2022.08.24  2022.08.15|新規開業ノウハウ

間借りとは?飲食店を間借りするメリット・デメリット、営業許可、賃貸物件

間借りとは?飲食店を間借りするメリット・デメリット、営業許可、賃貸物件

本記事で、飲食店の間借りについて解説していきます。メリット・デメリットや営業許可の申請や賃貸物件の選び方についてご紹介していきます。

「飲食店の営業でよく聞く間借りとは何?」「間借りするのに営業許可証は必要?」とお悩みではありませんか。飲食店の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

間借りとは?

間借りとは?

間借りは、既存飲食店の営業時間外に厨房やフロアを借りる営業形態です。飲食店やサロン、物販店などに導入できる業態で、副業として限定された時間帯だけ営業したい場合や初期費用を抑えて開業したい場合に適しています。

クラウドキッチンやシェアキッチンとの違い

間借りとクラウドキッチンやシェアキッチンとの違いは、利用できる時間帯と食事の提供形態です。飲食店を間借りできる時間帯は既存飲食店の営業時間外に限られますが、イートインやテイクアウトでもデリバリーでも提供できます

クラウドキッチンは、ダイニングフロアのないキッチン施設です。複数の経営者によって利用される場合には、利用時間帯を調整しなくてはなりません。基本的にイートインスペースが施工されていないため、デリバリーのみで提供することになります。

シェアキッチンは、複数の経営者でシェアできるキッチン施設です。利用時間帯を他の経営者と調整しなくてはなりません。イートインスペースが施工されていれば、イートインやテイクアウトでもデリバリーでも提供できます。下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

バーチャルレストランやゴーストレストランとの違い

間借りとバーチャルレストランやゴーストレストランとの違いは、実店舗の有無と食事の提供形態です。飲食店を間借りする場合には、実店舗のイートインやテイクアウトでもデリバリーでも提供できます

バーチャルレストランは、実店舗を営業しながらデリバリー限定メニューを提供する飲食店です。配達員を雇ったり、フードデリバリーアプリを利用したりして営業されます。

ゴーストレストランは、実店舗を所有しないデリバリー専門の飲食店です。シェアキッチンやクラウドキッチン、フードデリバリーアプリなどを利用して営業されます。下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

以上を踏まえると、飲食店のキッチンを間借りしてデリバリーのみで提供する場合には、ゴーストレストランと同じ業態といえます。

間借りして飲食店を営業するメリット

間借りして飲食店を営業するメリット

間借りして飲食店を営業するメリットは、いくつもあります。主なメリットをご紹介しますので、集客と売り上げを伸ばすために営業に活かしましょう。

経費を抑えられる

まず間借りは既に営業している店舗のスペースや設備、什器などを借りるため、物件取得費や内装工事費などの経費を抑えられます。間借りする期間の分だけ(例えば週20時間分など)、賃料を支払うことになります。

一方で実店舗を開業する場合には、物件取得費と内装工事費が開業費用の半分近くを占めます。飲食店開業資金の内訳について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

移転しやすい

次に間借りなら短期間の契約が可能なため、営業開始後に客層や立地などが合致しないと判明した場合に、別のエリアや店舗へ移転しやすいです。一方で店舗の賃貸借契約では中長期的な契約期間が定められており、契約期間中に解約すると違約金が発生する場合があります。

ただし同じエリア内で移転を繰り返すと、経営者としての信頼感や営業の継続性に対するリスクが伴います。市場調査をしてエリアやターゲットを絞ったうえで、間借りする飲食店のコンセプトを設計しましょう。

集客しやすい

さらに間借りなら既存店舗の顧客に対して宣伝広告活動できるので、集客がしやすいです。顧客からの信頼度が高い店舗であれば、営業開始当初から集客を期待できます。間借りの契約条件を交渉する段階で、店舗の貸主に協力を依頼してみましょう。

具体的な宣伝広告活動として店舗内にチラシを設置させてもらったり、顧客に呼びかけてもらったりすることが挙げられます。また間借りする経営者と間貸しする経営者が連携すれば、コラボメニューや割引キャンペーンを企画することも可能です。

なおWeb集客のポイントについて下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

間借りして飲食店を営業するデメリット

間借りして飲食店を営業するデメリット

メリットを活かすだけではなく、間借りして飲食店を営業するデメリットも把握しておきましょう。主なデメリットを紹介しますので、集客と売り上げを失わないように対策しておきましょう。

営業時間を制限される

間借りして飲食店を営業するデメリットとして、まず営業時間を制限されます。「毎日フルタイムで営業したい!」「ランチとディナーを提供したい」と希望する場合は、間借り営業に適さないです。制限された営業時間の中で業種や業態を検討する必要があります。

まずは副業として間借り営業をスタートして、売上げを確保できるようになってから実店舗の所有を検討しましょう。間借り営業に慣れてくれば、営業時間を分けて複数の店舗を間借りすることも可能ですが、集客やコストの面から慎重に検討しなくてはなりません。

内装や厨房を自由に工事できない

また間借りする場合には基本的に飲食店経営者から許可を得られないため、内装や厨房を自由に工事できません。例えばカフェでパンを製造販売したくても、間借りするカフェにオーブンや発酵器が設置されていなければ、希望する業態を実現しづらくなります。

間借りする店舗と希望する業種・業態とのミスマッチを防ぐために、店舗物件の所有者と密な相談をしたり、複数の物件を候補に入れたりしてください。また間借りする物件の設備や内装を活かしながら、提供できるメニューやサービスを企画することも重要です。

固有の住所をもてない

さらに飲食店を間借りすると、固有の住所をもてないです。固有の住所をもてないと、Web上に店舗情報を掲載できなかったり、郵便物に関するトラブルを抱えたりする場合があります。デリバリーやテイクアウトのサービスに悪影響をもたらす危険性があります。

住所対策として、間借りする飲食店の所有者と相談して、郵便ポストを分けて設置してもらったり、Webサイト上に店舗情報を掲載する許可を得たりしましょう。また固有の住所を取得したい場合には、間借りではなくクラウドキッチンやシェアキッチンの利用もご検討ください。

間借りする飲食店の営業許可

間借りする飲食店の営業許可

間借りして飲食店を経営するメリット・デメリットを確認したところで、間借りする飲食店の営業許可について解説します。営業許可に関するトラブルを招かないように、注意点を確認しておきましょう。

飲食店の営業許可

基本的に、間貸しする側(物件所有者または飲食店経営者)が飲食店の営業許可を既に取得している場合には、間借りする側が改めて申請する必要がありません。間貸しする側に営業許可の有無を確認したうえで、営業許可申請の必要性について管轄する保健所に相談しましょう。

なお一般的に店舗物件に飲食店を開業する場合には、営業許可の申請が必要です。

菓子製造や酒類提供などの営業許可

次に、パン屋やバー、キャバクラなどを開業するために飲食店を間借りする場合には、菓子製造や酒類提供、社交接待などの営業許可を追加で申請しなくてはならない場合があります。間貸しする側が既に取得している営業許可を確認して、営業したい業種や業態について相談しましょう。

食品に関する営業許可は、食品衛生法によって業種ごとに分類されています。例えばパン屋やケーキ屋などを開業するためには、菓子製造の営業許可が必要です。飲食店の営業許可申請について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

深夜に酒類や遊興を提供するバーや居酒屋を開業したい場合には、風営法に基づいて営業許可を申請する必要があります。酒類や遊興を提供する飲食店の営業許可について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

顧客を接待するキャバクラを開業するためには、社交飲食店の営業許可が必要になります。社交飲食店の営業許可について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

支援金や給付金の申請に必要な営業許可証

さらに支援金や給付金を申請するためには、基本的に独自の営業許可証が必要です。支援金や給付金の受給条件として、基本的に営業許可証を取得していることが求められるからです。

例えばコロナ禍において、自治体からの営業時間短縮要請に応じた事業者に対して、支援金や給付金が支払われました。しかし営業許可を取得していない間借り営業の事業者が対象外とされる場合がありました。

参考:仙台市「感染症拡大防止協力金(第4期)よくあるお問い合わせ」(8ページ【Q②-26】)

支援金や給付金などを受給できない結果として、売上げの補填ができずに経営が苦しくなる危険性があります。災害や感染拡大などに備えて支援金や給付金の受給要件を満たせるように、営業許可申請を検討しましょう。飲食店が申請できる補助金や助成金について下の記事をご覧ください。

営業許可の申請方法

なお営業許可の申請方法について、事前にご確認ください。営業許可を申請するには、食品衛生責任者の資格取得が必要です。食品衛生責任者の資格取得後に、管轄する保健所に営業許可を申請すると、担当者が検査に訪れます。

検査では、厨房設備などの基準を満たしているかをチェックされます。検査基準を満たさない点が指摘されたら、改装工事が必要になる場合があります。営業許可証を交付されない状態で営業すると法令違反に該当するため、罰則を受ける危険性があります。

参考:e-GOV法令検索「食品衛生法」(五十五条)

なお営業許可の申請方法について下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

間借りする飲食店の物件探しと賃貸借契約

間借りする飲食店の物件探しと賃貸借契約

間借りする飲食店の営業許可について把握したところで、物件探しと賃貸借契約のポイントもご確認ください。ポイントを押さえて、希望条件に合致する物件を効率的に見つけましょう。

店舗物件紹介サイトを利用する

店舗物件紹介サイトを利用することで、空き物件情報を効率的に集めることができます。店舗物件紹介サイト種類として、店舗や住宅などを含む不動産全般を扱うサイトや飲食店の居抜き物件に特化したサイトなどが運営されています。

同じ賃貸物件の情報が複数のサイトに紹介されている場合あれば、特定のサイトのみで取り扱われている場合もあります。できるだけ豊富な選択肢の中から希望条件に合う物件を探せるように、複数のWebサイトを確認してください。

また会員登録して希望条件を入力しておくと、新着物件情報をメールで知らせてくれるサイトもあります。一度営業を始めても移転や店舗増加をする場合がありますので、常に物件情報を集めておきましょう。

地域の不動産屋に相談する

間借り営業を始める地域の不動産屋に相談する点も、物件探しのポイントです。地域の賃料相場や希望条件にマッチする物件を調べるために、不動産ポータルサイトへアクセスしてください。開業する業種や出店する地域、広さ、賃料などから物件情報を絞り込むことができます。

条件に合う物件が見つかったら、不動産ポータルサイトを通じて不動産屋にお問い合わせください。内覧を予約できたり、相談のために来店予約できたりします。不動産屋に相談することで、Web上に公開されていない物件を紹介してもらえる場合もあります。

一度不動産会社に相談して連絡先を伝えておくことで、条件に当てはまる物件を探してもらったり、新たな物件を優先的に紹介してもらったりできます。長期的な経営を考えて、信頼できる不動産屋を見つけて関係を築いていきましょう。

賃貸借契約の条件を交渉する

店舗物件紹介サイトや地域の不動産屋を通じて間借りできる物件を紹介してもらったら、賃貸借契約の条件を交渉しましょう。物件所有者(かつ店舗経営者)から間借りする場合には、営業時間や厨房設備の使用、間借り期間などに関する条件を直接交渉できます。

一方で物件転貸人(かつ店舗経営者)から間借りする(転貸借してもらう)場合には、物件所有者が許可する範囲内で条件が設定されています。営業時間や営業許可などについては店舗経営者と直接交渉できますが、厨房設備の使用や間借り期間などについては店舗経営者を通じて物件所有者と間接交渉しなくてはならない場合があります。

なお店舗物件の探し方について詳しくまとめてありますので、下の記事も併せてご覧ください。

飲食店の間貸しも可能!

飲食店の間貸しも可能!

間借りについて解説してきましたが、飲食店を所有・賃貸している場合には間ししが可能です。飲食店の営業時間外に他の経営者へ間貸しすることで、賃料負担を軽減できます。間貸しするときのポイントをご確認ください。

賃貸物件の転貸借契約を結ぶ

賃貸している物件を転借する際は、貸主と転貸借契約を結ぶ必要があります。物件所有者から許可を得る必要があると民法に定められています。許可を得る場合には、転貸借契約書を作成しなくてはなりません。

引用:e-Gov法令検索「民法」(612条

したがって物件所有者の承諾を得ずに転貸をすると法令違反になりますので、貸主との間でトラブルを抱える危険性があります。短期間であっても許可なく転貸することがないようにご注意ください。もちろん土地と物件を所有しているのであれば、所有者の責任の下に間借り契約を結ぶことが可能です。

間借りしてくれる経営者を探す

間貸しをするにあたって、間借りしてくれる経営者を探す必要があります。所有する物件や物件所有者から許可を得た物件であれば、間貸しを募集することができます。借主を探す方法には紙媒体の広告や雑誌、SNSアカウント、友人や知人からの紹介などがあります。

またWeb上で間貸ししたい人と間借りしたい人をつなげるマッチングサイトも運営されています。会員登録と物件情報入力をすれば利用できますので、ご利用をご検討ください。ただし登録料や紹介料が発生する場合がありますので、利用条件を確認することが重要です。

賃貸借契約を結ぶ

借主が見つかったら、書面で賃貸借契約を結んでください。営業停止などのトラブルを回避するために、間借りの条件(食品衛生責任者の設置や営業許可の取得、間借りの期間など)を細かく設定しておきましょう。

特に営業中に食品衛生責任者を設置する必要があるので、間借りする店舗の経営者も設置するように条件を設定しなくてはなりません。

参考:神奈川県「食品衛生責任者を設置してください!」

契約条件を細かく設定する理由は、不測の事態が発生して物件の貸主として損益を受けないためです。貸主として副収入を期待できるように、借主の事業計画を確認したうえで契約を結びましょう。

条件の合う飲食店を間借りして営業しよう!

条件の合う飲食店を間借りして営業しよう!

間借り営業は、経費を抑えながら集客できる業態です。営業時間や厨房設備、営業許可のポイントを押さえたうえで、条件の合う飲食店を間借りして営業しましょう。

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店舗の開業や移転、リニューアルなどを検討されている方は、ぜひご相談・お問い合わせください。

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監修者

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