本記事で、店舗を開業する流れと…
2022.07.28 2022.09.19|新規開業ノウハウ
スーパーマーケット開業に必要な資格と費用!開業の流れと業界の動向も紹介
「スーパーマーケット開業に必要な資格はある?」「開業費用がいくら必要かを知りたい!」とお悩みではありませんか?競合店との差別化を図るためには、顧客ニーズに応える経営戦略が重要です。
そこで今回は、スーパーマーケット開業に必要な資格と費用について解説します。開業の流れや業界の動向についてもご紹介しますので、スーパーマーケットの開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方はぜひご覧ください。
目次
スーパーマーケットを開業する流れ
まずスーパーマーケットを開業する流れを確認しましょう。開業準備をスムーズに進めるためには、事前に綿密な計画を立案することが重要です。1年ほど前から、開業する店舗の経営戦略を立て始めてください。
事業計画書の作成
スーパーマーケット開業準備は、事業計画書の作成から始まります。経営戦略を明確にして、スムーズに事業を進めるためです。記載内容は、創業の目的や店舗のコンセプトなどです。
開業前の資金調達や開業後の経営改善などにも用いられるため、店舗の経営方針や収支計画などを明確にする必要があります。スーパーマーケットなどの販売店にも活用できる「事業計画書の書き方」について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
開業資金の調達
事業計画書を活用しながら、開業資金を調達しましょう。後ほど解説するとおり、開業準備にかかる資金は安くありません。自己資金だけで開業資金を確保できない場合には、出資や融資、借入、補助金・助成金などを検討しなくてはなりません。
店舗の開業資金を調達する方法について下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。
店舗の物件探し
開業資金調達と並行して、店舗の物件探しを行いましょう。立地や賃料などの条件は、集客と売上を左右します。希望条件に優先順位を付けておくと、候補となる物件を絞りやすくなります。
なお店舗物件の探し方について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
店舗内外装のデザイン・工事
物件を契約できたら、店舗内外装のデザイン・工事を業者へ依頼します。内外装は、スーパーマーケットのコンセプトを表現する重要な要素です。ターゲット層へアピールできるように、業者に希望条件を伝えましょう。
店舗内外装デザインや工事費用について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
商品仕入れ先との契約
内外装工事前後に、商品仕入れ先との契約を結んでおきましょう。仕入れ先を選定するときには、原価率を基準に判断していきます。特定業者と長期契約して信頼関係を構築することが重要です。
ただし原価率75%を超えて利益率30%以下にならないように、注意しましょう。注文や配達のコストを下げるためには、オンラインだけで経営している業者も検討してください。
備品・機器の購入
内外装工事が終わるまでに備品・機器の購入をして、搬入日を決めておきましょう。特にこだわりがない場合には、通販サイトで購入することも可能です。必要な備品・機器を時間をかけずに選定・注文できます。
また費用削減のためには、リース品や中古品の利用を検討してください。買い忘れや予算オーバーを防ぐためには、事前に必要な備品・機器をリストアップして予算化しておくことが重要です。
開業に必要な資格の取得
店舗の準備だけではなく、店舗内外装工事が終わるまでにはスーパーマーケット開業に必要な資格を確認しておきましょう。店舗の業態や規模によって、食品衛生管理者と防火管理者の資格が必須となります。
またスーパーマーケットの業態や業種によっては、販売士や運転免許などの資格が役立ちます。各資格の目的や取得方法について、後ほどご紹介します。
開業に必要な届出
開業に必要な資格を取得できたら、開業に必要な届出を行いましょう。スーパーマーケットの食品販売には食品関係営業許可が必要で、イートインスペースを設置するなら飲食店営業許可も求められます。
店舗内外装のデザイン段階から、営業許可申請について管轄の保健所に相談しておきましょう。営業許可の申請方法について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
従業員の採用活動
上記の開業準備と並行して、開業数か月前には従業員の採用活動を始めましょう。ハローワークやWebサイトに求人情報を掲載したり、知人に紹介してもらったりします。求めるスキルや職歴などの採用条件を洗い出しておくと、採用活動をスムーズに実行できます。
ただし採用活動には、時間も経費もかかります。掲載無料の求人媒体を活用したり、採用エージェントに相談したりしましょう。
開業前の集客活動
採用活動と同じく、開業前の集客活動も重要です。ポスティングや新聞折り込み広告などのオフライン広告だけではなく、WebサイトやSNSアカウントなどのオンライン広告もあります。
オフライン広告とオンライン広告を組み合わせた集客活動について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
オペレーションマニュアルの作成
採用した従業員の研修が始まる前に、オペレーションマニュアルの作成を完了してください。業務効率化を図るためには、接客や商品管理などのマニュアルが必要です。従業員がストレスなく安心して働けることにもつながります。
ただし経営状況や社会情勢に応じてマニュアルを見直して改善するようにしてください。経営戦略に不安がある場合には、経営コンサルタントや開業支援サービスなどに相談できます。
スーパーマーケット業界の動向
開業準備を始める前に、スーパーマーケット業界の動向を把握しておきましょう。開業前に動向を踏まえることで、必要な対策を講じながら経営戦略を立案できるからです。特に消費者ニーズに応えることが、経営者に求められます。
消費者ニーズの変化
スーパーマーケット経営は、消費者ニーズの変化に大きな影響を受けます。例えばコロナ禍により、非接触の決済や特定店舗でのまとめ買いが好まれるようになりました。また「巣ごもり需要」として、内食や時短調理が重視されるようになってきています。
参照:一般社団法人全国スーパーマーケット協会「スーパーマーケット白書2021年版第2章」(48と55ページ)
消費者の来店頻度を高めるためには、商品を充実させる必要があります。例えば品質の高いプライベートブランドを開発したり、ミールキットや冷凍食品を充実させたりする方法です。
人気の業態
上記ニーズを踏まえた人気の業態として、ITを活用したスーパーマーケット経営(セルフレジ導入やネットスーパー開設)やフランチャイズ加盟などが挙げられます。
セルフレジを導入すれば、混雑時でもスムーズに会計できるため、顧客満足度につながります。また経理ソフトと連携させられるため、従業員の負担軽減も期待できます。またネットスーパーを開設すれば、オンラインで24時間販売可能になります。実店舗の営業時間外にも売上を伸ばすことを期待できます。
一方でフランチャイズに加盟すれば、仕入れ先を探すコストが省かれたり、経営アドバイスや従業員研修などが提供されたりします。加えて独自ブランドが展開されているため、集客を期待できます。ただし加盟金の支払いや経営方針の遵守などが必要になる点にご注意ください。
業界全体の課題と解決策
スーパーマーケット業界全体の課題として、少子高齢化による顧客減少に直面しています。加えてドラッグストアやディスカウントストア、コンビニが食品や日用品を取り扱うようになったことで、競合販売店が増えていることも課題です。
参照:一般社団法人全国スーパーマーケット協会「スーパーマーケット白書2022年版」(68ページ)
解決策として、「個客」のニーズに合わせた品揃えと独自サービスが挙げられます。例えば1人世帯や高齢者へ向けて少量パック商品を販売したり、学生や会社員向けに惣菜コーナーを充実させたりする方法です。
さらに食品以外の魅力を提供することも、解決の糸口になります。例えばキャッシュレス決済やネット販売を提供したり、書籍コーナーやイートインスペースを設置したりしましょう。競合店との差別化を図り、店舗の独自性や付加価値をアピールする必要があります。
スーパーマーケットの開業費用
スーパーマーケット業界の動向を踏まえて立案した経営戦略を展開するためには、開業費用が必要です。工事や集客などの費用が足りなければ、思い描いている店舗を開業することが難しくなります。
開業費用の相場
スーパーマーケット開業費用の相場は、坪単価10-60万円程度(50坪なら500万‐3,000万円程度)です。店舗の規模や立地、業態などによって、開業費用は大きく変動します。例えば所有する住宅の一部を改装して小さな販売店を開く場合には、物件取得費がかかりません。
フランチャイズに加盟する場合には、上記の費用に加えて加盟金や保証金がかかります。ただし加盟金には研修や広報の経費などが含まれている場合があるため、フランチャイズ契約前に内訳を確認しておきましょう。
開業費用の内訳
スーパーマーケット開業費用には、さまざまな経費が含まれます。開業費用の内訳と各費用の目安を下の表にまとめました。なお50坪賃料50万円の物件にスーパーマーケットを開業する費用を試算しましたので、併せてご覧ください。
開業費用の内訳 | 各費用の目安 | 各費用の試算 (50坪賃料50万円の物件) |
物件取得費 | 費用全体の20%程度 (賃料2-12カ月分程度) | 100万‐600万円程度 |
内装工事費 | 費用全体の30%程度 (坪単価3-18万円程度) | 150万‐900万円程度 |
設備・備品費 | 費用全体の30%程度 (坪単価5-18万円程度) | 150万‐900万円程度 |
仕入れ費 | 費用全体の10%程度 (月間売上の40-70%程度) | 50万‐300万円程度 |
集客費 | 費用全体の5%程度 | 25万‐150万円程度 |
採用費 | 費用全体の5%程度 | 25万‐150万円程度 |
合計 | 費用全体の100% | 500万‐3,000万円程度 |
開業費用の中で、特に内装工事費と設備・備品費が大きな割合(全体の80%前後)を占めます。例えば大型スーパーにイートインスペースを設けると内装工事費が高くなりますので、正確に経費を計算しましょう。
なお物件取得費は、立地や規模などの条件によって変動します。また賃貸するか購入するかによって費用も契約方法も大きく異なりますので、ご注意ください。
費用節約の方法
上記のとおりに開業費用は安くありませんので、節約が必要です。例えば内装工事費や設備・備品費を節約する方法として、居抜き物件の契約や中古品・リース品の導入が挙げられます。居抜き物件について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
また仕入れ費を節約するためには、地域生産者との直接契約やフランチャイズへの加盟などが有効です。予算内に各費用を収められるように、節約方法を検討しましょう。
運転資金
開業資金の内訳に入れませんでしたが、スーパーマーケットを開業してから経営を回すためには、運転資金が必要です。運転資金の相場は、月に賃料7カ月分程度(賃料50万円なら350万程度)が必要になります。具体的な経費として、人件費や賃料、仕入れ費、水道光熱費などが含まれています。
運転資金は店舗の規模や業態により幅があります。例えばオーガニック食材を扱うスーパーマーケットなら、一般食材に比べて仕入れ費が高くなります。フランチャイズに加盟するなら、ロイヤリティの支払いも発生します。
なおスーパーマーケット経営にも活用できる開業費用の計算・調達方法について下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてぜひご覧ください。
スーパーマーケット開業に必要な資格
開業費用を調達できても、行政から営業を許可されなければスーパーマーケットを開業できません。店舗の業態や規模によって必要になる資格が異なります。また経営に役立つ資格も確認して、取得をご検討ください。
食品衛生責任者
食品を取り扱う店舗に食品衛生責任者を設置することが、食品衛生法によって定められています。異物混入や食中毒などを防ぐために、食品を安全に管理しなければなりません。食品衛生責任者の資格を取得するためには、都道府県が主催する講習会を受講する必要があります。
講習会受講に丸1日かかるため、スケジュールに余裕をもって申し込みましょう。食品衛生責任者資格の取得方法について下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。
防火管理者
スーパーマーケットには不特定多数の顧客や業者、従業員が出入りします。収容人数30人以上の店舗には、防火管理者を設置することが消防法によって義務づけられています。店舗の管理者や監督者が防火管理者の資格を取得しなければなりません。
防火管理者の資格には甲種と乙種があり、資格取得の講習会には2日間かかります。下の記事に防火管理者資格の取得方法についてまとめてありますので、併せてご確認ください。
販売士
販売士は、日本商工会議所の認定する資格です。接客や商品取扱、店舗管理、経営方法などの知識を得られます。スーパーマーケット開業に必須ではありませんが、店舗経営に役立てることができます。
販売士の資格はレベル分けされており、3級は販売員向け、2級は管理者向け、1級は経営者向けです。受験するためには、商工会議所の編集するハンドブックで独学したり、指定の講習会を受講したりすることが推奨されています。
なお資格は5年ごとの更新が必要ですので、ご注意ください。
自動車免許
自動車免許もスーパーマーケット開業に必須ではありません、仕入れ先から店舗へ商品を配達したり、消費者へ商品を配達したりする場合に必要になります。もちろん雇用する従業員ではなく、外部業者へ配達業務を委託することもできます。
仕入れに使用される車は、載積量の大きいトラックです。積載量によって必要な運転免許の種類が異なるため、従業員に配達をさせる場合には事前に確認しておきましょう。
消費者ニーズに応えるスーパーマーケットを開業しよう!
ライフスタイルの変化によって集客と売上が左右されるスーパーマーケット。消費者個々のニーズに応えられるスーパーマーケットを開業できるように、店舗や資格、資金調達などの準備を進めましょう。
IDEALはスーパーマーケットを始めとする店舗のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内装のデザイン・工事、集客までをワンストップソリューションとしてご提供しております。
店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。
監修者
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IDEAL編集部
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