2020.11.04 2024.08.30|店舗デザイン
コワーキングスペースの開業資金!必要なもの・ポイントや事例も紹介
本記事で、コワーキングスペースの開業資金を解説します。またコワーキングスペース開業に必要なものやポイント、事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
コワーキングスペース開業の基本情報
コワーキングスペースの開業準備を計画する前に、基本情報(コワーキングスペースの定義・主なサービスと開業するメリット・デメリット、シェアオフィス・レンタルオフィスとの違い、利用者のニーズ)を確認しましょう。
定義・主なサービス
まずコワーキングスペースの定義は、異なる組織に所属する人たちが仕事のために共同で利用できる空間です。英語では「co-working space(共に働く空間)」と表記されます。
コワーキングスペースの主なサービスは、ワークスペース・会議室・キッチン・食堂などの貸出やフリードリンク、交流会・セミナー・販売会などのイベント開催、法人登記用の住所、郵便物の受取・転送、固定電話・FAXの番号や転送などです。
参照元:IDEALオフィス「コワーキングスペースとは?シェアオフィスとの違い・サービス・利用のポイント・開業事例」
メリット・デメリット
次にコワーキングスペースを開業するメリットは、初期投資の少なさです。他業種(飲食業や小売業など)とは異なり、必要な設備・機器・什器が少なく、商品の在庫は不要なため、初期投資を抑えられます。
ただし賃料の高さや集客の難しさなどは、コワーキングスペースを開業するデメリットです。立地の利便性が高いほど集客しやすいですが、物件の賃料が高くなります。店舗物件の選定について、後ほどご紹介します。
シェアオフィス・レンタルオフィスとの違い
それからコワーキングスペースとシェアオフィス・レンタルオフィスとの違いは、目的や作業環境などです。コワーキングスペースは、異なる組織に所属する人たちが仕事のために共同で利用できる空間です。
シェアオフィスは複数の企業や個人が共同で利用できるオフィス物件で、レンタルオフィスは企業や個人が時間や月の単位で賃借できるワークスペースです。異なる組織に所属する人たちが同じ空間を利用しますが、協働するわけではありません。
参照元:IDEALオフィス「フレキシブルオフィスとは?メリット・デメリット・種類・デザインの注意点・事例」
利用者のニーズ
そしてコワーキングスペースに対する利用者のニーズは、料金の安さや無料サービス、充実した設備・機器・什器、利便性の高さなどです。仕事や勉強をしやすい環境が求められています。
またコワーキングスペースは、個人のワークスペースや会議室、法人のサテライトオフィス・タッチダウンオフィスなどとして利用されています。コワーキングスペースには、幅広いニーズに応えられる環境が必要です。
参照元:
大阪府枚方市「コワーキングスペース・シェアオフィス等に関するアンケート調査報告書」(7ー14ページ)
神奈川県横浜市「市内コワーキングスペース等に関するアンケート調査結果概要」(10ー11ページ)
コワーキングスペース開業に必要なもの・ポイント
基本情報だけではなく、コワーキングスペース開業に必要なもの・ポイントも確認しましょう。8点(コンセプト・事業計画書と開業資金、店舗物件、設備・機器・什器、DX推進・無人店舗化、資格・免許・届出・許可、採用・研修、集客活動)をご紹介します。
コンセプトの設計・事業計画書の作成
まずコンセプトの設計・事業計画書の作成が、コワーキングスペース開業のポイントとして挙げられます。コンセプトは店舗経営の基本方針であり、競合店との差別化や事業計画書の作成に必要です。
設計したコンセプトに基づいて、事業計画書を作成しましょう。開業資金の調達や経営の評価・改善などに、事業計画書が必要です。コワーキングスペースにも活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
開業資金の調達
次に開業資金の調達も、コワーキングスペース開業のポイントです。開業前の初期投資(物件取得費や設備・機器・什器購入費など)や開業後の運転資金(人件費や光熱水道費など)が不足する場合には、開業資金の調達方法を検討しましょう。
開業資金の調達方法(出資・借入・融資・補助金・助成金)によって、申請条件や返済方法などが異なります。コワーキングスペースにも活用できる開業資金を調達する際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
店舗物件選定とデザイン・工事
それから店舗物件選定とデザイン・工事も、コワーキングスペース開業に必要なものです。店舗物件はコンセプトを実現させるための手段であり、立地や間取りなどは集客や売上に影響します。
店舗物件を購入・賃借したら、外観や内装のデザイン・工事を進めましょう。コワーキングスペースの外観・内装にも活用できるデザイン・工事のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
設備・機器・什器の手配
続いて設備・機器・什器の手配は、コワーキングスペース開業に必要なものです。コワーキングスペースのサービスに応じて、電気・ガス・水道・照明・空調・換気・通信・厨房などの設備・機器を手配しましょう。
設備・機器だけではなく、什器(デスク・チェア・ソファ・収納棚・カウンター・調理台など)も必要です。コワーキングスペースにも活用できる什器の分類や入手方法などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
DX推進・無人店舗化
またDX推進・無人店舗化も、コワーキングスペース開業のポイントです。業務効率化や競争力の向上などを目指して、店舗のDX(デジタル技術による店舗経営の仕組みや商品・サービスなどの変革)を推進しましょう。
コワーキングスペースを無人店舗化すれば、人手不足の解消や人件費の削減、営業時間の拡大、来客データの活用などが可能です。無人店舗ビジネスの経営課題と解決策をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
資格・免許の取得や届出・許可の申請
さらに資格・免許の取得や届出・許可の申請も、コワーキングスペース開業のポイントです。資格・免許・届出・許可の種類によって、取得や申請の条件が異なります。
- 防火管理者の資格(該当する店舗物件の場合)
- 食品衛生責任者の資格(飲食物を提供する場合)
- 税務や財務、保険などに関する資格や免許
- 税務に関する手続き(個人事業主の開業届または法人の設立届など)
- 防火管理者選任届・防火対象設備使用開始届(該当する物件の場合)
- 飲食店営業許可の申請(飲食物を提供する場合)
- 社会保険や労働保険の加入手続き(従業員を雇用する場合)
参照元:
日本年金機構「事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」
人材の採用・研修
そして人材の採用・研修も、コワーキングスペース開業のポイントです。長時間営業する場合や多店舗展開する場合には、店舗の営業を任せる従業員を採用しなければなりません。採用したい職種や人数、人物像などを明確にしましょう。
従業員の採用から開業予定日までの間には、接客や清掃、調理などの業務に関する研修も計画します。コワーキングスペースにも活用できる人材採用のコツや研修の注意点などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
集客活動の計画
なお集客活動の計画も、コワーキングスペース開業のポイントです。開業当初から新規顧客を獲得してリピート率を高めるために、開業前から集客活動を計画します。ターゲット層に合う集客方法を選びましょう。
集客活動には、オンライン(SNSやMEOなど)とオフライン(ポスティングや交通広告など)の方法があります。コワーキングスペースにも活用できる集客のアイデアや事例をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
コワーキングスペースの開業事例
ポイントを押さえてコワーキングスペースを開業できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(24時間無人営業とカフェ併設、大小の会議室、多彩なプラン、小規模)をご紹介します。
24時間無人営業のコワーキングスペース
まず「リブポート松戸」は、24時間無人営業のコワーキングスペースです。スマホアプリを利用した入退室管理システムや宅配ボックスなどが導入されています。ドリンクサーバーや電子レンジ・シンク、コピー機・シュレッダーなどは、共有の設備・機器です。
利用プランは、利用者の幅広いニーズに応えられるように、4種類(コワーキング会員やルーム会員、アドレス会員、ドロップイン会員)に分かれています。周辺に銀行やコンビニなどがあり、利便性が高いコワーキングスペースです。
参照元:
PR TIMES「24時間無人運営型の個室シェアオフィス&コワーキングスペース『リブポート松戸』がいいオフィスの省人化パッケージを導入|株式会社いいオフィス」
カフェ併設のコワーキングスペース
次に「HAKADORU」は、カフェ併設のコワーキングスペースです。コンセプトは「ハカドリたい人のためのコワーキング×カフェ」で、フリードリンク(挽きたてコーヒーやソフトドリンクなど)が提供されています。
ワーキングスペースにはオープンスペース席やソロブース、防音個室などがあり、広いデスクと高機能チェアが配置されています。全席に電源が設置されており、文房具・充電器・モニターなどを無料貸出しているコワーキングスペースです。
参照元:
HAKADORU「新宿三丁目・渋谷宮益坂・大森にあるコワーキングスペース×カフェ」
PR TIMES「コワーキングスペース『HAKADORU渋谷宮益坂店』2月1日オープン|株式会社トーハン」
大小の会議室を提供するコワーキングスペース
それから「J-Switch Coworking Space」は、大小の会議室を提供するコワーキングスペースです。フロアには、小会議室(最大5名、2部屋)と大会議室(最大60名、1部屋)が施工されています。
会議室だけではなく、カフェやカウンター、ミーティング、集中作業、キッチンなどのエリアも、同じフロアにレイアウトされています。ユニバーサルトイレやパウダールームも施工されたコワーキングスペースです。
参照元:
タウンニュース「コワーキングスペース4月30日 グランドオープンつくし野駅徒歩7分」
J-Switch Coworking Space「施設案内」
多彩なプランを提供するコワーキングスペース
続いて「CoWorkers24木更津駅前店」は、多彩なプランを提供するコワーキングスペースです。利用する時間や期間に応じて、ドロップインや月額会員、レンタルデスクのプランが設定されています。
事前決済やQRコードによるチェックインが採用されており、専用スマホアプリが導入されています。郵便局や飲食店などに囲まれ、商業ビルの4階に立地しているため見晴らしの良いコワーキングスペースです。
参照元:
きさらづレポート「【木更津駅西口徒歩5分】24時間営業コワーキングスペース『CoWorks24 木更津駅前店』が4月6日(土)オープン!【1時間利用から月額会員まで】」
小規模なコワーキングスペース
そして「クライス」は、小規模なコワーキングスペースです。脱毛・ホワイトニングサロンのスペース(8畳程度)を間借りしています。ワークショップに適した木製のテーブルや棚などが配置されています。
レンタルボックスも設置されており、雑貨や飲食物などが委託販売されています。Wi-Fiを完備し、パソコンの貸し出しも行うコワーキングスペースです。
参照元:
日刊新周南「『OPEN』【光】工務店が生んだコワーキングスペース 浅江にKreisオープン」
コワーキングスペースの開業資金
事例のようなコワーキングスペースを開業するためには、資金が必要です。そこでコワーキングスペース開業資金の相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、開業資金の節約法も確認しましょう。
相場
まずコワーキングスペース開業資金の相場は、坪単価10万~30万円程度です。例えば50坪で賃料月50万円の店舗物件なら、500万~1,500万円程度の開業資金がかかります。ただし店舗物件の立地や規模、従業員数などによって、開業資金は変動します。
内訳
次にコワーキングスペース開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、賃料月50万円で50坪の店舗物件にかかる開業資金を試算してあります。
開業資金の内訳 | 費用の目安 | 費用の試算 |
物件取得費 (敷金や礼金、 前賃料など) | 20%程度 (賃料の2〜6ヶ月程度) | 100万〜300万円程度 (賃料50万円で 50坪の店舗物件) |
店舗デザイン・工事費 (内装や外観、 設備・機器・什器など) | 50%程度 (坪単価50万〜150万円程度) | 250万〜750万円程度 |
諸経費 (開業前の資格や 届出・許可、 採用・研修、集客など) | 10%程度 | 50万〜150万円程度 |
運転資金 (開業後の賃料や 光熱水費、人件費など) | 20%程度 (賃料の2〜6ヶ月程度) | 100万〜300万円程度 |
合計 | 100% (坪単価10万〜30万円程度) | 500万円〜1,500万円程度 |
上表のとおりに、コワーキングスペースの開業資金においては、店舗デザイン・工事費が大半を占めます。つまり内装や外観、設備・機器・什器などにこだわるほど、開業資金が増額するわけです。
節約法
そしてコワーキングスペース開業資金の節約法には、相見積もりや居抜き物件、補助金・助成金などがあります。相見積もりを取って、各業者の見積もり(工事の内容や費用、期間など)を比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。
居抜き物件を契約して、内装や外観、設備・機器・什器などを譲渡してもらえれば、店舗デザイン・工事費を節約できます。ただし居抜き物件にはデメリットもありますので、ご注意ください。
補助金・助成金の申請が通れば、基本的に返済義務のない資金を獲得できます。例えば兵庫県では、コワーキングスペース開業を支援する補助金制度が設けられています。店舗の開業に活用できる補助金・助成金をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
コワーキングスペースの開業準備を計画しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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