2024.12.29  2024.11.14|新規開業ノウハウ

旅行代理店の開業資金はいくら?経営者の年収・資格などのポイント・事例

旅行代理店の開業資金はいくら?経営者の年収・資格などのポイント・事例

本記事で、旅行代理店の開業資金を解説します。また経営者の年収・資格などのポイント・事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

旅行代理店の開業に関する基本情報

旅行代理店の開業に関する基本情報

旅行代理店の開業準備を計画する前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、計画を進めやすいからです。それでは旅行代理店の市場規模や主なサービス、区分と業態、経営者の年収をご紹介します。

市場規模

まず旅行代理店が参入している旅行業界の市場規模は、2022年に2.9兆円程度(国内旅行2.4兆円と海外旅行0.5兆円)でした。2019年まで4.5兆円程度だった市場規模は、コロナ禍(2020~2021年)に落ち込み、2022年から回復傾向にあります。

旅行代理店を含む旅行業者の数は2023年に9,500社程度で、半数以上が第3種の登録事業者でした。オンライン上で事業を展開する業者(Online Travel Agencyや旅行比較サイト)も存在します。旅行業の区分と業態については、後ほどご紹介します。

参照元:

株式会社CCイノベーション「業界レポート旅行業」(5~7ページ)

東京商工リサーチ「旅行業、コロナ前から2兆円の売上消失 6割以上の企業が最終赤字 全国の「旅行業」業績調査」

主なサービス

次に旅行代理店の主なサービスは、パッケージツアー(募集型企画旅行)や団体旅行(受注型企画旅行)、手配旅行(航空券・宿泊先の手配)の販売です。

ただし旅行業以外のサービス(イベントチケットやバス回数券などの販売)を提供する旅行代理店も存在します。また旅行者(消費者)ではなく、旅行業者の依頼を受けて航空券や宿泊先、ツアーガイドなどを手配する旅行代理店は、旅行サービス手配業者です。

参照元:

国土交通省「資料3国土交通省観光庁配布資料」(3ページ)

国土交通省「旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の登録制度が始まります」

区分と業態

それから旅行代理店は、旅行業法によって旅行業者(第1種・第2種・第3種・地域限定)と旅行業者代理業者に区分されています。区分によって、業務範囲(企画旅行と手配旅行)や登録要件(営業保証金と基準資産)が異なります。

参照元:観光庁「旅行業法概要」

旅行代理店の業態は、経営主体によって個人店とフランチャイズ加盟店に分類されます。自由な方針で経営できる個人店に対して、フランチャイズ加盟店は本部のブランド力やノウハウを活用できる業態です。

経営者の年収

そして旅行代理店の経営者の年収に関するデータは、Web上に掲載されていませんでした(2024年11月時点)。以下のページを参考にすると、1,000万円前後と推測されます。ただし経営者の年収は、店舗の立地や営業日数、店舗数などによって変動します。

参照元:

国税庁「第6表 企業規模別及び給与階級別の総括表(合計)」(11ページ)

KODATO「【中小企業1,314社の平均年俸を開示】社長の給料はいくら高くてもいいという勘違い①」

例えば月間売上300万円(利益率30%)の旅行代理店を1店舗経営するなら、経営者の年収は1,000万円以上です。

  • 月間売上300万円×12か月×利益率30%×1店舗=1,080万円

旅行代理店の開業ポイント

旅行代理店の開業ポイント

基本情報だけではなく、旅行代理店の開業ポイントも確認しましょう。8点(コンセプト・事業計画書と開業資金、立地・店舗物件、外観・内装デザイン・工事、設備・機器・什器、資格・免許・届出・許可、従業員の採用・研修、集客活動)をご紹介します。

コンセプト設計・事業計画書作成

まずコンセプト設計・事業計画書作成が、旅行代理店の開業ポイントとして挙げられます。店舗経営の基本方針であるコンセプトは、競合店との差別化や事業計画書の作成などに必要です。

設計したコンセプトに基づいて、事業計画書(開業資金の調達や経営の評価・改善などに活用される書類)を作成します。旅行代理店の開業にも活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業資金の調達

次に開業資金の調達も、旅行代理店の開業ポイントです。旅行業者の区分によって営業保証金や基準資産が定められており、開業前の初期投資(店舗物件取得費や設備・機器・什器購入費など)や開業後の運転資金(光熱水道費や人件費など)もかかります。

参照元:観光庁「旅行業法概要」

そこで自己資金だけで不足する場合には、開業資金の調達方法(出資や借入、融資、補助金・助成金)を検討しましょう。開業資金を調達する際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

立地・店舗物件の選定

続いて立地・店舗物件の選定も、旅行代理店の開業ポイントです。ターゲットとする顧客層や取り扱う旅行などに応じて、地域性や交通の利便性、道路からの視認性などを考慮しながら適した立地を選定します。

店舗物件はコンセプトを実現させるための手段であり、賃料は売上に占める利益率に影響を与えます。希望条件(賃料や規模、間取り、周辺環境など)を整理したうえで、店舗物件を選定しましょう。

外観・内装のデザイン・工事

それから外観・内装のデザイン・工事も、旅行代理店の開業ポイントです。店舗の外観は来店する顧客に与える第一印象を左右するため、ブランディング効果につながります。屋根や外壁、出入口、看板などのデザインを検討しましょう。

店舗の内装は顧客の満足度や従業員の業務効率を左右するため、コンセプトを実現させるために重要です。旅行代理店にも活用できる内装デザイン・工事の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

設備・機器・什器の手配

また設備・機器・什器の手配も、旅行代理店の開業ポイントです。旅行代理店のサービスに応じて、電気・ガス・水道・空調・換気・音響・映像などの設備・機器を手配します。子連れ客をターゲットにする場合には、キッズスペースも必要です。

設備・機器に加えて、ソファやチェア、テーブル、カウンター、陳列棚などの什器も手配します。旅行代理店にも活用できる什器の分類と入手方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

資格・免許取得・届出・許可申請

さらに資格・免許取得・届出・許可申請も、旅行代理店の開業ポイントです。資格・免許・届出・許可ごとに申請条件が異なりますので、必ず最新情報を確認しましょう。

  • 旅行業務取扱管理者の資格
  • 旅行業の登録
  • 旅行業協会への入会(入会を希望する場合)
  • 防火管理者の資格(該当する店舗物件の場合)
  • 個人事業主の開業届または法人の設立届
  • 社会保険・労働保険の加入(従業員を雇用する場合)

参照元:

観光庁「旅行業務取扱管理者」

観光庁「旅行業法概要」

国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」

厚生労働省「保険医療機関・保険薬局の指定申請」

厚生労働省「労働保険の成立手続」 

日本年金機構「事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」 

従業員の採用・研修

そして従業員の採用・研修も、旅行代理店の開業ポイントです。長時間営業する場合や多店舗展開する場合には、店舗営業を任せる従業員を雇用します。採用条件(職種や人数、スキルなど)を整理したうえで、募集を開始しましょう。

従業員採用日から店舗開業日までの間には、接客や旅行企画などに関する研修を計画します。旅行代理店にも活用できる人材採用のコツや研修の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

集客活動の計画

なお集客活動の計画も、旅行代理店の開業ポイントです。ターゲットとする顧客層に応じて、オンライン(WebサイトやSNSなど)とオフライン(ポスティングや雑誌広告など)の集客方法を組み合わせましょう

例えばSNS集客を展開する場合には、SNSの種類や投稿の内容などが重要です。旅行代理店にも活用できるSNS集客を展開するコツをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

旅行代理店の開業事例

ポイントを押さえて旅行代理店を開業できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(カフェ併設と書店併設、ショッピングセンター内、地元の魅力的な旅行、従業員割引)をご紹介します。

カフェ併設の旅行代理店

カフェ併設の旅行代理店

まず「旅くらぶ四季彩」は、カフェ併設の旅行代理店です。地元産の食材やツアー中に仕入れた地域の特産物を取り入れたメニューが提供されています。地元の活性化が、カフェ併設の目的です。

旅行代理店としては、国内旅行(石川県や北海道など)と海外旅行(モンゴルや韓国など)を取り扱っています。顧客に喜ばれる旅行の企画を目指している旅行代理店の開業事例です。

参照元:

株式会社旅くらぶ四季彩「会社概要」

KYODO「かつての特急停車駅、にぎわい取り戻したい 石川、カフェを備えた旅行代理店オープン」

書店併設の旅行代理店

次に「フクロコウジ」は、書店併設の旅行代理店です。旅行プランの販売や相談のサービスと併せて、旅行に出かける時間がない顧客に向けて、旅行に関する書籍や絵本などが販売されています。

地元の観光資源(温泉や湖など)だけではなく、歴史的な建造物(ハンセン病の関連施設)も活用して、旅行プランやツアーが企画されています。一般的な旅行に加えて、歴史を学ぶ観光も重視している旅行代理店の開業事例です。

参照元:

フクロコウジ「私たちの仕事」

KYODO「45歳、群馬の山あいに旅行代理店オープン 地元Uターンで奮起、書店も併設」

ショッピングセンター内の旅行代理店

ショッピングセンター内の旅行代理店

それから「プライムツアー」は、ショッピングセンター内の旅行代理店です。ショッピングセンターの4階に立地し、大手旅行会社のパンフレットが準備されているため、国内旅行も海外旅行も提案されています。

パッケージツアーだけではなく、オーダーメイド旅行の相談や航空券の手配などのサービスも提供されています。大阪府内に支店も展開されている旅行代理店の開業事例です。

参照元:

さかにゅー「【祝オープン】富田林市・エコールロゼ4階★カウンター店舗をメインとする予約不要の旅行代理店『プライムツアー』がオープンしているよ♪:」

エコール・ロゼ「プライムツアー」

地元の魅力的な旅行を販売する旅行代理店

地元の魅力的な旅行を販売する旅行代理店

続いて「キントウン・ツアーズ」は、地元の魅力的な旅行を販売する旅行代理店です。地元の九州地方(壱岐・対馬・ハウステンボス・五島列島・屋久島・種子島)のツアーが販売されています。

国内旅行だけではなく、海外旅行(九州から距離が近い韓国や台湾など)も取り扱っています。丁寧な接客や満足度の高い旅行の企画を大切にしている旅行代理店の開業事例です。

参照元:

号外NET 筑紫野市・太宰府市・朝倉市「【筑紫野市】ゆめタウン筑紫野に旅行代理店『キントウン・ツアーズ』が3月26日(土)にオープンしました♪」

キントウン・ツアーズ「GoTo Travel AREA」

従業員割引が導入された旅行代理店

従業員割引が導入された旅行代理店

そして「令和トラベル」は、従業員割引が導入された旅行代理店です。目的は「旅は人生を豊かにする」という魅力を従業員に体感させることで、海外旅行半額クーポンが支給されています。

従業員の福利厚生制度として、学習費用補助やストックオプション、フレックスタイム、短時間勤務などの制度も整備されています。海外旅行のアプリやパッケージツアーを提供している旅行代理店の開業事例です。

参照元:

PR TIMES「令和トラベル、『海外旅行が50%OFFになる人事制度』スタート」

令和トラベル「私たちについて」

旅行代理店の開業資金

旅行代理店の開業資金

事例のような旅行代理店を開業するためには、予算が必要です。そこで旅行代理店の開業資金の相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、開業資金の節約法も確認しましょう。

相場

まず旅行代理店の開業資金の相場は、坪単価50万〜100万円程度です。例えば月10万円で10坪の物件を貸借するなら、500万〜1,000万円程度の開業資金がかかります。ただし営業保証金と基準資産が別途必要で、旅行業の区分によって開業資金は変動します。

参照元:観光庁「旅行業法概要」

内訳

次に旅行代理店の開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、賃料月10万円で10坪の店舗物件に必要な開業資金を試算してありますので、ご覧ください。

資金の内訳各費用の目安費用の試算
物件取得費用
(敷金・礼金・前賃金)
全体の10%程度
(賃料の5~10ヵ月程度)
50万~100万円程度
(賃金月10万円で
10坪の店舗物件)
店舗デザイン・工事費
(内装や外観、
設備・機器・什器など)
全体の40%程度
(坪単価20万~40万円程度)
200万~400万円程度
諸経費
(開業前の資格・免許・
届出・許可や採用・研修、
集客など)
全体の40%程度250万~400万円程度
運転資金
(開業後の水道光熱費や
賃料、人件費など)
全体の10%程度
(賃料の5~10ヵ月程度)
50万~100万円程度
(賃金月10万円で
10坪の店舗物件)
合計100%
(坪単価50万~100万程度)
※営業保証金と
基準資産が別途必要
500万~1,000万円程度
※営業保証金と
基準資産が別途必要

上表のとおり、旅行代理店の開業資金においては、店舗デザイン・工事費と諸経費が大半を占めます。ただし営業保証金と基準試算が別途必要で、旅行業の区分によって大きく変動しますので、ご注意ください。

参照元:観光庁「旅行業法概要」

節約法

そして旅行代理店の開業資金の節約法は、相見積もりや居抜き物件・中古品・リース品、補助金・助成金などがあります。相見積もりを取って、各業者の見積もりや施工実績、接客対応などを比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。

居抜き物件を契約をして造作物を譲渡してもらったり、設備・機器・什器の中古品・リース品を活用したりすると、店舗デザイン・工事費用を削減できます。ただし居抜き工事や中古品・リース品にはデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧ください。

補助金・助成金の申請が通れば基本的に返済義務のない資金を獲得でき、例えば事業再構築補助金やものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、IT導入補助金などがあります。ただし補助金・助成金ごとに、申請条件が定められています。

参照元:日本旅行業協会「各種補助金制度や税制優遇情報」

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監修者

IDEAL編集部

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