2017.09.18 2024.10.27|新規開業ノウハウ
インバウンド集客の方法と費用とは?ポイントや事例も紹介
本記事で、インバウンド集客の方法と費用を解説します。またインバウンド集客のポイントや事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
インバウンド集客のメリット・デメリット
インバウンド集客の方法を検討する前に、メリット・デメリットを確認しましょう。メリット2点(売上の増加と地域の活性化)とデメリット2点(オーバーツーリズムのリスクとコミュニケーションのコスト)をご紹介します。
メリット①売上の増加
まず売上の増加は、インバウンド集客のメリットです。日本国内に在住している人に加えて、訪日外国人にも来店してもらったほうが売上の増加につながります。以下の資料によると、訪日外国人の平均支出額は21万円以上です。
参照元:観光庁「訪日外国人の消費動向 訪日外国人消費動向調査結果及び分析 2023 年 年次報告書」(4ページ)
以下の資料によると、日本人の消費支出はコロナ禍(2020-2022年)を経て回復傾向にありましたが、2023年に物価高の影響から再び落ち込みました。店舗経営においては、幅広いターゲット層の集客が必要です。
参照元:
JIJI.COM「23年度消費支出、3.2%減 物価高響き、3年ぶりマイナス―総務省」
メリット②地域の活性化
次に地域の活性化も、インバウンド集客のメリットです。訪日外国人からの売上が増加した店舗が事業を拡大させて従業員を追加募集すれば、地域の雇用機会が創出されます。訪日外国人の増加で自治体の税収が増えれば、地域のインフラ整備や公共事業の促進が可能です。
経済的な発展だけではなく、観光資源の魅力が発見されたり、住民が増えたりすれば、文化的にも地域が発展できます。店舗だけではなく、自治体や地域住民にとっても、訪日外国人増加による地域活性化はメリットです。
デメリット①オーバーツーリズムのリスク
しかしオーバーツーリズムのリスクは、インバウンド集客のデメリットです。オーバーツーリズムとは、許容できない観光客数や迷惑行為などにより、地域の暮らしが悪影響を受けている状態です。
以下の調査によると、オーバーツーリズムにより店舗営業の質の低下や交通機関の渋滞、インフラの不足、騒音などの悪影響が生まれています。国や自治体による対策はもちろん、各店舗による対策も必要です。
参照元:
観光庁「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」
デメリット②コミュニケーションのコスト
そしてコミュニケーションのコストも、インバウンド集客のデメリットです。日本国内の実質的な公用語は日本語ですが、日本語でコミュニケーションできない訪日外国人が来店する場合があります。
したがって従業員が日本語以外で対応できない場合には、訪日外国人とのコミュニケーションにコストがかかってしまいます。訪日外国人の対応に役立つ方法やポイントについては、後ほどご紹介します。
インバウンド集客の方法と費用
メリットを引き出しながらデメリットを対策できるように、インバウンド集客の方法と費用を確認しましょう。6点(SNSとWebサイト、SEO対策、MEO対策、多言語対応システム・ツール、DXの推進)をご紹介します。
SNS
まずSNSが、インバウンド集客の方法として挙げられます。SNSの公式アカウントを開設すれば、訪日外国人へ向けて店舗の魅力や情報を発信できます。ターゲットとする顧客層に応じて、SNSの種類(InstagramやX、Facebookなど)を選びましょう。
SNSアカウント開設の費用は基本的に無料ですが、運用の有料サービス(広告やコンサルティングなど)もあります。インバウンド集客にも活用できるSNS集客の費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
Webサイト
次にWebサイトも、インバウンド集客の方法です。自店舗の公式サイトを開設したり、ポータルサイトに登録したりすれば、自店舗の情報を掲載したり、訪日外国人からの予約を受け付けたりできます。
Webサイトの開設費用は1サイト数万~数十万円程度で、維持費は月数千~数万円程度です。ポータルサイトの登録費用は、月数万円程度です。Webサイトに求める機能や予算などに応じて、開設や登録の方法を検討しましょう。
SEO対策
またSEO対策も、インバウンド集客の方法です。SEO(検索エンジン最適化)によって、Web検索する訪日外国人のネットユーザーに、自店舗の公式サイトへアクセスしてもらいやすくなります。
自店舗でSEO対策を進める費用は従業員の人件費だけですが、有料サービス(月数万~数十万円程度)もあります。訪日外国人に検索されやすいキーワードを選定し、多言語対応のコンテンツを制作しましょう。
MEO対策
さらにMEO対策も、インバウンド集客の方法です。MEO(地図エンジン最適化)によって、マップ検索する訪日外国人のネットユーザーに、自店舗の公式サイトやポータルサイトにアクセスしてもらいやすくなります。
自店舗でMEO対策を進める費用は従業員の人件費だけですが、有料サービス(月数万円程度)もあります。他のWeb集客方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
多言語対応システム・ツール
それから多言語対応システム・ツールも、インバウンド集客の方法です。訪日外国人に対して自店舗の情報発信や予約の受付、接客などができるように、多言語対応システム・ツール(デジタルサイネージやチャットボット、翻訳機など)を導入しましょう。
多言語対応の費用は、システム・ツールの種類によって異なります。幅広い業種・業態の店舗に導入できるデジタルサイネージの種類と費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
DXの推進
そしてDXの推進も、インバウンド集客の方法です。店舗のDX(デジタル技術による店舗経営の仕組みや商品・サービスなどの変革)を推進して、インバウンド集客の業務効率化や競争力強化などを図りましょう。
DXの費用は、デジタルシステム・ツールの種類(オンライン予約システムやセルフオーダーシステム、キャッシュレス決済システムなど)によって異なります。店舗DXの方法と費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
インバウンド集客のポイント
費用を抑えながら適した方法を実践できるように、インバウンド集客のポイントも確認しましょう。6点(マーケティングと商品・サービスの企画と開発、ブランディング、接客の対応、リピーターの獲得、既存顧客への配慮)をご紹介します。
マーケティング
まずマーケティングが、インバウンド集客のポイントとして挙げられます。マーケティング(市場調査から商品・サービスの企画・開発、営業、販売促進までの仕組みづくり)の戦略に、インバウンド集客を位置づけましょう。
例えば多言語対応のWebサイトを開設したり、訪日外国人を対象とする割引を実施したりすることで、新規顧客やリピーターの獲得につながります。店舗マーケティングの流れと方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
商品・サービスの企画と開発
次に商品・サービスの企画と開発も、インバウンド集客のポイントです。商品・サービスの質が低ければインバウンド集客活動を展開しても売り上げの増加につながりませんので、魅力的な商品・サービスの企画と開発を進めましょう。
商品・サービスの企画と開発においては、市場調査に基づいたコンセプトの設計や店舗のデザインなどがポイントです。商品・サービスを企画・開発するプロセスをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
ブランディング
それからブランティングも、インバウンド集客のポイントです。ブランディングを展開して消費者からの認知度や信頼感を高めたり、集客コストを削減したりできれば集客と売上の安定につながります。
店舗のブランディングを展開するためには、商品・サービスの独自性や付加価値、訪日外国人が来店しやすい立地、店舗のデザインなどがポイントです。店舗をブランディングする流れと方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
接客の対応
続いて接客の対応も、インバウンド集客のポイントです。訪日外国人に多言語で対応できるように、システム・ツールを導入したり、外国語を習得した従業員を採用したりしましょう。
ただし多言語対応を進めたとしても、文化的な違いから訪日外国人からクレームを受けたり、トラブルに発展したりする恐れがあります。幅広い業種・業態の店舗に活用できるクレーム対応マニュアルをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
リピーターの獲得
さらにリピーターの獲得も、インバウンド集客のポイントです。新規顧客として訪日外国人に来店してもらうだけではなく、定期的にリピーターとして再来店してもらったり、知り合いを紹介してもらったりしましょう。
リピーターを獲得する方法には、チャットツールやSNS、キャンペーン、ポイントカード、クーポンなどがあります。幅広い業種・業態の店舗に活用できるリピーター獲得のアイデアをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
既存顧客への配慮
そして既存顧客への配慮も、インバウンド集客のポイントです。訪日外国人の新規顧客を優先して、既存顧客への配慮が欠けてしまうと、合計売上を下げる恐れがあります。訪日外国人にも日本人にも、丁寧な接客対応を心がけましょう。
そこでピークタイムには従業員を増員したり、デジタルシステム・ツールを導入して接客業務を効率化させたりしましょう。インバウンド集客を展開する際には、現場の従業員にヒアリングして営業全般の課題を把握し、早期の解決が必要です。
インバウンド集客の事例
ポイントを押さえながらインバウンド集客を実践できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点(飲食店と旅館、ヘアサロン、クリニック、スーパーマーケット)を取り上げて、各事例の特徴をご紹介します。
多言語対応した飲食店
まず「鍋ぞう」は、多言語対応した飲食店です。インバウンド集客のために、メニューや販促物、公式サイト、動画などが多言語で制作されたり、多国籍の従業員が配置されたり、接客のロールプレイングが実施されたりしています。
海外では「モーモーパラダイス」のブランド名で展開されているため、日本国内の一部店舗も変更されました。しゃぶしゃぶ・すき焼きの食べ放題を提供している飲食店によるインバウンド集客の事例です。
参照元:
食品産業新聞社ニュースWEB「しゃぶしゃぶ・すき焼き『鍋ぞう』が年40万人の訪日客をつかむ理由とは」
PR TIMES「グローバル市場への進出を加速 『鍋ぞう』を海外で認知度の高い『モーモーパラダイス』へ店名変更」
ハラール認証を取得した旅館
次に「あゆの里」は、ハラール認証を取得した旅館です。イスラム教徒のインバウンド集客向けに、ハラール和牛のフルコースが提供されています。ヴィ―ガンメニュー(アスパラガルのムースやがんもどきのような料理など)も提供されています。
訪日外国人に多言語対応できるように、外国人の従業員が雇用されています。日本三大急流くま川沿いに立地する温泉旅館によるインバウンド集客の事例です。
参照元:
Food Diversity.today「九州エリア唯一のハラール認証旅館、人吉温泉 清流山水花 あゆの里の取り組み」
訪日ラボ「熊本・人吉の老舗旅館に外国人観光客が集まるワケ【トークイベント取材レポ】」
英語で接客できるヘアサロン
それから「SHINKA」は、英語で接客できるヘアサロンです。インバウンド集客のために、英語を習得した日本人の従業員が雇用されています。コミュニケーションツールやメンバーシップカードも、英語対応です。
商品購買だけではなくサービス体験に対する需要に応えて、訪日外国人からの予約を獲得しているインバウンド集客の事例です。東京都港区に立地していますが、本店はオーストラリアのシドニーにあります。
参照元:
外国人の診療に特化したクリニック
続いて「Tokyo Station International Clinic」は、外国人の診療に特化したクリニックです。インバウンド集客のために、英語の公式サイトが開設されており、英語・中国語を習得した従業員が雇用されています。
業務効率化や顧客満足度向上のために、キャッシュレス決済システムやリアルタイム待ち時間表示システム、交通系ICカードを利用した診察券なども導入されています。内科・外科・小児科・皮膚科と総合的な診療を提供しているクリニックによるインバウンド集客の事例です。
参照元:
Tokyo Station International Clinic「英語・中国語対応可能な医師」
免税カウンターを設置するスーパーマーケット
そして「イオンモール成田」は、免税カウンターを設置するスーパーマーケットです。インバウンド集客のために、中国語・英語で免税手続きに対応するカウンターが設置されています。
外貨両替機も設置されており、外国人対応研修も実施されています。訪日外国人向けにショッピングサービスサイトも運営しているスーパーマーケットによるインバウンド集客の事例です。
参照元:
WOVN.io「イオンリテール、インバウンド対応のため 訪日客向けサイトを WOVN で5言語対応」
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監修者
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