2023.06.12  2023.07.04|内装工事

ウッドショックはいつまで続く?店舗工事費用・期間に与える影響と対策

ウッドショックはいつまで続く?店舗工事費用・期間に与える影響と対策

本記事で、「ウッドショックはいつまで続く?」という疑問にお答えします。店舗工事の費用・期間に与える影響と対策もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

ウッドショックはいつまで続く?

ウッドショックはいつまで続く?

ウッドショックとは、2020年頃から建築物や什器などに使用される木材が不足したことで価格が高騰している状態です。急激な価格高騰が「オイルショック」を想起させることから名付けられました。まずはウッドショックの原因や木材の価格推移と需要、今後の展望を確認しましょう。

原因

まず2020年頃からウッドショックが起きた原因として、以下の点が挙げられます。

  • コロナ禍によるロックダウンや輸出制限
  • アメリカ国内の新築住宅に対する需要増加
  • ロシアによる輸出禁止
  • 国内の木材自給率の低さ

コロナ禍によるロックダウンや輸出制限により、世界的に木材の流通量が減少しました。

参照元:林野庁「【海外情報】2020 年における世界の木材需給動向-『UNECE/FAO 林産物市場年次報告書(2020-2021 年)』より-」(1ページ)

またアメリカ国内で住宅ローン金利を下げる政策が実施されて、新築住宅に対する需要が増加し、木材需要が増加しました。

参照元:経済産業省「新型コロナがもたらす供給制約 ; ウッドショックの影響」

それから2022年からウクライナを侵攻するロシアは、非友好国に対して木材輸出を禁止しています。

参照元:リフォーム産業新聞「ウッドショック長期化原因にロシアのウクライナ侵攻『世界中で木材不足に』国際機関が警鐘、林野庁は『自給率5割』訴え」

そして日本国内の木材自給率は低く、6割程度を輸入に依存しています。木材の輸入量が減少したことで、木材価格が高騰しています。

参照元:経済産業省「新型コロナがもたらす供給制約 ; ウッドショックの影響」

木材・製材価格の上昇率

次にウッドショックによる木材・製材価格の上昇率について、2020年末から2021年末にかけて、輸入木材の価格は170%以上、輸入製材の価格は130%以上になりました。2021年末にピークを過ぎましたが、未だ高い価格です。

また輸入元別に価格上昇率をみると、2020年末から2021年末にかけて、アメリカからの輸入製材は135%、ヨーロッパからの輸入製材は138%、北洋からの輸入製材は135%まで上がりました。地域に関係なく、輸入製材の価格は130%以上に上がっています。

そして輸入木材・製材の価格上昇を受けて、日本国産の木材・製材の価格も高騰しています。2020年末から2021年にかけて、国産木材の価格は140%近くに、国産製材の価格は160%以上になりました。2021年末にピークアウトした輸入木材・製材の価格と比べて、国産木材・製材の価格は横這いです。

参照元:経済産業省「どうなったウッドショック;価格の高止まりが需要を抑制?」

国内の需要・供給と自給率

ウッドショック下の2020年に、日本国内において木材の需要は前年より10%程度減少しました。しかし2021年には前年より10%増加し、コロナ前の2019年と同水準まで回復しています。

また日本国内における木材の供給については、2020年に国産木材が前年より0.5%程度増加し、輸入木材は15%程度減少しました。2021年に国産木材が前年より8%増加し、輸入木材は12%程度増加しました。輸入木材の価格高騰がピークを越えたため、輸入量が増加しています。

そして日本国内における木材自給率は、2002年の20%以下から2022年までに40%以上となり、増加傾向にあります。ウッドショックを受けて、国産木材に対する需要が増えています。

参照元:林野庁 「令和2年木材需給表」の公表について

参照元:林野庁 「令和3年木材需給表」の公表について

今後の展望

ウッドショックに対する今後の展望としては、見通しが立っていません。コロナ禍の収束とともに木材価格の高騰が落ち着くと想定されていましたが、ロシアによるウクライナ侵攻が収束していないからです。

ロシアによる木材の輸出制限により、今後も世界的に木材流通量の不足が想定されています。また木材の輸入価格は2021年末頃から下落傾向にありましたが、2022年には下落が止まりました。

特にアメリカから輸入される木材の価格は、横ばいです。ヨーロッパや北洋から輸入される木材の価格は下落傾向が続いていますが、コロナ禍前の水準に戻るまでに時間がかかると想定されています。

なお国内の木材自給率は40%程度で、上昇傾向にあります。しかし生産量をさらに上げるためには、時間がかかります。ウッドショック下において、日本国内の木材需要を満たすためには、木材供給の対策が必要です。

ウッドショックが店舗工事に与える影響

ウッドショックが店舗工事に与える影響

今後もウッドショックによる木材の不足と価格高騰が想定されるため、店舗工事に与える影響を把握しておきましょう。ウッッドショックが店舗工事に与える影響として、費用の増額と期間の遅延についてご確認ください。

費用の増額

ウッドショックが店舗工事に与える影響として、まず費用の増額が想定されます。なぜなら店舗工事の材料費が高騰しているからです。

2020年から2021年にかけて、スギやヒノキなどの製材の価格が高騰しました。原材料である木材の価格が高騰して、製材の価格も底上げされたからです。2022年に入り下落傾向にありますが、2019年より高い水準です。

参照元:林野庁「⽊材需給動向について(全国)」(1ー4ページ)

木材だけではなく、原油価格の高騰により鋼材や樹脂材などの価格も高騰しました。原材料(木材や鋼材、樹脂材など)の価格高騰により、建築資材メーカーは値上げを余儀なくされています。

参照元:リフォーム産業新聞「住設建材メーカー15社値上げ発表、原油価格高騰がリフォーム業界へ波及、『転嫁するか、飲むべきか』現場は二択迫られる」

期間の遅延

また期間の遅延も、ウッドショックが店舗工事に与える影響です。希望する木材や製材の調達が遅れると、計画した店舗の工事が進みません

日本国内においては、2020年から2021年にかけて木材の入荷と在庫の量が減りました。原材料が減る分だけ、製材の生産と在庫の量も減ってしまいました。ただし2022年より木材の入荷や在庫の量が増加し、製材の生産と在庫の量が戻りつつあります。

参照元:林野庁「⽊材需給動向について(全国)」(5ページ)

木材自給率40%である日本にとっては、国外から木材や製材を輸入しなくてはなりません。しかし木材や製材の生産国は、自国内の流通を優先させます。日本国内の建材メーカーの木材生産が遅れると、工事業者が建材を調達しづらくなります。

参照元:林野庁「令和3年木材需給表」の公表について

ウッドショックによる店舗工事費用増額の対策方法

ウッドショックによる店舗工事費用増額の対策方法

なるべくウッドショックによる店舗工事費用増額を抑えるために、対策方法を確認しましょう。木材の選び方や店舗のデザイン、工法、業者の選び方について取り上げ、店舗工事費用を抑える方法をご紹介します。

良質で安価な木材を選ぶ

ウッドショックによる店舗工事費用増額の対策方法として、まず良質で安価な木材を選びましょう。ウッドショック下においても、比較的安価に取引されている木材(スギやシナ、パイン、ラバーウッドなど)があります。

特に店舗内外の見えない部分に、安価な木材を施工すると、店舗工事費用を削減できます。ただし単に安い素材を選ぶのではなく、耐久性や耐湿性などを考慮することも重要です。例えばヒノキには耐湿性がありますが、オークより耐久性に劣ります。

そのため店舗をデザインする段階で、業者と相談しながら、場所ごとに適した木材を選定しましょう。店舗内装に施工できる木材の種類と特徴をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

シンプルな内装・外装にする

次にシンプルな内装・外装にすることも、ウッドショックによる店舗工事費用増額の対策方法です。複雑ではない構造の内装や外装をデザインすることで、木材の使用量や工事の時間を減らせます

例えば店舗内にレイアウトする部屋数を減らすと、部屋を仕切る壁や建具も少なくなります。つまり壁や建具に使用される材料費を抑えることにつながります。店舗をレイアウトするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

また店舗の外観に大きな窓をデザインすることで、窓枠に使用される木材量を減らせます。ただし開放的な雰囲気となりますので、店舗のコンセプトに合うかを検討しましょう。店舗に窓をデザインする流れをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

工事する範囲を限定する

また工事する範囲を限定することも、ウッドショックによる店舗工事費用増額の対策方法です。ウッドショックの動向は不明確ですが、木材や製材の価格が下落した段階で追加工事を計画できます。

特に店舗のリフォームにおいては、工事する箇所に優先順位を付けて、予算内に工事費用を収めましょう。店舗をリフォームするタイミングは、次のとおりです。

  • 設備や備品が老朽化したとき
  • 集客に行き詰ったとき
  • 店舗のターゲットやコンセプトを変えるとき
  • 店舗の業種や業態を変更するとき

他にも店舗をリフォームする効果やポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

実績のある業者に依頼する

そして実績のある業者に依頼することも、ウッドショックによる店舗工事費用増額の対策方法です。特に店舗のデザインから材料調達・施工までをワンストップで依頼できる業者なら、工事にかかる手数料や相談の時間などのコストを削減できます。

業者の公式サイトや口コミサイトなどを調査すると、各業者の実績や施工事例などを把握できます。施工事例を把握することで、各業者の強みや得意分野(飲食店やサロンのデザイン・工事など)などを確認しましょう。

また問い合わせの段階から丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。希望する予算や条件に沿って提案してくれる業者なら、工事費用の節約を相談しやすいです。内装業者の選び方についてはまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

ウッドショックによる店舗工事期間遅延の対策方法

ウッドショックによる店舗工事期間遅延の対策方法

ウッドショックによる店舗工事費用増額の対策方法だけではなく、期間遅延の対策方法も確認しましょう。工期や木材の供給状況、代わりの材料、業者の選び方について取り上げ、工事期間遅延の対策方法をご紹介します。

木材の供給状況を把握する

ウッドショックによる店舗工事期間遅延の対策として、まず木材の供給状況を把握しましょう。木材の供給状況を把握することで、店舗工事の時期を検討しやすくなります。

木材の供給状況は、林野庁の公式サイトにて閲覧できます。ただし昨年度の供給状況を確認できるだけです。

参照元:林野庁 「令和3年木材需給表」の公表について

したがって最新の木材の供給状況を把握するためには、工事業者を通じて木材の生産元に問い合わせましょう。調達できる木材の種類や量を踏まえて、店舗のデザインを検討する必要があります。

工期にゆとりをもたせる

次に工期にゆとりをもたせることも、ウッドショックによる店舗工事期間遅延の対策方法です。店舗の内装や什器に使う木材や製材を調達できないと、店舗工事を中断せざるを得なくなるからです。

国土交通省の調査によると、令和3年夏頃より木材供給の遅延が減少傾向にありますが、年末時点でまだ50%以上の中小工務店で遅延が発生しています。

参照元:国土交通省「中小工務店における木材の供給遅延の影響について(12月末調査実施)」

店舗のデザイン・工事には、物件の規模や工事の内容に応じて、1-3か月程度かかります。店舗の工事を依頼する前に、木材の調達状況を踏まえて、業者と相談して工期を組みましょう。

木材を調達できる業者へ依頼する

また木材を調達できる業者へ依頼することも、ウッドショックによる店舗工事期間遅延の対策です。国土交通省は木材生産者と工務店の連携強化を推進しており、国内の事例が紹介されています。

参照元:国土交通省「住宅供給における安定的木材需給のための連携のすすめ」(3-5ページ)

木材の生産元や販売元とのつながりが強い業者を選ぶと、調達の遅れによる工期の遅延を防ぎやすくなります。業者に相談する段階で、木材の調達状況を確認しましょう。特に自社で製材を販売したり、在庫を確保したりしている業者なら、安定した木材の調達を期待できます。

ただし木材の調達以外にも、内装デザインの得意分野や工事の費用なども考慮したうえで、依頼する業者を選定しましょう。失敗しない内装工事業者の選び方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

代わりの材料を提案してもらう

それから代わりの材料を提案してもらうことも、ウッドショックによる店舗工事期間遅延の対策方法です。店舗の内装に木材の代わりとなる材料を施工することで、木材調達の遅延を防ぐことができます。

例えば内装の下地材として、構造用合板(ベニヤ板)を使用する代わりに、プラスターボード(石膏ボード)やパーティクルボード、グラスウールなどで代替できます。また内装の仕上げ材として、フローリングやクッションフロア(CFシート)、畳、漆喰、クロス(壁紙)、珪藻土、タイル・レンガ、ガラスブロックなどで代替できます。

ただし店舗のコンセプトに応じて、木材を施工する場所も検討しましょう。店舗に施工できる内装材の種類と特徴をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗工事前にウッドショックを対策しよう!

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監修者

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