2023.04.05  2023.03.29|新規開業ノウハウ

テイクアウト専門店を開業する流れ!開業に必要な資格・届出・許可や資金

テイクアウト専門店を開業する流れ!開業に必要な資格・届出・許可や資金

本記事で、テイクアウト専門店を開業する流れを解説します。開業に必要な資格・届出・許可や資金もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

テイクアウト専門店とは?

テイクアウト専門店とは?

テイクアウト専門店とは、店内での飲食を前提とせず、テイクアウト(持ち帰り)注文に特化した飲食店です。開業準備を開始する前に、まずはテイクアウト専門店の需要増加の背景やメリット・デメリット、メニューの特徴を確認しましょう。

需要増加の理由

まずテイクアウト専門店に対する需要増加の理由として、新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられます。新型コロナウイルス感染拡大前(2020年以前)と比較すると、イートイン市場が3割減少した一方で、テイクアウト市場が3割程度増加しているからです。

参照:npd「<外食・中食 調査レポート>外食業態テイクアウト市場規模は1兆7540億円、コロナ前比3%増、2021年3月-2022年2月計」

また新型コロナウィルス感染拡大による外出自粛やテレワークの開始だけではなく、調理時間が不要である点や軽減税率によりイートインより安い点なども、テイクアウト専門店の需要が増加した理由として挙げられます。テイクアウトは忙しい現代人にとって便利な選択肢となっており、今後も拡大が予想されます。

メリット・デメリット

次にテイクアウト専門店のメリットとして、業種・業態を問わず、次の点が挙げられます。

  • 店舗の面積や賃料が抑えやすい
  • 人件費も抑えやすい
  • 受注量を増やしやすい

また次の点が、テイクアウト専門店のデメリットです。

  • テイクアウトに向かないメニューがある
  • 客単価が低くなりやすい

以上のテイクアウト専門店のメリット・デメリットについて詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

メニューの特徴

そしてテイクアウト専門店のメニューの特徴として、商品が冷めた状態や再加熱した状態でも風味が落ちにくいです。具体的には、下記のようなメニューがテイクアウト専門店に適しています。

  • サンドイッチやクレープ
  • おにぎりや寿司
  • 唐揚げなどの揚げ物
  • 丼ぶりやカレーライス
  • ピザやハンバーガー
  • パスタやラーメンなどの麺類

上記のメニューは、デリバリーもしやすいです。デリバリーサービスに対応できる点も、テイクアウト専門店のメニューの特徴です。

テイクアウト専門店を開業する流れ

テイクアウト専門店を開業する流れ

テイクアウトの基本情報を押さえたところで、テイクアウト専門店を開業する流れを確認しましょう。コンセプト設計から資金調達、店舗物件のデザイン、資格の取得、届出・許可の申請、メニュー開発、人材採用、集客活動へと、開業準備をスムーズに進めましょう。

コンセプトを設計する

テイクアウト専門店を開業する流れは、開業1年前ほどにコンセプトを設計する活動から始まります。テイクアウト専門店の基本理念を表すコンセプトを設計することで、一貫した方向性に沿って開業準備を進めることが可能です。

コンセプトを設計するポイントは、下記のとおりです。

  • 市場調査と競合分析をする
  • 顧客のターゲットを選定する
  • 提供する付加価値やポジションを決定する
  • コンセプトを言語化する
  • 事業計画書にまとめる

なおコンセプトを設計する方法について詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業資金を調達する

テイクアウト専門店のコンセプトを設計できたら、次に開業資金を調達しましょう。開業資金を調達する方法は、次のとおりです。

  • 親族や知人から借入
  • 民間金融機関の融資制度
  • 日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資
  • クラウドファンディングの募集
  • 国や地方自治体の補助金・助成金

各調達方法にメリット・デメリットがあるため、事業に必要な資金額や貯蓄している自己資金額などに応じて決めましょう。上記の開業資金の調達方法を詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗物件を取得する

開業資金の調達と並行して、店舗物件を取得しましょう。例えば市場調査(競合店の数や交通の利便性など)を行ったうえで、店舗の立地を選ぶことが大切です。他にも店舗物件の探し方を紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

またテイクアウトやデリバリーの専門店であれば、シェアキッチンに店舗を開業することもできます。必要な厨房設備が備わっているため、初期投資を抑えられます。シェアキッチンを利用して開業する方法を解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

なお自宅にテイクアウト専門店を開業することも可能です。ただし営業許可を取るための条件(用途地域や施設基準)を満たす必要があります。自宅に飲食店を開業するメリット・デメリットなどを詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗をデザインして工事する

開業日の数か月前までに店舗物件を取得できたら、店舗をデザインして工事をします。設計したコンセプトに基づいて、内装(壁や床、天井など)や設備・機器・什器などをデザインすることが大切です。コンセプトからズレた内装をデザインしてしまうと、商品・サービスの魅力や経営方針との整合性が取りづらくなってしまうからです。

デザインした店舗を実現させるために、業者に工事を依頼してください。工事業者によって得意分野や対応範囲などが異なるため、予算内に希望を実現できる業者を選ぶことがポイントです。店舗内装デザイン・工事の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

資格を取得して届出・許可を申請する

資格を取得して届出・許可を申請する

テイクアウト専門店の開業資金や店舗工事だけではなく、資格を取得して届出・許可を申請しましょう。資格や届出・許可により、法令に基づいて顧客に信頼される商品・サービスを提供できるからです。

また衛生管理や安全対策を徹底して店舗を経営する基盤も整えるためにも、開業に必要な資格・届出・許可の準備を進めてください。テイクアウト専門店開業に必要な資格や届出・許可について、後ほど詳しくご紹介します。

メニューを開発する

さらにテイクアウト専門店を開業する流れには、メニューを開発する作業も含まれます。先ほどご紹介したテイクアウト専門店のメニューの特徴を踏まえて、持ち運びしやすく、冷めても再加熱しても風味が落ちにくいメニューの開発がポイントです。

またメニューを開発する際には、原価率も意識しましょう。メニュー全体の原価率を抑えることで、利益率を高めることができます。飲食店の原価率が低いメニューをご紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

必要に応じて人材を採用する

開業数か月前には、必要に応じて人材を採用しましょう。イートインの飲食店と比べて、テイクアウト専門店に必要な従業員数は少ないです。求人広告を出したり、人材紹介会社に相談したりして従業員を募集できます。

採用面接の際は、応募者の人柄やスキル、やる気などの確認がポイントです。採用後は、開業日までに研修やマニュアルの共有などを計画的に実施しましょう。

集客活動を展開する

人材採用と同様に、テイクアウト専門店開業の数か月前から、集客活動を展開しましょう。開業当初は顧客に店舗の存在を認知してもらえていないため、集客努力が求められます。

そこで営業状況や商品・サービスの魅力を知らせるために、ターゲットとする顧客層へ店舗情報を届けなくてはなりません。店舗へ集客する方法を詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

テイクアウト専門店開業に必要な資格・届出・許可

テイクアウト専門店開業に必要な資格・届出・許可

テイクアウト専門店の開業の流れを押さえたところで、開業に必要な資格や届出、許可を詳しく確認しましょう。衛生管理・調理・店舗経営の資格や、営業の許可、開業の届出がありますので、計画的に準備を進めなくてはなりません。

食品衛生責任者の資格

テイクアウト専門店開業には、まず食品衛生責任者の資格が必要です。食品衛生法により、飲食店には必ず食品衛生責任者を設置しなければなりません。食品衛生管理の規定や手順を確立し、従業員へ衛生指導することが、食品衛生責任者の主な役割です。

食品衛生責任者資格の取り方と有効期限などを詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

調理に関する資格

次に調理に関する資格も、テイクアウト専門店開業に必要です。テイクアウト・デリバリーに適したメニューの調理に関する資格として、次の資格例があります。

  • 調理師
  • 製菓衛生師
  • パン製造技能士

調理に関する資格を取得することで、顧客に対して技術と知識を証明できます。品質の良いメニューを提供することで、安心と信頼を得やすくなります。他にもテイクアウト専門店の調理に役立つ資格がありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗経営に関する資格

また店舗経営に関する資格も、テイクアウト専門店開業に求められます。店舗経営に関する資格例は、次のとおりです。

  • 税理士
  • 簿記
  • 社会保険労務士
  • ビジネス・キャリア検定
  • ビジネス実務法務検定試験

もちろん専門家へ依頼する選択肢もあります。しかし各分野(会計や財務、労務など)に特化した知識やスキルを身につけることで、店舗経営の問題に対応しやすくなり、コスト削減や節税対策にも繋がります。

営業の許可

さらに営業の許可を申請しなくては、テイクアウト専門店を開業できません。テイクアウト・デリバリーで販売する食品に応じて、下記の営業許可が必要です。

  • 飲食店営業
  • 菓子製造業
  • 清涼飲料水製造業
  • アイスクリーム類製造業
  • 乳製品製造業
  • 食肉製品製造業
  • 氷雪製造業
  • 豆腐製造業
  • めん類製造業
  • そうざい製造業
  • 漬物製造業

上記の営業許可を取得するためには、地域を管轄する保健所に申請を行う必要があります。必要書類(物件の見取り図や内装配置の平面図など)を揃えて申請しましょう。申請後に保健所による検査を通過できれば、営業許可書が交付されます。

参照:東京都福祉保健局「新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ」

開業の届出

そしてテイクアウト専門店開業前には、開業の届出も必要です。個人事業主として開業するなら、開業から1か月以内に「個人事業開業・廃業等届出書」を提出します。

参考:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

法人を設立して開業するなら、2か月以内に税務署へ、1か月以内に都道府県税事務所と市町村役場へ、「法人設立届出書」を提出します。

参考:国税庁「[手続名]内国普通法人等の設立の届出」

テイクアウト専門店の開業資金

テイクアウト専門店の開業資金

テイクアウト専門店の開業準備を滞りなく進めるためには、開業資金が必要です。開業資金の相場や内訳、調達方法、節約方法をご紹介しますので、無駄を省いて予算内に開業準備を進めましょう。

開業資金の相場

10坪程度のテイクアウト専門店開業資金の相場は、100万~500万円程度です。ただし事業の内容や立地、物件の種類(居抜きかスケルトンか)や規模などによって、開業資金は上下します。

例えば所有する自宅にテイクアウト専門店を開業する場合には、物件取得費や工事費を削減できます。しかし店舗物件を借りるなら、物件取得費や工事費がかかります。したがって100万~500万円程度と開きが生じます。

開業資金の内訳

下表に、開業資金の内訳をまとめました。居抜き物件(10坪で賃料月10万円)にテイクアウト専門店を開業する資金を試算してありますので、ご覧ください。

開業資金の内訳各費用の割合居抜き物件にかかる費用
(10坪で賃料月10万円)
物件取得費全体の10%程度
(賃料の6~12か月分程度)
10万~50万円程度
店舗工事費
(厨房や外観など)
全体の30%程度30万~150万円程度
設備・機器・什器の購入費
(厨房設備やパソコンなど)
全体の20%程度20万~100万円程度
仕入れ費全体の5%程度5万~25万円程度
集客費全体の5%程度5万~25万円程度
運転資金全体の30%程度
(賃料の6~12か月分程度)
30万~150万円程度
合計100%100万~500万円程度

上表のとおり、物件取得費と店舗工事費、設備・機器・什器の購入費が開業資金の6割程度を占めます。ただしイートインで食事を提供しない場合には、ダイニングフロアが不要となり、賃料や店舗工事費を削減できます。

開業資金の節約方法

テイクアウト専門店の開業資金の節約方法として、補助金や助成金の活用が挙げられます。国や地方自治体から資金を補助・助成してもらうことができ、基本的に返済義務がありません。ただし補助金や助成金ごとに、申請の条件が期限が定められています。テイクアウト専門店に活用できる補助金や助成金をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

またデリバリーに特化したゴーストレストランとして開業することで、初期費用や運転資金を抑えやすくなります。ゴーストレストランのメリット・デメリットを紹介していますので、次の記事もご覧ください。

そして間借りして飲食店を営業することでも、経費を抑えることができます。飲食店を間借りするメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

集客できるテイクアウト専門店を開業しよう!

IDEALは、店舗全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。

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監修者

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