2025.02.13 2024.12.24|新規開業ノウハウ
個人経営の美容室は儲かるか?経営者の年収やインボイス制度・売上管理など

本記事で、「個人経営の美容室は儲かるか?」という疑問にお答えするために、経営者の年収をご紹介します。またインボイス制度・売上管理などについても、解説します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
個人経営の美容室は儲かるか?基本情報を紹介

どれくらい個人経営の美容室は、儲かるのでしょうか?そこで個人経営美容室の基本情報(市場規模とフランチャイズ経営との違い、主なサービス、経営者の年収と廃業率)をご紹介します。
市場規模
まず個人経営美容室の市場規模に関するデータは、Web上に掲載されていませんでした(2024年12月時点)。以下の資料によると、美容室全体の市場規模は1.4兆円程度(2024年)で、サロン業界全体の半分以上を占めています。
コロナ禍(2020~2022年)には市場規模を縮小させた業種もありましたが、美容室の市場規模に大きな変化はありませんでした。髪の毛のカットやトリートメントなどに対する安定した需要が推測されます。
参照元:
PR TIMES「美容室の市場規模は、1兆3543億円で前年ほぼ横ばい。1回あたりの利用金額は、女性7,482円、男性4,708円で男女ともに、ここ5年で最高額に」
ホットペッパービューティーアカデミー「数字で見る美容業界 | 」
フランチャイズ経営との違い
次に美容室の個人経営とフランチャイズ経営との違いは、経営の自由度やノウハウ・ブランド力などです。個人経営の美容室は自由に方針を決められますが、自店舗でノウハウを蓄積したり、ブランド力を高めたりしなければなりません。
一方でフランチャイズに加盟して美容室を経営すれば、本部のノウハウ・ブランド力を活用できます。ただし加盟料・ロイヤリティの支払いが求められ、経営が制約を受けます。フランチャイズによる開業についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
主なサービス
それから個人経営美容室の主なサービスは、美容の施術(ヘアのカットやカラー、パーマ、トリートメント、メイクアップ、着付けなど)です。以下の資料によると、カット・カラー・トリートメントのニーズが大きいです。
参照元:
PR TIMES「美容室の市場規模は、1兆3543億円で前年ほぼ横ばい。1回あたりの利用金額は、女性7,482円、男性4,708円で男女ともに、ここ5年で最高額に」
なお美容室や美容院、ヘアサロンは、美容師法に基づいて「美容所」に該当します。「美容室」と「美容院」「ヘアサロン」の違いをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
経営者の年収と廃業率
そして美容室の個人経営者の年収と廃業率は、Web上に掲載されていませんでした(2024年12月時点)。美容室経営者全体の年収は300万〜500万円程度だと想定されます。経営者の年収についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
美容室全体の倒産件数は2010年代に増加しましたが、コロナ禍(2020~2022年)に減少しました。コロナ関連の支援策が要因だと考えられます。コロナ禍を経て、倒産件数が増加傾向にあります。
参照元:東京商工リサーチ「『美容室』倒産が急増 1‐4月は最多の46件 人件費や美容資材の価格上昇が経営を直撃」
個人経営美容室の開業ポイント

基本情報だけではなく、個人経営美容室の開業ポイント(コンセプト・事業計画書と開業資金・売上管理・インボイス制度、店舗物件、設備・機器・什器、資格・免許・届出・許可、商品・サービス開発・DX推進、人材の採用・研修、集客活動)も確認しましょう。
コンセプト設計・事業計画書作成
まずコンセプト設計・事業計画書作成が、個人経営美容室の開業ポイントとして挙げられます。コンセプトは店舗経営の基本方針となり、競合店との差別化や事業計画書の作成などに必要です。
設計したコンセプトに基づいて、事業計画書を作成しましょう。事業計画書は、開業資金の調達や経営の評価・改善などに必要です。個人経営美容室の開業にも活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
開業資金調達・売上管理・インボイス制度の対応
次に開業資金調達・売上管理・インボイス制度の対応も、個人経営美容室の開業ポイントです。開業前の初期費用や開業後の運転資金を計算したうえで、開業資金を調達します。利益率を高めるためには、正確な売上管理と経費削減が重要です。
インボイス制度の対応方法も検討しましょう。課税事業者になると消費税の納税義務を負いますが、新規の取引先を獲得しやすくなります。免税事業者の美容師に業務委託する場合には、仕入税額控除を受けられません。
参照元:国税庁「インボイス制度とは」
店舗物件の選定とデザイン・工事
それから店舗物件の選定とデザイン・工事も、個人経営美容室の開業ポイントです。店舗物件はコンセプトを実現させるための手段であり、立地は集客に影響します。希望条件(間取りや規模、賃料など)に合う店舗物件を選定しましょう。
店舗物件を賃借・購入できたら、開業予定日までに外観・内装のデザイン・工事を計画します。個人経営美容室にも活用できる外観・内装デザインをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
設備・機器・什器の手配
続いて設備・機器・什器の手配も、個人経営美容室の開業ポイントです。サービスの内容に応じて、電気・ガス・水道空調・換気設備や照明・美容機器などを手配します。顧客満足度を高めるために、設備・機器の台数やサイズ、機能性などを検討しましょう。
設備・機器だけでなく、受付カウンターや待合用ソファ、施術台などの什器も手配しなければなりません。店舗で利用される什器の分類を入手方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
資格・免許の取得と届出・許可の申請
また資格・免許の取得と届出・許可の申請も、個人経営美容室の開業ポイントです。申請手続きを進める際には、必ず最新情報を確認しましょう。
- 美容師や管理美容師の免許
- 防火管理者の資格(該当する店舗物件の場合)
- 税務や財務、労務などに関する資格やスキル
- 税務に関する届出・許可(個人事業主の開業届または法人の設立届など)
- 防火管理者選任届(該当する店舗物件の場合)
- 美容所の開設届
- 社会保険や労働保険の加入(従業員を雇用する場合)
商品・サービス開発とDX推進
さらに商品・サービス開発とDX推進も、個人経営美容室の開業ポイントです。集客の向上と売上の安定のためには、独自性のある商品・サービスを開発しなければなりません。市場調査に基づいて、商品・サービス開発を進めましょう。
店舗経営における業務効率化や生産性向上、競争力強化などのためには、DX(デジタル技術による経営の仕組みや商品・サービスなどの変革)が必要です。店舗DXの方法と費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
人材の採用・研修
そして人材の採用・研修も、個人経営美容室の開業ポイントです。長時間営業する場合や多店舗展開する場合などには、店舗営業を任せる従業員を採用します。希望条件(採用したい職種や人数、人物像など)を整理したうえで、採用活動を開始しましょう。
従業員採用日から開業予定日までの間には、接客や施術などに関する研修も計画しなければなりません。個人経営美容室の開業にも活用できる人材採用のコツと研修の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
集客活動
なお集客活動も、個人経営美容室の開業ポイントです。美容業界に新規参入する場合には、知名度も認知度もありません。開業当初からターゲットとする顧客層を獲得できるように、開業前から集客活動を展開しましょう。
集客活動には、オンライン(SNSやMEOなど)とオフライン(看板広告やフリーペーパーなど)の方法があります。個人経営美容室にも活用できる集客に成功した事例をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
個人経営美容室の開業事例
ポイントを押さえて個人経営美容室を開業できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(地球環境への配慮と独立、移動営業、経営サポートサービス、シェアサロン)をご紹介します。
地球環境に配慮した個人経営美容室
まず「美容室みどりLoveEarth」は、地球環境に配慮した個人経営美容室です。美容・健康だけではなく環境浄化も目的として、水パーマが提供されています。次世代に美しい地球環境を受け継ぐことを目指している個人経営美容室の開業事例です。
幅広い美容サービス(ヘアカット・エステ・着付け・リトリート・スクールなど)が提供されています。美容家としての実績を活かして、美容に関する書籍も出版しています。
参照元:
マイナビニュース「自然豊かな八ヶ岳に開業したエコロジカルな美容院-子どもたちにきれいな地球を、女性に“こころの美容室”を届けたい」
人気サロンから独立した個人経営美容室

次に「ネスト」は、人気サロングループから独立した個人経営美容室です。5席の小規模店舗で、美容師の経営者とアシスタントの2人体制でサービスが提供されています。店舗の拡大も目指している個人経営美容室の開業事例です。
「トーキョーエレガント」をコンセプトに掲げて人気サロン「シマ」から独立してからも、グループサロンとして良好な関係を保っています。美容師の独立の新しい形を示すためです。
参照元:WWD「美容室『シマ』に23年間勤務した人気美容師が独立し新サロン『ネスト』をオープン 木下優樹菜やエリーローズからも支持」
キャンピングカーで移動する個人経営美容室

それから「〜sora〜」は、キャンピングカーで移動する個人経営美容室です。来店の難しい障害者や高齢者をターゲットに、訪問サービスを提供しています。イベントのヘアメイクや着付けにも対応している個人経営美容室の開業事例です。
自店舗のサービスだけではなく、NPO法人と連携して、ヘアカットを希望する障害者と対応できる美容師のマッチングサイトを運営しています。美容業界の魅力を伝えるために、海外のファッションショーにもサービスを提供しています。
参照元:マイナビニュース「発達障がいや高齢の人も、“美容の力”で最高の笑顔に-キャンピングカーの移動美容室」
個人経営美容室をサポートするサービス
続いて「me by,,」は、個人経営美容室をサポートするサービスです。美容室内には、美容師が独立して営業できるように個室が施工されています。シェアサロンとは異なり、数席を配置できる広さの個室を占有できる仕組みです。
本サービスを利用することで、開業費用を抑えながら、美容所として登録できます。個室の内装を自由にデザインでき、仕入の割引や決済サービスの利用なども可能です。
参照元:PR TIMES「【美容室の開業コストが10分の1!】完全に独立した2~3席の美容室が集まる空間「me by,,』提供開始」
個人経営美容室を開業できるシェアサロン

そして「インキュベーションサロンS358」は、個人経営美容室を開業できるシェアサロンです。シェアサロン内に鏡・座席・シャンプー台などの設置された完全個室があり、独立開業を目指す美容師をサポートしています。
手数料を支払ってシェアサロンを利用すれば、各美容師が自由に経営方針(営業時間や予約方法など)を決められます。経営していた美容室をシェアサロンにリニューアルした事例です。
参照元:長崎新聞「美容室の個室シェア 独立開業支援『インキュベーションサロンS358』開設 長崎の佐々野さん」
個人経営美容室の開業資金

事例のような個人経営美容室を開業するためには、資金が必要です。そこで個人経営美容室の開業資金の相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、開業資金の節約法も確認しましょう。
相場
まず個人経営美容室の開業資金の相場は、坪単価30万~100万円程度です。例えば10坪の店舗物件であれば、300万~1,000万円程度の開業資金がかかります。ただし店舗物件の立地や規模、種類(居抜きかスケルトン)、サービスなどによって、開業資金は変動します。
内訳
次に個人経営美容室の開業資金の内訳について、参考情報として、10坪で賃料月10万円の店舗物件にかかる費用を試算してあります。
開業資金の内訳 | 各費用の目安 | 各費用の試算 |
物件取得費 (敷金や礼金、 前賃料など) | 10%程度 (賃料の3~10か月分程度) | 30万~100万円程度 (賃料月10万円で 10坪の店舗物件) |
店舗デザイン・工事費 (内装や外観、 設備・機器・什器など) | 70%程度 (坪単価20万~70万円程度) | 200万~700万円程度 |
諸経費 (開業前の資格や 届出・許可、 採用・研修、集客など) | 10%程度 | 30万~100万円程度 |
運転資金 (開業後の光熱水費や 賃料、人件費など) | 10%程度 (賃料の3~10か月分程度) | 30万~100万円程度 |
合計 | 100% (坪単価30万~100万円程度) | 300万~1,000万円程度 |
上表のとおり個人経営美容室の開業資金においては、店舗デザイン・工事費が大半を占めます。したがって開業資金を節約するためには、内装や設備・機器・什器工事費用を削減しなくてはなりません。
節約法
そして個人経営美容室の開業資金の節約法は、相見積もりや居抜き物件・中古品・リース品、補助金・助成金などがあります。相見積もりを取って、各業者の見積もり(工事の費用や期間など)や接客対応、施工実績などを比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。
居抜き物件を購入・賃借して外観や内装を譲渡してもらったり、設備・機器・什器の中古品・リース品を選べば、新規工事費用を削減できます。ただし居抜き物件・中古品・リース品にはデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧ください。
補助金・助成金の申請が通れば基本的に返済義務のない資金を獲得できますが、補助金・助成金の種類によって申請条件が異なります。店舗開業・経営に活用できる補助金・助成金をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
個人経営美容室の開業準備を計画しよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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