財産や債務を整理して、税務署に廃業届を提出し、借金が残る場合には金融機関への相談が必要です。
参照元:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
また法人は解散と清算の手続きを行いますが、法人の種類によっては官報に解散広告を出す必要があります。
参照元:J-Net21「会社の解散について手順を教えてください。」
飲食店の開業・経営の失敗を防ごう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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