本記事で、飲食店の平均売上と管…
2022.08.30 2022.09.10|店舗運営ノウハウ
セントラルキッチンとは?メリットやデザイン、工事費用、営業許可
本記事で、セントラルキッチンの目的や仕組み、設備について解説します。メリット・デメリットやデザインするポイント、工事する費用、営業許可についてもご紹介します。
「セントラルキッチンを導入するメリットはある?」「内装デザインのポイントを知りたい!」とお悩みではありませんか?セントラルキッチンの導入を検討している方は、ぜひご覧ください。
目次
セントラルキッチンとは?
セントラルキッチンとは、「複数の場所で提供される同じ食品」の仕込み・調理が行われる厨房施設です。導入に値するかを検討できるように、目的や仕組み、設備を把握しておきましょう。
目的
セントラルキッチンの目的は、調理工程を一か所にまとめることで、材料調達費や人件費などのコスト削減を図ることです。
例えば複数店舗を展開する飲食店チェーンにセントラルキッチンを導入した場合、各店舗に下処理や調理の済んだ食材が配送されます。各店舗で加熱や盛り付けのみで顧客にメニューを提供できるようになるため、調理技術の高い従業員を採用するコストを削減できます。
また学校や病院で提供される給食が、セントラルキッチンで調理されることもあります。調理された食品を保存できる設備と配送方法を整えることで、安全かつ時間通りに提供することが可能です。
仕組み
セントラルキッチンの仕組みは、調理工程のマニュアル化と調理技術のある従業員の配置で成り立っています。セントラルキッチンから「仕込みや調理をした食品」が配送されると、各店舗内では簡単な調理・盛り付け作業のみでメニューを提供できるので、業務効率化が図られます。
したがってセントラルキッチンを導入する前提条件として、配送できる範囲内に複数の店舗が展開されていることが必要です。加えて鮮度を保ちやすく配送に向いている食品を取り扱うことも条件となります。例えばパンやカレー、麺類、冷凍可能なデザート類などが挙げられます。
なお自社でセントラルキッチンを運営できますが、OEMを活用して運営を委託することも可能です。セントラルキッチンを運営するノウハウや人材を確保できない場合は、選択肢のひとつとしてOEMを検討してください。
なおキッチン施設を所有・賃貸するのではなく、間借りして調理や仕込みを行う仕組みもあります。下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
設備
セントラルキッチンの設備は、扱う原材料や調理法などによって異なります。基本的な設備として、冷蔵庫や冷凍庫、シンク、ガスコンロ、フライヤー、オーブン、調理台、配送用に真空包装機や急速冷凍機などが挙げられます。
またセントラルキッチンから各店舗への配送を前提としているため、原材料や製造した食品を保管するための冷蔵・冷凍ストッカーも必要です。セントラルキッチンの面積が足らない場合にはプレハブ型の冷蔵・冷凍庫を準備したり、外部倉庫のレンタルを契約したりしなければなりません。
なお配送コストを減らすためには、実店舗の経営ではなく、キッチンから顧客へデリバリーするゴーストレストランを経営する方法があります。下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
セントラルキッチンのメリット
セントラルキッチンにはさまざまなメリットがあります。主なメリットをご紹介しますので、メリットを活かしたセントラルキッチンをデザインして売上に繋げましょう。
品質を安定させられる
まずメニューの品質を安定させられるメリットがあります。同じ看板を掲げる店舗で同じ味を提供できると、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。
複数の飲食店を展開して各店舗で仕込みと調理を行う場合には、マニュアル化を図っていても各店舗ごとに品質に微妙な変化が生まれやすくなります。
なおレシピが外部に流出するリスクを低減できます。独自開発のレシピを各店舗と共有する必要がなくなるからです。
コストを削減できる
次に、コストを削減できるというメリットもあります。原材料調達や仕込み・調理には、配達料や人件費などのコストがかかりますが、セントラルキッチンに業務を集中させることで各店舗にかかるコストを減らせます。
例えば大量に発注してセントラルキッチンへ配送してもらうことで、配送料を減らしながら原材料を安く仕入れることが可能です。また仕込みや調理に必要な設備・機器を各店舗に揃えるコストも減らせます。
さらに各店舗の業務がマニュアル化されると、調理技術の高い従業員を減らして店舗を経営できるようになり、採用や研修にかかるコストも削減できます。
衛生管理しやすい
またセントラルキッチンには、衛生管理しやすいというメリットもあります。セントラルキッチンには仕込みや調理の業務が1か所に集約されるため、原材料の保存や調理工程のチェックなどを管理・指導しやすくなります。
一般的な飲食店チェーンにおいては、1つの店舗で食中毒が発生した場合には、他の店舗への集客にも悪影響が出ます。店舗を拡大するために人材の教育や業務のマニュアル化が必要になりますが、衛生管理の徹底は簡単ではありません。
ただしセントラルキッチン内で食中毒や在庫切れなどのトラブルが発生すると、各店舗の営業が中断されますので、ご注意ください。
店舗を拡大しやすい
さらなるメリットは、店舗を拡大しやすい点です。セントラルキッチンを運営することで、各店舗に大きな厨房施設が不要になるため、小さな物件でも開業できるからです。賃料が高いエリアでも、資金を抑えて店舗を経営できます。
また店舗における簡単な調理や盛り付けの業務をマニュアル化することで、人材育成が容易になります。さらに「そうざい製造業」などの営業許可を取得すれば、通信販売や店舗販売用の商品を製造して、売上を伸ばすことも可能です。
セントラルキッチンのデメリット
セントラルキッチンを導入するメリットと共に、デメリットも把握しましょう。導入前に対策することで、トラブルやリスクを回避するためです。
初期費用がかかる
まずセントラルキッチンを導入するには、初期費用がかかります。物件取得費に加えて、複数店舗のメニューを調理する厨房の設備費や配送するための運搬車の購入費・配送スタッフの人件費(または配送サービスの委託料)などが必要です。
初期費用を削減するためには、セントラルキッチンに適した物件を探すことがポイントです。セントラルキッチンの居抜き物件を探す方法もありますので、下の記事も併せてご覧ください。
運転資金もかかる
次に、賃料に加えて、設備維持費や光熱水道費などの運転資金もかかります。メニューの種類や調理する量によりますが、厨房設備・機器を集約するため、セントラルキッチンは大きくなりがちだからです。
コスト削減というメリットを最大限に活かすためには、セントラルキッチンから配送できる範囲内に、一定量の食品を消費できる店舗数の経営が必要です。食品ロスを減らすために、各店舗で消費できる量を正確に計算して、調達する原材料と製造する食品の数量を計画しましょう。
なお飲食店のコスト削減に活用できる情報をまとめてありますので、下の記事も併せてご覧ください。
配送料もかかる
さらにセントラルキッチンから各店舗への配送が前提条件となるため、配送料もかかります。また配送する間に食品の質を保つために、食品加工設備(真空包装機や急速冷凍機など)の購入費も必要です。
配送料を抑えるためには、食品専門の配送業者との提携を検討してください。自社で配送スタッフを採用して配送車を維持するよりも、配送料を抑えられる場合があります。また食品加工設備の購入費を抑えるためには、中古品やリース品の利用を検討しましょう。
マニュアル化を歓迎されない
なおマニュアル化を歓迎されない点も、デメリットとして想定されます。セントラルキッチンでは調理工程がマニュアル化されることで、食品の品質が一定に保たれます。一方で自らの技術を活かすことができない場合には、調理師としてセントラルキッチンで働く意義を感じられません。
しかし仕込みや調理のコストを削減できれば、新たなメニュー開発に時間を使えたり、休日を取得しやすくなったりします。セントラルキッチンのメリットを説明することで、従業員の合意を得ながらモチベーションを向上させましょう。
セントラルキッチンをデザインするポイント
セントラルキッチンのメリットを活かしてデメリットを対策できるように、デザインするポイントをご紹介します。開業してからスムーズに営業を開始して、無駄な改装費を支出しないようにしましょう。
導入する厨房設備・機器・什器を厳選する
まずセントラルキッチンに導入する厨房設備・機器・什器を厳選してください。要となる設備には予算をかけたいですが、全ての設備を新品で揃えると一千万以上かかる可能性があります。加えて賃料や光熱水道費などの運転資金もかかるため、経営が圧迫されかねません。
経営が安定して利益を蓄積してからの追加購入が可能です。厨房設備・機器・什器の選び方や費用について下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。
耐火性や防水性のある内装材を選ぶ
次に、セントラルキッチンには耐火性や防水性のある内装材を選ぶことが重要です。タイルなどの合わない内装材を選んでしまうと、油汚れのために滑ったり、熱による劣化が起こったりするからです。
例えば消毒薬品に強い内装材を選ぶと、掃除をしやすく衛生的に保ちやすくなります。また床には凸凹が少なく歩きやすい床材を選ぶと、疲労軽減や作業効率安定を期待できます。さらにフライヤーやコンロなどの火を扱う場所に耐火性に優れた壁材を使用することで、熱による劣化や破損を防ぎやすくなります。
安全で衛生的にレイアウトする
またセントラルキッチンに適した内装材を選ぶことに加えて、内装や設備を安全で衛生的にレイアウトする必要もあります。食品の安全を保つことはもちろん、働きやすいキッチンをデザインすることで、従業員の作業効率や安全性の担保も可能です。
例えばステンレス製や脚の高さ30㎝以上の厨房設備を選ぶと、掃除がしやすくなり、清潔さを保ちやすくなります。また「身長÷2+5㎝」程度の作業台が使いやすいため、従業員の働く様子を想定して、別売りの脚やレンガなどで調節することを検討しましょう。
生産性を高める動線を設計する
さらに生産性を高める動線を設計してください。セントラルキッチンでは、鮮度を保ちながら複数店舗に配送される食品を大量に調理しなくてはならないためです。
例えば調理工程(洗浄や加熱加熱、冷凍処理など)ごとに厨房設備を区画して、汚染が広がらないようにデザインしてください。またセントラルキッチンで働く従業員数を想定して、通路幅を可能な限り広めに取りましょう。従業員がすれ違える広さを確保することに加えて、冷蔵庫の扉を開けても作業に支障がないようにするためです。
他にも原材料運搬のために間口を広めに取ったり、段差をなくしてスロープを付けたりする方法があります。セントラルキッチンを含む物件の探し方について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
セントラルキッチンを工事する費用
デザインするポイントを押さえたら、セントラルキッチンを工事する費用についても確認しておきましょう。セントラルキッチン工事費用の相場は坪単価15万‐50万円程度で、物件の種類(スケルトンか居抜きか)によって変動します。
スケルトン物件の工事費用は、坪単価30-50万円程度です。10坪の小さなキッチンを工事するなら、300万‐500万円かかります。ただし厨房設備・機器・什器の購入費は含まれていませんので、ご注意ください。
居抜き物件の工事費用は、坪単価15万‐30万円程度です。初期費用を抑える方法として活用できます。ただしガス・電気の容量や水道設備の位置などを事前に確認してください。設備を大きく変更しなければならない場合には、追加費用がかかるからです。
セントラルキッチンは通常の飲食店の厨房施設と異なるため、予算内に収まるように見積もりを立ててください。飲食店の内装工事について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
セントラルキッチンの営業許可
セントラルキッチンを開業するために、仕込みや調理をする食品に応じて必要とされる営業許可を取得してください。許可なく営業した場合には商品回収を求められたり、法的に罰せられたりするため、飲食店経営に多大な影響を及ぼす危険性があります。
営業許可の種類や必要となる設備は、業種や業態によって異なります。また申請するための書類や料金は、管轄する自治体によって異なります。セントラルキッチンをデザインする段階で設計図などを持参して、管轄の保健所に相談してください。
例えば主にカレーを提供する店舗にセントラルキッチンを導入して通信販売を検討する場合には、「そうざい製造業」や「食品の冷凍業又は冷蔵業」などの営業許可が必要になります。
なお営業許可には食品衛生責任者の設置が義務づけられています。食品衛生責任者と飲食店の営業許可について下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。
売上に貢献できるセントラルキッチンをデザインしよう!
セントラルキッチンにはさまざまなメリットがありますが、初期費用をかけすぎたり、コストの無駄を省けなければ、かえって経営を圧迫してしまいます。店舗の規模やコンセプトに基づいて、売上に貢献できるセントラルキッチンをデザインしましょう。
IDEALはセントラルキッチン等の飲食店や店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までをワンストップソリューションとしてご提供しております。
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監修者
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IDEAL編集部
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