2023.08.17 2023.08.23|新規開業ノウハウ
店舗の業種・業態を決める際の注意点!業種・業態の分類や新業態の事例も紹介
本記事で、店舗の業種・業態を決める際の注意点を解説します。業種・業態の分類や新業態事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
店舗の業種とは?
まず店舗の業種とは、店舗が取り扱う業務の種類です。日本では総務省統計局の定めた「日本標準産業分類」に基づいて、業種が分類されています。
参照元:総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名」
本記事では「日本標準産業分類」から、店舗経営に関係する10業種を取り上げます。
建設業
建設業とは、住宅や施設、生活に必要なインフラ設備(道路や電気、ガス、水道など)の建設や修繕、解体などを行う業種です。3つの中分類(総合工事業と職別工事業、設備工事業)の中に、27の小分類(一般土木建築工事業や左官工事業など)が整理されています。
製造業
製造業とは、原材料を加工したり組み合わせたりして、製品をつくりあげる業種です。24の中分類(食料品製造業や繊維工業、情報通信機械器具製造業など)の中に、200以上の小分類(調味料製造業やニット生地製造業など)が整理されています。
情報通信業
情報通信業とは、メディア(テレビやラジオ、インターネットなど)を通じて情報を伝達したり、情報の処理や加工を行ったりする業種です。5つの中分類(通信業と放送業、情報サービス業、インターネット付随サービス業、映像・音声・文字情報制作業)の中に、20の小分類が整理されています。
運輸業・郵便業
運輸業・郵便業とは、鉄道や飛行機、船舶などで旅客や荷物を運送したり、荷物を保管したり、郵便物を収集・配達したりする業種です。8つの中分類(道路旅客運送業や倉庫業など)の中に、36の小分類(一般乗合旅客自動車運送業や冷蔵倉庫業など)が整理されています。
卸売業・小売業
卸売業とは、製造業者から製品を仕入れて、小売業者へ販売する業種です。小売業とは卸売業者から商品を仕入れて、消費者へ販売する業種です。12の中分類(繊維・衣服等卸売業や織物・衣服・身の回り品小売業など)の中に、61の小分類(衣服卸売業や婦人・子供服小売業など)が整理されています。
金融業・保険業
金融業とは、資金の融通を行ったり、資金取引の仲介を行ったりする業種です。保険業とは、保険商品を販売する業種です。6つの中分類(銀行業や保険業など)の中に、24の小分類(中央銀行や生命保険業など)が整理されています。
不動産業・物品賃貸業
不動産業とは、不動産(建築物や駐車場など)の売買や賃貸、管理、仲介などを行う業種です。物品賃貸業とは、物品(自動車や娯楽用品、映画用品など)を賃貸する業種です。3つの中分類(不動産取引業と不動産賃貸業・管理業、物品賃貸業)の中に、15の小分類(建物売買業や自動車賃貸業など)が整理されています。
宿泊業・飲食サービス業
宿泊業とは、消費者に対して宿泊場所を提供する業種です。飲食サービス業とは、消費者に対して調理された飲食物を提供する業種です。3つの中分類(宿泊業と飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業)の中に、17の小分類(旅館やレストランなど)が整理されています。
生活関連サービス業・娯楽業
生活関連サービス業・娯楽業とは、消費者や事業者に対して、日常生活に関わるサービスや娯楽施設などを提供する業種です。3つの中分類(洗濯・理容・美容・浴場業とその他の生活関連サービス業、娯楽業)の中に、23の小分類(美容業や旅行業、映画館など)が整理されています。
教育・学習支援業
教育・学習支援業とは、教養や技能などを学ぶ場所(学校教育施設や学習支援施設など)を提供する業種です。2つの中分類(学校教育と学習支援業)の中に、16の小分類(小学校や学習塾など)が整理されています。
店舗の業態とは?
次に店舗の業態とは、店舗が営業する形態です。店舗の業種(業務の種類)が同じでも、販売の方法や取り扱う商品・サービスの内容などは異なります。本記事では5業種(小売業と飲食サービス業、生活関連サービス業、教育・学習支援業、医療・福祉業)の業態ご紹介します。
小売業の業態
まず小売業の店舗は、販売される商品や方法、売場の面積などに基づいて、9つの業態に分類されます。
- 百貨店
- 総合スーパー
- 専門スーパー(衣料品・食料品・住関連など)
- コンビニエンスストア
- ドラッグストア
- その他スーパー(セルフサービス方式の店舗)
- 専門店(衣料品・食料品・住関連など)
- 中心店(衣料品・食料品・住関連など)
- その他小売店
参照元:経済産業省「業態別にみた小売業」
小売業の異なる業態においても、同じ商品を取り扱う店舗が存在しますが、商品の品揃えやグレードが差別化されています。例えば百貨店の食料品売場では高級食材が、総合スーパーではお値打ち品が販売されています。なお物販店の開業準備についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
飲食サービス業の業態
次に飲食サービス業の店舗は、販売される飲食物や提供される方法などに応じて、10業態に分類されます。
- 食堂,レストラン
- 専門料理店(日本料理や料亭、中華料理、ラーメン、焼肉店、フランス料理など)
- そば・うどん店
- すし店
- 酒場,ビヤホール
- バー,キャバレー,ナイトクラブ
- その他の飲食店(ハンバーガーやお好み焼・焼きそば・たこ焼など)
- 他に分類されない飲食店(大福や今川焼、ところ天、汁粉、湯茶など)
- 持ち帰り飲食サービス業(寿司やクレープなど)
- 配達飲食サービス業(ピザや給食センターなど)
なお業態に応じて、店舗に求められる内装デザインが異なります。各レストラン業態の内装デザインの特徴をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
生活関連サービス業の業態
それから生活関連サービス業の店舗は、提供されるサービスに基づいて、15業態に分類されます。
- クリーニング屋
- リネンサプライ店
- 理容室や美容室
- エステサロンやネイルサロン、美容脱毛サロンなど
- 銭湯や健康ランドなど
- 染物屋や染抜屋など
- 旅行代理店や観光案内所など
- 家事サービス店など
- 衣服裁縫修理店
- コインロッカー店
- 火葬場や葬儀場、結婚式場
- 写真屋
- その他の生活関連サービス店舗(結婚相談所やドッグホテル、宝くじ売り場など)
参照元:総務省統計局「大分類 N-生活関連サービス業,娯楽業 」
特にサロンは、エステやネイル、美容脱毛などの幅広いサービスを提供しています。サロンの種類や業態をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
教育・学習支援業の業態
そして教育・学習支援業の店舗(公的機関を除く)は、教育や学習の内容に応じて、5業態に分類されます。
- 社会教育施設(図書館や博物館、水族館など)
- 職業・教育支援施設(企業の研修施設など)
- 学習塾
- 教養・技能教授施設(音楽や書道、そろばん、外国語、スポーツの教室など)
- その他教育・学習支援施設(ダンスやパソコン、アートの教室など)
例えば学習塾の業態には、進学塾や補習塾、総合塾、専門塾などがあります。学習塾の市場規模や経営者の年収などについても取り上げていますので、次の記事も併せてご覧ください。
医療・福祉業の業態
また医療・福祉業の施設(公的機関を除く)は、利用者の属性やサービスの内容(治療や相談など)に基づいて、17業態に分類されます。
- 病院
- 一般診療所(産婦人科や医院など)
- 歯科診療所
- 助産所
- 訪問看護ステーション
- 施術所(あん摩マッサージ、はり、きゅうなど)
- 歯科技工所
- その他の医療・保健衛生に附帯するサービス業(衛生検査所や献血ルームなど)
- 保育所
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 通所・短期入所介護事業所
- 訪問介護事業
- 認知症老人グループホーム
- 有料老人ホーム
- その他の老人福祉・介護事業(養護老人ホームや老人憩いの家など)
- 障害者福祉事業所
参照元:総務省「大分類 P-医療,福祉」
医療・福祉業の施設を開設する際には、各業態ごとに資格や届出・許可などが必要です。クリニックや歯科医院、施術所、介護施設の開業準備をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗の業種・業態を決める際の注意点
以上の基本情報を押さえたところで、店舗の業種・業態を決める際の注意点も確認しましょう。本記事では市場調査と競合分析、消費者のニーズ、社会情勢の変化、経営者の理念、投資回収、利益率を取り上げます。
市場調査と競合分析
まず店舗の業種・業態を決める際の注意点として、市場調査と競合分析が挙げられます。市場調査と競合分析は、店舗経営のコンセプトを明確にして、集客と売上を安定させるために必要です。
そこで開業予定エリア内の消費者の生活行動や競合店の営業状況などを調査しましょう。市場調査と競合分析に基づいて店舗のコンセプトを設計する方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
消費者のニーズ
次に消費者のニーズも、店舗の業種・業態を決める際の注意点です。消費者のニーズを把握することで、店舗のターゲットとする顧客層の求める商品やサービスを特定しましょう。
消費者のニーズを把握するためには、店舗マーケティングの視点が重要です。市場調査と競合分析だけではなく、マーケティング施策の計画と改善の方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
社会情勢の変化
また社会情勢の変化も、店舗の業種・業態を決める際の注意点です。社会情勢の変化を捉えることで、店舗経営を改善しやすくなります。消費者のニーズはもちろん、感染症対策やDXなどの要請に対応しましょう。
例えば社会全体においてデジタル化が推進されているため、店舗経営にもDXが求められています。店舗DXの定義やメリット・デメリットなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
経営者の事業理念
そして経営者の事業理念も、店舗の業種・業態を決める際の注意点です。経営者の事業理念に基づいて、店舗経営は展開されます。消費者のニーズや社会情勢の変化を踏まえて、店舗経営の事業理念を打ち出しましょう。
例えば環境問題の解決に貢献する事業を展開したいなら、サステナブルな店舗をデザインします。サステナブルな店舗をデザインするメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
投資回収
それから投資回収も、店舗の業種・業態を決める際の注意点です。投資回収が進まないと、赤字が続き、廃業リスクが高まります。計画的に投資回収を行うことで、店舗経営を安定させましょう。
店舗開業の初期投資額は、業種・業態によって異なります。業種別の初期投資額や投資回収するポイント、投資回収の期間・計算方法などについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
利益率
なお店舗の業種・業態を決める際の注意点として、利益率も挙げられます。利益率とは、店舗経営の売上に対する利益の割合です。店舗の業種・業態ごとに、期待される利益率が異なります。
また無駄な経費の支出や売上の低下は、利益率を下げます。幅広い業種・業態の店舗に活用できる売上を管理する方法や損益分岐点の計算方法などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
業種別にみる店舗の新業態事例
店舗の業種・業態を決める際には、事前に新業態の事例を調査しましょう。本記事では5業種(小売業と飲食業、サービス業、学習支援業、福祉業)の新業態を取り上げて、各店舗の特徴をご紹介します。
小売業の無人コンビニ
「ファミリーマート」は、コンビニチェーンを経営する小売業の企業です。新業態として、全国数か所にて、無人コンビニの実証実験が展開されています。社会情勢の変化を踏まえ、消費者のニーズに対応した事例です。
無人コンビニ内のレイアウトは、従来とあまり変化はありません。しかし見通しのよい商品棚に多数のカメラが設置され、顧客をリアルタイムで監視しています。出入り口に設置されたタッチパネルにより、顧客が選んだ商品の合計金額が表示され、キャッシュレスで決済できます。
飲食業のアート施設に併設されたコンテナレストラン
「Apéro」様は、シャンパンとワインが楽しめるコンテナレストランです。飲食業の新業態として、アート施設に併設されています。品川区にあるTERRADA ART COMPLEX Iのガーデンエリアに施工された店舗です。
顧客にアートの余韻を楽しんでもらえるように、店舗のデザインはシンプルです。内装空間には、大理石の施された8席がレイアウト。店外にはテラス席もあり、晴天時には食事を楽しむことができます。
参照元:PR TIMES「国内最大級のギャラリーコンプレックスに小さなシャンパンバー「Bar Apéro」オープン!」
サービス業の男性専用プライベートサロン
「MENTE 梅田店」様は、男性専用プライベートサロンです。サービス業の新業態として、
完全個室のサウナルームがデザイン。コロナ禍に他人との接触を避けたいという消費者のニーズに応えています。
サウナブームである社会情勢を把握したうえで、男性専用の個室サウナにより競合店との差別化が図られています。店舗のデザインは黒を基調とし、高級感を感じさせるテイストです。
学習支援業の放課後等デイサービスも提供される学習支援教室
「一般社団法人あかつき心理・教育相談室」様は、公認心理師が常駐する学習支援機関です。学習支援業の新業態として、小学生だけではなく中高校生に向けても、放課後等デイサービスが提供されています。
発達障害や知的障害、不登校などで学習に困難を抱える子どもたちが、小学校入学から高校卒業まで一貫した学習支援を受けています。学習の結果を早急に求めず、一人一人に寄り添った学習支援です。
参照元:一般社団法人あかつき心理・教育相談室「yanagimori」
福祉業のカフェを運営する就労継続支援B型事業所
「One&OnlyCafe香取店」様は、カフェを運営する就労継続支援B型事業所です。福祉業の新業態として、障がいのある従業員がバリスタとして、生豆から自家焙煎して一杯ずつコーヒーを抽出しています。
どの従業員でも同じ味わいのコーヒーを提供できているように、自家焙煎などの作業が全て可視化されています。またコーヒー豆をいつでも気軽に購入してもらえるように、自販機が設置されています。
参照元:PR TIMES「One&OnlyCafe福祉施設が運営する自家焙煎・スペシャリティーコーヒー専門店のカフェが店頭にコーヒー豆の自動販売機を新たに設置」
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監修者
-
IDEAL編集部
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