2018.10.05  2024.05.06|新規開業ノウハウ

立ち飲み屋の開業資金はいくら?ポイントや事例も紹介

立ち飲み屋の開業資金はいくら?ポイントや事例も紹介

本記事で、立ち飲み屋の開業資金を解説します。立ち飲み屋開業のポイントや事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

立ち飲み屋開業の基本情報

立ち飲み屋開業の基本情報

立ち飲み屋の開業準備を開始する前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、開業準備を進めやすいからです。それでは立ち飲み屋の市場規模やサービスの特徴、ニーズ、業態をご紹介します。

市場規模

まず立ち飲み屋の市場規模については、Web上に情報が掲載されていませんでした(2024年5月時点)。しかし以下の資料によると、居酒屋・ビアホール等の市場規模は4,500億円程度(2021年)と推計されています。

参照元:日本フードサービス協会「令和 3 年(令和 3 年 1 月~令和 3 年 12 月)外食産業市場規模推計について」

なお居酒屋・ビアホール等を含む外食産業の市場規模は、コロナ禍(2020~2021年)に大幅に縮小しましたが、2022年より回復傾向です。2023年5月より新型コロナ感染症が「5 類」に位置づけられたことで、外食需要の増加が見込まれています。

参照元:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和 5 年(2023 年)年間結果報告」

サービスの特徴

次に立ち飲み屋のサービスの特徴は、低価格なドリンク・フードメニューです。メニュー1点(お酒一杯やおつまみ1品)が数百円で提供されているため、「せんべろ」(1000円でべろべろに酔っぱらえる飲み屋)の店舗として親しまれてきました。

座席のある居酒屋やバーと比べると、一般的に立ち飲み屋の回転率は速く、1人飲みがしやすいです。したがって客単価は低くても、1日当たりの顧客数を増やせます。

参照元:PRESIDENT ONLINE「廃棄ロス3、4割でも儲かる「花屋」、原価率高めでも儲かる「立ち飲み屋」…ガッポリ稼げる商売のカラクリ」

消費者のニーズ

それから立ち飲み屋に対する消費者のニーズには、低価格メニューや一人飲みのスペース、立ち寄りやすい内装デザイン、タイパの良さなどが挙げられます。仕事帰りや本格的な飲み会前などに、立ち飲み屋にふらっと立ち寄って、低価格メニューで一人飲みが可能です。

参照元:PR TIMES「実名グルメサービスRetty、「立ち飲み屋」に関するアンケートを実施:「0次会」から「最後の1杯」まで、安価で自由気ままに楽しめる「立ち飲み屋」が若者や女性も取り込む」

また立ち寄りやすい内装デザインやタイパの良さは、立ち飲み屋が若年層や女性層からも人気を得ている理由です。立ち飲み屋の開業事例については、後ほどご紹介します。

参照元:東洋経済オンライン「コロナ後の立ち飲み屋に「若い女性」が増えた理由」

業態

そして立ち飲み屋の業態は、経営主体によって個人店とフランチャイズ加盟店に分類されます。自由な方針で経営できる個人店に対して、フランチャイズ加盟店はブランド力やノウハウの活用が可能です。

またドリンクやフードのメニューによって、立ち飲み屋にはワインやビール、焼き鳥、中華料理などに特化した業態があります。立ち飲み屋の開業事例については、後ほどご紹介します。

立ち飲み屋開業のポイント

立ち飲み屋開業のポイント

基本情報だけではなく、立ち飲み屋開業のポイントも押さえましょう。8点(コンセプト・事業計画書と開業資金、店舗物件、資格・免許・届出・許可、仕入先・メニュー、厨房設備・機器・什器、採用・研修、集客活動)を取り上げます。

コンセプトの設計・事業計画書の作成

まず立ち飲み屋開業のポイントとして、コンセプトの設計・事業計画書の作成があります。コンセプトは店舗経営の基本方針であり、競合店との差別化や開業資金の調達などに必要です。

事業計画書は、経営戦略の説明や開業資金の調達、経営の評価・改善などに活用される書類です。一般的には、経営者の経歴や売上目標、資金計画などの情報が記載されます。事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業資金の調達

次に開業資金の調達も、立ち飲み屋開業のポイントです。立ち飲み屋を開業するために、開業前の初期投資(物件取得費や集客活動費など)と開業後の運転資金(光熱水費や人件費など)を確保しなくてはなりません。

自己資金だけで不足する場合には、開業資金の調達方法(融資や借入、出資、補助金・助成金など)を検討しましょう。開業資金ゼロの飲食店が融資を受ける方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗物件の選定とデザイン・工事

それから店舗物件の選定とデザイン・工事も、立ち飲み屋開業のポイントです。店舗物件はコンセプトを実現させるための手段であり、集客と売上に影響を与えます。希望条件に合う店舗物件を選定しましょう。

店舗物件を選定したら、外観や内装のデザイン・工事も必要です。立ち飲み屋にも活用できる内装デザインを失敗しないコツをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

資格・免許の取得と届出・許可の申請

続いて資格・免許の取得と届出・許可の申請も、立ち飲み屋開業のポイントです。

  • 調理に関する資格やスキル
  • お酒の提供に関する資格やスキル
  • 税務や財務に関する資格やスキル
  • 社会保険や労務管理に関する資格やスキル
  • 個人事業主の開業届または法人の設立届
  • 税務書類の提出
  • 防火管理者選任届
  • 防火対象設備使用開始届と火を使用する設備等の設置届
  • 飲食店営業許可の申請
  • 深夜における酒類提供飲食店営業開始届出
  • 社会保険(健康保険・厚生年金)の加入
  • 労働保険(雇用保険・労災保険)の加入

以上の資格・免許・届出・許可についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

仕入先の選定とメニューの開発

また仕入先の選定とメニューの開発も、立ち飲み屋開業のポイントです。提供するメニューやサービスの価格や品質を保つために、立ち飲み屋に適した仕入先を選びましょう。店舗経営の仕入先を選ぶ際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

立ち飲み屋のメインサービスは、ドリンク・フードメニューの提供です。ただしメニュー全体の原価率が上がるほど、売上に占める利益率を下げてしまいます。立ち飲み屋にも活用できる原価率を抑えるポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

厨房設備・機器・什器の手配

さらに厨房設備・機器・什器の手配も、立ち飲み屋開業のポイントです。立ち飲み屋のメニューや提供方法などに応じて、必要な厨房設備・機器・什器を選びましょう。

  • シンク
  • ガスコンロ・ガステーブル
  • 作業台
  • 冷凍冷蔵庫
  • 製氷機
  • 食器棚
  • 業態特有の設備・機器・什器(ロースターやオーブンなど)

以上の厨房設備・機器・什器の選び方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

人材の採用・研修

そして人材の採用・研修も、立ち飲み屋開業のポイントです。長時間営業する場合や多店舗展開する場合には、店舗営業を任せる従業員を採用します。採用したい職種や技能などを明確にしたうえで、採用活動を展開しましょう。

採用後から開業前までには、座学だけではなく実習も取り入れながら、接客や調理などに関する研修も必要です。立ち飲み屋にも活用できる人材採用のコツや採用の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

集客活動

なお集客活動も、立ち飲み屋開業のポイントです。開業当初から新規顧客を獲得するためには、開業前から集客活動を展開しなくてはなりません。ターゲットとする顧客層に情報を届けるためには、適切な集客方法を選ばなくてはなりません。

集客方法にはオンライン集客(SNSやMEOなど)とオフライン集客(ポスティングや看板広告など)があり、ターゲットに応じて複数の集客方法を組み合わせましょう。店舗の集客に成功した事例をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

立ち飲み屋の開業事例

ポイントを押さえて開業準備を進められるように、立ち飲み屋の開業事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(不動産屋とクラフトビール、中華料理、Z世代、業態変更)をご紹介します。

不動産屋の開業した立ち飲み屋

不動産屋の開業した立ち飲み屋

まず「(有)藤枝不動産飲食事業部」は、不動産屋の開業した立ち飲み屋です。コロナ禍に本業である不動産屋の売上が減少したため、立ち飲み屋の営業を開始しました。1品数百円の低価格で、ドリンク・フードメニューを提供しています。

不動産屋の控えめな外観でありながら、開業当初からSNSで口コミが広がり、集客数を増加させました。固定客には近隣に住む若年層が多く、女性の一人飲み客も訪れています。夕方から夜間に営業する立ち飲み屋です。

参照元:

食べログ「(有)藤枝不動産飲食事業部(仮)」

三軒茶屋経済新聞「三茶の不動産店に立ち飲み店併設 外観そのまま、空きスペース活用」

クラフトビールを提供する立ち飲み屋

次に「Guild」は、クラフトビールを提供する立ち飲み屋です。ドリンクメニューにはクラフトビールだけではなく、50種類以上の日本酒もあります。おつまみの持ち込みは無料で、近隣の飲食店からのテイクアウトも可能です。

コロナ禍に本業である美容室の売上減少をきかっけに、「中世ヨーロッパのギルド」をコンセプトに多分野の顧客層が集まる場所として開業されました。顧客の好みに合うお酒を提案している立ち飲み屋です。

参照元:さがから「Guild(武雄市) 日本酒とクラフトビールの立ち飲み屋 多分野の人が集まる場に」

中華料理の立ち飲み屋

中華料理の立ち飲み屋

それから「MANDARIN」は、中華料理の立ち飲み屋です。本業である中華料理屋の1店舗を閉店した際に、中華料理に特化した立ち飲み屋を開業しました。5坪の小規模店で、内装デザインはアットホームな雰囲気です。

一流ホテルで働いた中華料理人が、紹興酒やビールなどのお酒に合うフードメニュー(ハチノス 青山椒マリネや押し豆腐の和えもの、胡椒焼売、大手羽の唐揚げなど)を開発しています。

参照元:

食べログ「MANDARIN (マンダリン)」

RKBオンライン「『マンダリンマーケット』の店主が営む、平尾の“中華立ち飲み”が面白い!」

Z世代をターゲットにする立ち飲み屋

また「STAND KIYOSUGU」は、Z世代をターゲットにする立ち飲み屋です。Z世代の集まるエリア(中目黒や大井町、渋谷道玄坂、学芸大学)に、店舗を開業しています。若年層のニーズに応えて、低価格でヘルシーなフードメニュー(おばんざい)を提供しています。

店名の「KIYOSUGU」は、「清い」(清潔な店舗)と「スグ」(サクッと飲める店舗)を組み合わせた造語です。SNS集客に取り組んでおり、一人飲みや女子会の顧客も訪れています。

参照元:PR TIMES「中目黒で人気の新スタイル立ち飲み「スタンドキヨスグ」がついに学芸大学に2023年10月6日オープンいたします。」

業態を変更した立ち飲み屋

業態を変更した立ち飲み屋

そして「サクノミ・バード」は、業態を変更した立ち飲み屋です。から揚げ専門店のフランチャイズに加盟していましたが、メニューや価格を自由に変更できる個人店に業態を変更しました。

フードメニューには専門店の経験を生かした揚げ物や直ぐに提供できるおばんざいなどがあり、ドリンクメニューにはビールやサワー、日本酒、焼酎などがあります。顧客が冷蔵庫から取り出して割物のドリンクを作る半セルフ方式を採用する立ち飲み屋です。

参照元:

食べログ「サクノミバード」

調布経済新聞「調布百店街に立ち飲み『サクノミ・バード』 唐揚げ専門店から業態変更」

立ち飲み屋の開業資金

立ち飲み屋の開業資金

事例のような立ち飲み屋を開業するためには、資金が必要です。そこで立ち飲み屋の開業資金の相場と内訳を確認しましょう。無駄な経費を削減できるように、開業資金の節約法もご紹介します。

相場

まず立ち飲み屋の開業資金相場は、坪単価30万~60万円程度です。例えば10坪の店舗物件なら、300万~600万円程度かかります。ただし店舗物件の立地や規模、従業員数などによって、開業資金は変動します。

内訳

次に立ち飲み屋の開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、10坪の店舗物件にかかる開業資金を試算してあります。

開業資金の内訳各費用の目安各費用の試算
物件取得費
(敷金や礼金、前賃料など)
10%程度
(賃料の3〜6ヶ月程度)
30万〜60万円程度
(賃料10万円で10坪の
スケルトン物件)
店舗デザイン・工事費
(内装や外観、設備・
機器・什器など)
70%程度
(坪単価20万〜40万円程度)
200万〜400万円程度
諸経費
(開業前の資格や届出・
許可、採用・研修、集客など)
10%程度30万〜60万円程度
運転資金
(開業後の光熱水費や
賃料、人件費など)
10%程度
(賃料の3〜6ヶ月程度)
30万〜60万円程度
合計100%
(坪単価30万〜60万円)
300万円〜600万円程度

上表のとおり、立ち飲み屋の開業資金においては、店舗デザイン・工事費が大半を占めます。つまり内装や外観、設備・機器・什器などにこだわるほど、開業資金が増額するわけです。

節約法

そして立ち飲み屋の開業資金の節約法には、相見積もりや居抜き物件、補助金・助成金などがあります。相見積もりを取って、各業者の見積もり(工事の内容や費用、期間など)を比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。

居抜き物件を契約すれば、内装や外観、設備・機器・什器などを譲渡してもらえる分だけ、新規の工事費用を削減できます。ただし居抜き物件にはデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧ください。

補助金・助成金の申請が通れば、基本的に返済義務のない資金を獲得できます。しかし補助金・助成金ごとに申請の条件や期限、用途などが異なりますので、次の記事も併せてご覧ください。

立ち飲み屋の開業準備を開始しよう!

IDEALは、店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

下のキーワードをクリックして、店舗デザインや開業準備などの関連記事もぜひご覧ください。また店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討の際は、ぜひご相談ください。

キーワード :

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
店舗づくりをプロデュースする「IDEAL(イデアル)」が運営。
新規開業、店舗運営のお悩みや知りたい情報をわかりやすくお届けいたします。

> IDEALの編集者ポリシー

店舗工事のご相談・お問い合わせはこちら

店舗作り、集客の
無料見積もり・相談をする