2025.03.13 2025.01.26|店舗運営ノウハウ
飲食店の保健所検査！流れ・設備・機器・什器・ポイントなどを解説
本記事で、飲食店の保健所検査を受ける流れや合格するためのポイントを解説します。また飲食店の保健所検査に必要な設備・機器・什器もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
飲食店の保健所検査に関する基本情報
飲食店の保健所検査を受ける前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、合格しやすくなるからです。それでは飲食店の保健所検査の目的と時期、更新頻度・有効期間、項目（内容）をご紹介します。
目的
まず飲食店が保健所検査を受ける目的は、営業許可を取得するためです。食品衛生法に基づいて、食品関係の営業許可を申請した飲食店は都道府県（保健所）による検査を受けなければなりません。
例えば東京都では保健医療局が飲食店の営業許可を管轄しており、申請の手引を作成しています。各都道府県の公式サイトや窓口を確認して、申請手続きを進めましょう。
参照元：東京都保健医療局「新たに食品に関する営業を始められる皆さまへー食品関係営業許可申請の手引ー」
いつ受けるか？（時期）
次に飲食店の保健所検査の時期は、店舗デザイン・工事から営業開始までの間です。厨房の間取りや設備・機器・什器などの立ち入り検査を受けるため、店舗物件の工事が完了していない間は受けられません。
ただし店舗工事の完了後に営業許可を申請しても、すぐに保健所による立ち入り検査を受けられるわけではありません。開業準備を開始する前に、申請から立ち入り検査までにかかる期間を管轄の保健所に確認しましょう。
何年ごとに受けるか？（更新頻度・有効期間）
それから飲食店の保健所検査の更新頻度は、都道府県ごとに定められています。食品衛生法に基づいて、5年を下回らない有効期間の設定が可能です。以下の資料によると、多くの都道府県が5～8年の有効期間を定めています。
参照元：
したがって保健所検査に合格した飲食店には、5年以上営業を続けると営業許可の更新手続きが必要です。営業許可証に記載された有効期間を確認したうえで、更新手続きの準備を開始しましょう。
項目（内容）
そして飲食店の保健所検査の項目（内容）は、都道府県によってに定められています。管轄する保健所の窓口や公式サイトで、必ず最新情報を確認しましょう。
例えば東京都の手引によると、以下の項目（内容）が検査されます。
- 営業施設の構造（施設と区画、汚染等防止、床・内壁・天井、照明設備、換気設備、駆除設備、手洗設備、冷蔵冷凍設備、保管設備、更衣場所）
- 食品取扱設備（機械器具と運搬容器、計量器）
- 給水、排水及び汚物処理（給水設備、便所、廃棄物容器、清掃用具）
参照元：東京都保健医療局「新たに食品に関する営業を始められる皆さまへー食品関係営業許可申請の手引ー」
飲食店が保健所検査を受ける流れ
基本情報だけではなく、飲食店が保健所検査を受ける流れも確認しましょう。6点（事前の相談から店舗のデザイン・工事、食品衛生責任者の資格取得、営業許可の申請、保健所による立ち入り検査、営業許可証の交付まで）に整理して、ご紹介します。
事前の相談
まず事前の相談が、飲食店が保健所検査を受ける前に必要です。事前に保健所に相談してから店舗デザイン・工事を進めることで、営業許可の施設基準を満たして立ち入り検査に合格しやすくなるからです。
そこで保健所の窓口に出向いて営業許可の申請書を受け取り、店舗デザイン・工事に関する質問をします。都道府県ごとに営業許可の施設基準が定められていますので、必ず最新情報を確認しましょう。
店舗のデザイン・工事
次に店舗のデザイン・工事も、飲食店の保健所検査を受ける前に必要です。営業許可の施設基準を満たしたうえで、自店舗のコンセプトに合う外観と内装をデザインして集客と売上を伸ばしましょう。
飲食店のデザイン・工事を依頼できる業者には、設計事務所や工務店、店舗デザイン工事専門業者などがあります。飲食店が内装業者を選ぶときの注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
食品衛生責任者の資格取得
それから食品衛生責任者の資格取得も、飲食店の保健所検査を受ける前に必要です。飲食店が営業許可を申請するためには、食品衛生責任者（食品の製造・販売を行う営業施設において食品衛生管理業務を統括する役職）を配置しなければなりません。
食品衛生責任者の資格を取得する方法は、講習会の受講または食品関連資格取得です。食品衛生責任者の資格を取得する方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
営業許可の申請
続いて営業許可の申請も、飲食店の保健所検査を受ける前に必要です。営業許可申請の必要書類（食品衛生責任者養成講習会の修了証や営業許可申請書、施設の平面図など）は、都道府県によって定められています。
都道府県の配布している営業許可申請の手引を確認して、必要書類を揃えましょう。申請手数料も必要です。食品営業許可の申請と更新をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
保健所による立ち入り検査
そして営業許可申請時に決定した日時に、保健所による飲食店の立ち入り検査が実施されます。都道府県ごとに定められた施設基準によって、飲食店の内装や設備・機器・什器などが確認されます。
施設基準を満たさない項目（内容）を指摘された場合には、内装や設備・機器・什器を改善してから再検査を受けなければなりません。指摘事項をクリアできれば、保健所による立ち入り検査に合格できます。
営業許可証の交付
なお保健所による立ち入り検査に合格すると、営業許可証が交付されます。顧客や取引先に営業許可を証明するために、店内に許可証を掲示します。営業許可証の掲示方法については、都道府県ごとに定められています。
営業許可を取得すれば飲食店の営業を開始できますが、集客活動や人材採用などの開業準備も必要です。飲食店開業の流れと準備をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
飲食店の保健所検査に必要な内装や設備・機器・什器
飲食店が保健所検査を受ける流れと併せて、必要な内装や設備・機器・什器（照明・換気・廃棄物処理・排水・駆除・冷凍冷蔵庫・洗浄・手洗・保管・厨房・計量器・更衣室・便所）もご紹介します。
内装（天井・内壁・床）
まず内装が、飲食店の保健所検査に必要です。清掃しやすく、耐水性があり、汚染物質が浸透しないように、天井・内壁・床を仕上げなくてはなりません。天井・内壁・床の素材や種類についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
照明器具
次に照明器具も、飲食店の保健所検査に必要です。調理や清掃などの業務をしやすい照度を確保できるように、照明器具を配置します。店舗に施工できる照明の種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
換気設備
また換気設備も、飲食店の保健所検査に必要です。厨房内の結露やカビを防止するために、換気設備を施工します。店舗内を換気する方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
廃棄物処理・排水設備（ゴミ箱・グリストラップなど）
それから廃棄物処理・排水設備（ゴミ箱・グリストラップなど）も、飲食店の保健所検査に必要です。不透明で清掃しやすく汚染物質が漏れない形状のゴミ箱を設置します。都道府県の施設基準によっては、調理油を回収するグリストラップも必要です。
駆除設備
また駆除設備も、飲食店の保健所検査に必要です。食品を取り扱う飲食店には、害虫や害獣の侵入を阻止し、侵入した場合に駆除する設備を配置しなければなりません。例えば換気扇のカバーや毒餌剤、自動噴霧殺虫機などです。
冷凍冷蔵庫
続いて冷凍冷蔵庫も、飲食店の保健所検査に必要です。要冷蔵・要冷凍の食品を安全に管理するために、冷蔵冷蔵庫を設置します。冷凍冷蔵庫の故障を防止するためには、毎日の温度を記録しましょう。
参照元：東京都保健医療局「飲食店向け 食品衛生管理 ガイドブック」（9-12ページ）
洗浄設備
また洗浄設備も、飲食店の保健所検査に必要です。食品や調理器具などを洗浄するために、熱湯や蒸気を供給できるシンクや食洗器などを施工しなければなりません。店舗における給排水設備工事のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
手洗設備
さらに手洗い設備も、飲食店の保健所検査に必要です。仕込みや調理の前に手指を洗浄するために、流水式の手洗い設備を施工します。再汚染防止のために、自動水栓が理想的です。店舗における衛生設備工事のポイントについては、次の記事も併せてご覧ください。
保管設備
また保管設備も、飲食店の保健所検査に必要です。食材と洗剤を区別して保管できるように、カゴやワゴン、収納棚などを配置します。飲食店にも活用できる什器の分類や入手方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
厨房設備・器具・什器
そして厨房設備・器具・什器も、飲食店の保健所検査に必要です。メニューに応じて、ガスコンロやオーブン、作業台、製氷機、食器棚などを配置します。厨房設備・機器・什器の選び方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
計量器
次に計量器も、飲食店の保健所検査に必要です。冷蔵・冷凍・殺菌・加熱などの設備を適切に管理するために、温度計を設置します。使用する設備によっては、圧力計や流動計なども必要です。
更衣室
また更衣室も、飲食店の保健所検査に必要です。従業員の性別や人数に応じて、必要な広さと数の更衣室を施工します。店舗のバックヤードについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
便所
なお便所も、飲食店の保健所検査に必要です。厨房に汚染物質を持ち込まない構造で、流水式手洗い設備の付いた便所を施工します。店舗に施工できるトイレの種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
飲食店の保健所検査に合格するためのポイント
飲食店の保健所検査に必要な内装や設備・機器・什器に加えて、合格するためのポイント（最新情報の確認と水質検査、HACCPに沿った衛生管理、従業員の研修、厨房のレイアウト、変更・更新の手続き）もご紹介します。
最新情報の確認
まず最新情報の確認が、飲食店の保健所検査に合格するためのポイントとして挙げられます。飲食店の営業許可に関する法令が改正されると、施設基準に変更が加えられるためです。
例えば2018年に食品衛生法が改正されたため、以下の点に飲食店が対応しなければなりません。HACCPに沿った衛生管理については、後ほどご紹介します。
- HACCPに沿った衛生管理
- 「営業許可制度」の見直しと「営業届出制度」の創設
水質検査
次に水質検査も、飲食店の保健所検査に合格するためのポイントです。水道局の管理する水道水以外の水（井戸や貯水槽の水など）を利用する場合には、水質検査も受けなければなりません。
水質検査の基準や方法については、管轄する保健所の窓口や公式サイトで確認しますよう。例えば東京都の食品営業許可申請の手引には、水質検査成績書を提出する条件が示されています。
参照元：東京都保健医療局「新たに食品に関する営業を始められる皆さまへー食品関係営業許可申請の手引ー」
HACCPに沿った衛生管理
それからHACCPに沿った衛生管理も、飲食店の保健所検査に合格するためのポイントです。2018年の食品衛生法改正に基づいて、2021年からHACCPに沿った衛生管理が制度化されています。
飲食店が営業するする際には、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」を参考にして衛生管理を実施しなければなりません。管轄する保健所の窓口や公式サイトで最新情報を確認しましょう。
参照元：東京都保健医療局「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
従業員の研修
続いて従業員の研修も、飲食店の保健所検査に合格するためのポイントです。保健所による検査に一度合格してからも定期的に営業許可の更新が必要なため、衛生管理を徹底するために従業員の研修を計画しましょう。
衛生管理に関する研修を計画する際には、目的を周知したうえで適切な方法（「職場内または職場外」「新人または管理職」「研修担当者または外部講師」など）を選択します。飲食店営業にも活用できる研修の注意点については、次の記事も併せてご覧ください。
厨房のレイアウト
さらに厨房のレイアウトも、飲食店の保健所検査に合格するためのポイントです。食品の衛生管理を徹底するためには、厨房とダイニングフロア、バックヤードなどのスペースを明確に区切らなくてはなりません。
参照元：東京都保健医療局「新たに食品に関する営業を始められる皆さまへー食品関係営業許可申請の手引ー」
そこでメニューの内容や座席数、清掃のしやすさなどを考慮して、飲食店の厨房をレイアウトしましょう。飲食店の厨房（キッチン）をレイアウトするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
変更・更新の手続き
そして変更・更新の手続きも、飲食店の保健所検査に合格するためのポイントです。各都道府県の施設基準にしたがって、営業許可証には有効期間が記載されます。したがって飲食店の営業を続けるためには、変更・更新の手続きが必要です。
営業許可更新のために、食品衛生責任者が定期的に実務講習を受けることで、衛生管理の最新情報を確認できます。食品営業許可の申請と更新をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
飲食店の保健所検査に向けて準備しよう！
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監修者
-
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