本記事で、店舗に集客できる外装…
2023.11.08 2023.10.22|店舗デザイン
店舗の通路をデザインするポイント!役割・通路幅の法規制・施工事例も紹介
本記事で、店舗の通路をデザインするポイントについて解説します。店舗における通路の役割・通路幅の法規制・施工事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
店舗における通路の役割
店舗の通路をデザインする前に、通路の役割を解説しましょう。店舗内にレイアウトされる通路は、単なる通行するためのスペースではなく、店舗のコンセプトや安全性・快適性、利益率などに影響するからです。
顧客や従業員らを通行させる
まず店舗の通路には、顧客や従業員らを通行させる役割があります。店舗のエントランスから各フロアへ通路をレイアウトすることで、顧客や従業員らがスムーズに通行できます。店内に行き止まりがあると、顧客同士がすれ違う際に不便です。
また店内に適切な通路(「従業員用出入り口からバックヤードまでの通路」や「バックヤードから店内フロアへの通路」など)がレイアウトされると、従業員が営業前の準備や接客、商品補充などをしやすいです。
コンセプトを表現する
次に店舗の通路には、コンセプトを表現する役割もあります。通路のデザインを通して、店舗の経営方針や商品・サービスの魅力、メニューの価格帯などを表現できます。顧客を引きつける情報を発信することで、集客と売上に好影響です。
具体的には照明や配色、内装材などを工夫することで、店舗のコンセプトを表現できます。
内装デザインのテイスト(高級感やナチュラル、カジュアルなど)に合わせて、通路をデザインしましょう。
安全性や快適性を確保する
また店舗の通路には、安全性や快適性を確保する役割もあります。関係法令を遵守して、通路の幅や素材を決めることで、安全性と快適性の確保が可能です。ただし通路上に障害物や転落の恐れのある物品などがあると、安全性や快適性が低下します。
また火気使用室(飲食店の厨房など)や複数の人が通行する場所(小売店の陳列スペースなど)の安全性と快適性を確保するためには、適切な通路幅が必要です。店舗の業種・業態や商品・サービス、収容人数などに基づいて、通路幅を計算しなければなりません。
店舗経営の利益率を高める
そして店舗経営の利益率を高める役割も、店舗の通路には期待できます。店舗の利益率を高めるためには、顧客の単価だけではなく、回転率や販売率が重要です。通路の長さや幅、曲線度などは、顧客の回転率や販売率に変化を与えます。
そこで顧客が商品を見て回りやすい通路や入退店しやすい通路などが必要です。つまり安全性や快適性はもちろん、利益率を意識して通路をレイアウトすることで、店舗の集客と売上の向上につながります。
なお店舗の平均売上と管理方法についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗の通路に対する法規制
役割だけではなく、店舗の通路に対する法規制も確認しましょう。法令を遵守した店舗をデザインできるように、建築基準法と労働安全衛生法、消防法、各自治体の条例、バリアフリー法による規制内容をご紹介します。
建築基準法の規制する廊下の幅や避難階段
まず建築基準法によって、店舗の廊下の幅や避難階段が規制されます。200㎡以上のフロアにおいては、両側に居室がある廊下に1.6m以上の幅が必要です。避難階段については、耐火構造の壁や階段室の窓・採光・照明などが必要です。
参照元:e-GOV法令検索「建築基準法施行令」(第119と123条)
なお廊下の幅を測る際には、一番狭い箇所を基準にします。計測方法は、内壁の内側を測る内法です。壁や柱を厚くすると、廊下の幅が不足する恐れがありますので、ご注意ください。
なお消防法と建築基準法の内装制限についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
労働安全衛生法の規制する通路の幅や採光・照明
次に労働安全衛生法によって、店舗の通路の幅や照明が規制されます。機械や設備の設置される通路には、80㎝以上の幅が必要です。そして通路の通行を妨げない程度に、採光・照明の設備が必要です。
また通路に危険(つまずき・すべり・踏抜など)がないようにメンテナンスして、床面から180cm以内に障害物を設置してはなりません。従業員の安全を確保できる通路が求められています。
参照元:e-GOV法令検索「労働安全衛生法」第541-543条
消防法の規制する避難経路と消防設備
また消防法によって、店舗の避難経路と消防設備が規制されます。避難経路に関しては、防火対象物の管理者は、廊下・階段・避難口・避難上必要な施設に、避難に支障ときたす物品が放置されないように対応しなければなりません。
また防火対象物には、消防設備(消火・警報・避難・消火活動上必要な設備)が必要です。例えば条件(階数や用途、延床面積)を満たす防火対象物には、スプリンクラーを設置しなければなりません。つまり同じ業種の店舗でも、階数や延床面積によって異なります。
自治体の条例の規制する通路幅や避難通路
さらに自治体が条例によって、店舗の通路幅や避難経路が規制されます。例えば札幌市では、キャバレーなどに対する避難経路の基準が定められています。イス席やテーブル席、ボックス席などから安全に顧客を避難させるためです。
参照元:札幌市「札幌市火災予防条例の解説・指導指針」(キャバレー等の避難通路)
また東京都では、劇場などの客席に対する避難経路の基準が定められています。通路の幅や間隔、避難口との直通などの基準です。店舗開業エリアを管轄する自治体の条例を確認しましょう。
バリアフリー法の規制する廊下の幅やスロープ
そしてバリアフリー法によって、店舗の廊下幅やスロープが規制されます。特別特定建築物に対しては、建築物移動等円滑化基準が定められており、120㎝以上の廊下幅を確保しなければなりません。
同様に、スロープの幅や手すり、点字ブロック、勾配の基準も定められています。特別特定建築物には、2,000㎡以上の特別支援学校や病院、劇場、百貨店、ホテル、高齢者施設、飲食店、公衆浴場、サロンなどが含まれます。
参照元:
店舗の通路をデザインするポイント
店舗における通路の役割と法規制を踏まえたうえで、デザインするポイントも確認しましょう。本記事では、7点(コンセプト・動線・快適性・床材・ユニバーサルデザイン・環境負荷・安全性)を取り上げます。
店舗のコンセプトに基づく
まず店舗コンセプトに基づく点が、店舗の通路をデザインするポイントとして挙げられます。店舗のデザインをとおして、経営方針や商品・サービスの魅力などを表現できるからです。
例えば「自然素材の商品」を販売する店舗の通路には木目調や緑の配色などが、「大人の隠れ家」となるバーの通路には、大理石の床材やダーク系の配色が適しています。店舗のコンセプトを設計する方法や事例などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
顧客と従業員の動線を区別する
次に顧客と従業員の動線を区別する点も、店舗の通路をデザインするポイントです。顧客と従業員の動線を区別することで、顧客満足度や業務効率の向上につながります。例えば飲食店においては、エントランスから客席までの顧客用通路とバックヤードからダイニングフロアまでの従業員用通路を区別しましょう。
また小売店においては、従業員が商品補充や会計業務をしやすいように、顧客の動線に配慮して通路をレイアウトしましょう。店舗の動線を設計する際の注意点などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
顧客の快適性を意識する
また店舗の通路をデザインするポイントとして、顧客の快適性を意識しましょう。顧客の快適性を高める通路をデザインすれば、顧客の満足度や信頼度を向上させ、集客と売上の向上につながるからです。
そこで顧客の快適性を高める通路をデザインするためには、パーテーションを活用しましょう。パーテーションには、遮音や防音、プライバシー保護、ゾーニング、感染症対策などの効果があります。パーテーションの本体価格と工事費用などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
適した床材を選ぶ
さらに適した床材を選ぶ点も、店舗の通路をデザインするポイントです。床材は、通路の雰囲気や機能性などを左右します。例えば物販店の通路は通行量が多いため、メンテナンス性や耐久性のある床材が適しています。
また美容室の通路には、薬剤や水分、髪の毛などが落ちますので、メンテナンス性や耐水性、耐薬品性のある床材が必要です。店舗に適した床材の種類と費用などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
ユニバーサルデザインを取り入れる
そしてユニバーサルデザインを取り入れる点も、店舗の通路をデザインするポイントです。ユニバーサルデザインとは全ての人が利用しやすい設計を意味し、幅広い顧客層(高齢者や車いす利用者、乳幼児、訪日外国人など)を対象にします。
通路に関するユニバーサルデザインとして、通路の幅広さや手すり、音声案内、ピクトグラム(図記号)などが挙げられます。店舗にユニバーサルデザインを取り入れる費用などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
環境負荷を考慮する
それから環境負荷を考慮する点も、店舗の通路をデザインするポイントです。環境負荷に考慮したサステナブルなデザインは、ブランディングや店舗の継続的な成長、世界的な問題解決への貢献につながります。
通路に関するサステナブルなデザインとして、自然光と風を取り入れる窓や自然素材の壁や床、太陽光発電を利用した照明器具などがあります。サステナブルな店舗をデザインするメリット・デメリットなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
安全性を高める
なお店舗の通路をデザインするポイントとして、安全性を高めましょう。安全性の高い通路のデザインは、防災や防犯に役立ちます。例えば店舗内の火災発生時に備えて、難燃性の高い床材を施工すると、安全な避難を助けます。
また店舗内への不審者の侵入を防ぐためには、通路の監視カメラやドアのオートロックを設置しましょう。店舗を防犯対策する方法と費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗の通路施工事例
店舗に適した通路をデザインできるように、参考となる施工事例を調査しましょう。5事例(サロン・飲食店・ストレッチスタジオ・クリニック・買取店)を取り上げて、各通路のデザインポイントをご紹介します。
サロンのプライバシーが配慮された通路
「RAY+beauty」様は、ヘアカットやネイル、アイラッシュのトータルビューティーサロンです。顧客のプライバシーが配慮されて、施術スペース付近の通路にパーテーションが設置されています。
また安全性を高めるために、顧客の動線に沿って、通路上に照明器具がデザインされています。そして居心地の良いカフェのように、木目調やブラウンカラーを取り入れた内装デザインです。
ストレッチスタジオのコンセプトに基づいた通路
「StretchLab」様は、全米に出店しているストレッチスタジオの日本1号店です。内装はコンセプトである西海岸の雰囲気に基づいてデザイン。通路には、木目調の床材が施工されています。
またエントランスからフィッティングルームと施術エリアまでの動線がシンプルで、幅の広い通路がレイアウト。壁には、カリフォルニア出身のアーティストの描いた西海岸をイメージさせる絵画が飾られています。
クリニックの清潔さを感じさせる通路
「GLOWクリニック 渋谷院」様は、医療レーザー脱毛専門のクリニックです。清潔さを感じさせるように、通路を含む内装全体が白色を基調にデザイン。受付カウンターや待合スペースの通路上には、通行の妨げにならない位置にソファやウォーターサーバーが配置されています。
また安全性を高めるために、施術室をつなぐ通路の足元にも照明が施工。そして顧客が施術室を間違えずに入室できるように、扉に部屋番号が記載されています。
ブランド品買取店の分かりやすい動線の通路
「バイセル有楽町店」様は、出張買取サービスを提供するブランド品買取店です。分かりやすい動線に基づいて、エントランスから査定用の個室までの通路がレイアウト。通路上に商品陳列棚が配置されることで、ゾーニングされています。
内装全体は、幅広い年齢層の顧客に入店してもらえるように、明るく落ち着きのあるテイストのデザインです。グレーの床材や木目の什器で統一されており、和テイストの照明器具に照らされています。
飲食店の幅の広い通路
「GARDEN HOUSE Shinjuku」様は、こだわりの食材を使った料理を提供する飲食店です。店内に幅の広い通路がレイアウトされており、車いすやベビーカーなどの利用者でも通行しやすいようにデザインされています。
また店舗のエントランスから客席までを移動しやすいように、シンプルな動線の通路がレイアウト。内装空間はベージュを基調として配色され、木材の什器が温かみを感じさせるデザインです。
参照元:GARDEN HOUSE「GARDEN HOUSE Shinjuku」
店舗に適した通路をレイアウトしよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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