2021.04.23 2024.11.02|店舗デザイン
レストランのオープンキッチンのメリット・デメリットとは?デザインポイント・事例・工事費用
本記事で、レストランのオープンキッチンのメリット・デメリットを解説します。またデザインポイント・事例・工事費用もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
レストランのオープンキッチンに関する基本情報
レストランにオープンキッチンをデザインする前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、デザインしやすくなるからです。それではレストランのオープンキッチンの定義とメリット、デメリット、クローズドキッチンとの違いをご紹介します。
定義
まずレストランのオープンキッチンの定義とは、ダイニングフロアの客席から見える位置にレイアウトされたキッチンです。客席に座る顧客が食事をしながら、従業員が調理する様子を見られます。
オープンキッチンが施工される位置は、カウンターや壁際、ダイニングフロアの中央などです。例えばビュッフェスタイルのレストランにおいては、ダイニングフロアの中央にオープンキッチンをレイアウトすることで、顧客の注文を受けてから調理ができます。
メリット
次にレストランにオープンキッチンをデザインするメリットは、調理工程の披露や安全性のアピール、店内の活気などです。ダイニングフロアで調理工程を披露することで、料理を待つ顧客に楽しんでもらいながら、食の安全性をアピールできます。
ダイニングフロアに調理の音や香りを届けることで、店内の活気を出せます。調理中の従業員が直接的に顧客と会話を交わしながら、顧客の要望(焼き加減やアレルギー源など)に応えることも可能です。
デメリット
しかし衛生管理の難しさや従業員のストレス、トラブルの危険性などは、レストランにオープンキッチンをデザインするデメリットです。常に顧客の視線が入るため、食品はもちろん設備・機器・什器などの衛生管理が求められます。
食品や設備・機器・什器に加えて、顧客の視線は従業員にも向けられるため、ストレスを与えやすいです。調理中の煙や油によって、顧客に怪我や事故などのトラブルが生じないように注意しなければなりません。
クローズドキッチンとの違い
そしてレストランにおけるオープンキッチンとクローズドキッチンとの違いは、視認性や業務効率です。オープンキッチンではライブパフォーマンスのように調理風景を見せたり、調理した食事をすぐに提供できたりします。
一方で、クローズドキッチン(ダイニングフロアから離れた位置にレイアウト)では、客席に座る顧客からの視線は入らないため、従業員が調理に集中できます。ただし接客担当の従業員が、キッチンで調理された食事を提供しなければなりません。
レストランのオープンキッチンのデザインポイント
基本情報を踏まえたところで、レストランのオープンキッチンのデザインポイント(コンセプトの設計とレイアウト、カウンター、設備・機器・什器、耐用年数・減価償却、メンテナンス性、安全性・清潔感、空調・換気・排気の効率)をも押さえましょう。
コンセプトの設計
まずコンセプトの設計が、レストランのオープンキッチンのデザインポイントとして挙げられます。店舗経営の基本方針であるコンセプトに基づいて、おしゃれでサービスを提供しやすいオープンキッチンをデザインしましょう。
オープンキッチンは、活気ある雰囲気や顧客とのコミュニケーション、出来立ての料理などをコンセプトにするレストランに合います。レストランにも活用できるコンセプトを設計する流れと方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
レイアウト
次にレイアウトも、レストランのオープンキッチンのデザインポイントです。レストランのキッチンをレイアウトする際には、位置(オープンキッチンとクローズドキッチン)だけではなく、形(I字型・L字型・二列型・アイランド型)も検討しましょう。
例えばI字型のカウンターに沿ってオープンキッチンをレイアウトすれば、横並びに座る顧客に均等にコミュニケーションを取れます。レストランにも活用できるキッチンレイアウトの施工事例をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
カウンター
またカウンターも、レストランのオープンキッチンのデザインポイントです。ダイニングフロアにカウンターをレイアウトする場合には、カウンターの形やサイズ、高さ、素材などを検討します。
一般的にはカウンターが大きくて低いほど、顧客がゆったりと着席できます。内装デザインに合わせて、素材(木材や樹脂、金属など)も選びましょう。レストランにも活用できるカウンターの作り方をまとめてありますので、次の記事を併せてご覧ください。
設備・機器・什器
続いて設備・機器・什器も、レストランのオープンキッチンのデザインポイントです。一般的なレストランのキッチンには、作業台やガスコンロ、食器棚などが配置されます。業務内容に応じて、オープンキッチンに必要な設備・機器・什器を配置しましょう。
ただし業務内容ではなく、顧客の視認性や従業員の動線も考慮して、設備・機器・什器のサイズや配色、配置なども検討しなければなりません。レストランにも活用できる厨房設備・機器・什器の選び方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
耐用年数・減価償却
それから耐用年数・減価償却も、レストランのオープンキッチンのデザインポイントです。飲食店業用設備の法定耐用年数が定められていますので、劣化・故障の状況に応じて買い替えなくてはなりません。ただし購入だけではなく、リースやレンタルの方法もあります。
厨房設備・機器・什器を購入した際には、減価償却(長期間使用する建物・設備・備品などの経費を一定期間内に分配する税務処理)が必要です。レストランの内装工事にも活用できる減価償却についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メンテナンス性
さらにメンテナンス性も、レストランのオープンキッチンのデザインポイントです。ダイニングフロアと同様に、常に顧客の視線が入るオープンキッチンに対しては、日ごろのメンテナンスが欠かせません。
そこでメンテナンス性を考慮して、オープンキッチンの内装材や設備・機器・什器を選択しましょう。レストランにも活用できるメンテナンスの重点箇所と方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
安全性・清潔感
そして安全性・清潔感も、レストランのオープンキッチンのデザインポイントです。ダイニングフロアの顧客はもちろん、従業員の安全性も配慮して、オープンキッチンのレイアウトや内装材、設備・機器・什器の配置などを検討しなければなりません。
清潔感が求められるオープンキッチンの内装空間には、耐熱性・耐火性・耐水性などの高い素材(タイルやステンレスなど)が合います。レストランにも活用できる内装材の選び方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
空調・換気・排気の効率
なお空調・換気・排気の効率も、レストランのオープンキッチンのデザインポイントです。調理中の熱気や煙、臭いが必要以上にダイニングフロアへ流れないように、間取りに合うように空調・換気設備を施工します。
空調・換気効率だけではなく、悪臭防止や火災予防のために、レストランには排気ダクトも必要です。レストランにも活用できる排気ダクトに関する注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
レストランのオープンキッチン施工事例
ポイントを押さえてレストランにオープンキッチンをデザインできるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点(フレンチ・イタリアン・ファミリー・チャイニーズ・メキシカンレストラン)を取り上げて、各事例の特徴をご紹介します。
フレンチレストランのオープンキッチン
まず「La Maison de Kanno Humble」は、福島市のフレンチレストランです。ブーメラン型のカウンターに沿ってオープンキッチンが施工されており、メンテナンス性の高いステンレスの厨房・設備機器が配置されています。
白を基調とした内装空間には木目の床材や什器が配置され、アクセントにネイビーの内装材が施工されています。清潔さと温かさを感じさせる内装デザインです。ダイニングフロアには、カウンター席とテーブル席が配置されています。
参照元:福島経済新聞「福島・太田町にフランス料理店 銀座での修業経て、ふるさとで開業」
イタリアンレストランのオープンキッチン
次に「Trattoria Pertica」は、金沢市のイタリアンレストランです。オープンキッチンとI字型のカウンターは垂れ壁と腰壁で隔てられているため、視認性や安全性に配慮されています。
内装と外観のベースカラーはライトグレーで、店舗デザインの統一感が保たれています。木目の内装材や什器が配置されているため、温かさを感じさせる内装デザインです。ダイニングフロアには、カウンター席とテーブル席が配置されています。
参照元:週末、金沢。「【金沢市】イタリア料理店「Trattoria Pertica(トラットリア ペルティカ)」がオープン!本格イタリアンが気軽に楽しめる隠れ家レストラン【NEW OPEN】」
ファミリーレストランのオープンキッチン
また「カフェ・マンデー」は、福島県のファミリーレストランです。顧客とのコミュニケーションがしやすいように、オープンキッチンにはL字型の低いカウンターが施工されています。
内装と外観にベースカラーの白が配色されて統一感があり、メインカラーに赤茶が配色されています。喫茶店で使用されていた什器や音響機器などがリユースされており、昔懐かしい大衆食堂の雰囲気を感じさせる店舗デザインです。
参照元:@niftyニュース「福島県白河市にある、バッティングセンター横の『ボクらがつくったファミレス』」
チャイニーズレストランのオープンキッチン
続いて「豪華楼」は、弘前パークホテル内のチャイニーズレストランです。オープンキッチンとU字型のカウンターは垂れ壁と腰壁で隔てられており、ダークブラウンの内装材や什器が配置されています。
ダイニングフロアにはカウンター席と同じ色味のテーブル席も配置されており、内装空間の統一感が保たれています。中国文化をイメージさせるインテリア(タペストリーや照明器具など)で装飾された内装空間です。
参照元:
メキシカンレストランのオープンキッチン
さらに「QUÉ PASA」は、京都市のメキシカンレストランです。オープンキッチンです。エントランスを入って右側にオープンキッチンがあり、青く塗装されたコンクリートブロックでI字型のカウンターが施工されています。
エントランスを入って左側にはテーブル席が配置されており、ダウンライトに照らされています。外型にはテラス席が配置されているエントランスのデザインです。
参照元:
KYOTOLIFE「【京都市上京区】荒神口の人気ブリトー専門店『QUÉ PASA』で楽しめる本格ナチョス!」
レストランのオープンキッチン工事費用
事例のようなオープンキッチンを施工するためには、資金が必要です。そこでレストランのオープンキッチン工事費用の相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、工事費用の節約法も確認しましょう。
相場
まずレストランのオープンキッチン工事費用の相場は、坪単価30万〜80万円程度です。例えば5坪のオープンキッチンなら、150万〜400万円程度の工事費用がかかります。ただし店舗物件の立地や種類(居抜きかスケルトン)、設備・機器・什器の台数、内装材のグレードなどによって、工事費用は変動します。
内訳
次にレストランのオープンキッチン工事費用の内訳について、参考情報として、5坪のオープンキッチンにかかる工事費用を試算してあります。
費用の内訳 | 費用の目安 | 費用の試算 |
諸経費 (デザイン、施工監理、 仮設、解体など) | 全体の20%程度 (賃金の4~10ヵ月分程度) | 30万~80万円程度 (20坪の店舗物件) |
内装工事費 (天井や壁、床、建具など) | 全体の30%程度 | 45万~120万円程度 |
設備・機器・什器工事費 (電気やガス、水道、 厨房、照明、空調・換気など) | 全体の50%程度 | 75万~200万円程度 |
合計 | 100% (坪単価30万~80万円程度) | 150万~400万円程度 |
上表のとおり、オープンキッチン工事費用においては、設備・機器・什器工事費が大半を占めます。つまり設備・機器・什器のグレードや台数にこだわるほど、工事費用が増加するわけです。
節約法
そしてレストランのオープンキッチン工事費用の節約法は、相見積りや居抜き物件、中古品・リース品、補助金、助成金などです。複数の業者から見積もりを取って比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。
居抜き物件を契約して内装や外観、設備・機器・什器などを譲渡してもらったり、中古品・リース品を活用したりすれば、工事費用を抑えられます。ただし居抜き物件にはデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧ください。
補助金・助成金の申請が通れば基本的に返済義務のない資金を獲得できますが、補助金・助成金ごとに申請条件が定められています。飲食店が申請できる補助金・助成金をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
レストランにオープンキッチンをデザインしよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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