2017.06.19  2025.03.26|店舗運営ノウハウ

飲食店の適切な人件費率はいくら?削減する方法・注意点・事例も紹介

飲食店の適切な人件費率はいくら?削減する方法・注意点・事例も紹介

本記事で「飲食店の適切な人件費率はいくら?」という疑問にお答えするために、削減する方法・注意点・事例をご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

飲食店の人件費に関する基本情報

飲食店の人件費に関する基本情報

飲食店の人件費を削減する方法を検討する前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確保すれば、削減方法を検討しやすくなるからです。それでは最低賃金の引き上げや飲食店の人件費が高騰している理由、適正な比率・FLコストの適正な比率、内訳をご紹介します。

最低賃金の引き上げ

まず最低賃金の引き上げは毎年行われており、2024年には全国平均の引き上げ額が過去最大(51円)でした。2024年引き上げ後の最低賃金は全国平均1,055円ですが、都道府県ごとに異なります(秋田県の951円から東京都の1,163円まで)。

参照元:

労働政策研究・研修機構(JILPT)「図2 主要企業春季賃上げ率|早わかり グラフでみる長期労働統計」

NHK「最低賃金の引き上げ全国で進む 物価高の中 労働者と企業は」

以下の調査結果によると、2024年の最低賃金の引き上げに対して、飲食店経営者の4割近くが「想定より高かった」と回答し、7割近い飲食店経営者が2030年までに「現行額+300円より高い額となる」と予想しています。

参照元:PR TIMES「約4割の飲食店が『想定より上がった』と回答〜最低賃金に関する意識調査〜」

高騰している理由

次に飲食店の人件費が高騰している理由として、最低賃金の引き上げだけではなく、人材不足による獲得競争が指摘されています。以下の調査結果によると、飲食店経営者の7割近くがアルバイトの時給を最低時給より高く設定しているからです。

参照元:PR TIMES「【飲食店アルバイト採用経験者に調査】66%が、時給を最低賃金より『10%以上高く設定』その理由とは?」

一般的に勤務エリアや職種、業務内容などが同じである場合には、求職者は時給の高い求人募集に応募します。最低時給の引き上げに加えて人材獲得競争のために時給を上げるほど、人件費が高騰してしまいます。

参照元:ヤフーニュース!「いくらなら人が来ますか?『理想は1200円』 人材獲得競争が熾烈な飲食業界 最低賃金だけではアルバイトは来ない」

適正な比率・FLコストの適正な比率

それから飲食店の人件費の適正な比率は、30%以下です。ただし飲食店の立地や業態、規模などによって、適正な比率は異なります。FLコスト(食材費と人件費の合計)の適正な比率は60%以下です。

飲食店の人件費率は、「人件費÷売上高×100」の公式で計算されます。例えば月間売上高200万円の店舗が、月60万円の人件費を支出しているなら、人件費率は30%です。

  • 人件費60万円÷売上高200万円×100=30%

内訳

そして飲食店の人件費の内訳は、正規雇用と非正規雇用によって異なります

  • 正規雇用の人件費:基本給・賞与・各種手当・社会保険料・労働組合費
  • 非正規の人件費 :基本給・各種手当・交通費

ただし社会保険料は、正規雇用(正社員)だけではなく、非正規雇用(パート・アルバイト)にも適用が拡大されています。対象となる条件を確認しておきましょう。

参照元:政府広報オンライン「社会保険の適用が拡大!従業員数51人以上の企業は要チェック」

飲食店の人件費を削減する方法

飲食店の人件費を削減する方法

基本情報を把握したうえで、飲食店の人件費を削減する方法を検討しましょう。6点(マニュアルの作成とDXの推進、シフトの最適化、非正規雇用の採用、研修、アウトソーシング)をご紹介します。

マニュアルの作成

まずマニュアルの作成が、飲食店の人件費を削減する方法として挙げられます。接客や調理、清掃などの業務内容をマニュアル化することで、新人研修や営業活動などを効率化できるからです。

例えばクレーム対応マニュアルを作成して迅速にクレームを処理すれば、人件費の削減だけではなく、顧客とのトラブル回避にもつながります。飲食店のクレーム対応マニュアルをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

DXの推進

次にDXの推進も、飲食店の人件費を削減する方法です。店舗のDX(デジタル技術による店舗経営の仕組みや商品・サービスなどの変革)を推進すれば、業務効率化や生産性向上に加えて競争力の強化などにつながります。

例えば配膳ロボットを導入してホールスタッフの人数を減らせば、人件費を削減できます。ただし配膳ロボットの初期費用やランニングコストが必要です。飲食店に配膳ロボットを導入するメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

シフトの最適化

それからシフトの最適化も、飲食店の人件費を削減する方法です。基本的に顧客が出入りしない時間帯(開店の準備中や閉店後の片付け中など)には従業員数を減らし、来店数が多いゴールデンタイム(ランチやディナーなど)には従業員数を増やすように配置します。

ただし1日のシフトだけではなく、季節やキャンペーンなどによっても最適なシフトは異なります。また人件費削減だけを重視しないで、顧客の満足度や従業員の希望なども考慮して最適なシフトを組みましょう。

非正規雇用の採用

続いて非正規雇用の採用も、飲食店の人件費を削減する方法です。正規雇用の希望者が集まらない場合やシフトの最適化を図る場合などには、非正規雇用のパートやアルバイトを採用します。

そこで魅力的な雇用条件を提示したうえで求人募集を開始し、書類選考や面接を進めましょう。店舗経営における人材採用の流れやコツなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

研修

さらに研修も、飲食店の人件費を削減する方法です。飲食業界における人材不足のため、接客や調理の経験者を採用できるとは限りません。そこで採用した従業員に対する研修を計画して、業務効率化を図りましょう。

研修の目的や時期などによって、「職場内または職場外」「新人または管理職」「研修担当者または外部講師」などの方法が異なります。店舗経営における研修の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

アウトソーシング

そしてアウトソーシングも、飲食店の人件費を削減する方法です。飲食店の営業に必要な業務(清掃や洗濯、食材の仕込み、集客活動など)をアウトソーシングすることで、人件費削減につながります。

ただし自店舗が雇用する従業員が作業するコストのほうが、アウトソーシングするコストよりも安くなる場合があります。各業務にかかるコストを計算したうえで、アウトソーシングの導入を検討しましょう。

飲食店の人件費削減に関する注意点

飲食店の人件費削減に関する注意点

印象人件費を削減する方法を選ぶ際には、以下の注意点(原価率の計算とサービスの質、ブランディング、業務効率、従業員の業務量・雇用条件・モチベーション、売上管理・経費削減)に気をつけましょう。

原価率の計算

まず原価率の計算が、飲食店の人件費削減に関する注意点として挙げられます。人件費の適正な比率は、原価率(売上額に対する原価の割合)によって変化するからです。原価には、備品の仕入れ値やメニューの原材料費、人件費などが含まれます。

原価率は「原価(円)÷ 販売価格(円) × 100」の公式で求められ、メニューの種類によって異なります。飲食店が原価率を計算する際の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

サービスの質

次にサービスの質も、飲食店の人件費削減に関する注意点です。人件費を削減しすぎて接客や調理などの業務が回らなくなると、サービスの質を下げてしまいます。サービスの質が下がると集客と売上の低下を招いてしまうため、注意が必要です。

そこで売上に占める適正な原価率や利益率を計算したうえで、人件費率を設定しましょう。必要な人件費を支出することで顧客満足度が向上すれば、売上アップにつながります。店舗経営における商品やサービスの企画・開発については、次の記事も併せてご覧ください。

ブランディング

それからブランディングも、飲食店の人件費削減に関する注意点です。競合店との価格競争に巻き込まれて販売価格を下げるために必要以上に人件費を削減してしまうと、従業員のモチベーション低下や求人応募者の減少を招いてしまいます。

そこでブランディング(商品・サービスのブランド価値を高めるマーケティング戦略)により認知度をアップさせて、集客・売上の安定や集客コストの削減、求人応募数の増加などにつなげましょう。

業務効率

続いて業務効率も、飲食店の人件費削減に関する注意点です。以前と同じ業務効率のままに人件費を削減してしまうと、サービスの質が低下してしまいます。業務効率を上げることで、以前よりも少ない従業員で対応することが可能になります。

例えば食材の仕込みをアウトソーシングしたり、調理業務をマニュアル化したりすることで、業務効率を上げましょう。オンライン予約システムやキャッシュレス決済システムなどを導入して、DXを推進する方法もあります。

従業員の業務量・雇用条件・モチベーション

さらに従業員の業務量・雇用条件・モチベーションも、飲食店の人件費削減に関する注意点です。人件費を削減するために従業員1人当たりの業務量を増やしたり、時給を下げたりしてしまうとモチベーションの低下を招く恐れがあります。

そこで従業員のモチベーションを上げて離職率を低下させるためには、適切な業務量に調整し、魅力的な雇用条件を提示しなければなりません。賃金面だけではなく、福利厚生面の雇用条件を改善することで、モチベーションアップを期待できます。

売上管理・経費削減

そして売上管理・経費削減も、飲食店の人件費削減に関する注意点です。無理のないように人件費を削減するためには、正確に売上を管理しなければなりません。FLコストに基づいて、必要な売上目標を設定しましょう。

人件費だけではなく他の経費(光熱水道費や広告宣伝費など)を削減することでも、飲食店経営の利益率を高められます。店舗経営における経費削減方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

飲食店の人件費削減事例

注意点に気をつけて飲食店の人件費を削減できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(マニュアルとDX、隙間バイト、研修用店舗、アウトソーシング)をご紹介します。

多言語のマニュアルを作成したファミリーレストラン

多言語のマニュアルを作成したファミリーレストラン

まず「すかいらーく」は、多言語のマニュアルを作成したファミリーレストランです。約2000人の外国人従業員を雇用しているため、英語や中国語に対応しています。外国人向けの採用サイトには、研修や仕事の様子を伝える動画や写真が掲載されています。

マニュアルの多言語化だけではなく、福利厚生を充実させたり、配膳ロボットやセルフレジが導入されたりしています。日本語能力が高くない従業員でも働けるように配慮している飲食店の人件費削減事例です。

参照元:HUFFPOST「留学生アルバイト→社員登用で外国人採用任され活躍。すかいらーくが本気で取り組む『外国人にもやさしい職場作り』とは」

DXを推進したレストラン

DXを推進したレストラン

次に「マルブン」は、DXを推進したレストランです。クラウド型POSレジや来客予測AIシステムなどの導入により、人件費率を2割程度まで下げています。デジタル技術を活用した飲食店の人件費削減事例です。

人件費削減だけではなく、DXの推進によりサービスの質の向上にもつながっています。各従業員が幅広い業務(接客や調理など)に対応できるように、業務の見直しも進めています。

参照元:interfm「愛媛で100年愛される飲食店『マルブン』。店舗DXを進めて人員配置マイナス2人!」

スキマバイトを活用する居酒屋

スキマバイトを活用する居酒屋

それから「新橋銀座口ガード下 THE 赤提灯」は、スキマバイトを活用する居酒屋です。スキマバイト専門のスマホアプリで、非正規雇用(パート・アルバイト)の従業員を採用しています。

スマホアプリで採用活動を進めることで、店舗側が採用活動のコストを減らしながら、従業員側は希望する働き方を実現できます。主に接客にスキマバイトを活用している飲食店の人件費削減事例です。

参照元:ITmediaビジネス「超異例! スタッフがほぼ『スキマバイト』の居酒屋、どのように教育や運営をしているのか」

研修用店舗を営業する焼肉屋

研修用店舗を営業する焼肉屋

続いて「焼肉トラジ トレーニングセンター」は、研修用店舗を営業する焼肉屋です。新入社員が研修を受けながら店舗を営業する代わりに、顧客には通常より割引された価格でメニューが提供されています。

数か月から1年程度の研修後に、各社員が全国の通常店舗へ配属されていきます。各店舗に採用を任せずに本部が対応することで、離職率低下につなげている飲食店の人件費削減事例です。

参照元:

TBSラジオ「研修中の新人スタッフが運営する店。離職防止に効果あり?」

仕込みをアウトソーシングするカフェ

仕込みをアウトソーシングするカフェ

そして「AZEKIRI」は、仕込みをアウトソーシングするカフェです。人材不足を解消するために時間のかかるパスタソース作りがアウトソーシングされており、削減した人件費を看板メニューの調理に費やせるようになりました。

看板メニューのパンケーキには20分の調理時間と熟練した技術が必要ですが、パスタソースのアウトソーシングにより従業員の負担が減っています。他メニューのアウトソーシングも検討している飲食店の人件費削減事例です。

参照元:シコメルフードテック「パスタソースの外注により調理工程を5割削減。限られた人材でも、看板メニューに専念できる体制へ。」

飲食店の人件費を削減する方法を検討しよう!

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監修者

IDEAL編集部

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