2023.07.19  2023.07.22|内装工事

店舗の給排水・衛生設備とは?デザインする流れや工事のポイント・費用をご紹介

店舗の給排水・衛生設備とは?デザインする流れや工事のポイント・費用をご紹介

本記事で、店舗の給排水・衛生設備をデザイン・工事する流れやポイント、費用を解説します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

店舗の給排水・衛生設備とは?

店舗の給排水・衛生設備とは?

店舗の給排水・衛生設備とは、「店舗への給水・給湯」と「店舗からの排水処理」に使用される設備の総称です。デザインを検討する前に、給排水・衛生設備の目的や種類、工事の資格、メリット・デメリットを確認しましょう。

目的

まず店舗給排水・衛生設備の目的は、「店舗への給水・給湯」と「店舗からの排水処理」です。業種や業態によって規模は異なりますが、店舗物件には給排水・衛生設備が施工されています。そして店舗のレイアウトに合わせて、給排水・衛生設備の工事が必要です。

したがって店舗物件を探す際には、給排水・衛生管の位置を確認しましょう。給排水・衛生管の位置によって、内装デザインの自由度が左右されるからです。また給排水・衛生管だけではなく、他にも店舗物件の探し方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

種類

次に店舗給排水・衛生設備は、以下の3種類に分けられます。

  • 給水設備  :常温の水を供給する
  • 給湯設備  :加熱された水を供給する
  • 排水処理設備:排水を浄化処理する

また給水は、次のように分類されます。

  • 上水:一般的な水道水(飲料可)
  • 中水:トイレや散水、冷却水、消火用水など(飲料不可)
  • 井戸水:工業用や農作業用(水質により飲料可)

そして排水は、次のように分類されます。

  • 汚水  :トイレなどからの排水
  • 雑排水 :厨房や手洗い場などからの排水
  • 特殊排水:工場や病院などからの有害物質を含む排水

工事の資格

また店舗給排水・衛生設備工事には、「給水装置工事主任技術者」という国家資格が必要です。施工の事前調査から計画・管理指導・竣工検査までに対応できます。

参照元:公益財団法人 給水工事技術振興財団「給水装置工事主任技術者とは?」

無資格者に工事を依頼すると、給排水・衛生設備を適切に工事してもらえないリスクが高いです。また無資格者による工事は、法令違反を問われます。

メリット

そして店舗に給排水・衛生設備を施工するメリットは、店内の快適さと衛生さを保てる点です。飲食店の厨房やサロンのシャワー室、クリニックの治療室などでは、清浄な水道水が不可欠です。顧客に提供する商品・サービスの品質を左右します。

また顧客に水道水を提供しない業種(小売業や情報通信業など)の店舗においても、従業員のトイレや休憩室に水道水が必要です。内装や外装、設備・機器・什器などのメンテナンスや清掃のためにも、水道水を必要としない店舗はありません。

デメリット

しかし店舗に給排水・衛生設備を設置するデメリットもあります。

  • 施工できる設備に制限がある
  • 工事費用がかかる

店舗物件によって施工できる設備に制限があるため、購入や賃借する前に条件を確認しましょう。店舗物件を探す前に、営業に必要な給排水・衛生設備を確認しておかなければなりません。

また店舗物件の状態によって、給排水・衛生設備の工事費用がかかります。特に居抜き物件の購入・賃借する前には、施工されている給排水・衛生設備の状態を確認すべきです。居抜き物件のトラブルと対策についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗に給排水・衛生設備をデザイン・工事する流れ

店舗に給排水・衛生設備をデザイン・工事する流れ

基本情報を踏まえて、店舗に給排水・衛生設備をデザイン・工事する流れを確認しましょう。給排水・衛生設備の用途から工事の業者・計画・見積もり・申込書・竣工検査までの流れをご紹介します。

用途を明確にする

まず店舗に給排水・衛生設備をデザイン・工事する流れは、用途を明確にする作業から開始されます。店舗の業種や業態によって、必要な給排水・衛生設備が異なるからです。

  • 飲食サービス業  :洗面台・トイレ・シンク・給湯器など
  • 生活関連サービス業:洗面台・トイレ・洗髪台・洗濯機など
  • 医療・福祉業   :洗面台・トイレ・風呂場・処置室など

例えば飲食サービス業の店舗であっても、テイクアウト専門店と店内飲食が可能な店舗とでは、必要な給排水・衛生設備が異なります。提供する商品・サービスや顧客・従業員の動線などに応じて、用途を明確にしましょう。

業者に相談する

次に用途を明確にしたうえで、店舗給排水・衛生設備工事を業者に相談しましょう。希望条件(店舗のレイアウトや必要な設備など)や予算を伝えることで、必要な工事内容を検討してもらえます。

特に排水処理設備の配管には勾配をつける必要があるため、床の高さが必要になります。またスケルトン物件に給排水・衛生設備を工事する場合には、給水管の引き込み工事や屋内の配管工事が必要です。

工事を計画する

そして業者に相談したうえで、店舗給排水・衛生設備工事を計画します。現地調査により配管の状態や店舗物件の状態を確認し、必要な給排水・衛生設備の種類と数が決定されます。

店舗に施工される給排水・衛生設備の種類をご確認ください。

  • 給水設備  :給水管・給水ポンプ・給水タンクなど
  • 給湯設備  :湯沸かし器・給湯専用ボイラー・循環ポンプなど
  • 排水処理設備:グリーストラップ・排水管・排水ポンプなど
  • 衛生設備  :便器・洗面器・バスタブ・シャワーなど

見積もりを取る

それから計画した工事内容に基づいて、見積もりを取りましょう。相見積もり(複数の業者から見積もりを取ること)で、工事の内容と費用の比較検討が可能です。適正な費用で依頼できる工事業者を選んだら、正式に依頼します。

なお工事業者によっては、「工事一式」などとまとめて記載される見積書を出されます。不明点や疑問点などがあれば、契約前に業者に確認しましょう。工事業者の選び方についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

工事申込書を提出する

また給排水・衛生設備工事を開始する前には、工事申込書を提出しなければなりません。工事内容により「給水装置工事申請申込書」などの書類が定められていますので、開業エリアを管轄する水道局の公式サイトをご確認ください。

参照元:東京都水道局「給水装置工事様式一覧」

ただし指定水道工事業者を通じて、給排水・衛生設備工事の申し込みを行わなければなりません。信頼できる業者へ依頼することで、工事の申し込みがスムーズになります。申請から許可を得るまでの時間を考慮して、準備を進めましょう。

工事が開始される

いよいよ給排水・衛生設備工事の許可が下りたら、工事が開始されます。スケルトン物件に給排水・衛生設備を新設する場合には、配管工事を完了したうえで、トイレやシンク、給湯器などが施工されます。

給排水・衛生設備が施工された居抜き物件においては、基本的に追加工事は不要です。ただし設備の劣化状態や希望する内装デザインに応じて、改修や追加の工事を検討しなくてはなりません。

竣工検査に立ち会う

なお給排水・衛生設備が施工されたら、竣工検査に立ち会います。施工後のトラブルを防ぐために、施工された給排水・衛生設備の動作や内装デザインとのバランスなどをご確認ください。疑問点や改善点を見つけたら、引渡し前に業者と相談しましょう。

特に飲食店においては、営業許可を得るために、保健所の立ち入り検査が必要です。都道府県ごとに、設備や器具の基準が定められています。食品営業許可の申請と更新についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗における給排水・衛生設備工事のポイント

店舗における給排水・衛生設備工事のポイント

デザイン・工事する流れだけではなく、店舗における給排水・衛生設備工事のポイントも確認しましょう。本記事では、6点(工事計画と他設備とのバランス、水漏れの有無、給湯管の保温工事、機能性、給水メーター)を取り上げます。

適切な時期に工事を計画する

まず店舗における給排水・衛生設備工事のポイントとして、適切な時期に工事を計画する点が挙げられます。自治体に工事を申し込んでから許可が降りるまでに時間がかかり、工事には数日~数週間程度かかります。

したがって店舗営業開始予定日から数か月前には、工事業者に相談して工事計画を始めましょう。ただし店舗物件を賃借した日から賃料の支払いが発生しますので、なるべく無駄な賃料を抑えることも重要です。

なお給排水・衛生などの設備を含む内装工事の種類や費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

他設備とのバランスを取る

次に他設備とのバランスを取る点も、店舗における給排水・衛生設備工事のポイントです。店舗には給排水・衛生設備だけではなく、電気やガス・空調などの設備も施工されるため、互いに干渉しあわないように配線や配管をレイアウトしなくてはなりません。

特に飲食店には、厨房設備・機器・什器がレイアウトされるため、各設備の配置が従業員の業務効率と顧客の満足度を左右します。飲食店に必要な厨房設備・機器・什器の種類と選び方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

水道メーターの位置を検討する

また水道メーターの位置を検討することも、店舗における給排水・衛生設備工事のポイントです。水道メーターの設置基準は、メーターの点検及び取替作業が容易であり、破損や凍結などの恐れがなく、給水栓より低い位置と定められています。

参照元:

厚生労働省「給水装置標準計画・施工方法 3.5 水道メ-タの設置」

一般社団法人日本計量機器工業連合会 水道メーター技術委員会「水道メーターの設置に関するマニュアル 3.2 設置 (1) メーターの設置位置 」

水道メーターの位置は、管理者である水道事業者によって決定されます。ただしトラブル防止のためには、店舗責任者も水道メーターの位置を把握してくことが必要です。

保温工事を検討する

さらに保温工事を検討することも、店舗における給排水・衛生設備工事のポイントです。給湯管が外気に触れて結露したり、蛇口から出たお湯が冷えたりする恐れがありますが、保温工事によって温度を保ったまま給湯することが可能です。

保温工事では、一般的に給湯管を保温材(グラスウールやロックウール)で覆う方法が採用されます。給湯管を保温工事することで、営業時の業務効率を上げたり、固定費を削減したりしやすいです。

水漏れの有無を確認する

そして水漏れの有無を確認することも、店舗における給排水・衛生設備工事のポイントです。水道メーターのパイロットで、給排水・衛生設備からの水漏れの有無を判断できます。店舗内の全ての蛇口が締まっているにもかかわらず、水道メーターのパイロットが回っていれば、水漏れの恐れがあります。

なお店舗の内装や外装の衛生状態を保つためには、防水工事が有効です。店舗の防水工事の流れについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

機能性を点検する

なお機能性を確認する点も、店舗における給排水・衛生設備工事のポイントです。給排水・衛生設備の機能性(給排水の質・量・温度)を点検することで、異常が発生した場合にすぐに対処できます。

給排水・衛生設備には、次のような異常が発生する恐れがあります。定期点検を実施して、異常を感知した際には、修理業者に正確な情報を伝えましょう。

  • 蛇口から出る水の量が少なくなる
  • 冷水の蛇口から出る水の温度がぬるくなる
  • 蛇口から赤みのある水が出るようになる

店舗の給排水・衛生設備の工事費用

店舗の給排水・衛生設備の工事費用

店舗の給排水・衛生設備工事を予算内に依頼できるように、工事費用の相場と内訳を確認しましょう。無駄な経費を省いて予算を抑えられるように、工事費用の節約方法もご紹介します。

相場

まず店舗の給排水・衛生設備工事費用の相場は、坪単価5万円前後です。20坪のスケルトン物件の給排水・衛生設備工事には、100万円程度かかります。ただし物件の状態(居抜きかスケルトンか)や給排水・衛生設備の種類と数などによって、工事費用は変動します。

内訳

次に店舗の給排水・衛生設備工事費用の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、20坪のスケルトン物件を工事する費用を試算してあります。

費用の内訳各費用の目安20坪スケルトン物件
諸経費(工事の申込や手数料など)5万~50万円程度10万円程度
水道管の引き込み1.5万円/m程度15万円程度
給水設備(屋外と屋内)10万~50万円程度10万円程度
給湯設備10万~50万円程度10万円程度
排水処理設備1.5万円/m程度15万円程度
衛生設備50万~100万円程度40万円
合計坪単価5万円前後100万円程度

上記のとおり、スケルトン物件に対しては、水道管の引き込みや給排水・衛生設備の施工が必要です。また給排水・衛生設備の種類やサイズ、機能性によって、工事費用は変動します。

節約法

そして店舗の給排水・衛生設備工事の節約法をご覧ください。

  • スケルトン物件では設備を比較・検討する
  • 居抜き物件を選ぶ

スケルトン物件を工事する際には、給排水・衛生設備を比較・検討することで、経費の無駄を省きましょう。同じ性能の設備ならば、本体代金や工賃の安いほうを選ぶと、工事費用の節約につながります。スケルトン物件のメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

またスケルトン物件ではなく、居抜き物件を選ぶことで、前借主の施工した給排水・衛生設備を活用できます。修繕や追加の工事が必要な場合がありますが、新規工事よりも節約が可能です。居抜き物件のメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

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監修者

IDEAL編集部

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