2024.03.22 2024.02.25|新規開業ノウハウ
リースバックによる店舗の開業とは?注意点・事例・資金などを紹介
本記事で、「リースバックによる店舗の開業とは?」という疑問にお答えするために、注意点・事例・資金などをご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
リースバックによる店舗の開業とは?基本情報を紹介
リースバックによる店舗の開業とは、どういった方法なのでしょうか?そこでリースバックによる店舗開業の基本情報(仕組みやメリット・デメリット、事業用定期借地権との違い、ロードサイド店舗)をご紹介します。
仕組み
まずリースバックによる店舗開業の仕組みには、2通りあります。1つは、店舗経営者が所有している資産(土地や店舗物件、設備など)を売却して、売却した資産を賃借する仕組みです。
もう1つは、店舗経営者が土地の所有者に建築協力金を支払い、建築された店舗物件を賃借する仕組みです。一般的には、建築協力金を賃料に充てることで、土地の所有者から返金されます。
メリット・デメリット
次にリースバックによる店舗開業のメリット・デメリットは、リースバックの仕組みによって異なります。
リースバックの仕組み | メリット | デメリット |
保有資産の売却 | 保有資産を現金化できる 同じ立地で営業を継続できる | 賃料の支払いが必要になる 必ずしも契約期間が保障されない |
建築協力金の支出 | 好立地へ出店できる 契約終了時に店舗を残して撤退できる | 初期投資が高い中途解約すると 建築協力金を回収できない |
以上のメリット・デメリットを考慮したうえで、リースバックによる店舗の開業を判断しましょう。
事業用定期借地権との違い
またリースバックによる店舗開業と事業用定期借地権との違いは、契約条件です。リースバックによる店舗開業の契約においては、土地の所有者が建築した店舗物件を賃借するため、契約終了時に店舗物件を解体する義務がありません。
一方で、事業用定期借地権の契約においては、店舗経営者が店舗物件を建築し、契約終了時に店舗物件を解体して、更地に戻す義務があります。店舗経営者が固定資産税や修繕費も負担しなければなりません。
参照元:国土交通省「定期借地権の解説」
ロードサイド店舗
そしてリースバックによる店舗開業は、ロードサイド店舗に適しています。ロードサイド店舗とは、「交通量の多い道路の沿線上にある店舗」です。土地を有効活用したい所有者と新規出店したい経営者の利害が一致しています。
ロードサイド店舗は、飲食店や家電量販店、アミューズメント施設などの業種・業態に適しています。ロードサイド店舗を経営するメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
リースバックで店舗を開業する際の注意点
基本情報だけではなく、リースバックで店舗を開業する際の注意点も確認しましょう。8点(コンセプトと開業資金、契約条件、資格・免許、届出・許可、採用・研修、集客)を取り上げます。
コンセプトの設計
まずリースバックで店舗を開業する際の注意点として、コンセプトの設計が挙げられます。コンセプトは店舗経営の基本方針であり、競合店との差別化や事業計画書の立案に必要です。
そこで市場調査や競合分析をしてから、リースバックで開業する店舗のコンセプトを設計しましょう。店舗のコンセプトを設計する流れと方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
開業資金の調達
次に開業資金の調達も、リースバックで店舗を開業する際の注意点です。保有資産を売却して店舗の営業を継続する場合には、売却金を得られます。
しかし建築協力金を支出してロードサイド店舗を開業する場合には、開業資金の調達が必要です。開業資金の調達方法には、出資や借入、融資、補助金・助成金などがあります。開業資金を調達するポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
リースバックの契約条件
また契約条件も、リースバックで店舗を開業する際の注意点です。保有資産を売却して店舗の営業を継続する場合には、売却額や賃貸借契約の期間などの条件を確認しましょう。利益を蓄えてから、売却した資産の買戻しも可能です。
建築協力金を支出してロードサイド店舗を開業する場合には、建築協力金の返済期間や賃貸借契約の期間、修繕費の負担などの条件が設定されます。特に、中途解約時に建築協力金の返済が免除される特約には、ご注意ください。
店舗のデザイン・工事
それから店舗のデザイン・工事も、リースバックで店舗を開業する際の注意点です。保有資産を売却して店舗営業を継続する場合には、集客と売上を伸ばすために店舗の改装・リフォームをご検討ください。
建築協力金を支払いロードサイド店舗を開業する場合には、コンセプトに基づいて店舗の内装と外観をデザイン・工事しましょう。店舗の内装と外観のデザイン・工事についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
資格・免許の取得
続いて資格・免許の取得も、リースバックで店舗を開業する際の注意点です。店舗の業種・業態に応じて、必要な資格・免許が異なります。例えば飲食店の営業許可を取得するためには、食品衛生責任者の資格が必須です。
また法的に必須ではなくても、店舗の開業や経営に役立つ資格・免許もあります。店舗の開業・経営に必要な資格・免許をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
届出・許可の申請
そして届出・許可の申請も、リースバックで店舗を開業する際の注意点です。店舗の業種・業態を問わず、以下の届出・許可が必要です。
- 個人事業主の開業届または法人の設立届
- 防火管理者選任届・防火対象設備使用開始届・火を使用する設備等の設置届(条件を満たす場合)
- 社会保険や労働保険の加入手続き(従業員を雇用する場合)
参照元:
日本年金機構「事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」
また店舗の業種・業態に応じて必要な届出・許可もありますので、次の記事も併せてご覧ください。
参照元:IDEALショップ「届出・許可」
人材の採用・研修
さらに人材の採用・研修も、リースバックで店舗を開業する際の注意点です。営業時間の長い店舗や複数の店舗を開業する場合には、従業員を採用しなければなりません。採用したい人物像を明確にしたうえで、人材採用の計画を立てましょう。
そして開業予定日までに、店舗の営業や接客などに関する研修も必要です。店舗経営における人材採用のコツや研修の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
集客活動
なお集客活動も、リースバックで店舗を開業する際の注意点です。開業当初から集客を伸ばすためには、開業前からの集客活動が必要です。ターゲットする顧客層へ向けて、店舗の情報を届けましょう。
店舗へ集客する方法には、オフライン集客(ポスティングや交通広告など)とオンライン集客(SNSやポータルサイトなど)があります。店舗の業種・業態ごとの集客アイデアをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
リースバックによる開業に適した店舗の業種・業態
注意点に気をつけながら開業できるように、リースバックによる開業に適した店舗の業種・業態もご覧ください。2業種の5業態(小売業のコンビニとスーパーマーケット、ドラッグストア、アパレルショップ、飲食サービス業の飲食店)をご紹介します。
小売業のコンビニ
まず小売業のコンビニが、リースバックによる開業に適した店舗です。コンビニには、幅広い商品・サービスに対するニーズがあります。
- 中食用食品や店内調理された食品、生鮮食品
- 家庭用品
- 各種サービスの申し込み(保険やチケット、行政など)
ただしコンビニ店舗数の9割は、上位3社(セブンイレブンとファミリーマート、ローソン)によって占められています。コンビニの市場規模や開業事例などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
小売業のスーパーマーケット
次に小売業のスーパーマーケットも、リースバックによる開業に適した店舗です。コロナ禍を契機として、消費者のニーズが変化(非接触の決済や特定店舗でのまとめ買い、内食や時短調理など)しています。
そしてニーズの変化に応じて、ITを活用したスーパーマーケット経営(セルフレジ導入やネットスーパー開設)が進んでいます。スーパーマーケット業界の動向などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
小売業のドラッグストア
また小売業のドラッグストアも、リースバックによる開業に適した店舗です。ドラッグストアとは、一般用医薬品や化粧品などを販売する業態です。調剤薬局や医薬品小売店が併設される店舗もあります。
薬局(ドラッグストアや調剤薬局、医薬品小売店)の開業に失敗する原因として、市場調査の不足や資金管理の不備、不親切な接客、医療機関との関係悪化などが挙げられます。以上の失敗する原因の対策をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
小売業のアパレルショップ
それから小売業のアパレルショップも、リースバックによる開業に適した店舗です。アパレルショップは、自社や他社のブランド商品を取り扱います。実店舗だけではなく、ネットショップも開設されています。
集客と売上を伸ばすために、取り扱う商品や販売の方法を検討しましょう。アパレルショップの仕入れ先(メーカーや卸問屋、仕入れサイト、展示会、海外のメーカーや仲介業者)をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
飲食サービス業の飲食店
そして飲食サービス業の飲食店も、リースバックによる開業に適した店舗です。メニューとサービスの品質を高めて、集客と売上を伸ばすために、資格やスキルの取得を検討しましょう。
- 調理に関する資格やスキル
- 税務や財務に関する資格やスキル
- 社会保険や労務管理に関する資格やスキル
飲食店の開業に必要な資格をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
リースバックによる店舗の開業資金
リースバックによる開業に適した店舗の業種・業態ごとに、必要な予算が異なります。そこでリースバックによる店舗の開業資金の相場と内訳を確認しましょう。無駄な経費を削減できるように、開業資金の節約法もご紹介します。
相場
まずリースバックによる店舗の開業資金の相場は、坪単価40万~80万円程度です。例えば店舗経営者が土地の所有者に建築協力金を支払い、50坪のスケルトン物件を建築するなら、2,000万~4,000万円程度になります。
ただし店舗の立地や規模、建築構造(鉄骨や木造など)、業種・業態、建築協力金の建築工事費用に対する割合、内装や外観、設備・機器・什器のグレードなどによって、開業資金は変動します。
鉄骨造や木造の店舗の建築工事費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
内訳
次にリースバックによる店舗の開業資金の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、店舗経営者が土地の所有者に建築協力金を支払い、50坪のスケルトン物件を建築する場合の開業資金を試算してあります。
資金の内訳 | 資金の目安 | 資金の試算 (50坪のスケルトン物件) |
建築協力金 (建築デザイン・工事費の一部) | 全体の50%程度 (坪単価30万~50万円程度) | 1,000万~2,000万円程度 (1,500万~2,500万円程度の一部) |
店舗デザイン・工事費 (内装と外観、設備・ 機器・什器など) | 全体の25%程度 (坪単価20~50万円程度) | 500万~1,000万円程度 (1,000万~2,500万円程度の一部) |
諸経費 (開業前の採用・研修・ 届出・許可・集客など) | 全体の5%程度 | 100万~200万円程度 |
運転資金 (開業後の賃料・光熱水費・ 人件費・仕入費など) | 全体の20%程度 (賃料の6~12か月分程度) | 400万~800万円程度 |
合計 | 100% (坪単価40万~80万円程度) | 2,000万~4,000万円程度 |
上表のとおり、開業資金の大半を建築協力金が占めます。ただし店舗物件の建築工事費用に対して店舗経営者が負担する割合(建築協力金の金額)は、土地の所有者との交渉によって決定されますので、ご注意ください。
節約法
そしてリースバックによる店舗の開業資金の節約法には、相見積もりや補助器・助成金などがあります。
相見積もりを取って、各業者の見積もり(工事の費用や期間など)を比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。内装工事における見積書の内訳や注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
補助金・助成金には基本的に返済義務がありませんが、申請から受給までに時間がかかり、事業計画書が必要です。店舗の開業・経営に活用できる補助金・助成金の種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
リースバックによる店舗の開業を検討しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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