2020.10.02  2023.01.25|店舗デザイン

保育園開業の流れ!資格と基準・資金の節約・失敗しないためのポイント

保育園開業の流れ!資格と基準・資金の節約・失敗しないためのポイント

本記事で、保育園開業の流れについて解説します。保育園開業に必要な資格と基準、届出・許可、開業資金の節約、失敗しないためのポイントなどもご紹介します。

「保育園開業の流れが知りたい!」「保育園開業の資金はいくら?」などとお悩みではありませんか?保育園の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方はぜひご覧ください。

保育園に期待される役割

保育園に期待される役割

保育園はさまざまな役割を期待されています。地域社会や保護者からのニーズに応えられるように、開業前に保育園に期待される役割を確認しましょう。

安全に子供を預かる

まず保育園には、安全に子供を預かる役割が求められます。保育園で預かる子供は0〜5歳の子供であり、大人が予測できない行動をする危険性があります。そのため施設デザインにおいて安全面への配慮が必要です。

子供と保護者の相談に乗る

また子供の健全な成長を支えるために、子供と保護者の相談に乗る役割も求められます。こまめに保護者へ連絡したり、子供の変化に柔軟に対応したりしながら、信頼関係を築いてください。

地域社会に貢献する

さらに保護者や子供だけではなく、地域社会に貢献する役割も期待されます。子育て世代の労働者を雇用する企業にとって、従業員の雇用を安定させるために保育園の存在は重要です。

また保育サービスが充実していないと、少子化を加速させる危険性があります。特に女性が子育てしながら社会進出できるために、保育サービスの充実が必要です。

保育園開業の資格と基準

保育園開業の資格と基準

保護者や企業、地域からのニーズに応える保育サービスを提供できるように、保育園開業の資格と基準を確認しましょう。保育園の経営者と従業員に必要な資格があり、施設や保育士の配置には法的基準が定めらています。

保育園の開業に資格は必要ない?

保育園の開業(開設)するために、経営者(園長)に求められる資格はありません。経営者自身に保育士の実務経験も不要です。ただし配置する保育士の基準が法的に定められていますので、後ほど解説します。

ただし保育園の経営者として、保育に対する熱意や保育園の経営方針などを分かりやすく保護者に伝えることが大切です。保育サービスの魅力を理解してもらうことで、保護者からの信頼を得やすくなるからです。

保育園の施設基準

保育園の施設基準とは、園児1人当たりの保育スペースなどを定めた基準です。例えば認可保育園の面積基準(国の最低基準)は、児童福祉法で下記のように定められています。

  • 乳児室    (0~1歳児):1.65㎡/人
  • ほふく室   (0~1歳児):3.3㎡/人
  • 保育室・遊戯室(2歳以上児):1.98㎡/人
  • 屋外遊戯室  (2歳以上児):3.3㎡/人

参考:e-Gov法令検索「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第三十二条

なお自治体ごとに独自の保育園施設基準が定められていますので、開設予定の自治体が定めている基準を確認しましょう。

参考:内閣府「保育の現状」(P4)

保育士の配置基準

保育士の配置基準も、児童福祉施設最低基準により定められています。認可保育園の職員配置基準は下記のとおりですが、園児の数に関わらず保育士最低2名以上の配置が必要です。

  • 0歳児:保育士  =3:1
  • 1~2歳児:保育士=6:1
  • 3歳児:保育士  =20:1
  • 4歳以上児:保育士=30:1

参考:厚生労働省「児童福祉施設最低基準」(P24)

なお児童福祉施設最低基準を超える独自基準が定められている自治体がありますので、施設最低基準と併せて事前にご確認ください。

参考:豊島区役所「地域型保育事業」

保育園を開業する流れ

保育園を開業する流れ

保育園の役割や資格、基準を把握したうえで、保育園を開業する流れをご紹介します。開業の流れを把握して、スムーズに開業準備を進めましょう。

コンセプトを設計する

保育園を開業するために、まずコンセプトを設計することが重要です。コンセプトによって経営方針や園児の募集、人材育成、内外装のデザインなどが異なるからです。コンセプトを設計するときは「どのような保育園にしたいのか」「子供がどのように育ってほしいか」などを検討しましょう。

例えば「保護者に育児相談も提供したい」「子供たちにたくさん身体を動かしてほしい」「子供の優しい心を育てたい」などと、具体的な保育方針を決めてください。具体的なコンセプトを設計することで、内装デザインや募集要項を考えやすくなります。

開業資金を調達する

設計したコンセプトに基づいて、開業資金を調達しましょう。開業や経営に資金を調達できなければ、開業準備が滞ったり経営が不安定になったりする危険性があります。自己資金だけで賄えない場合は、金融機関や知人・家族からの借入、国や自治体の助成金・補助金制度などをご利用ください。

ただし一般的に金融機関からの借入や助成金・補助金の申請には、一定程度の自己資金が必要になりますので、申請条件を確認しましょう。開業資金の調達方法について次の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

保育園の形態を決める

またコンセプトに基づいて、保育園の形態を決めます。保育園の形態は、大きく2点(認可保育園と認可外保育施設)に分けられます。

認可保育園は、児童福祉法で定められた基準を満たした保育施設です。国と自治体が保育費用の一部を負担したり、助成金や補助金を受給できたりするメリットがあります。

認可外保育施設は児童福祉法の基準を満たしていない保育施設ですが、厚生労働省により基準が定められています。認可保育園よりも基準が緩やかですが、自治体によって助成金や補助金を受給できないデメリットなどがあります。

参考:厚生労働省「認可外保育施設指導監督基準」

以上のように、形態によって施設や保育士配置の基準が異なります。特徴を踏まえたうえで、保育園の形態を選択しましょう。

物件を探して契約する

保育園の形態を決めたら、物件を探して契約します。施設基準をクリアできる物件を探す必要があります。物件によっては大規模な改装が必要になるため、予算を基にご検討ください。

また物件の周辺環境を調査しましょう。「近隣住民の理解を得られるか」「園庭が十分に確保できる広さか」「園周辺で散歩コースが確保できるか」などの視点から分析してください。

他にも物件選びのさまざまなコツがあります。保育園にも応用できる物件の探し方についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装をデザインして工事する

内装をデザインして工事する

物件を契約したら、内装をデザインして工事します。子供の安全を確保するために、安全性を重視して内装をデザインする必要があります。特に以下のポイントを意識してください。

  • 子供の目線から高さや位置、サイズなどを決める
  • 死角を作らないようにレイアウトする
  • できるだけ内装に凸凹を作らない
  • 温かみや面白さのあるデザインを取り入れる

経営者自らが内装をデザインすることは難しい場合には、内装業者に相談しましょう。施工事例から内装デザインのイメージを膨らませることが可能です。下記の保育園施工事例も併せてご覧ください。

保育士やスタッフを採用する

内装工事と並行して、保育士やスタッフを採用します。自治体の配置基準を満たす人数の職員を採用してください。

保育士を面接する際は、実務経験や特性などの観点から総合的に採用を判断してください。保育士としての経験が浅かったり、求めるスキルを兼ね備えていなかったりすると、理想的な保育サービスを提供できなくなるからです。

保育士のほかにも、看護師や調理師を配置する必要があり、事務員も必要に応じて採用してください。保育士の採用と同様に、人柄や経験などを重視して採否を判断しましょう。

保育事業開業の届出・許可を申請する

保育士やスタッフの採用と並行して、保育事業開業の届出・許可を申請します。保育園の形態にかかわらず、税務署に開業届を提出する必要があります。開業届の提出期限は事業開始の事実があった日から1か月以内です。

認可保育園は各自治体から公募されて、審査を受ける必要があります。また認可外保育園を開設してから、途中で認可保育園への変更が可能です。

認可外保育園の場合は、開設から1か月以内に各自治体に届出てください。必要書類は各自治体で異なる場合があるため、福祉課や子育て課などの担当部署に問い合わせましょう。

宣伝広告活動と園児募集を行う

保育事業開業の届出や許可の申請を受理されたら、宣伝広告活動と園児募集を行います。保育園の存在を知ってもらうために、オフラインとオンラインで展開してください。Webサイトに入園の費用や手続きについて情報を掲載しておくと、保護者の手続きが円滑に進みやすくなります。

特にオンラインで宣伝広告活動と園児募集を展開すると、幅広いネットユーザーへ向けて保育園の魅力をアピールできます。保育園の理念から施設風景、園長とスタッフ紹介などの情報を発信しましょう。

なお保育園経営にも活用できる宣伝広告のポイントを解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

保育園の開業資金と節約方法

保育園の開業資金と節約方法

流れに沿って開業準備をスムーズに進めるために、保育園の開業資金と節約方法を解説します。開業資金の相場や内訳を把握したうえで、必要な開業資金を調達しましょう。

開業資金の相場

保育園の開業資金の相場は、1,000万〜1,500万円程度(20坪程度の賃貸物件と園児数20名程度の認可外保育園)です。保育園の規模が大きくなるほど開業資金がさらに必要になり、土地を購入して建物を新築する場合には数千万円かかるケースもあります。

開業資金の内訳

20坪程度の賃貸物件(賃料40万円)と園児数20名程度(3歳児以上で保育士3名)の認可外保育園を想定して、開業資金の内訳を試算しました。下の表にまとめましたので、ご覧ください。

内訳割合相場
物件取得費10%程度100万~200万円程度
内装工事費10%程度100万~200万円程度
設備費15%程度100万~200万円程度
備品・消耗品費10%程度50万~100万円程度
広告費(宣伝と採用)5%程度30万~50万円程度
運転資金
(賃料月40万円と人件費月75万円、
水道光熱費月5万円などの固定費)
50%程度
固定費の6か月分程度
720万円程度
合計100%1,000万~1,500万円程度

保育園開業資金の50%程度を運転資金が占めて、残り30%程度を保育施設費(物件や工事、設備)と20%程度を備品・消耗品・広告費が占めています。

保育園には給食施設を工事したり、園児用の椅子や机を配置したりするため、工事費や備品費がかかります。また園児の定員や保育サービスによって、計上される費用の種類と金額は変動します。

開業資金の節約方法

保育園開業費用を節約方法として、まず経費(人件費や広告費、消耗品費など)正確に計算してください。最低限必要な経費を確定して、無駄なコストを省く必要があります。

また開設してからも「備品が過剰にストックされていないか」「光熱費の無駄遣いがないか」などと、日々の保育園運営を点検しましょう。

さらに保育士が定着しなければ採用コストが膨らみますので、離職率の低い職場環境を整備する必要もあります。研修や相談の機会を提供して、離職率低下を図ってください。

保育園開業に失敗しないための注意点

保育園開業に失敗しないための注意点

最後に保育園の開業に失敗しないための注意点を3点に整理してご紹介します。事前に対策したうえで、開業準備を進めましょう。

保育園のビジネスモデルを理解する

まずは保育園のビジネスモデルを理解しましょう。認可外保育施設は保育料で運営されていますが、認可保育園は国や自治体からの補助金や助成金が主な収入源となります。つまり他業界とは異なり、顧客からの売上で利益を生み出すビジネスモデルではありません

保育業界のビジネスモデルを理解したうえで、補助金や助成金を活用する必要があります。例えば「保育所等整備交付金」では、経費の一部(保育園の新設や修理など)が補助されます。

参考:関東信越厚生局「保育所等整備交付金について」

また自治体によっては物件賃料の一部を補助する制度がありますので、ご確認ください。

参考:横浜市「横浜市民間保育所賃借料補助事業」

保育園の内装デザイン・工事の実績がある業者を選ぶ

次に内装業者を選ぶときに、保育園の内装デザイン・工事の実績がある業者を選んでください。安全性や創造性を重視した内装デザインが求められるからです。国や自治体が定める施設基準を満たす必要があり、スキルやノウハウが求められます。

また実績が豊富な業者に依頼したあとは、定期的に工事の進捗を確認してください。信頼関係が深まれば、トラブル防止につながります。

保育園開業のコンサルティングを受ける

保育園開業準備にはさまざまな工程があり、経営者だけで全てをこなせない場合があります。開業準備に行き詰まった際は、専門家から保育園開業のコンサルティングを受けてください。工程ごとに適切なアドバイスがもらえるからです。

コンサルティング会社だけではなく、コンセプト設計や宣伝広告などのノウハウを提供できる内装業者も存在します。業者選びの段階で対応できる業務範囲を確認して、部分的ではなくなるべく工程全般をサポートしてくれる業者に依頼しましょう。

計画的に保育園の開業準備を進めよう!

計画的に保育園の開業準備を進めよう!

保育園の開業準備は幅広いため、資金調達や届出・許可などに不備があると開業に間に合わなくなります。開業準備に不安な場合はコンサルティングを受けながら、計画的に保育園の開業準備を進めましょう。

IDEALは保育園を含む店舗・施設のコンセプト設計から物件探し、内外装のデザイン・工事、資金調達、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

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監修者

IDEAL編集部

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