2024.09.23  2024.08.15|新規開業ノウハウ

小児科クリニックの開業資金はいくら?年収や開業の失敗・ポイント・事例も紹介

小児科クリニックの開業資金はいくら?年収や開業の失敗・ポイント・事例も紹介

本記事で、小児科クリニックの開業資金を解説します。また開業医の年収や開業に失敗する原因、失敗しないためのポイント、事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

小児科クリニック開業の基本情報

小児科クリニック開業の基本情報

小児科クリニックの開業準備を計画する前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、計画を進めやすいからです。それでは小児科クリニックの主なサービスと医師の不足、開業医の年収、失敗する原因をご紹介します。

主なサービス

まず小児科クリニックの主なサービスは、子どもと保護者に対する医療サービス(検査や診察、治療、予防接種、健康相談など)の提供です。小児科クリニックでは対応できない治療や検査が必要なときには、地域の総合病院に紹介します。

小児科クリニックの小児科医は、子どもの健やかな成長をサポートするホームドクターです。一般的な小児科クリニックでは、乳幼児期から学齢期(小中高等学校)の子どもを対象にしています。

参照元:

愛知県小児科医会「小児科医は子どもの代弁者(アドボカシー)」

高輪マリンこどもクリニック「小児科は何歳まで」

小児科医は不足している?

次に小児科クリニックの小児科医は、全国的に不足しています。国や地方自治体により、小児科医不足の解消策が講じられています。

参照元:厚生労働省「地域枠及び産科・小児科における医師確保計画について」(2ページ)

例えば福島市では休日の当番医が不足しているため、休日のリモート診療が東京の小児科クリニックに依頼されています。茨城県潮来市では、不足している小児科や産婦人科、循環器科のクリニックの開設に対する助成金制度が運営されています。

参照元:

NHK「福島市 小児科で休日の当番医 一部不足をリモート診療に」

朝日新聞「診療所を開設で、市が最大9千万円助成 小児科などの医師不足深刻」

開業医の年収はいくら(儲かる)?

それから小児科クリニック開業医の年収は、以下の資料によると1,700万円程度(2022年度)です。医療法人に雇用されている小児科医と比べて、小児科クリニックの開業医のほうが儲かっています。

参照元:健康保険組合連合会「第24回医療経済実態調査結果報告に関する分析」(34-35ページ)

また以下の資料によると、小児科クリニック開業医の年収は4,500万円程度(2023年度)です。ただし本調査の年収には、内部留保(建物や設備の修繕費など)も含まれています。

参照元:中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」(149ページ)

失敗する原因

そして小児科クリニックの開業に失敗する原因は、曖昧な経営方針や不適切な立地・集患方法、資金・従業員の不足などです。経営方針が曖昧では、ターゲット層に適した立地や集患方法を選べません。

資金・従業員が不足すると、質の高い医療サービスを提供できなくなり、小児科クリニックの経営が安定しません。小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントについて、次にご紹介します。

小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイント

小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイント

基本情報だけではなく、小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントも確認しましょう。8点(コンセプト・事業計画書と開業資金、物件、医療設備・機器・什器、DX、資格・免許・届出・許可、採用・研修、集患活動)をご紹介します。

コンセプトの設計と事業計画書の作成

まずコンセプトの設計と事業計画書の作成が、小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントとして挙げられます。コンセプトは小児科クリニック経営の基本方針であり、競合クリニックとの差別化や事業計画書の作成に必要です。

設計したコンセプトに基づいて、事業計画書を作成しましょう。事業計画書は、開業資金の調達や経営の評価・改善などに必要です。小児科クリニックにも活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業資金の調達

次に開業資金の調達も、小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントです。開業前の初期投資(物件取得費や設備・機器・什器工事費など)や開業後の運転資金(人件費や光熱水道費など)が足りない場合には、開業資金の調達方法を検討しましょう。

開業資金の調達方法には、出資や借入、融資、補助金・助成金などがあります。小児科クリニックにも活用できる開業資金を調達する際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

物件の選定とデザイン・工事

それから物件の選定とデザイン・工事も、小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントです。物件はコンセプトを実現させる手段であり、立地や集客に影響を与えます。希望条件を整理したうえで、物件を選定しましょう。

小児科クリニックの外観・内装デザインは、患者の満足度や従業員の業務効率を左右するため、集客と売上に影響します。小児科クリニックにも活用できる外観・内装デザインのポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

医療設備・機器と什器の手配

続いて医療設備・機器と什器の手配も、小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントです。提供する医療サービスに応じて、検査や診察、治療に必要な医療設備・機器を手配しましょう。

医療設備・機器だけではなく、什器(受付カウンターや待合用のソファなど)も必要です。小児科クリニックにも活用できる什器の分類や入手方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

DXの推進

またDXの推進も、小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントです。業務効率化や競争力強化などのために、DX(デジタル技術によるクリニック経営の仕組みやサービスなどの変革)を推進しましょう。

DXの方法には、オンライン予約システムやデジタルサイネージ、キャッシュレス決済システム、営業分析システムなどがあります。小児科クリニックにも活用できるDXを進める流れとポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

資格・免許の取得と届出・許可の申請 

さらに資格・免許の取得と届出・許可の申請も、小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントです。資格・免許・届出・許可ごとに申請条件が異なりますので、計画的に準備を進めましょう。

  • 医師免許
  • 医療経営に関する資格(医療経営士や病院経営管理士など)
  • クリニックの開設届
  • 保険医療機関指定の申請(保険診療に対応する場合)
  • 税務に関する手続き(個人事業主の開業届または法人の設立届など)
  • 防火管理者選任届・防火対象設備使用開始届(該当する物件の場合)
  • 社会保険や労働保険の加入手続き(従業員を雇用する場合)

参照元:

厚生労働省「資格申請案内」

一般社団法人日本医療経営実践協会「医療経営士資格認定試験」

一般社団法人日本病院会の「病院経営管理士通信教育」

東京都保健医療局「診療所・歯科診療所の開設等」

厚生労働省「保険医療機関・保険薬局の指定申請」

国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」

日本年金機構「事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」

厚生労働省「労働保険の成立手続」

従業員の採用・研修

そして従業員の採用・研修も、小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントです。質の高い医療サービスを提供するために、医療事務員や看護師などの従業員を採用します。職種や人数、人物像などを明確にしたうえで、採用活動を展開しましょう。

従業員の採用から小児科クリニック開業日までの間には、接遇や診療などに関する研修も計画します。小児科クリニックにも活用できる人材採用のコツや研修の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

集患活動の計画

なお集患活動の計画も、小児科クリニックの開業に失敗しないためのポイントです。集患活動には、オンライン(SNSやWebサイトなど)とオフライン(ポスティングや看板広告など)の方法があります。

ターゲット層に応じて、適した集患活動の方法を検討しましょう。小児科クリニックの集患活動にも活用できる事例やアイデアなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

小児科クリニックの開業事例

ポイントを押さえて小児科クリニックを開業できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(地域密着と復興支援、年中無休、病児保育施設併設、夜間診療)をご紹介します。

地域密着の小児科クリニック

地域密着の小児科クリニック

まず「20条小児科内科クリニック」は、地域密着の小児科クリニックです。先代の院長である父親の思い(地域に根差したホームドクター)を受け継いで、現在の院長がリニューアルオープンしました。

小さな子どもから大人まで安心して来院できるように、充実した医療サービスの提供を心がけています。院長の妻である児童発達支援が子育ての悩み相談に応じている小児科クリニックです。

参照元:

20条小児科内科クリニック「当院について」

十勝毎日新聞「20条小児科クリニック、15日リニューアル開院」

復興を支援する小児科クリニック

復興を支援する小児科クリニック

次に「はらまちスマイルクリニック」は、復興を支援する小児科クリニックです。地域住民が気軽に来院できるように、東日本大震災後に全ての小児科クリニックが閉院した地区に、小児科クリニックを開院しました。

「地区の子どもたちの力になる」という理念に基づいて、子どもの病気や発達、離乳食などに対応し、子どもの家族にも診療を提供しています。病児・病後児保育も提供している小児科クリニックです。

参照元:

はらまちスマイルクリニック「当院の特徴」

福島民報「【今を生きる】復興に医療で貢献 福島県南相馬市の医師、小児科診療所を開業へ」

年中無休の小児科クリニック

年中無休の小児科クリニック

それから「キャップスクリニック川越」は、年中無休で営業している小児科クリニックです。地域に根差した利便性の高い小児科クリニックを目指して、365日の早朝から夜間まで、診療を提供しています。

平日の来院が難しい患者と家族に対応できるように、土日祝の予防接種や健康診断を提供しています。利便性向上と業務効率化のために、クラウドの電子カルテやインターネットによる予約受付・問診を活用している小児科クリニックです。

参照元:

キャップスクリニック「ミッション・ビジョン」

PR TIMES「365日年中無休の小児科クリニック『キャップスクリニック川越』を2024年3月10日(日)に開院予定」

病児保育施設併設の小児科クリニック

病児保育施設併設の小児科クリニック

続いて「那珂キッズクリニック小児科」は、病児保育施設が併設されている小児科クリニックです。小児科クリニックの2階と隣に病児保育施設が併設されており、乳幼児が利用できます。

感染症の子どもの場合には、隔離室にて預かる病児保育施設です。小児科クリニックの院長は、病児保育施設だけではなく、子どもの成長や地域のために認可保育園も経営しています。

参照元:

那珂キッズクリニック小児科「しろやぎさんニュース」

CBnews「理事長・院長の想いをスウェーデンハウスがサポート」

夜間診療に対応する小児科クリニック

夜間診療に対応する小児科クリニック

そして「ドクターカミング」は、夜間診療に対応する小児科クリニックです。小児科医が不足している那覇市内において、複数の小児科医や看護師を配置して、午後から夜間に外来患者を受け付けています。

子どもの急な体調不良や働き世代の保護者に対応できるように、休診日や土日祝日などには往診サービスも提供しています。子どもと保護者に寄り添った医療サービスを心がけている小児科クリニックです。

参照元:

ドクターカミング「Dr.coming 沖縄那覇」

琉球新報「小児科の『夜間診療』始動、往診も 39歳の院長、2人の子育てに追われながらも『患者に寄り添う』 沖縄・那覇」

小児科クリニックの開業資金

小児科クリニックの開業資金

事例のような小児科クリニックを開業するためには、資金が必要です。そこで小児科クリニックの開業資金の相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、開業資金の節約法も確認しましょう。

相場

まず小児科クリニックの開業資金の相場は、坪単価100万〜250万円程度です。例えば20坪で賃料月20万円の物件を賃借するなら、2,000万〜5,000万円程度の開業資金がかかります。ただし物件の立地や規模、種類(居抜きかスケルトン)、医療設備・機器・什器の台数などによって、開業資金は変動します。

内訳

次に小児科クリニック開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、20坪で賃料月20万円の物件にかかる開業資金を試算してあります。

内訳目安試算
物件取得費
(敷金・礼金・前賃料など)
全体5%程度
(賃料5〜12ヶ月程度)
100万〜250万円程度
(賃料月20万円で
20坪の物件)
デザイン・工事費
(内装や外観、医療設備・
機器・什器など)
全体の80%程度
(坪単価80万〜200万円程度)
1,600万〜4,000万円程度
諸経費
(開業前の資格・免許・
届出・許可、採用・
研修、集患など)
全体の10%程度200万〜500万円程度
運転資金
(開業後の光熱水道費や
賃料、人件費など)
全体の5%程度
(賃料5〜12ヶ月程度)
100万〜250万円程度
合計100%
(坪単価100万〜250万円程度)
2,000万〜5,000万円程度

上表のとおりに、小児科クリニックの開業資金においては、デザイン・工事費が大半を占めます。つまりクリニックの内装や外観、医療設備・機器・什器などにこだわるほど、開業資金が増額するわけです。

節約法

そして小児科クリニック開業資金の節約法には、相見積もりや居抜き物件、補助金・助成金などがあります。相見積もりを取って、各業者の見積もり(工事の費用や期間など)を比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。

居抜き物件を契約して、小児科クリニックの外観や内装、医療設備・機器、什器などを譲渡してもらえれば、デザイン・工事費を削減できます。ただし居抜き物件にはデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧ください。

補助金・助成金の申請が通れば、基本的に返済義務のない資金を獲得できます。例えば我孫子市や明石市では、小児科クリニック開業の補助金・助成金が運営されています。ただし補助金・助成金ごとに申請条件が異なりますので、ご注意ください。

参照元:

我孫子市「我孫子市小児科診療所開業促進事業補助金」

明石市「小児科診療所開設費用助成金」

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監修者

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