2023.11.13  2023.11.19|新規開業ノウハウ

薬局を開業する流れとポイント!年収・資格・失敗原因の対策・開業資金

薬局を開業する流れとポイント!年収・資格・失敗原因の対策・開業資金

本記事で、薬局を開業する流れとポイントを解説します。経営者の年収や開業に必要な資格、失敗する原因と対策、開業資金などもご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

薬局開業の基本情報

薬局開業の基本情報

薬局の開業準備を始める前に、まずは基本情報を確認しましょう。薬局開業の基本情報を知ることで、開業準備を進めやすくなるからです。それでは薬局の市場規模とニーズ、業態、経営者の年収について解説します。

市場規模

まず薬局の市場規模は、日本チェーンドラッグストア協会の調査によると約8.7兆円です。ただしドラッグストアを対象とした調査のため、調剤・ヘルスケア(約3兆円)に、ビューティーケア・ホームケア・フーズなど(合計5.7兆円)が含まれています。

参照元:薬事日報「【JACDS】DgS総売上高は8.7兆円に-22年度、伸び率が鈍化」

ニーズ

次に薬局に対する消費者のニーズとして、処方薬に関する相談と利便性が挙げられます。なぜなら内閣府の調査によると、薬局・薬剤師への主な相談内容として、「病院や診療所で処方された薬」と「薬の飲み合わせ」が挙げられているからです。

参照元:内閣府「薬局の利用に関する世論調査」

また同調査では、「かかりつけ薬剤師・薬局を決めている人」が約1割、「薬局は一つに決めている人」が約2割、「各病院・診療所の近くにある薬局に行く人」が約6割、「特に決めていない人」が約1割でした。

参照元:内閣府「薬局の利用に関する世論調査」

業態

また薬局の業態には、調剤薬局や医薬品小売店、ドラッグストアなどがあります。各業態の違いをまとめましたので、ご覧ください。

調剤薬局   :主に医師の処方箋に基づいて医薬品を調剤する

医薬品小売店 :主に一般用医薬品や医療用品を販売する

ドラッグストア:一般用医薬品や化粧品などを販売する

参照元:経済産業省「ドラッグストア業態の考え方これまでの議論の整理」(3ページ)

ただし調剤薬局が併設されたドラッグストアや医薬品小売店も存在します。各業態に必要な資格・届出・許可などについては、後ほどご紹介します。

経営者は儲かる?(年収)

なお薬局の経営者の年収は、1店舗につき500万~1,000万円程度だと推計されます。例えば月間売上200万円で利益率30%の店舗なら、年収は720万円程度です。

  • 月間売上200万円×12か月×利益率30%=年収720万円

参照元:なるほど!ジョブメドレー「【転職者インタビュー】調剤薬局オーナー4年目 36歳/転職3回(薬剤師)」

ただし薬局の売上や経営者の年収に関する調査結果は、Web上に掲載されていませんでした(2023年10月時点)。なお厚生労働省の資料によると、雇用されている薬剤師の平均年収は、500万~1,000万円程度です。

参照元:厚生労働省「薬剤師の需給動向把握事業における調査結果概要」(40ページ)

薬局を開業する流れとポイント

薬局を開業する流れとポイント

基本情報を把握したうえで、薬局を開業する流れとポイントも確認しましょう。8点(コンセプト・事業計画から資金調達、物件探し、デザイン・工事、設備・機器・什器、資格・届出・許可、採用・研修、集客活動まで)に整理してご紹介します。

コンセプト設計と事業計画立案

まずコンセプト設計と事業計画立案から、薬局を開業する流れを開始しましょう。コンセプトは薬局の経営方針となるため、競合店との差別化を図るために必要です。店舗のコンセプトを設計する方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

また薬局の事業計画書は、開業資金の調達や経営戦略の説明、経営の評価・改善などに活用できます。薬局開業にも役立つ事業計画書の書き方やポイントなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業資金の調達

次に開業資金の調達も、薬局を開業する際のポイントです。以下の開業準備にかかる経費を正確に計算し、自己資金だけで開業資金を確保できない場合には、調達方法(出資や借入、融資、補助金・助成金)を検討しましょう。

なお上記の調達方法ごとに、申請や返済の条件が異なりますので、注意が必要です。補助金・助成金については、後ほど取り上げます。開業資金を調達するポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

物件探し

また物件探しも、薬局を開業する際のポイントです。薬局を開業する物件は、コンセプトの実現や資金管理、集客活動などに影響します。先ほどご紹介したとおり、薬局の利便性が消費者からのニーズです。

そこで市場調査を踏まえて、薬局を開業する立地や物件の規模・間取りなどを検討しましょう。店舗物件探しのコツや注意点などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装と外観のデザイン・工事

それから内装と外観のデザイン・工事も、薬局を開業する際のポイントです。物件の立地だけではなく、内装と外観のデザインも、集客と売上に影響します。必要なスペース(受付や待合室、トイレ、調合室、事務室、休憩室など)を検討しましょう。

ただし薬局の内装と外観にこだわるほど、デザイン・工事に費用がかかりますので、注意が必要です。薬局の内装をデザインする際のポイントや参考となる事例などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

設備・機器・什器の手配

さらに設備・機器・什器の手配も、薬局を開業する際のポイントです。調剤や会計などの業務のために、分割分包機やレジスター、パソコンなどの設備・機器が必要です。

参照元:日本薬科機器学会「薬学機器情報」

また薬局の商品・サービスに応じて、待合スペースのソファやチェア、相談スペースのカウンター、商品陳列スペースの棚などの什器も必要です。店舗で利用される什器の入手方法などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

資格取得と届出・許可申請

そして資格取得と届出・許可申請も、薬局を開業する際のポイントです。薬局の業態(調剤薬局や医薬品小売店、ドラッグストア)に応じて、薬剤師資格や薬局開設許可、医薬品販売者登録などが必要です。

また個人事業主なら開業届を、法人なら法人設立届を提出します。他にも税務や労務などに関する届出・許可が必要です。届出・許可ごとに申請の条件や期限、方法などが異なりますので、事前に確認しておきましょう。

参照元:

厚生労働省「薬剤師国家試験」

愛知県「薬局開設の許可について」

東京都保健医療局「登録販売者試験について」

国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」

人材の採用・研修

加えて人材の採用・研修も、薬局を開業する際のポイントです。店舗数を増やすためには、各店舗に薬剤師を採用しなくてはなりません。求める人物像を明確にしたうえで、適した求人方法を選びましょう。

そして各店舗の開業数週間前には、採用した従業員に対する研修を開始します。店舗経営における人材採用のコツや研修の注意点などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

集客活動の計画

なお薬局を開業する数週間以上前には、集客活動の計画を開始しましょう。店舗集客の条件として、明確な目的・目標やターゲットにとって価値のある商品・サービスなどが挙げられます。

また集客率を高めるためには、ターゲットとする顧客層に応じて、適した集客方法が必要です。店舗へ集客する方法や成功した事例などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

薬局開業に失敗する原因と対策

薬局開業に失敗する原因と対策

以上の流れに沿って開業準備を進めても、開業後の集客や売上が保証されるわけではありません。そこで薬局開業に失敗する原因(市場調査・資金管理・接客・医療機関との関係)を分析して、開業前から対策しておきましょう。

市場調査の不足

まず市場調査の不足が、薬局開業に失敗する原因として挙げられます。薬局の立地や物件が適切でなければ、集客率を上げることができません。競合店の営業状況や病院・診療所の開設状況も重要です。

対策として、店舗マーケティングを実施しましょう。「市場調査から商品・サービスの企画・開発、営業、販売促進まで」の一連の仕組みをつくることができますので、次の記事も併せてご覧ください。

資金管理の不備

次に資金管理の不備も、薬局開業に失敗する原因です。開業準備に必要な初期費用(薬局の内装や設備・機器・什器の工事費用など)はもちろん、開業後の経費を支払う運転資金(物件の賃料や光熱水費など)が不足してしまうと、経営が不安になります。

対策として、売上目標を設定したうえで、達成状況を評価しながら、経営を改善しましょう。薬局開業にも活用できる売上を管理する方法や売上アップのアイデアなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

不親切な接客

また不適切な接客も、薬局開業に失敗する原因です。顧客情報を適切に管理して、医薬品に対する不安や心配を解消できなくては、顧客からの信頼を獲得できません。また顧客ニーズに応えるためには、幅広い商品(一般用医薬品や化粧品、食料品など)の販売も必要です。

対策として、店舗経営のDXを推進しましょう。親切な接客を実現させるために、デジタル技術により店舗経営の仕組みや商品・サービスなどを変革できるからです。店舗DXの方法と費用などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

医療機関との関係悪化

なお医療機関との関係悪化も、薬局開業に失敗する原因です。処方薬の調剤を扱う薬局においては、周辺にある医療機関との良好な関係が求められます。顧客はもちろん、医療機関から信頼される薬局を経営しましょう。

対策として、医療機関の開業予定に関する情報調査やオンライン服薬指導の検討、地域イベントなどへの出展などがあります。顧客と医師からの認知度を高めて、ニーズに応える商品・サービスの提供を心がけましょう。

参照元:日本薬剤師会「オンライン服薬指導について」

薬局の開業資金

薬局の開業資金

薬局の開業準備を滞りなく進めるためには、開業資金が必要です。正確に資金計画を立てられるように、薬局の開業資金の相場と内訳をご紹介します。無駄を省いて経費を削減できるように、開業資金の節約法も確認しましょう。

相場

まず薬局の開業資金の相場は、坪単価50万~100万円程度です。20坪のスケルトン物件なら、1,000万~2,000万円程度かかります。ただし物件の立地や規模、種類(スケルトンか居抜き)、設備・機器・什器の台数、雇用する従業員数などによって、開業資金は変動します。

内訳

次に薬局の開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、20坪のスケルトン物件に薬局を開業する資金を試算してあります。

費用の内訳費用の目安費用の試算
物件取得合計10%程度
賃料の6~12か月分程度
100万~200万円程度
20坪で賃料20万円
スケルトン物件
店舗デザイン・工事
(内装と外観)
合計の20%程度200万~400万円程度
設備・機器・什器
(電気・ガス・水道・空調・
換気・調剤・照明・通信・
カウンター・ソファなど)
合計の50%程度500万~1,000万円程度
諸経費
(医薬品・集客・採用・研修・
資格・届出・許可など)
合計の20%程度200万~400万円程度
合計100%
坪単価50万~100万円程度
1,000万~2,000万円程度

上表のとおり、薬局の開業資金においては、設備・機器・什器にかかる費用が大半を占めます。設備・機器・什器の台数が増えるほど、開業資金がかかるため、ご注意ください。

節約法

そして薬局の開業資金の節約法として、相見積もりや居抜き物件、補助金・助成金などがあります。内装工事の際に相見積もりを取ると、各業者の提案する見積もり(工事の内容や期間、費用など)を比較できます。

居抜き物件を選び、前借主や所有者の施工した内装や設備・機器・什器などを譲渡してもらえると、新規工事よりも費用を節約できます。ただしメリットだけではなく、居抜き物件にはデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗の開業・経営に活用できる補助金・助成金を申請すると、基本的に返済義務のない資金を受給できます。店舗の開業・経営に活用できる補助金・助成金の種類や注意点などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

集客できる薬局を開業しよう!

IDEALは、店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外観のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

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監修者

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