2021.08.06  2023.05.09|店舗デザイン

店舗内装に木材を施工する効果と注意点!木材の種類・特徴・選び方も紹介

店舗内装に木材を施工する効果と注意点!木材の種類・特徴・選び方も紹介

本記事で、店舗内装に木材を使用する効果と注意点を解説します。店舗に施工できる木材の種類や特徴、選び方もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

店舗内装に木材を施工する効果

店舗内装に木材を施工する効果

店舗内装に木材を施工することで、視覚的な効果と心理的な効果を期待できます。それぞれの効果をより具体的にご紹介しますので、内装をデザインする前に参考情報としてご覧ください。

視覚的効果①:心を落ちつかせる

店舗内装に木材を施工する視覚的効果として、心を落ちつかせることを期待できます。木材は暖色系(茶やベージュなど)の色で、断熱性や調湿性などがあるからです。

参考:林野庁「木材は人にやさしい」

店舗に木材を施工することで、顧客に自然の温かみを感じ、穏やかな気持ちになってもらえます。顧客が落ち着いて店内で過ごしたいサロンや飲食店などの内装に、木材が適しています。

視覚的効果②:目に対する刺激を少なくする

次に目に対する刺激を少なくすることも、店舗内装に木材を施工する視覚的効果です。木材は、紫外線を吸収しやすいからです。木材から反射された光には、紫外線が含まれにくくなります。

参考:林野庁「木材は人にやさしい」

紫外線の刺激が少なくなることから、木材は目にやさしい内装材です。したがって自然素材の商品を扱う小売店や患者を診療するクリニックなどにも、木材は適しています。

視覚的効果③:独特の味わいを感じさせる

そして独特の味わいを感じさせることも、店舗内装に木材を施工する視覚的効果です。木材の細胞には微細な凹凸があり、表面に独特な模様が出ます。木材表面の模様は、切り方で変化します。

木材表面の模様には波や山などの種類があり、独特の味わいを感じさせます。競合との差別化を図り、店舗内装の独自性を表現したいときに、木材が適しています。

心理的効果①:特有の香りでリラックスさせる

店舗内装に木材を施工する心理的効果として、独特の香りでリラックスさせることが期待できます。木の香りには、「フィトンチッド」という成分が含まれます。フィトンチッドには、木に近寄る虫や菌などを殺菌する作用があります。森林浴をする人が木の香りをかぐと、気を鎮める効果を期待できます。

参考:農林水産省「フィトンチッドについておしえてください。」

またヒノキの香りのリラックス効果を測定する実験では、被験者の脳にリラックス効果が与えられました。

参考:千葉大学環境健康フィールド科学センター「木と人の関係 -サイエンスの視点から- 第7回『木の香りを嗅ぐと』」

心理的効果②:温かい店舗の印象を演出する

また温かい店舗の印象を演出することも、店舗内装に木材を施工する心理的効果です。樹木の年輪にはゆらぎが存在し、温かい印象を与えられます。内装空間の色合いが木材の色に近いほど、温かい印象を与えられます。

参考:一般財団法人 日本木材総合情報センター「木目の優しさ」

特に店舗内装においては、「顧客から見える木材の割合」(木視率)が30~40%だと、温かい印象(リラックス効果)を与えやすいです。店舗内装に木材を取り入れる割合をご検討ください。

参考:東京木材問屋協同組合「「木視率」という言葉をご存じでしょうか?」

心理的効果③:作業効率の向上を期待できる

そして従業員の作業効率の向上を期待できることも、店舗内装に木材を施工する心理的効果です。木材率の異なる空間で作業効率を比較する実験では、木材率が高い空間のほうが「作業効率が良い」「作業ミスが少ない」結果が得られました。

参考:平田 潤一郎(慶應義塾大学)「木質内装空間が自律神経状態を介して知的生産性に及ぼす影響に関する被験者実験」(3ページ)

従業員の作業効率が向上すれば、店舗運営に好影響を与えます。店舗内装デザインの際には、木材の施工率を検討しましょう。

店舗内装に施工できる木材の種類と特徴

店舗内装に施工できる木材の種類と特徴

木材を施工する効果を踏まえて、店舗内装に施工できる木材の種類と特徴もご紹介します。木材といっても種類が幅広く、種類ごとに特徴が異なるからです。開業する店舗の内装に適した木材を選びましょう。

ヒノキ

ヒノキは、昔から日本家屋などに使われてきた木材です。独特の綺麗な年輪があり、店舗内装に取り入れることで独自性のある空間を演出できます。

またヒノキ耐水性や耐湿性があり、店舗の内装に適しています。ただし価格が高いため、大量に使用するとコストがかさみます。

杉は、ヒノキと同様に、日本家屋などに使われてきた木材です。ヒノキに比べて強度や耐久性は劣りますが、価格が安いため店舗内装に取り入れやすいです。

特に目視できる部分に杉を施工すると、和風の雰囲気を演出できます。「和」をテーマにした居酒屋や小売店などの店舗に向いている木材です。

シナ

シナは、日本全国に分布する木材です。淡黄褐色が特徴的で、木目が目立ちません。また曲げに強くて軽量なため、家具などに適しています。

そしてシナは価格も安いため、店舗内装に施工しやすいです。ただし耐久性が低く、湿気に弱いため、注意が必要です。

桐は、軽い木材です。耐熱性や防腐性、防虫性があるため、家具に適しています。また断熱性や保温性に優れており、店舗内装の壁や床にも施工できます。

ただし桐の特徴として、傷が付きやすい点や変色しやすい点にご注意ください。店舗内装に施工する際には、塗装などの対策が必要です。

ブナ

ブナはヨーロッパや北アメリカでは「ビーチ」と呼ばれ、世界的に産出される木材です。ただし日本ではあまり産出されないため、輸入されています。

ブナは加工しやすく、肌触りが良いです。そのため店舗内装では、曲線を活かした家具(テーブルやイスなど)に使われます。

オーク

オークは広葉樹の木材で、「ナラ」「レッドオーク」「ホワイトオーク」などの種類があります。レッドオークとホワイトオークは店舗内装に適しており、床材や壁板として施工されます。

またオークは耐久性が高いため、長く使い続ける家具や強度が必要な天板などにも使用されます。例えば店舗内装のカウンターや造作家具に適しています。

ウォールナット

ウォールナットは世界三大銘木の一つで、希少価値が高い木材です。高級感のある色合いから、店舗内装に取り入れると上品さを演出できます。

また他の種類に比べて光沢感が強く、高級家具に使用されます。加工しやすいことから仕上がりが良く、アンティーク調(古美術風)に見せたい家具にも適しています。

パイン

パイン

パインは、ヨーロッパや北アメリカが原産のマツを加工した木材です。「イエローパイン」「ホワイトパイン」などの種類があり、主に家具に使われます。

また他の種類より安いため、予算内に多くの木材を施工したい場合にも向いています。パインは油分を豊富に含んでいるため、店舗内装に施工してから徐々に艶のある色合いを出します。

ラバーウッド

ラバーウッドは、ゴムの木から樹液が絞り取られた木材です。加工性が高く、強度に優れています。

またラバーウッドは価格が安いため、店舗内装に取り入れやすいです。表面が滑らかなので、テーブルなどの家具に適しています。

チーク

チークは世界三大銘木の一つで、強靭さや美しさを備えた木材です。油分を豊富に含んでおり、酸化や腐食、摩擦、割れなどに強い特徴があります。

したがって店舗内装の耐久度が必要な箇所や落ち着いた雰囲気のカフェやサロンなどに向いています。ただし希少性が高いことから、入手困難で費用もかかります。

タモ

タモも、外側が白色で中心にいくにつれて褐色の色合いをしている木材です。弾力性や硬度があるため、中長期的に劣化しにくい特徴もあります。

またタモは和風にも洋風にもマッチしますので、幅広い店舗内装や家具に施工できます。木材選びに迷ったときにはおすすめです。

アルダー

アルダーは、美しい木肌が特徴的な木材です。硬い特徴がある広葉樹のなかでは、柔らかく加工しやすい特徴があります。

一方で水分に弱いため、防腐処理が欠かせません。耐久度も低いことから、あらかじめ対策が必要です。店舗では、造作家具などに使用できます。

マホガニー

マボガニーは世界三大銘木のひとつで、深みのある赤色と縞模様の木目が特徴的な木材です。経年変化で深みが増すことから、上品さや高級感を感じさせます。店舗内装の床や壁、家具などに幅広く利用できます。

しかしマホガニーは希少性が高く、入手困難な木材です。価格も安くないため、予算に応じて検討してください。

バーチ

バーチは、店舗や住宅の内装材として需要がある木材です。加工性が高く、店舗内装のさまざまな箇所に施工できます。目が詰まって硬い特徴から、天板や床材に適しています。

ただしバーチは傷が付きやすいため、定期的なメンテナンスや塗装などが必要です。施工する際には、用途や場所をご検討ください。

ニレ

ニレは、割れにくさや粘りのある木材で、曲線加工の家具(テーブルやイスなど)などに適しています。また硬い特徴があるため、店舗内装の床材や壁材としても施工できます。

一方でニレは摩擦に弱いため、耐久性が他の木材に劣ります。店舗に施工する際には、塗装などの対策が必要です。

店舗内装に施工する木材の選び方

店舗内装に施工する木材の選び方

店舗内装に施工できる木材の種類は幅広いため、特徴を活かして取り入れる必要があります。そこで店舗内装に施工する木材の選び方について、施工箇所(天井や壁、床、造作家具)ごとにご紹介します。

天井や壁

天井や壁は、内装空間の大きな割合を占めるため、店舗の雰囲気を左右します。そのため店舗のコンセプトに合致する色合いや風合いの木材を選んでください。次の木材が適しています。

  • ヒノキやタモ
  • オークやウォールナット

店内を広く見せたいときは、明るい色合いのヒノキやタモが向いています。和風な飲食店(寿司店や居酒屋など)に適しています。

一方で暗めの落ち着いた店舗には、オークやウォールナットが適しています。大人の隠れ家をコンセプトとするバーやおしゃれなカフェに合います。

また店舗内装の断熱性や吸湿性を重視する場合には、ヒノキや桐を施工できます。ただし工法によって機能性が変化しますので、工事業者と相談のうえで木材を選びましょう。店舗に天井や床をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗の床には、強度や耐久性のある木材を選んでください。特に従業員や顧客が頻繁に通行する業種(飲食業や小売業など)の店舗では、床の劣化が早いです。次の木材が挙げられます。

  • ヒノキ
  • オーク
  • ウォールナット
  • チーク
  • タモ

上記の木材は、摩擦や摩耗に対する耐久性や耐水性に優れています。上記以外の木材であっても、防水加工や樹脂コーティングされた木材を選ぶと、長持ちします。店舗に床をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

造作家具

造作家具は、年月とともに色合いや風合いが変化する木材がおすすめです。経年変化で色合いや風合いが変化することで、おしゃれさや高級感、独自性などを演出できるからです。次の木材が合います。

  • オークやチーク
  • ブナやラバーウッド
  • パインやタモ

例えばカウンターやテーブルに、暗めの色合いの木材(オークやチークなど)を使うと、店舗内装の落ち着いた雰囲気を演出できます。

また加工性が高い木材(ブナやラバーウッドなど)で家具を造作すると、店舗内装との統一感を出して、コンセプトに合う内装を仕上げやすいです。

そしてカントリー風(田舎風)の店舗内装には、明るい色合いの木材(パインやタモなど)がおすすめです。経年変化で色合いや風合いが変わり、個性的な空間へと変化していきます。造作家具の種類や費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗内装に木材を施工するときの注意点

店舗内装に木材を施工するときの注意点

店舗内装に施工する木材を決めたら、施工するときの注意点をご確認ください。店舗開業後に集客と売上を伸ばせるように、メンテナンスと内装制限、環境負荷に関する注意点を取り上げます。

定期的にメンテナンスする

店舗内装に木材を施工するときの注意点として、まず定期的にメンテナンスをしましょう。耐久性に優れる木材であっても、劣化したり傷ついたりしないわけではありません。年月が経過すると、木材の水分が乾燥しながら変形していきます。

木材の経年変化は味わいをもたらしますが、劣化も進行していきます。店舗内装の見た目や清潔さを維持するためには、木材の劣化を防ぐ加工(撥水や防腐、塗装など)が必要です。

なお内装の劣化は、店舗経営の投資回収期間に影響を与えますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装制限に従う

次に内装制限に従うことも、店舗内装に木材を施工するときの注意点です。建築物に使用できる内装材は、災害発生時の被害を抑えて避難を妨げないように、法令で制限されています。

例えば人が多く集まる建築物(クリニックや保育園など)や火気使用室(飲食店の厨房など)は、内装制限の基準を満たす必要があります。事前に内装業者と相談のうえで、店舗内装に施工する木材を選びましょう。

内装制限に関して解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

環境負荷に配慮する

また環境負荷に配慮することも、店舗内装に木材を施工するときの注意点です。現代では「サスティナビリティ」「SDGs」などが呼びかけられており、環境問題や社会問題の解決へ向けて、環境負荷の少ない持続性の高い店舗経営が求められています。

したがって店舗内装に木材を施工する場合には、環境負荷に配慮することで、他店舗との差別化を図りつつ、持続的な成長へとつながります。環境負荷を低減できれば、社会貢献も可能です。

サステナブルな店舗をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗内装に効果的に木材を施工しよう!

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監修者

IDEAL編集部

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