2023.01.20  2023.01.13|新規開業ノウハウ

自宅に飲食店を開業できる条件!費用・業態・メリット・デメリット・資格・届出

自宅に飲食店を開業できる条件!費用・業態・メリット・デメリット・資格・届出

本記事で、自宅に飲食店を開業できる条件を解説します。開業費用や飲食店の業態、メリット・デメリット、必要な資格・届出もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

自宅に飲食店を開業できる条件

自宅に飲食店を開業できる条件

まず自宅に飲食店を開業できる条件を確認しましょう。条件を知らないまま準備を進めてしまうと、資金が足りなかったり営業許可が下りなかったりして、開業できなくなる恐れがあります。

飲食店を開業できる用途地域を選ぶ

自宅兼飲食店の開業場所を決める際は、まず飲食店を開業できる用途地域を選んでください。用途地域とは土地の用途によって分類されたエリアです。「都市計画法」に基づいて13種類に分けられます。「工業専用地域」を除く12のエリアに飲食店を開業できます。

参考:e-Gov法令検索「都市計画法」第8条

ただし床面積や周辺環境などによって、制限があります。例えば東京都で自宅に飲食店を開業する場合には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 兼用住宅
  • 店舗部分の床面積が50㎡以下
  • 建物全体の延べ面積の半分以下

参考:東京都都市整備局「用途地域による建築物の用途制限の概要」

保全対象施設からの距離を確認する

次に開業準備を開始する前に、各自治体の公式サイトで保全対象施設の位置を確認しておきましょう。自宅付近に保全対象施設(学校や図書館、病院など)がある場合には、バーなどの社交飲食店を開業できないからです。

参考:東京都公安委員会「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の施行に関する規則」

風営法について詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

飲食店の施設基準を満たす

自宅で開業する際には、保健所により設定された飲食店の施設基準を満たす必要があります。営業許可を受けるために、各自治体が定める施設基準を確認してください。

まず居住スペースと店舗スペースの動線を分けなければなりません。一戸建ての場合は、上下分離型(1階の店舗と2階の住居に分ける形式)と縦割り型(同じ階のフロアを2つのスペースに分ける形式)があります。玄関やトイレなどを住居用と店舗用に区別してください。

またマンションの場合は居住目的以外に使用できない恐れがあるため、契約条件を確認する必要があります。トラブルを避けるため、内装工事を始める前に貸主の許可や近隣住民の理解を得るようにしてください。

なお飲食店には、2槽式のシンクなどの厨房設備が必要です。自治体ごとに内装材や照明設備などに関する基準も細かく定められていますので、内装工事前に確認しましょう。次の記事に厨房設備についてまとめてありますので、併せてご覧ください。

開業費用を調達する

自宅で飲食店を開業するために、開業費用を調達してください。

飲食店開業費用の相場と内訳

開業費用の相場は、300万〜1000万円程度です。また開業費用の内訳は、以下のようになります。ただし所有する物件に飲食店を開業する場合は、物件取得費が必要ありません。

  • 物件取得費
  • 内装工事費
  • 厨房設備費
  • 原材料費
  • 宣伝広告費
  • 諸経費
  • 運転資金

内装工事費の相場

飲食店の内装を工事する費用の相場は、坪単価20〜50万円程度です。自宅の一室を10坪の飲食店に工事するなら200〜500万円が必要となります。

ただし工事する範囲や内装のこだわりなどによって、内装工事費用は変動します。必要な厨房設備は飲食店の業態によって異なり、高額な設備もあるため予算に合わせて購入してください。

運転資金の相場

なお飲食店の運転資金は開業後に赤字経営が続くことを想定して、開業前に毎月の賃料の6~12か月分程度を調達しておいてください。なお飲食店開業資金の調達方法について次の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。

自宅に開業できる飲食店の業態

自宅に開業できる飲食店の業態

次に自宅に開業できる飲食店の業態を理解しておきましょう。開業したい飲食店のコンセプトを実現できる業態や利益を上げやすい業態を選ぶためには、業態ごとの特徴を押さえておく必要があるからです。

店舗兼住宅

まず店舗兼住宅(ひとつの建物の中に店舗と住宅が存在しており行き来できる物件)に飲食店を開業できます。店舗兼住宅を所有すれば家賃が不要であり、通勤時間もかかりません。ただし集客しやすい立地選びや近隣住民からの理解が求められます。

飲食店開業を前提として店舗兼住宅を建築・リフォームする場合は、複数業者に相見積もりを取りながら、飲食店のコンセプトや内装デザインの希望などを細かく伝えましょう。店舗兼住宅を建てる方法を次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

また店舗兼住宅を借りて飲食店を開業することも可能です。ただしトラブルを避けるために、飲食店を開業可能か事前に貸主に確認しましょう。原状回復の義務があることも忘れないでください。店舗兼住宅の賃貸物件を選ぶポイントや施工事例について次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

古民家カフェ

次に築50年以上の古い家をリノベーションすれば、古民家カフェを開業できます。古民家に用いられる天然素材は、人や環境に優しいです。例えば木材や藁などが使用されていると、化学物質の発生を抑えられ、身体への悪影響が減ります。

また耐久性が高い構造も、古民家カフェのメリットです。例えば無垢フローリングには、現代の複合フローリングにはない耐久性と暖かさがあります。経年変化による木材独特の色は、非日常感や古き良き時代の雰囲気を演出できます。

以上の古民家の特徴を活かせば、集客効果を期待できます。独自性のあるデザインで競合店と差別化しましょう。古民家カフェの内装デザインや施工事例についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

ゴーストレストラン

自宅で飲食店を開業できる業態は実店舗だけではなく、ゴーストレストランとして飲食店を開業することも可能です。ゴーストレストランは厨房設備だけを所有・利用して、顧客に調理した食品をテイクアウトやデリバリーで提供する業態です。

ゴーストレストランには店内飲食用のダイニングフロアが不要なため、内装工事費用や運転資金を削減できます。また自宅面積が狭くても、厨房設備があれば開業可能です。一方でオンライン中心の集客になるため顧客との信頼関係を築きにくく、ターゲットが限定されてしまうデメリットもあります。

ゴーストレストランのメリット・デメリットや事例についてはまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

自宅に飲食店を開業するメリット・デメリット

自宅に飲食店を開業するメリット・デメリット

自宅に開業できる飲食店の業態だけではなく、自宅に飲食店を開業するメリット・デメリットを知っておきましょう。メリットを活かしながらデメリットを対策して、集客と売上につなげましょう。

メリット①コストを抑えやすい

メリットの1つ目は、コストを抑えやすい点です。開業前から自宅物件を所有していると、物件の取得費用・賃料を抑えられます。また水道やガスなどの工事も済んでいるため、スケルトン物件に比べて内装工事費用を抑えることも可能です。

加えて自宅から店舗までの通勤時間を削減できます。都合の良い時間帯に仕込みや経理処理などを行えるだけではなく、ガソリン代や電車代といった通勤費用もかかりません。飲食店を廃業しても、テナント物件として賃貸すれば収入を得られます。

飲食店経営の経費や節約について紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

メリット②副業から始められる

メリットの2つ目は、副業から始められる点です。自宅で開業すると時間を効率的に使えるため、本業に従事しながら休業日や勤務時間前後に飲食店を営業できます。営業が軌道に乗り収入を増やせれば、飲食店営業を本業とすることも可能です。

ただし副業としている間はプライベートの時間が削られるため、体調に気をつけたりスケジュールを調整したりする必要があります。また副業を禁止する企業もあるため、本業の就業規則を事前に確認しましょう。

メリット③本格的な店舗を出す前の修行になる

メリットの3つ目は、本格的な店舗を出す前の修行になる点です。店舗物件を借りて開業すると、失敗のリスクが伴います。しかし自宅で小さな飲食店から始めれば、経営ノウハウを身につけながら徐々に利益を出すことが可能です。

なお経営していく中で利益を出すためには、原価率を抑えたり、客単価の高いメニューを開発したりしなければなりません。飲食店の原価率を抑えたメニュー開発について詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

デメリット①立地により集客が左右される

デメリット①立地により集客が左右される

デメリットの1つ目は、立地により集客が左右される点です。自宅をリノベーションして飲食店を開業する場合は、立地を選べません。近隣住民が顧客になる可能性もありますが、エリア内にターゲットとする顧客層が少ないと集客を期待できない恐れがあります。

そこで集客活動の工夫が重要になります。店舗の業種・業態ごとの集客アイデアを詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

デメリット②近隣トラブルのリスクがある

デメリットの2つ目は、近隣トラブルのリスクがある点です。飲食店からのニオイや煙、顧客の路上駐車などで近隣住民からクレームが出ると、飲食店の評価が落ちて廃業に追い込まれる恐れがあります。

特に住宅密集地に飲食店を開業する場合にご注意ください。対策として排気口を住宅地に向けないように工事したり、定期的に清掃したりしてください。ゴミ箱を密閉することも効果があります。

参考:環境省「飲食業の方のための 『臭気対策マニュアル』」6~8ページ

駐車場に関しては分かりやすい看板を立てて顧客を誘導したり、近隣のコインパーキングを案内したりしましょう。クレーム対応のマニュアルを作成することも重要ですので、次の記事もご覧ください。

デメリット③自宅のセキュリティ対策が必要になる

デメリットの3つ目は、自宅のセキュリティ対策が必要になる点です。自宅に開業した飲食店に不特定多数の顧客が出入りするため、居住スペースにも侵入されてしまう危険性があるからです。居住スペースと店舗スペースを明確に区分けして、簡単に居住スペースに入れないようにしてください。

具体的には2階を住居スペースにしたり、居住スペースと店舗スペースを厨房で挟んだりする方法があります。また立ち入り禁止部分を明確にして、顧客が立ち入らないように監視しましょう。鍵付きの扉を設置することで、セキュリティを強化できます。

自宅に飲食店を開業するときに必要な資格と届出

自宅に飲食店を開業するときに必要な資格と届出

自宅に飲食店を開業する前には、法令を遵守して営業するために、必要な資格と届出も把握しておきましょう。提出期限が決まっていたり、取得に時間がかかったりする資格や届出もあるため、計画的に進めてください。

食品衛生責任者資格と営業許可

まず飲食店を開業するために、食品衛生責任者資格と営業許可が必要です。食品や設備の衛生を管理するために、食品衛生責任者の配置が求められます。講習を受けることで資格を取得可能ですし、食品衛生管理者資格や調理師免許などがあれば資格が不要です。

また飲食店営業許可は、保健所へ申請してください。内装工事前に保健所に相談して図面を確認してもらえると、立ち入り検査後の改修工事を回避できます。食品衛生責任者資格の取り方や営業許可の申請についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

なお自宅にカフェや喫茶店を開業する場合も、「飲食店営業許可」が必要です。今までは酒類の提供や調理加工がなければ「喫茶店営業許可」で開業できました。しかし2021年6月に食品衛生法が改正されています。カフェと喫茶店の営業許可についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

防火管理者資格と防火・防災管理者選任(解任)届出書

次に店舗スペースの収容人数が30人以上の場合は、防火管理者資格と防火・防災管理者選任(解任)届出書も必要です。

防火管理者とは、建物火災を未然に防ぐために対策を講じ、火災時の対応を取りまとめて管理する役職です。例えば消防機器のチェックを行ったり、消防計画を作成したりします。資格を取得するためには、防火管理講習を受講しなければなりません。ただし店舗スペースの面積などによって、取得すべき資格の種類が異なる点にご注意ください。

資格を取得できたら、防火・防災管理者選任(解任)届出書を該当する消防局に提出します。各自治体によって提出書類が異なるため、事前に消防局の公式サイトなどで確認してください。防火管理者資格の種類や防火管理者講習の受講方法についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

開業届と税務書類

さらに自宅に飲食店を開業したら、開業届と税務書類を提出する必要があります。法律を遵守して正しく納税するためです。下表に、主な提出書類をまとめました。

名称提出期限提出場所
開業届開業してから1か月以内店舗エリア管轄の税務署
青色申告承認申請書開業から2か月以内。開業届と同時に申請が可能店舗エリア管轄の税務署
給与支払い事務所などの開設届出書従業員を雇ってから1か月以内店舗エリア管轄の税務署
事業開始等申告書開業から1か月以内に提出各都道府県の税事務所

他にも従業員の雇用や経営体制によって「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書」などが必要です。飲食店開業に必要な届出・申請についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

自宅に集客できる飲食店を開業しよう!

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監修者

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