2023.06.19 2023.07.04|店舗運営ノウハウ
飲食店の配膳ロボットとは?主な機能や導入の方法・注意点・費用・事例
本記事で、飲食店の配膳ロボットの主な機能を解説します。導入する方法や注意点、費用、事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
飲食店の配膳ロボットとは?
飲食店の配膳ロボットとは、従業員の配膳業務を助ける機械です。飲食店への導入を検討できるように、まずは配膳ロボットの主な機能や需要、メリット・デメリットを確認しましょう。
主な機能
まず下表に、飲食店の配膳ロボットの主な機能をまとめましたので、ご覧ください。
機能名 | 機能の内容 |
空間認識・障害物センサー | 人や物、壁を避けて自律走行する |
座席案内 | 入口から座席へ顧客を誘導する |
配膳・下膳 | 乗せられた皿を指定された目的地まで運ぶ |
コミュニケーション | パネルや音声で簡単な受け答えができる |
店内の巡回 | 指定されたルートを巡回する |
以上のような機能があるため、アイディア次第で飲食店内でさまざまな活かし方ができます。ただし配膳ロボットの種類によって機能が異なりますので、事前に確認しましょう。
需要
次に飲食店の配膳ロボットに対する需要は、年々高まっています。なぜなら配膳ロボットも含めたサービスロボットの市場規模が、2021年度の16,797百万円から2022年度の23,907百万円まで拡大してきたからです。2023年度以降も、人材不足や人件費高騰、感染対策などの観点から、サービスロボット市場の拡大が予想されています。
参照:デロイト トーマツ ミック経済研究所「サービスロボットソリューション市場展望 2022年度版 」
また2022年の調査によると、6割以上の人が「飲食店に配膳ロボットが普及してほしい」と答えました。業務効率化や衛生面の観点から、幅広い年齢層の顧客から配膳ロボットの需要があります。
参照:日本トレンドリサーチ「配膳ロボットに関するアンケート」
なお飲食店経営が難しい理由をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メリット
そして飲食店に配膳ロボットを導入するメリットとして、業務効率化と人材不足解消、集客増加などが挙げられます。
配膳ロボットは、人間が何度も往復して運ぶ食器などを一度に運べますので、業務効率化を図れます。配膳・下膳のスピードが上がれば、飲食店の回転率を上げやすいです。
また配膳ロボットと分担してホール業務を行えるため、人材不足解消も可能です。従来に必要だった人員よりも少ない人員で運営できれば、人件費削減にもつながります。
そして配膳ロボットが話題を呼べば、集客増加も期待できます。ダイニングフロアのパフォーマンスとして、顧客が配膳ロボットの作業風景を楽しめます。
なお飲食店の平均売上と管理方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
デメリット
なお飲食店に配膳ロボットを導入するデメリットとして、導入の費用と手間、無機質な印象などが挙げられます。
配膳ロボットの導入には、本体の値段やメンテナンス費用がかかります。また配膳ロボットが走行しずらい場合には、ダイニングフロアを改修する費用も必要です。後ほど本体の値段や導入費用をご紹介します。
また配膳ロボットを導入する手間として、接客のオペレーションマニュアルの作成や定期メンテナンスが必要です。加えて営業中には配膳ロボットに皿を載せたり、降ろしたりする人手もかかります。
それから配膳ロボットによる接客は、顧客によっては無機質な印象を感じる恐れがあります。予算だけではなく、ターゲットとする顧客層の興味・関心を踏まえて、導入を検討しましょう。
なお飲食店の内装デザインを失敗しないコツをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
飲食店に配膳ロボットを導入する流れと注意点
基本情報を押さえたところで、飲食店に配膳ロボットを導入する流れを確認しましょう。導入の目的や業務内容、フロアレイアウト、業者選び、トライアル、本契約に関する注意点もご紹介します。
目的を明確にする
まず飲食店に配膳ロボットを導入する流れは、目的を明確にする作業から始まります。配膳ロボット導入の目的を明確にできれば、従業員が効果的に活用しやすくなります。
配膳ロボット導入の目的を検討する際には、飲食店経営の成果と課題を分析しましょう。特に業務効率化や人材不足解消、集客増加などの課題を抱えている飲食店なら、配膳ロボット導入の効果を期待できます。
また店舗のコンセプトから外れないように、配膳ロボットを導入させることも必要です。店舗のコンセプトを設計する方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
業務内容を整理する
配膳ロボットを導入する目的を明確にできたら、飲食店の業務内容を整理しましょう。業務内容を整理して、従業員と配膳ロボットで仕事を分担できれば、導入する効果を引き出しやすくなります。
そこで従業員が行うべき業務と配膳ロボットに任せられる業務を整理しましょう。また時間帯に応じて、従業員と配膳ロボットの業務量の比率を調整し、ピークタイムには従業員と配膳ロボットの協働が必要です。
フロアに合うタイプを選ぶ
配膳ロボットの業務内容を整理できたら、飲食店のフロアに合うタイプを選びましょう。フロアに合うタイプを導入すれば、配膳ロボットが安全に走行しやすくなります。
したがってフロアの通路幅を測り、配膳ロボットが走行できる通路幅と照らし合わせてください。また小回りの利くスリムタイプや大容量の大型タイプなどがありますので、配膳ロボットのサイズも検討しなければなりません。
なお店舗に適した床材の種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください
業者に相談する
飲食店のフロアに合うタイプを選んだら、配膳ロボットを製造・販売している業者に相談しましょう。アドバイスや提案をしてもらえるように、導入の不安(フロアに合うサイズ)や条件(予算や期間)を伝えてください。
相談内容に基づいて、配膳ロボットの製造・販売業者から、プラン(買い取りやリースなど)の選択肢や見積りを出してもらいましょう。複数の業者から見積もりを出してもらう(相見積もり)と、プランの内容や費用を比較できます。
トライアルを利用する
相見積もりを取って業者を選んだら、配膳ロボットのトライアルを利用しましょう。実際に飲食店の営業中に配膳ロボットを試運転させて、フロアの素材や通路の幅に合うかを確認できます。
販売業者のスタッフが同行してくれる場合には、具体的な活用方法や注意点などをレクチャーしてもらえます。ただしトライアルの有無は業者によって異なりますので、相談の段階で確認が必要です。
本契約を申し込む
トライアルで利用した配膳ロボットに満足できたら、本契約を申し込みましょう。本契約を締結すると、飲食店に配膳ロボットが納品される日程や支払い方法などが決まります。納品までの準備や納品時の初期設定、利用開始前のレクチャーなどもご確認ください。
利用開始後には、定期的なメンテナンスや故障時の修理などが必要になります。配膳ロボットの効果を引き出せるように、契約前に業者によるアフターフォローの内容もチェックしておくべきです。
飲食店の配膳ロボットの導入費用
導入する流れと注意点だけではなく、飲食店の配膳ロボットの費用も気になります。予算を立てられるように、本体価格や月額利用料を確認しましょう。補助金・助成金の活用による節約方法もご紹介します。
本体価格
まず飲食店の配膳ロボットの本体価格は、1台200万円前後です。ただし機種やプラン(買取かリーズ)などによって異なります。下表に、配膳ロボットの機種例と本体価格をまとめました(2023年6月時点)。
機種名 | 販売方法 | 本体価格 |
アルファエイト | 買取 | 200万円程 |
KettyBot | 5年リース | 220万円程(月額36,700円×60回) |
参照元:
USEN「配膳ロボットの導入なら3タイプから選べるUSEN」
なお販売業者やロボットの種類などによって、プラン(買取やリース、レンタルなど)は異なります。本体価格が公開されていない機種もあるため、製造元や販売店に問い合わせましょう。
月額利用料
次に飲食店の配膳ロボットの月額利用料は、1台につき5万〜10万万円程度です。月額利用料には、レンタルやリースの料金だけではなく、設備費(Wi-Fiや充電)やメンテナンス費なども含まれます。
例えば「Servi アイリスエディション」の5年レンタルプランは、月額99,800円で提供されています。月額料金にはWi-Fi設備費用や保守費用が含まれており、交換品を依頼すると翌日に届けてくれたり、専用のヘルプデスクが対応してくれたりします(2023年6月時点)。
参照:
アイリスオーヤマ「配膳ロボットServi IRIS EDITION (サービィ)」
アイリスオーヤマ「Servi アイリスエディションレンタル利用規約」(9ページ)
また「KettyBot」の5年リースプランは、月額49,200円です。本体価格36,700円と保守サポート費用12,500円が含まれています(2023年6月時点)。
参照:USEN「配膳ロボットの導入なら3タイプから選べるUSEN」
なお配膳ロボットを買い取る場合には、本体価格を払い終えたら、保守費用のみがかかります。
節約方法
そして飲食店の配膳ロボット導入費用の節約方法として、補助金や助成金を活用しましょう。例えばエイジフレンドリー補助金や働き方改革推進支援助成金を活用できます。
エイジフレンドリー補助金は、60歳以上の従業員を雇用している場合に、労災リスクを下げるための設備購入に対する補助金です。申請を認められれば、最大100万円が補助されます。
働き方改革支援助成金は、生産性向上や時間外労働削減を図る施策に対する助成金です。申請が通れば、最大100万円が助成されます。
参照:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」
なお補助金・助成金によって、申請できる条件や期間が異なります。各公式webサイトで申請方法をご確認ください。他にも飲食店が申請できる補助金や助成金をまとめてありますので、次の記事も併せて御覧ください。
飲食店に配膳ロボットを導入した事例
飲食店で効果的にロボットを活用できるように、参考となる導入事例を調査しましょう。本記事では、レストランや和食屋、焼肉店などの導入事例を取り上げて、配膳ロボットの活用方法や効果をご紹介します。
ロボットフレンドリーな内装がデザインされたレストラン
「大分竹中カントリークラブ」様は、大分県にあるゴルフ場のレストランです。配膳ロボットが効率よく稼働できるように、ロボットフレンドリーな内装がデザイン。キッチンとダイニングホールの段差がなくなりました。
配膳ロボット導入の理由は、慢性的な人手不足。配膳ロボット1台で、従業員1名分の仕事量がカバーされ、少ない従業員数でも接客の質を落とさずに営業できるようになりました。
参照元:DFA Robotics「サービスの質を問われやすいゴルフ場内レストランで人材不足を解消」
配膳にエンターテインメント性が生まれたファミリーレストラン
「100本のスプーン立川店」様は、オフィスやショップが立ち並ぶ複合施設にあるファミリーレストランです。配膳ロボットが導入されたことで、配膳にエンターテイメント性が生まれ、幅広い年齢層の顧客から好評を得ています。
配膳ロボット導入以前は、従業員の移動距離が長く、業務効率が悪い点が課題でした。配膳ロボットに業務を分担させることで、従業員はロボットにはできない接客に従事できるようになりました。
参照元:配膳・運搬ロボットServi(サービィ)「100本のスプーン」
なおレストランにおしゃれな内装をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
人材不足解消を狙ったイタリアンレストラン
「ベッラベーラ 錦糸町店」様は、ショッピング施設内にあるイタリアンレストランです。人材不足解消を狙って、配膳ロボットが導入されました。従来であれば従業員が不足する場面でも、配膳ロボットにより、ゆとりのある営業が可能になりました。
配膳作業をロボットに任せている間に、従業員はおすすめメニューの紹介や空いたグラスのあるテーブルにおかわりを勧めるなど、顧客に声掛けするゆとりが生まれました。また手が空く時間が増えた分だけ、ピーク時の準備に充てられるため、業務効率化が向上されています。
参照元:USEN「株式会社フードリーム ベッラベーラ 錦糸町店様 」
顧客の案内も任せる和食屋
「和食のビストロさくら咲く」様は、宿泊施設内の和食屋です。導入された配膳ロボットが顧客の案内も任され、「さくらちゃん」と呼ばれて親しまれています。「さくらちゃんに案内してほしい」という要望も多く、ランチタイム中の案内を基本的に担当しています。
配膳ロボットに音楽再生やくじ引きなどの機能もあるため、案内や配膳だけではなく、イベントにも活用。顧客だけではなく、従業員が配膳ロボットと笑顔で業務に取り組む姿も見られています。
参照元:正興サービス&エンジニアリング「パルトピア山口さくら咲く」
なお和食店の内装デザインをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
下げ膳中心で活用される焼肉店
「かみむら牧場 府中店」様は、黒毛和牛の食べ放題を提供する焼肉店です。下げ膳中心で配膳ロボットが活用されて、テーブルリセットの時間が短縮。従業員がフロアを往復する回数が減ったので、身体的負担も軽減されました。
配膳ロボットによる下げ膳は、顧客からも好評。客席全体を巡回して食器を回収してくれるため、テーブルの上に皿がたまりません。人間同士が非接触なので、コロナ対策になるという感想も寄せられました。
引用元:配膳・運搬ロボットServi(サービィ)「かみむら牧場」
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監修者
-
IDEAL編集部
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