2022.10.05  2022.10.14|新規開業ノウハウ

飲食店居抜き物件の探し方!賃貸借契約の注意点やトラブルの原因と対策

飲食店居抜き物件の探し方!賃貸借契約の注意点やトラブルの原因と対策

本記事では、飲食店居抜き物件の探し方を解説します。飲食業開業のトレンドや賃貸借契約の注意点・トラブル対策についてもご紹介します。

「飲食店を開業できる居抜き物件をどうやって探せばいい?」「賃貸借契約のトラブルを避けたい!」とお悩みではありませんか?飲食店の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

居抜き物件の特徴

居抜き物件の特徴

居抜き物件の特徴は、営業を開始できるように一定の内装や設備が整備されている点です。居抜き物件には旧借主が施工した造作(内装や設備や什器など)が残されおり、一般的に新借主が譲渡料を支払うことで賃貸借する物件の造作を利用できます。

なお飲食店の内装や設備を一からデザインしたい場合は、スケルトン物件(建物の構造体だけの状態)をご検討ください。居抜き物件とスケルトン物件の違いについて下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

居抜き物件に飲食店を開業するメリット・デメリット

居抜き物件に飲食店を開業するメリット・デメリット

居抜き物件に飲食店を開業するメリットは、内装や設備の工事や什器の購入が少なくて済む点です。開業準備の費用と時間の節約に繋がります。特に厨房設備費は、飲食店開業費用の中で大きな割合を占めます。

したがって厨房設備が残っている居抜き物件ならば、飲食店開業費用を大幅に削減可能です。「初期投資を減らしたい」「店舗の開業予定日まで時間がない」という場合に、居抜き物件が向いています。

しかし居抜き物件に飲食店を開業するデメリットとして、内装や設備がある程度施工されているためデザイン自由度が減る点が挙げられます。譲渡される内装や設備の劣化が激しいと、解体や改装が必要になる場合もあります。

なお新しい内装や設備を施工する場合には、物件貸主からの許可が必要になる場合があります。他にも居抜き物件に飲食店を開業するメリット・デメリットがありますので、下の記事も併せてご覧ください。

飲食店開業のトレンド

飲食店開業のトレンド

新型コロナ感染拡大により、飲食店に対する需要が変化しています。外食より宅食を希望する顧客もいるため、飲食店の開業準備を始める前にトレンドを把握しておきましょう。

業態がコロナ禍に変化している

飲食店の業態は、コロナ禍に変化しています。全国的にコロナ感染者が増えると、カフェや居酒屋、フルサービスレストランなどの業績が、営業を自粛した分だけ低下しました。反対にファーストフード店やファミリーレストランの業績は、テイクアウトやデリバリーの注文を受けることで堅調でした。

参考: 一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査2022年7月度結果報告」

またリモートワークの広がる中で、オフィス街から郊外に飲食店の新規出店が流れています。郊外に飲食店を開業する場合には、効果的な集客方法を活用することが必要です。Web集客方法(グルメサイトやSNS、LINE等の活用)についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

小さな飲食店の需要が増えている

コロナ禍以降の飲食店業界では、小さな飲食店の需要が増えています。テイクアウトやデリバリーの専門店が開業されてきました。ダイニングフロアの施工されないテイクアウトやデリバリーを提供するゴーストレストランについてまとめてありますので、下の記事も併せてご覧ください。

10坪前後の小さな物件なら賃料や内装工事費を抑えられるため、初めて飲食店を開業する経営者に適しています。また10坪以下の小さな飲食店なら数名で営業可能ですので、人件費も抑えやすいです。飲食店開業資金の内訳と計算について下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

小さな飲食店の施工事例

開業したい理想的な飲食店をデザインできるように、施工事例を調査しましょう。居抜き物件に開業した飲食店施工事例については別の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

今回は小さな飲食店が開業されているトレンドを踏まえて、IDEALが施工した小さな飲食店の施工事例2点をご紹介します。

気軽にテイクアウトできる飲食店

気軽にテイクアウトできる飲食店

本格タコスをイートイン&テイクアウトで楽しめる「Nub」様。気軽にテイクアウトできる飲食店を演出できるように、店内の様子が分かるガラス張りの出入り口が施工されています。天井の骨組みをあえて剥きだしにして高さを出すことで、店舗の狭さがカバーされています。

また白を基調にした内装空間に、ゴールドの優しい灯りが照らされています。おしゃれで温かみのある空間を演出できるように、ワンポイントとなるウッドタイルが施工されています。 

ロングカウンターで商品を提供する飲食店

ロングカウンターで商品を提供する飲食店

「&chill」様は、5坪の物件内に造られたタピオカと紅茶のドリンクスタンド店です。男女問わず入りやすい雰囲気を出せるように、外装はクリーミーカラーに配色されています。

ドリンクのテイクアウトに特化した店舗のため、販売スペースには2.5mのロングカウンターが施工されただけのシンプルなデザインです。顧客から口コミを拡散してもらえるように、SNS映えするサインがカウンター横に施工されています。

飲食店居抜き物件の探し方

飲食店居抜き物件の探し方

開業したい飲食店のイメージを固めたら、実際に居抜き物件を探し始めましょう。店舗物件全般に共通する探し方のポイントは次のとおりです。

  • 市場調査を踏まえて出店エリアを絞る
  • 店舗物件情報のWebサイトを利用する
  • 出店予定エリアの不動産会社に相談する
  • 友人や知人などから紹介してもらう
  • 自治体や商工会議所に相談する
  • 内装工事業者に相談する

上記のポイント以外にも飲食店居抜き物件に特有の探し方がありますので、いくつかご紹介します。

同じ業態の居抜き物件を探す

まずは同じ業態の居抜き物件を探しましょう。可能であれば内見に内装業者に同行してもらい、譲渡される設備や内装の状態を確認してもらうと安心です。

同じ飲食店でも、業態が異なれば必要な厨房設備や什器は異なります。以前ダイニングレストランだった居抜き物件にカレーのテイクアウト専門店を開業しようとしても、コンロや作業台を追加購入したり、ダイニングスペース分の余分な賃料を支払ったりしなければなりません。

また業態が異なるために調理や接客の動線に不具合が出る場合には、厨房設備のレイアウト変更や改装工事が必要になります。工事費用が追加されると、せっかく居抜き物件を活用するメリットが得られません。

希望条件に優先順位を付けておく

また希望条件に優先順位を付けておいてください。開業する飲食店のコンセプトから「譲れない条件」と「妥協できる条件」を明確にすることで、少しでも理想に近い居抜き物件を見つけることができるからです。

立地や賃料の条件がよい居抜き物件は人気が高いため、すぐに契約済みになる可能性が高いです。物件選びの優先順位を付けておけば、理想に近い物件を見つけたときに瞬時に対応できます。

物件の条件として立地や広さ、家賃、譲渡される内装・設備などがあります。ターゲットにする顧客層に応じて物件の位置(路面店か空中店か)やユニバーサルデザイン(階段やエレベーター、駐車場など)も考慮する必要があります。

飲食店居抜き物件の賃貸借契約における注意点

飲食店居抜き物件の賃貸借契約における注意点

開業したい飲食店のコンセプトに合う居抜き物件を内覧できたら、賃貸借契約を申し込みます。飲食店居抜き物件の賃貸借契約に特有の注意点がありますので、ご確認ください。

譲渡される内装や設備の状態を確認する

まず譲渡される内装や設備の状態を確認してください。内覧をするときに、譲渡される内装や設備が実際に使用可能であるかを確認することが大切です。特に排水管からの水漏れや電気系統の異常、冷凍冷蔵庫の破損などにご注意ください。

内装や設備の劣化や破損がある場合には、解体や修繕の費用負担について貸主または旧借主と交渉が必要です。飲食店に必要な厨房設備・機器・什器についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

設備・機器の容量や性能を確認する

次に設備・機器の容量や性能を確認するように、ご注意ください。業態によって調理に必要な設備・機器の容量や性能が異なるからです。開業する飲食店で提供するメニューをデザインしたうえで、各設備・機器を確認しましょう。

例えば電気調理器具を使用する飲食店の電力容量が足りないと、容量を増やす電気工事が必要になったり、開業後の電気代が高くなったりする危険性があります。

また厨房施設の水圧も重要で、給湯器の容量が少なくお湯が勢いよく出ないと、給湯器の交換が必要になります。さらに調理による臭いや煙が大量に出る飲食店には、給排気設備の換気量も調べておきましょう。

造作譲渡料・賃料の値下げを交渉する

さらに造作譲渡料・賃料の値下げを交渉しましょう。

値下げ交渉に最適な時期は、旧借主の退居予定日が近まったころです。旧借主は退居予定日までに新しい入居者が決まらないと、原状回復工事を行わなければいけません。原状回復工事を避けたい場合には、造作譲渡料の値下げを受け入れてくれる可能性があります。

また造作譲渡を「厨房設備一式」と提示されたる場合には、不必要な設備・機器まで譲り受ける危険性があります。不要な設備の処分費用を負担してもらうことで、物件取得費の削減を図ることも可能です

なお造作譲渡料の値引き交渉を旧借主と行いますが、賃料の値引き交渉については貸主と行います。貸主としては旧借主の退居後に継続した賃料を確保し続けたいため、早期に新借主との契約を望んでいます。交渉次第では、長期契約を結ぶ場合に数か月分の賃料を無料としてもらえる場合もあります。

飲食店居抜き物件にまつわるトラブルと対策

飲食店居抜き物件にまつわるトラブルと対策

飲食店居抜き物件の賃貸借契約における注意点を押さえたうえで、居抜き物件にまつわるトラブルをご紹介します。思わぬトラブルを招いて集客や売り上げを下げないために、対策しておきましょう。

内装や設備のトラブル

内装や設備のトラブルとして、水回りの故障があります。実際に営業を開始してから、排水管の詰りに気づく場合があります。対策としては、居抜き物件の賃貸借契約を結ぶ条件として、排水管の高圧洗浄を求めてください。高圧洗浄費は数万程度ですので、条件に同意してもらいやすいです。

また内装の壁をよく見たら汚れやシミが目立っており、クロスの張り替えが必要になる場合があります。対策として、契約前に隠れた部分まで内装をチェックしてから、造作譲渡料を支払いましょう。居抜き物件の造作譲渡契約についてまとめてありますので、次の記事もご覧ください。

近隣の住民・店舗とのトラブル

飲食店居抜き物件では前店舗の良い評判だけではなく、クレームを引き継ぐ場合もあります。主なクレームの原因として、飲食店からの煙・音・臭いなどです。近隣の住民・店舗とのトラブルの有無は、居抜き物件を内覧しても把握できません。

近隣トラブル対策として、居抜き物件の賃貸借契約前に事前調査を行いましょう。居ぬき物件周辺の住民や店舗経営者、仕入れ業者などに対して、前店舗の評判やトラブルについてインタビューします。ただし相手方に失礼がないように、インタビューの時期や方法をご検討ください。

廃棄物処理のトラブル

旧借主が店舗を退居する際に、廃棄物が処理されていない場合があります。悪臭や害虫の原因になりますので、飲食店として避けたいトラブルです。

廃棄物処理対策として、旧借主と造作譲渡契約を結ぶ際に、廃棄物処理に関する条件を設定しておきましょう。口約束ではなく書面に残すことで、トラブルを回避しやすくなります。

賃貸借契約のトラブル

飲食店を開業してから物件を退居する場合に、スケルトン状態に戻す原状回復義務を求められる場合があります。入居時に初期費用を抑えられても、退去時に原状回復工事費用を負担しなくてはなりません。

賃貸借契約トラブル対策として、賃貸借契約を結ぶ前に原状回復義務について交渉することが重要です。原状回復義務には内装・設備の解体だけではなく、廃棄処理も含まれます。賃貸借契約前に物件貸主に対して、居抜き物件による退居希望を明確に伝えておきましょう。

理想的な居抜き物件に飲食店を開業しよう!

理想的な居抜き物件に飲食店を開業しよう!

テイクアウト・デリバリーの需要に応えるためには、費用を抑えながら居抜き物件に小さな飲食店を開業できます。物件の探し方や賃貸借契約のポイントを押さえて、理想的な居抜き物件を選びましょう。

IDEALは飲食店を含む店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

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監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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