2023.02.22 2023.02.16|店舗デザイン
サステナブルな店舗をデザインするポイント!メリット・デメリットや事例
本記事で、サステナブルな店舗をデザインするポイントを解説します。サステナブルな店舗をデザインするメリット・デメリットやサステナブルな店舗の事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
サステナブルな店舗をデザインするメリット
引用元:Starbucks Stories Japan「より環境に配慮した店舗「Greener Stores」日本1号店、皇居外苑 和田倉噴水公園店で体験するサステナビリティ」
「サステナブルな店舗」(Sustainable Shops)とは、自然環境や社会問題などを考慮して「持続性」(sustainability)ある事業活動や内装デザインなどを行う店舗です。集客と売上を確保できるように、サステナブルな店舗をデザインするメリットを押さえておきましょう。
ブランディングできる
サステナブルな店舗をデザインするメリットとして、まずブランディングできる点が挙げられます。なぜならサステナビリティに対する消費者の意識が高まっているからです。例えば2022年4月に行われた調査によれば、消費者の65.2%が「環境や持続性に配慮した飲食店を積極的に利用したい」と回答しています。
参照元:ホットペッパーグルメ外食総研「環境や持続性に配慮した飲食店の取り組みへの印象を調査」5ページ
したがってサステナブルな店舗のデザインを消費者にアピールすることで、サステナビリティに関心の高い顧客の集客を期待できます。また自然環境や社会問題の解決に貢献する姿勢を示すことで、消費者だけではなく取引先からの信頼を獲得しやすいです。
店舗を継続的に成長させる
次に店舗を継続的に成長させる点も、サステナブルな店舗をデザインするメリットです。サステナブルな事業活動や内装デザインなどによって新たな市場を開拓できれば、新規顧客の獲得につながります。
例えば老朽化した店舗をリフォームする機会があれば、競合店との差別化を目指してサステナブルなデザインにリニューアルさせましょう。以前と同じ店舗デザインは親しみやすさを感じさせる一方で、消費者に飽きられてしまう恐れがあるからです。
サステナブルな店舗デザインが話題を呼べば、集客と売上を期待できます。店舗経営と店舗運営との違いをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
世界的な問題解決に貢献できる
さらにサステナブルな店舗デザインには、世界的な問題解決に貢献できるメリットもあります。国際連合が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)に基づくと、具体的な事業内容や店舗デザインを明確化にしやすいです。
参照元:国連広報センター「SUSTANABLE DEVELOPMENT GOALS」
例えば「貧困をなくそう」という目標に基づいて、フェアトレードの商品を仕入れます。店舗経営に集客と売上は不可欠ですが、市場が成り立たなくては事業を継続できません。長期的な市場安定のためにも、サステナブルな店舗のデザインが必要です。
サステナブルな店舗をデザインするデメリット
サステナブルな店舗のデザインにはメリットがある一方で、デメリットもあります。サステナブルな店舗をデザインするメリットを最大限に活かせるように、デメリットを対策しておきましょう。
コストがかかる
サステナブルな店舗をデザインするデメリットとして、まずコストがかかる点が挙げられます。サステナビリティを考慮すると、商品の生産に時間がかかったり、内装工事費が高くなったりしやすいからです。例えば飲食店でプラスチックではなく木製ストローを提供すると、消耗品費がかさみます。
ただしサステナブルな商品を提供して話題性や高級感を演出できるため、店舗の付加価値を高めることが可能です。中長期的な視野で見れば、サステナブル製品の使用量が増えれば、製造側の生産性が上がり製品の販売価格が下がります。
参考:朝日新聞「神奈川)木製ストロー、価格はプラの100倍 勝算は?」
なお店舗の開業や経営には、開業資金や運転資金が必要です。店舗経営の投資回収についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
経営方針に理解を得なくてはならない
次に経営方針に理解を得なくてはならない点も、サステナブルな店舗をデザインするデメリットです。店舗の経営方針を説明なく変えると固定客が離れたり、従業員が内容を理解できずに成果を出せなかったりする恐れがあるからです。
したがってアンケート調査を実施して顧客のニーズを把握したり、サステナブルな店舗デザインを宣伝したりしましょう。また従業員の理解を深めるためには、研修や情報共有の機会を計画してください。
販売機会を損失する恐れがある
加えて販売機会を損失する恐れがある点も、サステナブルな店舗をデザインするデメリットです。サスティナビリティに考慮した商品・サービスの販売価格が高いと、顧客が購入を避ける恐れがあります。
販売機会損失の対策として、サステナビリティに対する商品・サービスの貢献度合いを明記したうえで、商品・サービスの質に問題がない点を説明します。例えばサステナビリティやSDGsなどの専門用語を説明したり、「素材の変更によって自然環境が守られている理由」などの具体例を入れたりしてください。
なお店舗へ集客する方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
サステナブルな店舗をデザインするポイント
メリット・デメリットを把握したうえで、サステナブルな店舗をデザインするポイントをご紹介します。店舗の予算やコンセプトに基づいて、サステナブルな取り組みを検討しましょう。
エコ素材を選ぶ
サステナブルな店舗をデザインするポイントとして、まずエコ素材を選びましょう。店舗の内装や設備に環境負荷の少ない素材を選択することで、サステナブルな店舗をデザインできます。
例えば「再利用可能な素材」(ペットボトルやガラスなど)からできた壁紙が販売されています。また「バイオベース素材」(植物の非可食部分などが原料)からできたイスやテーブルなども購入可能です。
ただし店舗のコンセプトに合わせて、内装材や什器を選定しましょう。店舗におしゃれな什器を選ぶポイントについて詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
再生可能エネルギーを活用する
次に再生可能エネルギーを活用する点も、サステナブルな店舗をデザインするポイントです。温室効果ガスを減らして限りある資源を守る取り組みにつながります。例えば太陽光パネルと蓄電機を店舗に施工することで、店舗で使用する電気を蓄えることができます。
また大きな窓をデザインして自然光を取り入れれば、照明にかかる電気量を減らすことが可能です。照明をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
居抜き物件をリノベーションする
さらに居抜き物件をリノベーションする点も、サステナブルな店舗をデザインするポイントになります。居抜き物件に施工されている内装や設備を再利用すると、環境負荷の軽減につながるからです。
日本には850万ほどの空き家があるという平成30年の調査結果が示すように、全国に古くなって使われない物件があります。
参考:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査特別集計」1ページ
そこで日本の伝統的な建築様式で建てられた物件をリノベーションすることで、店舗独自の強みとして活かすことが可能です。古民家をリノベーションしたカフェ(古民家カフェ)の特徴についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
地産地消を実践する
加えてサステナブルな店舗をデザインするポイントとして、地産地消を実践しましょう。店舗開業エリア内で生産・製造された農作物や商品、内装材などを調達することで、地域経済を活性化させながら輸送コストを減らせます。
例えば店舗の内装に造作するカウンターや商品棚などを、地域の木材で施工しましょう。また取り壊す店舗の内装や設備の状態が良ければ、別の店舗で再利用できます。特に飲食店において全ての原材料を地産地消できなくても、地産地消の限定メニューを提供できます。
リサイクル品や中古品をメンテナンスする
そしてリサイクル品や中古品をメンテナンスする点も、サステナブルな店舗をデザインするポイントです。壊れたらすぐに廃棄するのではなく、リサイクルやメンテナンスすることで廃棄量を減らせます。
例えば中古の厨房設備機器を購入しても、メンテナンスすることで中長期的に使うことが可能です。新品を購入するよりも、コストがかからないメリットがあります。またアンティークの什器を選ぶことで、高級感やレトロ感を演出できます。
ただしリサイクル品や中古品の思わぬ故障で業務が中断することのないように、注意してください。店舗の内装や設備には耐用年数がありますので、次の記事も併せてご覧ください。
サブスクリプションを取り入れる
引用元:ECOALF「ECOALF 渋谷スクランブルスクエア」
またサブスクリプションを取り入れて、サステナブルな店舗をデザインすることもできます。毎回購入してもらうのではなく、商品・サービスを使用できる期間と料金を定めることで、無駄な消費を抑制しながら安定した売り上げを獲得できるからです。
例えば花屋では、売れ残って廃棄が近づく花をアレンジして顧客に届けるサブスクリプションを企画できます。廃棄量を減らしながら、顧客に毎回異なるフラワーアレンジメントを楽しんでもらえます。
また修理・修繕した服や家具を顧客に貸し出すサブスクリプションも提供可能です。顧客が支払いやすい期間と料金を設定しましょう。
インテリアを工夫する
またサステナブルな店舗をデザインするポイントとして、インテリアを工夫しましょう。顧客の目に留まりやすいインテリアをとおして、サステナビリティへの取り組みをアピール可能です。
例えば差別や貧困などの社会問題に向き合う人たちの作品などを店内に飾って、社会の連帯感を創出できます。また廃棄予定の着物を使って、店舗のコンセプトに合致するパネルなどをデザインすることも可能です。
なおガラスや和紙といったリサイクル素材の照明やカーテンも販売されています。店舗の内装全体に必要ないため、予算を踏まえてピンポイントでデザインしましょう。
廃棄量を削減する
加えて廃棄量を削減する点も、サステナブルな店舗をデザインするポイントです。環境負荷の軽減だけでなく、店舗のコスト無駄にもつながります。
特に飲食店においては、食品ロスを減らしましょう。メニューの売れ行きに応じて仕入れる食材の量を調節できれば、原価率を下げられます。原価率を押さえるポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
商品の包装を最小限にする
また商品の包装を最小限にする点も、サステナブルな店舗をデザインするポイントです。不必要な包装を減らせば、ゴミの減少につながります。
例えば顧客に対してマイバッグの持参を推奨しましょう。また商品の包装に過剰なラッピングを避けて、古紙でできた緩衝材を入れたり、植物由来のプラスチック素材に置き換えたりしましょう。
ただし全ての商品を同じように包装すればよいわけではありません。割れ物のお祝いの品物などによっては、臨機応変な対応が求められます。
幅広い顧客層のニーズに応える
なおサステナブルな店舗をデザインするポイントとして、幅広い顧客層のニーズに応える点も忘れてはなりません。幅広い顧客層の生活行動や趣味嗜好などを想定して、店舗デザインや商品・サービス開発を進めましょう。
例えばベジタリアンやビーガン(動物性の食品や商品を消費しない人)といっても、一括りにはできません。動物性由来の食品はもちろん、動物実験をして開発された商品や動物の毛が使われた衣類なども求めない顧客層がいます。
ベジタリアンやビーガンの認証マークの付いた商品を揃えることで、ベジタリアンやビーガンへの配慮をアピールできます。ただし全顧客層に対応することはできないため、店舗で扱う商品・サービスの全体的なバランスを考慮しましょう。
参照: VegeProject Japan「ベジタリアン・ヴィーガン認証マーク」
サステナブルな店舗の事例
理想的な店舗をデザインする参考情報を集めるために、サステナブルな店舗の事例を調査しましょう。いくつかの店舗を取り上げながら、自店舗の取り組みに活用できるように、デザインポイントが活かされている部分をご紹介します。
自然に囲まれた環境配慮型のカフェ
引用元:Starbucks Stories Japan「より環境に配慮した店舗「Greener Stores」日本1号店、皇居外苑 和田倉噴水公園店で体験するサステナビリティ」
「スターバックスコーヒー皇居外苑和田倉噴水公園店」様は、自然に囲まれた環境配慮型のカフェです。立地の雰囲気に調和させながら、サステナブルな店舗としてデザインされました。エコな内装材はもちろん、食品ロスも出ないように工夫されています。
国産の木材でデザインされたテーブルやイスは、経年変化の深みを感じさせます。廃棄予定だったガラスや漁の網がインテリアや照明に取り入れられている点も、特徴的です。使い捨てないマイカップやタンブラーの購入による割引も導入されています。
女性のニーズが取り入られた物販店
「style tableコレド日本橋店」様は、女性のニーズが取り入れられた物販店です。「サステナブルな商品を選びたいけど、何を基準にすれば良いかわからない」といった女性の声を受けて、各商品に選定基準が設けられています。
また店内の内装や什器などは白やベージュに統一されており、落ち着いた雰囲気です。国産の原材料を使用した化粧品や廃棄予定の野菜から作られたクレヨンなどが、木材の商品棚にディスプレイされて販売されています。
地産地消にこだわったレストラン
「Nœud. TOKYO 」様は、地産地消にこだわったレストランです。地域とのつながりを大切にしてメニューが開発されており、各食材と地域とのつながりが表現されています。食品ロスを最小限に抑えるために、仕入れ状況によってメニューが変更されます。
厨房を囲むL字のカウンター席は、国産の杉材でデザインされています。また安土桃山時代の土を使った内壁も、特徴的です。カウンター席に座る顧客に調理風景を楽しんでもらえるように、内装空間がレイアウトされています。
エコ素材からできた商品を販売するアパレルショップ
引用元:ECOALF「ECOALF 渋谷スクランブルスクエア」
「ECOALF 渋谷スクランブルスクエア」様は、エコ素材からできた商品を販売するアパレルショップです。ポリエステルやペットボトルなどがリサイクルされた服やサングラスなどが陳列されており、店舗のコンセプトが内装に表現されています。
例えば床下のガラスに、海洋ごみとして問題になっているペットボトルや漁網が埋め込まれています。商品の原材料をアピールするために、加工途中のチップやペレットも展示されている点が特徴的です。内壁には、店舗のコンセプトであるサステナビリティに関するメッセージがプリントされています。
環境保護を重視する美容室
引用元:Lond「Hair salon Lond rouge」
「Lond rouge 銀座」様は、環境保護を重視する美容室です。「脱プラスチック」が掲げられてレジ袋が廃止され、シャンプーが量り売りされています。従業員によるマイボトル持参を推進するために、グループ全体で給水所に登録されています。
ニューヨークをイメージしてデザインされた店内には、自社オリジナルのサステナビリティに関する冊子が配置されています。ビーガンの顧客層に対応するため、認証マークの付いたヘアカラーやトリートメントに変更できるプランも特徴です。
集客できるサステナブルな店舗をデザインしよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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