2024.03.18 2024.02.20|店舗デザイン
鉄骨造店舗の建築デザイン・工事!耐用年数・施工事例・坪単価・建築費用を紹介
本記事で、鉄骨造店舗の建築デザイン・工事を解説します。耐用年数・施工事例・坪単価・建築費用もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
鉄骨造店舗の建築デザイン・工事に関する基本情報
そもそも鉄骨造店舗とは、どういった建築物でしょうか?そこで鉄骨造店舗の基本情報(特徴と構造、メリット、デメリット)をご紹介します。基本情報を把握したうえで、建築デザイン・工事を計画しましょう。
特徴
まず鉄骨造店舗の特徴は、骨組み(梁や柱など)に鉄や鋼が使用される建築構造です。木造店舗に比べて、強度が高く、工期が短く、品質が安定しています。木造店舗の建築デザイン・工事についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
鉄骨造店舗は、鉄や鋼の厚みによって、2種類に分類されます。
- 軽量鉄骨造の店舗:軽い鉄骨(一般的に厚さ6㎜以下)が用いられるため、重量鉄骨造よりも工期が短い
- 重量鉄骨造の店舗:太い鉄骨(一般的に厚さ6㎜以上)が用いられるため、軽量鉄骨造よりも頑丈
建築構造
次に鉄骨造店舗の建築構造には、「ラーメン構造」と「ブレース構造」があります。ラーメン構造は、柱と梁の連結部分が溶接しながら組み立てられています。骨組みの枠内を自由にレイアウトでき、柱と梁を支える補強材が不要です。
ブレース構造は、柱と梁の対角線上に補強材が入ります。主に軽量鉄骨造の戸建てやアパートなどに用いられる建築構造です。店舗物件をスケルトン状態に解体すると、ブレースが露出します。
メリット
それから鉄骨造店舗のメリットは、安定した品質や工期の短さ、強度の高さ、間取りの自由度などです。一般的に、鉄骨造に使用される鉄や鋼は、工場で加工されます。したがって建築現場で働く職人の技術力に左右されにくいため、品質が安定し、工期が短くて済みます。
また鉄骨造は木造よりも強度が高いです。強度が高い分だけ、長さのある梁を使用できるため、柱の間隔を広く取れます。したがって広い空間をデザインしやすく、間取りの自由度が増します。
デメリット
しかし鉄骨造店舗のデメリットは、結露のリスクや断熱性・耐火性・防錆性・防音性などの低さです。鉄骨造は気密性が高い構造のため、内部に湿気が溜まりやすく、結露が発生するリスクがあります。また断熱性が低いため、外気温の影響を受けやすく、空調費が高くなりやすいです。
また鉄骨造はコンクリート造よりも耐火性が低いため、火災発生時に初期消火が遅れると、倒壊するリスクがあります。加えて防錆性・防音性も低いため、後ほど対策方法をご紹介します。
鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点
基本情報だけではなく、鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点も確認しましょう。本記事では、8点(建築確認と完了検査、コンセプトの設計、耐湿性、断熱・遮熱性、耐火性、防錆性、防音・遮音性、耐用年数と減価償却)をご紹介します。
建築確認と完了検査
まず建築確認と完了検査が、鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点として挙げられます。建築確認とは、店舗の建築工事前に必要な法的手続きです。建築基準法に基づいて鉄骨造店舗の建築計画が審査され、確認済証が交付されます。
完了検査とは、店舗の建築工事完了後に法的に必要な検査です。「確認済証のとおりに建築されたか」を検査されます。店舗物件の建築確認と完了検査について詳しく紹介してありますので、次の記事も併せてご覧ください。
コンセプトの設計
次にコンセプトの設計も、鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。コンセプトは、店舗経営の基本方針です。コンセプトに基づいて店舗を建築デザインにすることで、集客と売上を伸ばしやすくなります。
そこでコンセプトを設計するために、市場調査と競合分析から始めましょう。店舗のコンセプトを設計する流れと方法を詳しく紹介しておりますので、次の記事も併せてご覧ください。
耐湿性
また耐湿性も、鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。木造店舗では木材の「調湿性」が働きますが、鉄骨造店舗の調湿性は低いため、湿気がこもる恐れがあります。したがって湿気を吸収・放出する工夫が必要です。
そこで調湿性のある内装材を施工したり、換気設備を設置したりしましょう。内装材の種類や特徴、店舗に換気設備をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
断熱・遮熱性
それから断熱・遮熱性も、鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。鉄や鋼は熱が伝わりやすい素材のため、外気温の影響を受けやすい特徴があります。したがって店舗の断熱・遮熱対策を検討しましょう。
断熱対策には、店舗全体を覆う「外断熱」と、店舗内に断熱材を埋め込む「内断熱」があります。使用する断熱材・遮熱材によって性能や費用が異なるので、注意しましょう。店舗の断熱・遮熱対策をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
耐火性
そして耐火性も、鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。鉄は熱に弱く、店舗で火災が発生してしまうと、倒壊の恐れがあります。したがって鉄骨造店舗から避難する時間を確保するために、骨組みを耐火性・断熱性の高い材料で覆いましょう。
具体的には、柱や梁を断熱材で覆ったり、耐火塗料を鉄骨に直接塗りつけたりする方法があります。また店舗の内装は、消防法によって制限されています。店舗に対する消防法の規定をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
防錆性
さらに防錆性も、鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。鉄には、経年劣化によって錆が生じてしまう特徴があります。骨組みの錆は、鉄骨造店舗の強度を弱める原因です。錆が発生しないように、防錆性を高めましょう。
具体的な方法として、骨組みに樹脂や防錆塗料を施工しましょう。そして経年劣化で樹脂や塗料が剥がれる前に、定期的なメンテナンスが必要です。店舗メンテナンスの重点箇所と方法について紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
防音・遮音性
加えて防音性も、鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。鉄は遮音性が低い素材で、特に軽量鉄骨造に施工される鉄は薄いため、重量鉄骨造に比べて防音性が低くなります。
そこで周辺環境が賑やかな鉄骨造店舗に対しては、防音対策が重要です。天井や壁、床に、防音材や遮音シートなどを施工しましょう。店舗の防音対策について詳しく紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
耐用年数と減価償却
なお耐用年数と減価償却も、鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点です。耐用年数とは、所得税法や法人税法に定められた減価償却の配分期間です。店舗の用途や骨組みの厚さによって、耐用年数が異なります。
減価償却とは、長期間使用する建物の経費を一定期間内に分配する税務処理です。減価償却費の計算方法には、定額法と定率法の2種類があります。鉄骨造店舗にも活用できる減価償却の考え方や計算方法を紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
鉄骨造店舗の建築施工事例
鉄骨造店舗を建築デザイン・工事する際の注意点に加えて、建築施工事例を調査しましょう。本記事では事例5点を取り上げて、各事例の特徴(建築コスト削減、安全・防犯対策、統一感を保つ増築、吹き抜け、1階の駐車場)をご紹介します。
建築コストを削減したコンビニ
まず「株式会社ファミリーマート」は、建築コストを削減したコンビニです。従来の重量鉄骨造から軽量鉄骨造に、外壁をコンクリートから金属パネルに変更したことで、建設コストが削減されています。
現場での骨組みの組立・加工作業が削減されるため、工期が削減。工期が短くなる分だけ、人件費も削減されています。なお柱や梁を再利用できるため、建て替えのコスト削減も可能です。
参照元:株式会社ファミリーマート「店舗建設コストを約30%削減リユースも可能な“新フォーマット店舗”を開発」
安全・防犯対策のされた保育園
次に「小百合第二保育園」は、安全・防犯対策のされた保育園です。鉄骨造の園舎や園庭が駐車場や道路から明確に分離されており、2階医務室が園舎内外の様子を見渡せるようにレイアウトされています。
また1階遊戯室の天井は吹き抜けのデザインで、屋上のスロープと園庭がスロープでつながっています。鉄骨造で柱の数が少なく、子どもが存分に身体を動かせる建築デザインです。
参照元:小百合第二保育園「施設のご案内」
統一感を保つように増築された病院
それから「我孫子聖仁会病院」は、統一感を保つように増築された病院です。既存病棟の横に、鉄骨造の新病棟(人工透析センターと緩和ケア病床)が増築され、同じ外壁材が施工されています。
新病棟の3階には、患者が快適に過ごせるように、日光浴のできる中庭がレイアウトされています。鉄筋コンクリート造ではなく、鉄骨造が採用されたことで、工期が短くなり、間取りの自由度が高いです。
参照元:我孫子聖仁会病院「トップページ」
吹き抜けのある自動車販売店
そして「メルセデス・ベンツ名東」は、吹き抜けのある自動車販売店です。鉄骨造の2階建てで、ショールームに吹き抜けがデザインされています。自動車が展示されていても、圧迫感を与えない建築デザインです。
路面側の壁一面に大きな窓が施工されており、柱の間隔が広い鉄骨造の特徴が活かされています。集客効果を引き出せるように、店外からでも展示されている自動車がよく見える建築デザインです。
1階が駐車場になっている飲食店
なお「木曽路 星崎店」は、1階が駐車場になっている飲食店です。自動車が入退場しやすいように、柱の間隔が広い鉄骨造の特徴が活かされています。エレベーターで、駐車場から飲食店まで移動できます。
2階の飲食店には、様々な座席(大広間や個室、ソファ席など)がレイアウトされています。幅広い顧客層のニーズに対応できる内装デザインです。バリアフリーにも対応しています。
参照元:木曽路「星崎店」
鉄骨造店舗の建築工事費用
施工事例のような鉄骨造店舗をデザイン・工事するためには、予算が必要です。そこで鉄骨造店舗の建設工事費用の相場と内訳を確認しましょう。無駄な経費を削減できるように、建築工事費用の節約法もご紹介します。
相場
まず鉄骨造店舗の建築工事費用の相場は、坪単価50万~70万円程度です。20坪の鉄骨造店舗を建築するなら、1,000万〜1,400万円程度かかります。ただし店舗の立地や規模、鉄骨の厚さ、施工する建材(断熱材や防音材など)によって、建築工事費用は変動します。
内訳
次に鉄骨造店舗の建築工事費用の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、20坪の店舗物件にかかる建築工事費用を試算してあります。
費用の内訳 | 費用の目安 | 費用の試算 |
デザイン・施工監理費 | 全体の20%程度 | 200万〜280万円程度 (20坪の鉄骨造店舗) |
諸経費( 仮設・解体など) | 全体の10%程度 | 100万〜140万円程度 |
躯体工事費 (基礎や柱、外壁、梁、 ブレースなど) | 全体の70%程度 | 700万〜980万円程度 |
合計 | 100% (坪単価50万~70万円程度) | 1,000万〜1,400万円程度 |
ただし上表には、店舗の外観や内装、設備・機器・什器などの工事費用は含まれていません。店舗の外観や内装の工事費用について紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
節約法
そして鉄骨造店舗の建築工事費用の節約方法として、相見積もりや建材のグレードダウン、工期の調整などがあります。同じ希望条件で相見積もりを取り、各業者の見積もり(建築工事の費用や工期など)を比較すると、無駄な経費を節約しやすいです。
建材のグレードダウンにより、建築工事費用の材料費を削減できます。ただしグレードの低い建材を選ぶことで、店舗建築後のメンテナンス費用が増加する恐れもありますので、ご注意ください。
工期を調整して、夜間工事や無理な短工期を避けたほうが、工賃を節約できます。建築工事業者と相談したうえで、開業予定日から逆算して、ゆとりのある店舗建築工事を計画しましょう。
鉄骨造店舗の建築を計画しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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