2023.03.20 2023.03.08|店舗運営ノウハウ
飲食店における席数の目安と計算!席の種類・配置・事例も紹介
本記事で、飲食店における席数の目安と計算方法を解説します。飲食店における席の種類や配置・事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
飲食店における席の種類
飲食店における席には、さまざまな種類があります。飲食店の業態やコンセプトに応じて、適切な席を配置することが必要です。それでは飲食店における席の種類について、特徴や適した業態を確認しましょう。
カウンター席
カウンター席は、横長の台にひとり掛けの椅子が配置される席の種類です。一般的な飲食店のカウンター席には向かい合う椅子が配置されず、厨房に面した壁沿いや窓際、エントランス付近などにレイアウトされます。幅広い業態の飲食店に導入できる席です。
テーブル席に比べると、カウンター席には1人ずつ座れるため、単独で飲食したい客からのニーズがあります。ただしカウンター席同士の距離を近づけすぎると、狭く感じてしまいます。
なおカウンター席は、高さによってもメリット・デメリットがあります。カウンター席の高さごとのメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
テーブル席
テーブル席は、テーブルに独立した椅子が設置される席の種類です。ソファや固定されたベンチが設置されるテーブル席もあります。ボックス席との違いは、テーブルを区切る仕切りが設置されない点とテーブルを移動させられる点などです。
飲食店のダイニングフロアに可動式テーブルを配置すれば、顧客の人数によって柔軟に席数を調整できます。使用されない椅子を他のテーブルへ移したり、テーブル同士を繋げたりできるからです。また顧客の利用目的(貸し切りパーティなど)に応じて、テーブルと椅子を撤去することもできます。
一方でテーブル席は広いスペースを使用するため、ダイニングフロア内に配置できる席数が限られます。奇数のグループ客が使用すると、空席が生まれる点もデメリットです。テーブル席だけをレイアウトすると、グループ客の滞在時間が伸びて回転率が悪くなる恐れもあります。
ボックス席
ボックス席は、パーテーションや腰壁で区切られた対面式の席の種類です。ゆったりと飲食を楽しめる業態の飲食店(ファミリーレストランや回転寿司店、焼肉店、カフェなど)に採用されて、壁際や窓際にレイアウトされます。
テーブル席との違いは椅子の背もたれが高い点や座り心地の良いソファが設置される点などです。通路側に目隠しを設置することで、半個室のようにデザインすることもできます。家族の食事会や女子会などを目的とするグループ客に、飲食を楽しめる空間を提供できます。
ただし2~3人の少人数グループがボックス席に座ると、空席が生まれるデメリットがあります。そこで少人数に対応できる席の種類(カウンター席やテーブル席など)もレイアウトすれば、回転率を保つことができます。
個室席
個室席は、壁や建具で他の席から仕切られた席の種類です。半個室(壁や建具で完全に仕切られていない席)や完全個室(壁や建具で完全に仕切られた席)の形があります。個室席は、焼肉店やフレンチレストランなどの業態の飲食店に適しています。
プライベート空間をレイアウトできるため、顧客がくつろいで飲食しやすいです。また高級感を演出して、客単価を上げると利益率を上げられます。ただし回転率が低くなりやすい点が、デメリットです。またテーブル席やボックス席よりもスペースを要するため、完全個室をレイアウトすると席数が少なくなります。
半個室と完全個室の違いや半個室のニーズがある業態などを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
飲食店における席数の目安と計算方法
飲食店における席の種類を踏まえて、飲食店における席数の目安と計算方法をご紹介します。飲食店の売上は、集客数や回転率によって変化します。飲食店の業態やコンセプトに応じて、適した席数を計算しましょう。
厨房とダイニングフロアの面積比率
まず飲食店における厨房とダイニングフロアの面積比率から、飲食店における席数の目安を計算できます。下表に、厨房とダイニングフロアの面積比率をまとめました。
業態 | 厨房 | ダイニングフロア |
フルサービス(イタリアンレストランなど)スローフード(和食店やフレンチレストランなど)テイクアウト専門の飲食店(ピザ屋や弁当屋など) | 30‐40%程度 | 60ー70%程度 |
セルフサービス(カフェやビュッフェレストランなど)ファストフード(ハンバーガー店など)イートイン専門の飲食店(中華料理店やうどん屋など) | 10ー30%程度 | 80‐90%程度 |
上表のとおり、接客や調理に時間をかけない業態ほど、ダイニングフロア面積の割合が大きくなり、席数を増やせます。顧客単価の低い業態ほどなるべく多くの顧客を入れて、回転率を上げる必要もあるからです。
ただし提供するメニューやコンセプトに応じて、厨房に必要な面積や設備は異なります。厨房の割合を小さくしすぎると、調理から食事の提供までの時間がかかってしまう恐れがあります。飲食店に必要な厨房設備・機器・什器をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
1坪あたりの席数
次に1坪当たりの席数からも、飲食店における席数の目安を計算できます。下表に、飲食店における1坪あたりの席数をまとめました。
業態 | 1坪当たりの席数 |
フルサービスの高級飲食店 | 1席程度 |
フルサービスの大衆飲食店 | 2席程度 |
セルフサービスのファストフード店 | 3席程度 |
例えば50坪(厨房30%とダイニングフロア70%)で1坪当たり1席とすると、フルサービスの高級飲食店の席数は35席になります。
- ダイニングフロアの坪数=50坪×70%=35坪
- 高級飲食店の席数=1席×35坪=35席
ただしエントランスや通路、トイレなどのスペースも必要ですから、ダイニングフロアの隅々に席をレイアウトできません。特に高級飲食店では、入店から飲食をして退店するまで顧客がゆったりと過ごせるように、間取りを検討してください。店舗をレイアウトするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください
スタッフ1人当たりの席数
そしてスタッフ1人当たりの席数からも、飲食店における席数の目安を計算できます。一般的な飲食店において、スタッフ1人当たり5-10席程度です。例えばフルサービスの高級飲食店の席数が35席で、スタッフ1人当たりの席数を5人とするなら、7人のスタッフが必要です。
- 35席÷スタッフ1人当たり5席=スタッフ7人
ただし提供するメニューや接客の方針などによって、必要なスタッフの数は変動します。また満席が続く時間帯でも、調理や接客に支障がないように、スタッフを配置しましょう。席数に対してスタッフの人数を少なくしすぎると、調理や接客に時間がかかり、顧客を待たせてしまいます。顧客満足度が下がると、リピーターと売上の減少につながりかねません。
もちろんテイクアウト専門のファーストフード店なら、接客の時間が少ない分だけ、スタッフの人数を減らすことが可能です。利益率を上げるために、人件費と顧客単価、回転率を検討しましょう。
売上目標
なお飲食店の売上目標からも、飲食店における席数の目安を計算できます。飲食店の月間売上目標は、「客単価×席数×回転数×営業日数」で計算可能です。
例えば客単価2,000円で4回転、営業日数25日で月間売上400万円を目標とすると、席数は20となります。
- 月間売上400万円=2000円×20席数×4回転×25日
なお飲食店の平均売上の目安や売上の管理方法を紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
飲食店の席を配置するポイント
飲食店に配置する席数を計算できたら、飲食店の席を配置するポイントを押さえましょう。安定した売上を獲得できるように、席の種類やコロナ対策、客単価・回転数に関するポイントをご紹介します。
席の種類をバランスよく配置する
飲食店の席を配置するポイントとして、まず席の種類をバランスよく配置する点が挙げられます。配置される席の種類によって、顧客の滞在時間や回転数が変わり、売上に影響するからです。
先ほどご紹介したように、飲食店における席の種類は主に4点です。一般的に個人で利用されるカウンター席の滞在時間は短いため、回転率が上がります。しかしグループで利用されるテーブル席やボックス席、個室席を増やすほど、回転率を上げにくくなります。
売上を伸ばすためには、滞在時間と回転率を計算したうえで、1~2名で来店する客をカウンターに案内してください。またグループ客を案内できるように、テーブル席やボックス席、個室席を組み合わせて配置しましょう。
カウンター席をデザインするコツを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
コロナ禍に対応する
またコロナ禍に対応する点も、飲食店の席を配置するポイントです。次のように、農林水産省が基準を示しています。
- テーブル席:1m以上の間隔を空けて配置
- カウンター席:椅子の間隔を空けてパーティションを設置
- グループ間:1m以上の間隔を空けてパーティションを設置
参照元:農林水産省「外食業の事業継続のためのガイドラインテーブル」
コロナ禍における店舗デザインの課題や解決策、コロナ対策の店舗工事費用と活用できる助成金・補助金を紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
客単価を上げる
また客単価を上げる点も、飲食店の席を配置するポイントです。フロア面積やコロナ対応のために席数を増やせない場合には、原価率やメニュー、サービスを改善して、客単価を上げましょう。
例えばメイン料理とサイド料理(サラダやドリンクなど)を合わせたセットメニューを開発すれば、滞在時間を変えずに客単価を上げることができます。また原価率の低いメニューを開発して、利益率を上げる方法もあります。
飲食店が原価率を抑えるポイントを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
回転数を上げる
なお飲食店の席を配置するポイントとして、回転数を上げる点も欠かせません。客が席で食事をしていない待機時間を短くすることが必要ですので、次の点を検討しましょう。
- スタッフの数
- 接客・調理・配膳・片付けの方法
- セルフオーダー・テーブル会計システムの導入
注文から調理、配膳、片付けにかける時間を短縮できるように、必要なスタッフの数やシステムなどを導入しましょう。ただし利益を確保できるように、人件費やシステム利用料を計算してください。
飲食店における席配置の事例
参考となる情報を集めるために、飲食店における席配置の事例を調査しましょう。競合店を調査することで、席配置のヒントを得ることができます。本記事では、IDEALの施工した飲食店を取り上げながら、席配置のポイントをご紹介します。
イスとソファのテーブル席
「808(ハチマルハチ)」様は、赤坂にあるイタリアンバルです。イスとソファのテーブル席が配置されています。壁側のソファ席は固定されていますが、通路側の椅子やテーブルは可動型です。グループ客の人数に応じて、柔軟に席を配置できます。
テーブル席だけではなく、カウンター席も配置されています。客に厨房内を見せないように、目隠しが設置されています。厨房内の油や食材がカウンターへ飛び散ることも防止されています。
幅広い人数に対応できるボックス席
「焼肉ダイニング 花衣苑 多摩センター店」様は、希少部位を提供する焼肉屋です。幅広い人数に対応できるボックス席が配置されています。天井に換気設備も施工されていますので、低い壁で席が仕切られています。
また子連れの家族層をターゲットにしているため、座敷席もレイアウトされています。ゆったりと食事をしてもらえるように、掘りごたつが施工されました。
厨房を囲むR型のカウンター席
「ミズノトリ」様は、恵比寿にある和食と日本酒を提供する飲食店です。厨房を囲むR型のカウンター席が配置されています。お店の暖かい雰囲気を象徴として、デザインされました。カウンターから調理風景やスタッフとの会話を楽しんでもらえるように、目隠しは立てられていません。
また厨房から全客席を見渡すことができるように、カウンターやテーブル席が配置されています。丁寧な接客をしながら、待機時間を減らせるように、席の配置が検討されました。
クローゼットの付いた個室席
「焼肉 にくずき」様は、黒毛和牛を楽しめる「大人の隠れ家」のような焼肉店です。クローゼットの付いた個室席が配置されています。少人数から団体までの幅広い人数に対応できるように、各個室の大きさは異なります。
また顧客の希望する席へ案内できるように、ボックス席やテーブル席もレイアウトされています。「大人の隠れ家」の雰囲気を演出できるように、モダンな内装がデザインされて、間接照明やペンダントライトに照らされています。
飲食店の席を売上を伸ばせるように配置しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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