2025.01.04  2024.11.27|店舗運営ノウハウ

パン屋の経営は厳しい?廃業率・年収・注意点・事例を紹介!

パン屋の経営は厳しい?廃業率・年収・注意点・事例を紹介!

本記事で「パン屋の経営は厳しい?」という疑問にお答えして、パン屋の廃業率・年収・注意点・事例などをご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

パン屋経営の基本情報

パン屋経営の基本情報

パン屋の経営を始める前に基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、パン屋の経営戦略を立てやすくなるからです。それではパン屋の廃業率と利益率、経営者の年収、業態を確認しましょう。

廃業率

まずパン屋の廃業率に関するデータは、Web上に掲載されていませんでした(2024年11月時点)以下のページによると、パン屋を経営する事業者の廃業数は年間30件ほどです。

2010年代にはパン屋の廃業数は年間15件前後で推移していましたが、2019年に30件ほどに増加(人手不足や消費増税の影響)しました。コロナ禍(2019~2022年)には減少しましたが、2023年に30件に増加(物価高の影響)しています。

参照元:

東京商工リサーチ「『パン屋さん』の倒産が急増し年度最多を更新 小麦価格の上昇などコストアップが痛手に」

PR TIMES「パン屋の倒産、過去最多 ― パン製造小売業者の倒産動向調査(2019年)」

利益率

次にパン屋の利益率は、10%前後です。以下の資料によると、菓子・パン小売業の売上高対営業利益率は7.4%(1999年)と報告されています。小売業全体の売上高対営業利益率(4.3%)よりも高い割合です。

参照元:中小企業庁「中小企業の経営指標(概要)~中小企業経営調査結果~」

ただし原材料費が高騰したり、経費の無駄が発生したりするほど、パン屋の利益率は下がります。パン屋経営における原価率の高騰やコストの削減方法などについては、後ほどご紹介します。

経営者の年収

それからパン屋経営者の年収に関するデータは、Web上に掲載されていませんでした。以下のデータを参考にすると、500万~1,000万円程度と推測されます。ただしパン屋の規模や店舗数、サービスなどによって、経営者の年収は変動します。

参照元:

KODATO「【中小企業1,314社の平均年俸を開示】社長の給料はいくら高くてもいいという勘違い①」

SMBC「【2023年最新版】リアルな支給データを調査 中小企業の役員報酬・賞与と退職金の相場」

例えば月間売上200万円で利益率20%のパン屋を1店舗経営できれば、経営者の年収は480万円程度です。

  • 月間売上200万×12ヵ月×1店舗×利益率20%=480万円

業態

そしてパン屋の業態は、経営主体によって個人店とフランチャイズ加盟店に分類されます。自由な方針で経営できる個人店に対して、フランチャイズ加盟店は本部のノウハウやブランド力を活用した経営が可能です。

パン屋の業態は、商品の仕入・製造の方法によって、仕入販売店と製造販売店にも分類されます。パン屋の仕入販売と製造販売についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

なぜパン屋の経営は難しいのか?理由を確認

なぜパン屋の経営は難しいのか?理由を確認

基本情報を踏まえたうえで、パン屋経営が難しい理由(なぜパン屋の経営は難しいのか?)も確認しましょう。6点(初期投資の高さと独自性の出しづらさ、同業種と異業種の競合店、仕込みのコスト、廃業率の高さ、原価率の高騰)をご紹介します。

初期投資の高さ

まず初期投資の高さが、パン屋経営が難しい理由として挙げられます。一般的な飲食店の厨房に比べて、パン屋の厨房には大型の厨房設備・機器(オーブンや発酵機、成形機、冷凍冷蔵庫など)が必要だからです。

自己資金だけで開業資金を確保できない場合には、融資や借入などの方法で資金を調達します。集客と売上を伸ばせず初期投資の回収が遅れるほど、赤字が続いて休業や廃業のリスクが高まってしまいます。

独自性の出しづらさ

次に独自性の出しづらさも、パン屋経営が難しい理由です。日本国内で人気のパンの種類(カレーパンやクロワッサン、あんぱん、メロンパン、食パンなど)は、各パン屋で販売されています。

参照元:マイナビニュース「『好きなパンの種類』人気ランキング2023、あの総菜パンが1位にランクイン」

パン屋を新規出店しても、独自性のあるパンの種類を仕入・製造できなければ、集客と売上をアップできないリスクがあります。そこで経営戦略の立案や資格・スキルの取得などについて、後ほどご紹介します。

同業種と異業種の競合店

それから同業種と異業種に競合店も、パン屋経営が難しい理由です。パンを仕入・製造して販売する店舗にはパン屋だけではなく、コンビニやスーパーマーケット、カフェ、ケーキ屋などもあります

したがって開業エリア内で営業している同業種や異業種の競合店が多いほど、集客と売上を伸ばすことが難しくなります。そこで経営戦略の立案や集客活動について、後ほどご紹介します。

仕込みのコスト

続いて仕込みの時間も、パン屋経営が難しい理由です。一般的な飲食店と比べて、パン製造には仕込みコスト(時間と手間)がかかります。昼前から営業を開始する場合には、早朝から仕込みを始めなければなりません

経営者一人で製造できるパンの量には限りがあるため従業員を雇用しても、パン製造業務の重労働に耐えられない場合には離職してしまいます。そこでDXの推進やコストの削減について、後ほどご紹介します。

廃棄率の高さ

さらに廃棄率の高さも、パン屋経営が難しい理由です。注文を受けてから調理を開始できる一般的な飲食店とは異なり、パン屋では顧客の来店前にパンを仕入・製造しますので廃棄率が高くなります。

廃棄率を減らすためにパンを仕入・製造する量を減らすと、販売機会の損失を招くリスクが高まります。そこで廃棄率の対策として、集客活動やコストの削減について、後ほどご紹介します。

原価率の高騰

そして原価率の高騰も、パン屋経営が難しい理由です。以下のページによると、食料品製造業界ではコロナ禍(2020~2022年)から原価率が高騰しているため、利益率を下げています。

参照元:ヤフーニュース!「22年原料高騰の深い爪痕 食品メーカー原価率、過去最悪の79%超に達していた」

利益率を確保するためには販売価格の値上げが必要ですが、値上げするほど集客数を減らすリスクが高まります。以下のページによると、半数のパン屋が値上げを判断できない状況です。

参照元:PR TIMES「【原材料の高騰の調査】パン屋さんへの原材料等の高騰の影響とその対応についての調査」

パン屋経営に失敗しないための注意点

パン屋経営に失敗しないための注意点

パン屋経営が難しい理由を把握したうえで、パン屋経営に失敗しないための注意点に気をつけましょう。6点(資金の調達と事業計画書・マーケティング、資格・スキルの取得、DXの推進、集客、コストの削減)をご紹介します。

資金の調達

まず資金の調達が、パン屋経営に失敗しないための注意点として挙げられます。自己資金だけで開業資金や運転資金が不足する場合には、資金の調達方法(出資や借入、融資、補助金・助成金)を検討しましょう。

例えば補助金・助成金の種類によって、用途(設備投資や人材育成など)が異なります。店舗の開業・経営に活用できる補助金・助成金の種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

事業計画書・マーケティング

次に経営戦略の立案も、パン屋経営に失敗しないための注意点です。事業計画書は、資金の調達や経営戦略の説明、経営の評価・改善などに活用されます。パン屋にも活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

事業計画書に基づいてパン屋の集客と売上を安定させるためには、マーケティング(市場調査から商品・サービスの企画・開発、営業、販売促進までの一連の仕組みづくり)を展開しましょう。

資格・スキルの取得

それから資格・スキルの取得も、パン屋経営に失敗しないための注意点です。提供する商品・サービスに応じて、必要な資格・スキルを取得しましょう。

  • パン製造技能士
  • 製菓衛生師
  • 調理師

参照元:

厚生労働省「パン製造技能士」

厚生労働省「製菓衛生師」

厚生労働省「調理師関係」

なおパン屋の開業には、食品衛生責任者(食品の製造・販売を行う営業施設において食品衛生管理業務を統括する役職)の資格が必須です。食品衛生責任者資格の取り方と有効期限をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

DXの推進

続いてDXの推進もパン屋経営に失敗しないための注意点です。以下のページによると、半数近いパン屋ではDX(デジタル技術による店舗経営の仕組みや商品・サービスなどの変革)が進んでいません。

参照元:PR TIMES「【パン白書】日本のパン業界、どれくらいDX化は進んでる?!『パン屋さんのITツール活用状況』に関する調査」

例えばパン屋経営に活用できるDXの方法には、オンライン販売システムやデジタルサイネージ、セルフオーダーシステム、キャッシュレス決済システム、店舗営業分析システム、店舗管理システムなどがあります

集客活動

さらに集客も、パン屋経営に失敗しないための注意点です。ターゲットする顧客層に応じてオンライン(SNSやMEOなど)とオフライン(看板広告やポスティングなど)の方法を組み合わせて、集客活動を展開しましょう。

例えばSNS集客を展開することで、店舗の知名度や商品・サービスの認知度などの向上につながります。パン屋経営にも活用できるSNS集客を展開するコツをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

コストの削減

そしてコストの削減も、パン屋経営に失敗しないための注意点です。国内外のパン屋で、パンの廃棄量を削減する取り組み(売れ残りパンの販売アプリ活用や加工食品製造など)が行われています。

参照元:

PR TIMES「パンの廃棄率が3%→2.1%に大幅好転 『TABETE』を導入するパン屋店舗が250軒を突破」

日本パン菓新聞社「フランスが取り組む食品ロス削減 廃棄率の高いパンを減らす試み」

パンの廃棄量だけではなく、人件費や原材料費も削減しながら、パン屋経営の利益率を高めましょう。パン屋経営にも活用できる経費削減方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

パン屋の経営事例

注意点に気をつけてパン屋の経営に失敗しないように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(クラウドファンディングと独自戦略、DXの推進、デジタルクーポン、廃棄量削減)をご紹介します。

クラウドファンディングで資金調達したパン屋

クラウドファンディングで資金調達したパン屋

まず「ミカエル堂」は、クラウドファンディングで資金調達したパン屋です。地元で愛されてきたじゃりパンの製造を再開させるために、設備投資の資金調達を目的にクラウドファンディングを企画しました。

じゃりパンは宮崎名物で、グラニュー糖入りクリームの入ったコッペパンです。旧経営者が休業を決定してから事業継承の相手を探していました。地元住民の期待に応えて、新経営者が事業を継承したパン屋の経営事例です。

参照元:

キャンプファイヤ「思い出の味を未来へ繋ぐ。宮崎市の老舗『ミカエル堂』ジャリパン復活プロジェクト!」

PR TIMES「思い出の味を未来へ繋ぐ、宮崎市の老舗『ミカエル堂』ジャリパン復活プロジェクト、クラウドファンディングに挑戦。」

NHK「宮崎名物 “じゃりパン” 多くの人に惜しまれながらも一旦幕引き」

独自戦略を展開するパン屋

独自戦略を展開するパン屋

次に「BAKERs’ Symphony」は、独自戦略を展開するパン屋です。パンのセレクトショップとして、関東地方のパン屋から日替わりで商品を仕入れています。顧客のメリットは、来店するごとに異なる商品を購入できる点です。

一方で、各パン屋のメリットは、定期的な受注で利益率を確保できる点です。安定した集客数を得られるように、商業施設に立地しています。ディスカウントストアや本屋の経営戦略を参考にしたパン屋の事例です。

参照元:

telling,「街のパン屋を守るセレクトショップ『BAKERs’ Symphony』」

BAKERs’「店舗情報」

DXを推進するパン屋

DXを推進するパン屋

それから「プラスパン」は、DXを推進するパン屋です。店舗営業分析システムを導入して、POSレジのデータと連携させて、パンの種類ごとに販売数を予測しています。販売機会の損失を防ぎながら、廃棄率の削減につなげる施策です。

多店舗展開しており、店長会議では分析したデータが活用されています。データを示すことで、従業員の経営方針に対する理解度を深めているパン屋の経営事例です。

参照元:新R25メディア「『勘』や『経験』だけに頼らない。徹底的なデータ分析&Alで、ベーカリーの未来をつくる」

デジタルクーポンで集客するパン屋

デジタルクーポンで集客するパン屋

続いて「パンやのくっくう」は、デジタルクーポンで集客するパン屋です。店舗周辺よりも広い範囲からの集客を狙って、キャッシュレス決済システムの加盟店が利用できるデジタルクーポンが導入されました。

デジタルクーポンクーポン取得者の数%しか実際に利用していませんが、売上のアップにつながっています。コストのかかるSNS集客ではなく、低コストの集客活動を目指したパン屋の経営事例です。

参照元:au PAY「グロースパック クーポン導入事例「パンやのくっくう」様」

廃棄量削減に取り組むパン屋

廃棄量削減に取り組むパン屋

そして「Trente Trois」は、廃棄率削減に取り組むパン屋です。消費期限の短いパン(20種類ほどの菓子パンや総菜パン)の販売を中止して、冷蔵で数週間保存できるパン(カンパーニュやブランなどの5種類)を開発しました。

廃棄量削減により、営業時間の短縮を実現しています。廃棄量削減だけではなく、食の安心・安全やフードボランティア、環境保護などにも取り組むパン屋の経営事例です。

参照元:

SDGs fukuoka「Trente Trois(トランテ トロワ)」

Trente Trois「私たちのコト」

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監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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