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2024.02.21 2024.02.20|店舗デザイン
木造店舗の建築デザイン・工事!メリット・事例・費用・補助金・助成金も紹介
本記事で、木造店舗の建築デザイン・工事のメリットや事例、費用、補助金・助成金などについて解説します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
木造店舗の建築デザイン・工事に関する基本情報
木造店舗の建築デザイン・工事を計画する前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を押さえることで、スムーズに計画を進められるからです。それでは木造店舗の構造や建築工法、メリット、デメリットをご紹介します。
構造
まず木造店舗の構造には、木材が使用されています。木材で躯体(基礎や柱、外壁、梁、筋交いなど)が施工されており、強度を補うために柱と柱の間に梁や筋交いが入る構造です。他の構造(コンクリート造や鉄骨造など)よりシンプルであるため、建築設計の自由度が高いです。
なお2022年に日本国内で新築された低層住宅においては、8割以上が木造建築物。中高層住宅や非住宅建築物においては、木造建築物の割合は2割程度でした。ただし店舗の木造化が推進されています。集成材やCLT、LVLなどの木材により、大規模な店舗も建築できます。
参照元:
建築工法
次に木造店舗の建築工法には、2種類(木造軸組工法とツーバイフォー工法)があります。木造軸組工法は、柱と梁を組み合わせて骨組みを作ったうえで、外壁や屋根を取り付けます。さまざまな間取りの店舗に対応できる建築工法です。
ツーバイフォー工法とは、2インチ×4インチの木材で枠組みを作ったうえで、床や外壁、天井による6面の箱型空間を施工します。木造軸組工法に比べると、間取りの自由度は劣りますが、耐震性に優れた建築工法です。
メリット
また木造店舗のメリットは、工期の短さや断熱性・調湿性の高さ、減価償却率の高さなどです。木造建築の材料は規格化されているため、短い工期で建築できます。木材の断熱性・調湿性は、他の素材(コンクリートや鉄など)より高いため、店内空間を快適に保ちやすいです。
そして木造建築の減価償却率は、他の建築構造(コンクリート造や鉄骨造など)より高いため、大きな金額を経費として計上して、節税効果を得られます。木造店舗の減価償却と耐用年数については、後ほどご紹介します。
デメリッ卜
ただし防音性・防虫性の低さや品質のバラつきなどは、木造店舗のデメリットです。木材の防音性・防虫性は、他の素材(コンクリートや鉄など)より低いため、対策が必要です。木造店舗の防音性とメンテナンス性については、後ほどご紹介します。
また木材の管理方法や職人の力量などによって、木造店舗の品質にバラつきが生じるため、信頼できる業者の選定が重要です。店舗物件の建築を依頼する際にも活用できますので、次の記事も併せてご覧ください。
木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点
基本情報だけではなく、木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点にも押さえましょう。本記事では、8点(コンセプトの設計と木材の選定、法令の遵守、耐火性、耐震性、防音性、メンテナンス性、減価償却と耐用年数)を取り上げます。
コンセプトの設計
まず木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点として、コンセプトの設計が挙げられます。店舗のコンセプトを設計することで、一貫した方針に基づいて、商品・サービスの開発や店舗物件の建築デザイン・工事などを進めましょう。
店舗のコンセプトを設計する方法には、市場調査と競合分析、ターゲティングやポジショニングなどがあります。店舗のコンセプトを設計する流れと方法についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
適した木材の選定
次に適した木材の選定も、木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。木造店舗の躯体には、一般的にヒノキやスギなどの木材が使用されます。木材の種類によって特徴と価格が異なるため、希望条件に合う木材を選定しましょう。
例えばヒノキは耐久性と防虫性が高いですが、他の種類より高額です。スギは柔軟性があり低価格ですが、ヒノキより耐久性に劣ります。店舗の建築だけではなく、内装に施工できる木材の種類と特徴もまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
法令の遵守
また法令の遵守も、木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。店舗を含む建築物の内装は、建築基準法や消防法に基づいて制限されています。内装制限を守らない店舗で営業を開始すると、罰則を受ける恐れがありますので、ご注意ください。
例えば特殊建築物に該当する木造店舗については、耐火構造で建築しなければなりません。消防法と建築基準法の内装制限についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
耐火性
それから耐火性も、木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。木造店舗の耐火性を高めるためには、耐火性の高いツーバイフォー工法や不燃材料(コンクリー卜や12mm以上の石膏ボードなど)などを選びましょう。
なお店舗物件の建築後には、消防法に基づいて、店舗物件には消防用設備の設置と消防点検も必要です。店舗に対する消防法の規定をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
耐震性
そして耐震性も、木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。木造店舗の耐震性は、鉄骨造やコンクリート造の店舗より低いため、耐震性の高いツーバイフォー工法を選びましょう。
なお店舗を含む建築物には、建築基準法に基づいて、震度7以上の大地震でも倒壊や崩壊を防げる耐震性が求められます。店舗の耐震基準と耐震診断についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
防音性
続いて防音性も、木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。木材の遮音性は低いため、木造建築の防音性は、他の構造(コンクリート造や鉄骨造など)に比べて劣ります。店舗の業種・業態や周辺環境を踏まえて、防音対策を検討しましょう。
例えば天井や壁に断熱材を入れて二重構造にしたり、気密性の高い窓のサッシを施工したりする方法があります。店舗の防音対策についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メンテナンス性
さらにメンテナンス性も、木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。木造店舗の防虫性は、他の構造(コンクリート造や鉄骨造など)に比べて劣ります。防虫処理された木材の施工や建築後の定期的な防虫剤散布などを検討しましょう。
防虫対策以外にも、木造建築に施工する内装や外装、設備・機器・什器等に対して、メンテナンスが必要です。店舗メンテナンスの重点箇所と方法について紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
減価償却と耐用年数
なお減価償却と耐用年数も、木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点に含まれます。減価償却とは、長期間使用する建物・設備・備品などの経費を一定期間内に分配する税務処理です。
そして耐用年数とは、所得税法や法人税法に定められた減価償却の配分期間です。減価償却の考え方や建物の耐用年数などについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
木造店舗の建築施工事例
木造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点と併せて、施工事例も調査しましょう。本記事では、事例5点を取り上げて、各店舗の特徴(無柱空間・木材の質感・サステナブルデザイン・耐火性と省エネ性・地域資源の活用)をご紹介します。
環境に配慮してデザインされたコンビニ
まず「ローソン館林木戸町店」は、群馬県館林市にあるコンビニです。環境に配慮してデザインされており、強度と断熱性の高いCLTが躯体に施工されています。CO2削減と省エネを狙った木造店舗です。
ローソンでは、店舗物件以外にも、サステナビリティを意識した取り組みを実施。地産地消の商品や健康に配慮した商品の開発、DXの推進、子供や高齢者の見守りサービス、移動販売、天然資源の使用などを展開しています。
参照元:LAWSON「ローソン館林木戸町店が「第22回木材活用コンクール」の優秀賞(林野庁長官賞)を受賞!」
木材の質感を感じさせるクリニック
次に「新柏クリニック」には、千葉県柏市にあるクリニックです。「森林浴のできるクリニック」をコンセプトに建築され、躯体に木造が使用されているため、木材の質感を感じさせます。
建築基準法の基準をクリアするために、耐火性の高い建築材料が使用。耐震性を高めるために、開口部などに鉄筋コンクリートが集約されています。大規模な木造建築物の施工事例です。
参照元:
サステナブルデザインのハンバーガーショップ
また「マクドナルド」は、新規出店や改装、建て替えなどの際に、サステナブルデザインを採用しているハンバーガーショップです。林野庁が推進する「ウッド・チェンジ・ネットワーク」に賛同して、木造平屋建てや木造2階建ての店舗、木造・鉄骨のハイブリッド店舗などが建築されています。
木造店舗を導入した効果として、工期が鉄骨造より3ヶ月短縮され、建設コストも削減。また一定量以上の地域木材を使用することで、輸送にかかるCO2の削減も期待されています。
参照元:
マクドナルド「農林水産省と『建築物木材利用促進協定』を締結」
耐火性と省エネ性が高まった保育園
それから「みらい保育園」は、東京都武蔵村山市にある保育園です。「木育」をコンセプトに、耐火性と省エネ性が高まるようにデザインされています。地域の木材が使用された準耐火構造です。
また地域の木材は、園児たちが触れる場所(床や柱、手すり、家具、デッキテラス、外壁など)にも使用。そして自然の光や風を取り込んで快適な空間を実現させながら、太陽光パネルで発電もされています。
参照元:
吉田建築計画事務所「第17回キッズデザイン賞を受賞しました。」
地域の木材が施工された道の駅
そして「足柄・金太郎のふるさと」は、神奈川県足柄市にある道の駅です。地域の木材資源について、森林組合などからヒアリング。鉄骨と組み合わせながら、躯体やテラスなどに地域の木材が施工されています。
「足柄の魅力を全国の皆さまに伝えたい」をコンセプトに、「足柄・金太郎のふるさと」では、地域の新鮮な農産物(野菜や果物、お茶など)はもちろん、日本中の特産品が販売されています。
参照元:
木造店舗の建築工事費用
デザインした木造店舗を建築するためには、工事費用が必要です。そこで木造店舗の建築工事費用について、相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、節約法も確認しましょう。
相場
まず木造店舗の建築工事費用の相場は、坪単価30万~60万円程度です。20坪の木造店舗を建築するなら、600万〜1,200万円程度かかります。ただし店舗の立地や規模、木材の種類(スギやヒノキ、耐火加工の木材など)などによって、建築工事費用は変動します。
内訳
次に木造店舗の建築工事費用の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、20坪の店舗物件にかかる建築工事費用を試算してあります。
費用の内訳 | 費用の目安 | 費用の試算 |
デザイン・施工監理費 | 全体の20%程度 | 120万〜240万円程度 (20坪の木造店舗) |
諸経費 (仮設・解体など) | 全体の10%程度 | 60万〜120万円程度 |
躯体工事費 (基礎や柱、外壁、梁、筋交いなど) | 全体の70%程度 | 420万〜840万円程度 |
合計 | 100% (坪単価30万~60万円程度) | 600万〜1,200万円程度 |
ただし上表には、店舗の外観や内装、設備・機器・什器の工事費用は含まれていません。店舗の外観や内装の工事費用についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
節約法
そして木造店舗の建築工事費用の節約法として、相見積もりや補助金・助成金などがあります。同じ条件を提示して相見積もりを取ることで、各業者の見積もり(工事の内容と費用、期間、アフターサービスなど)を比較できます。
補助金・助成金を受給できると、基本的に返済義務のない資金を獲得できます。例えば林野庁の公式サイトでは、建築物の木造化・木質化に活用可能な補助事業・制度が紹介されています。
参照元:林野庁「建築物の木造化・木質化に活用可能な補助事業・制度等一覧」
木造店舗の建築デザイン・工事を計画しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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