2022.10.19|新規開業ノウハウ

旗艦店とは?意味やメリット・デメリット・事例まで紹介

旗艦店とは?意味やメリット・デメリット・事例まで紹介

本記事で、旗艦店の意味を解説します。旗艦店のメリット・デメリットや直営店との違い、事例などもご紹介します。

「旗艦店の意味が知りたい!」「旗艦店のメリットやデメリットは?」などとお悩みではありませんか?旗艦店の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

旗艦店とは?

旗艦店とは?

旗艦店(きかんてん)とは、全国展開しているチェーン店(多店舗展開)の運営会社が経営に注力している中核店です。まずは旗艦店の語源や目的、直営店との違いなどを解説します。

語源

「旗艦」は、元々は海軍用語でした。「旗艦」は部隊の指揮官が乗船する司令旗を掲げた船を示します。つまり部隊にとって重要な船が「旗艦」として位置づけられます。

そして海軍用語の「旗艦」の意味をなぞり、多店舗展開の代表的な店舗が旗艦店と呼ばれるようになりました。「フラッグシップショップ」「フラッグシップストア」とも呼ばれます。フラッグシップ(flagship)は英語で「旗艦」の意味です。

目的

旗艦店を出店する目的は多岐にわたりますが、主な目的として店舗のブランドをアピールすることが挙げられます。特にファッションブランドや宝飾品ブランドでは、旗艦店からブランドイメージを顧客に伝えていきます。一方で小規模の飲食店やサロンでは、旗艦店を出店しづらいです。

またブランドのアピールにはさまざまな要素があり、立地エリアがステータスになる場合があります。例えば東京銀座近辺に旗艦店を構える有名ブランドが存在します。さらに旗艦店の店舗面積を広くしたり、メディア露出を多くしたりして、ブランドを広く認知させることができます。

直営店との違い

旗艦店と混同しやすい用語に、直営店(ちょくえいてん)があります。直営店は「多店舗展開する運営会社自らが経営に携わる店舗」です。自社が「直接経営」することから、直営店と呼ばれます。

なお旗艦店と直営店の経営形態に違いがなく、旗艦店は直営店の一種になります。ただし旗艦店は対外的なブランドアピールに重点を置いていますので、単なる直営店とは役割が異なります。

ECモールの旗艦店

旗艦店は実店舗だけではなく、ECモールにも存在します。例えば中国では大手ECモールに旗艦店が展開されています。同ECモールの旗艦店は、中国の関係機関に商標登録される必要があります。

日本から旗艦ECサイトを中国のECモールに出店することで、中国の顧客との接点をつくりながら流通経路拡大を目指す企業が存在します。

参考:Inagora「中国大手越境ECモールの天猫国債(Tmall Global)に「杉薬局海外旗艦店」を開設」

なお越境EC事業を支援する企業も存在しており、国内EC市場だけではなく海外EC市場をターゲットにした展開が可能です。

旗艦店をつくるメリット

旗艦店をつくるメリット

旗艦店によりブランドのアピールが可能となるだけではなく、さまざまなメリットを得られます。旗艦店の出店に活かせるように、旗艦店をつくるメリットをご紹介します。

クリティカル・マス戦略に対抗できる

経営資金が見劣りする企業でも、旗艦店によって大企業に対抗することが可能です。旗艦店を出店すると、局地的にクリティカル・マス戦略を展開する大企業と競りあえるからです。

クリティカル・マス戦略とは、豊富な人・モノ・金を投入して短期間に圧倒的な知名度を獲得する経営手法です。経営資源が潤沢な大企業は、クリティカル・マス戦略によって販路や流通経路を一気に拡大できます。短期間に多くの店舗を出店できるように、マニュアル化された店舗づくりをします。

そこで旗艦店を局地的に出店することで、さまざまな面でクリティカル・マス戦略で展開される店舗との差別化を図り、優位性を保つことができます。例えば東京の銀座や大阪の心斎橋、海外出店ならばソウル(韓国)の明洞、パリ(フランス)のオペラ座などに旗艦店を構えて、局地的にシェアを獲得する方法があります。

そして旗艦店の出店に成功したら、さらに旗艦店を増やしていくことでシェアを徐々に広げられます。

標準店にはできない戦略に挑戦できる

旗艦店は、標準店にはできない戦略に挑戦できます。大胆な戦略やこだわった戦略を展開して、標準店よりも広い商圏を活かして標準店にない商品を取り扱ったり、効率の良い販売方法に取り組んだりすることが可能です。

例えば小売の旗艦店では陳列方法や商品の見せ方を変えたり、従来と異なる価格帯の商品を取り扱ったりして、標準店とは違う店舗づくりに取り組むことができます。また複合商業施設の1フロアに旗艦店を出店して、他店舗に訪れた顧客の集客を目指す方法もあります。

他にもインバウンド需要を考えた飲食店が独自性を出した旗艦店をデザインして、サービスを提供している事例があります。

参考:日経XTREND「くら寿司、旗艦店に込めた世界戦略 副社長と佐藤可士和氏に聞く」

ノウハウを水平展開できる

旗艦店の経営戦略や販売手法などによって集客と売上を伸ばせたら、標準店にノウハウを水平展開することが可能です。ノウハウの水平展開により標準店の集客と売上の向上が期待できます。

また旗艦店の出店準備自体が、従業員の育成につながります。特にマーケティング戦略を立案するためには、顧客から商品・サービスを購入してもらえるように、企画・開発から販売方法、価格設定、宣伝広告などを検討する必要があります。

顧客の消費行動は常に変化しているため、ニーズに応える商品・サービスを提供しつづけなくてはなりません。旗艦店のマーケティング戦略立案は、社員教育に適した場面といえます。旗艦店の出店後も定期的にマーケティング戦略を評価・改善することも重要です。

旗艦店をつくるデメリット

旗艦店をつくるデメリット

旗艦店の出店を計画する際は、下記のデメリットをご理解のうえ対策を講じてください。出店前から対策することで、出店後のリスクを減らすことが可能です。

コンセプト作りが難しい

旗艦店の出店目的をブランドアピールとする際は、コンセプト作りが難しいです。標準店とは異なる特徴を目立たせるだけではなく、競合店舗に見劣りしない魅力が必要だからです。「一等地に旗艦店を構えればいい」という簡単なものではありません。

そこで自社らしさを保ちつつ、出店エリアに合致するコンセプト作りが求められます。重要になるのは、自社の強みを振り返り出店エリアを決定していくことです。

例えば顧客の生活に密着した独自食品販売(プライベートブランド)を得意とするスーパーなら、必ずしも人口が集中するエリアに、旗艦店を出店する必要はありません。あまり目立たない高級住宅地に旗艦店を出店しても、企業の特徴である「生活密着」と「高所得世帯」の条件から、利益が確保できる可能性があります。

店舗全般に活用できるコンセプト設計のポイントについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

出店コストが比較的高い

旗艦店の出店では立地や店舗の規模が重要視されるため、標準店より出店コストが比較的高いです。当然ながら、一等地に出店する場合は土地代や物件賃借料がかさみます。また旗艦店は標準店よりも内外装や商品・サービスなどのグレードが高くなりやすいため、総合的な出店費用もかかります。

そこであらかじめ予算を設定して、コストをかける部分と節約する部分をご検討ください。ただしあくまでも旗艦店単体の出店費用がかかるだけであり、短期間に店舗数を増やすクリティカル・マス戦略よりも総合的なコストがかかるとは限りません。

なお店舗物件の探し方についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

高い売上目標が設定される

旗艦店は比較的大規模な店舗になるため、標準店よりも高い売上目標が設定されます。設備や内外装のデザイン・工事にかかった費用の回収だけではなく、毎月かかる固定費を踏まえて売上目標を立てることになります。標準店との違いを出したうえで、経営を維持できる売上を獲得しなければなりません

そこで旗艦店の経営を維持するには、緻密なマーケティング戦略が求められます。また新型コロナウイルス感染症の影響から、ネットショッピングやデリバリー・テイクアウトの需要に応える必要もあります。

なお店舗全般に活用できる経営ポイントについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

旗艦店の事例

旗艦店の出店準備のために、具体的な事例をお調べください。旗艦店の事例を参考にすることで、具体的なイメージが膨らみます。マーケティング戦略に活かせる部分を取り入れて、旗艦店の出店を計画しましょう。

ユニクロ

ユニクロ

引用元:ユニクロ「~東京から、世界を美しく~LifeWearのすべてが詰まった日本最大のグローバル旗艦店「UNIQLO TOKYO」 6月19日(金)、ついにオープン」

ユニクロは日本で有数の繁華街である銀座の「マロニエゲート銀座2」に、グローバル旗艦店「UNIQLO TOKYO」を出店しました。「UNIQLO TOKYO」は既に開店していた「UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店」「ユニクロ 原宿店」と並ぶ未来型の店舗です。

また「UNIQLO TOKYO」はLifeWearを体現する店舗として高品質な店舗を目指しています。1階中央部分に「LifeWear Square」と呼ばれるLifeWearを実現するスペースが設けられています。

さらに店舗の出入り口付近で生花販売、2階に女性向け商品のフルラインナップ、3階にメンズフロアが展開されており、各フロアに豊富なアイテムが取り揃えられています。

スシロー

全国展開をしているスシローは、関西エリアの旗艦店として「スシロー梅田茶屋店」をオープンしました。スシローの標準店は、郊外に広い駐車場を設けた路面店として展開されてきました。

しかし「スシロー梅田茶屋店」は、大阪で有数の繁華街である梅田に出店されています。あえてアクセス良好な繁華街に出店することで、郊外の店舗を利用できない顧客の集客を可能にしました。

店内には自動案内の受付やテイクアウト時に非接触を可能にする自動ロッカーなどの最新設備が導入されています。また郊外店に比べて価格を高くする一方で、同店でしか取り扱っていないメニューが楽しめます。総合的に顧客満足度を追求した店舗作りがなされています。

参照:スシロー「梅田茶屋町店 4/22(木)オープン」

niko and…

niko and…

引用元:株式会社スペース「niko and … SHANGHAI」

東京に本社を構えるカジュアル衣料や雑貨を中心に展開する株式会社アダストリア。同社が手がけるブランド「niko and…」は、中国の上海にグローバル旗艦店「niko and..SHANGHAI」を展開しています。

同店舗には3フロア構成の売り場を構えて、同ブランド市場最大規模の広さです。1階に女性向けフロア、2階に男性向けフロア、3階にブランドで初めてフードコートレストランが併設されました。

また日本の標準店とは異なり、中国独自の気候変化やニーズに対応した商品がラインナップされています。認知度向上のために、上海の人気ブランドとのコラボ商品も販売されています。

無印良品

無印良品

引用元:無印良品「無印良品 銀座」

無印良品は、世界旗艦店として「無印良品 銀座」を展開しています。銀座並木通りに店舗を構え、開店3年で国内外から300万人以上の顧客が来店しました。地下1階から地上10階までの大規模店舗で、各フロアに豊富な商品が陳列されています。

旗艦店の特徴として「食」に関する店舗(地下1階に「素の食」をテーマにしたレストランと地上1階に店内調理された焼きたてパンを販売するベーカリーなど)が並びます。また地上6階から10階には、日本初の「MUJI HOTEL(ムジホテル)」が展開されています。

なお地上2階から5階のフロアでは標準店と同じくホームウェアや文房具、日用雑貨などが販売されています。

DAISO

DAISO

引用元:DAISO「3ブランドのグローバル旗艦店、銀座に 4 月 15 日オープン」

株式会社大創産業は、「マロニエゲート銀座2」に3ブランド同時に旗艦店を出店しました。3ブランドとは100円ショップ「DAISO」、300円ショップ「Standard Produce by DAISO」及び「THREEPPY」です。

「低価格で買い物や暮らしを支え、世界中をもっとワクワクさせる”欲しい、楽しい、新しい、が溢れている”」というコンセプトに基づいて、3ブランドの旗艦店が経営されています。

また同時に3ブランドの旗艦店を出店することで、ブランド同士の融合や今後の可能性が追求されています。各店舗においては、顧客のニーズに応えるためにトレンド商品が販売されています。

スターバックス

スターバックス

引用元:スターバックス「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」

スターバックスコーヒージャパンは、日本初の高級旗艦店「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」を出店しています。同様の業態での出店はシアトルと上海、ミラノ、ニューヨークに続いて5店舗目です。

同店舗では「圧倒的でのめり込むような最高のコーヒー体験」をコンセプトとして、100種類以上のコーヒーや軽食、グッズなどが販売されています。

店舗は4階建てとなっており、木材とガラスによる近代的なデザインが採用されています。1階がメインバー、2階は世界の紅茶を扱うティーバー、3階は日本初の本格的なバーフロア、4階がコミュニケーションスペースとなっています。

入念な事前準備をして旗艦店を出店しよう!

入念な事前準備をして旗艦店を出店しよう!

旗艦店は標準店以上に入念な準備や戦略の検討が必要です。旗艦店のメリット・デメリットや事例を踏まえて、独自性のある旗艦店をデザインしましょう。

IDEALは旗艦店を含む店舗全般のコンセプト設計から物件探し、内外装のデザイン・工事、資金調達、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

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監修者

IDEAL編集部

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