2018.12.03  2022.12.08|店舗運営ノウハウ

喫茶店を経営するポイント!業界動向や資金・年収・資格・届出・許可・事例

喫茶店を経営するポイント!業界動向や資金・年収・資格・届出・許可・事例

本記事で喫茶店を経営するポイントをご紹介します。喫茶店の業界動向や資金・年収、資格、届出・許可、事例についても解説します。

「喫茶店経営のポイントは?」「喫茶店経営の資格を知りたい!」とお悩みではありませんか?店舗の開業や移転、リニューアルなどを検討している方はぜひご覧ください。

喫茶店業界の歴史と動向

喫茶店業界の歴史と動向

喫茶店とは、コーヒーや紅茶などの飲み物や軽食などを提供する飲食店です。喫茶店経営について考える前に、まずは喫茶店業界の歴史と動向をご紹介します。

歴史

日本における喫茶店業界の歴史は、1950年代に始まります。戦後にコーヒー豆輸入が再開されると、個人経営の喫茶店が開業され始めます。1960年代に音楽や漫画と一緒にコーヒーを楽しむ文化が広がり、1980年代に全国的に喫茶店が営業されて年代や性別を問わず利用されるようになりました。

現在ではセルフサービスのカフェとは異なり、座り心地の良いソファに腰を掛けてくつろぎながらコーヒーと軽食を楽しめる飲食店として喫茶店が受け入れられています。混同しやすい業態にカフェがありますが、喫茶店との違いについて次の記事をご覧ください。

市場規模

喫茶店業界の市場規模は、一時的に縮小傾向にあります。2012年以降から喫茶店の市場規模が拡大傾向だったものの、2019~2020年に30%以上減少したと報告されています。

参考:NIKKEI COMPASS「喫茶店 カフェ」

また2011から2017年にかけて市場規模は増加傾向であるものの、喫茶店数が減少傾向であったという報告もされています。

参考:厚生労働省「今日から実践!収益力の向上に向けた取組のヒント 喫茶店営業編」1ページ

経営の課題と対策

上記の報告から推測されるとおり、2020年からコロナ禍により外食需要が減少して、喫茶店を含む飲食業界では業績悪化が経営課題です。また原材料費や水道光熱費の上昇も、利益率の低下を招いています。

参考:厚生労働省「今日から実践!収益力の向上に向けた取組のヒント 喫茶店営業編」4ページ

利益率を上げる対策として、メニュー開発や集客方法、収支計画などの改善が必要です。喫茶店経営のポイントをご紹介します。

喫茶店経営の準備

喫茶店経営の準備

喫茶店経営の課題である利益を安定させるためには、開業前からの準備が重要です。そこで喫茶店経営の資金や資格などの準備について解説します。

開業資金

喫茶店の開業資金は、500万〜600万円程度です。ただし店舗の立地や客席数、物件の種類(居抜きかスケルトンか)などによって異なります。居抜き物件なら500万円以下の資金で開業できる場合があります。

また開業資金の主な内訳は、以下の通りです。

  • 物件取得費(物件の保証金や仲介手数料、賃料など)
  • 店舗工事費(内装工事費や厨房設備費など)
  • 運転資金(材料費や水道光熱費、人件費、宣伝広告費など)

なお喫茶店を含むカフェ開業資金を抑えるポイントをご紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

運転資金

喫茶店経営の運転資金(毎月の固定費)には人件費や材料費、水道光熱費、宣伝広告費、借入の返済などが含まれます。目安として、開業前に6~12か月分程度を蓄えておきましょう。開業してしばらくは赤字が続く状況が想定されますが、毎月の固定費を支払う必要があるからです。

仮に毎月の固定費が30万円であれば、開業前に運転資金として最低でも180~360万円が必要です。運転資金を含む開業資金を自己資金から調達できない場合は、借入や補助金などをご検討ください。開業資金の調達方法について、次の記事で解説しています。

経営者の平均年収

喫茶店経営者の平均年収は、1,000万円以下と想定されます。ただし個人営業の小さな喫茶店と企業経営の喫茶店チェーンでは営業規模が異なるので、利益率や売上は異なります。下記のアンケート結果によると、飲食店経営者全体の5割が「平均年収500万円以下」と回答しています。

参考:PR TIMES「飲食店経営の実態に関するアンケート調査を実施。経営における課題や業績、経営者の年収は?」

また下記の調査によると、喫茶店の売上は一日15万円程度(顧客単価1,000円程度×150人程度)です。利益率30%とすると一日4万円程度(15万円×30%)が経営者の利益となり、年240日営業すると年収960万円(4万円×240日)となります。

参考:厚生労働省「喫茶店営業の実態と経営改善の方策」(4ページ)

資格

喫茶店開業に必須の資格は、次の2点です。

  • 食品衛生責任者
  • 防火管理者

食品衛生責任者の資格は、飲食店営業許可を取得するために必要です。次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

防火管理者の資格は、店舗の収容人員数によって必要になります。次の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご覧ください。

また喫茶店経営に役立つ資格として、下記の資格例が挙げられます。

  • 調理師
  • 栄養士
  • フードコーディネーター
  • JBAバリスタライセンス
  • コーヒーインストラクター検定
  • コーヒースペシャリスト
  • 簿記などの経理や税務に関係する資格

上記の資格について詳しく解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

届出・許可

喫茶店開業に必要な届出・許可は、下記のとおりです。

  • 営業許可(飲食店や菓子製造など)
  • 個人事業主または法人に必要な届出
  • 防火管理に関する届出
  • 人材採用に必要な届出

上記の届出・許可について詳しくまとめていますので、次の記事も併せてご覧ください。

喫茶店経営のポイント

喫茶店経営のポイント

喫茶店経営に必要な資金を調達して利益を上げるために、喫茶店経営のポイントをご紹介します。集客と売上を伸ばして、中長期的に喫茶店経営を安定させましょう。

業態を検討する

まず喫茶店の業態を検討しましょう。喫茶店の主な業態として、個人経営とフランチャイズ加盟が挙げられます。どちらの業態もメリットやデメリットがあるため、慎重に検討しましょう。

個人経営は経営全般(メニューや販売価格、接客方針、内外装など)に関して自由度が高いです。ただし経営ノウハウがないと、開業当初からスムーズに集客できない恐れがあります。

一方のフランチャイズ加盟では、本部からの経営全般に関するサポートやチェーン店のネームバリューなどを期待できます。ただし本部に対して加盟料を支払い、経営方針に従う必要があります。

サービス方式も検討する

喫茶店の業態を決めたら、サービス方式も検討してください。喫茶店の主なサービス方式は、フルサービスとセルフサービスです。サービス方式に応じて、顧客単価やメニューの種類を検討する必要があります。

フルサービス方式では従業員が客席で注文を受けて、飲食物を運んだり片付けたりします。幅広いターゲットを取り込むためには、ドリンク以外のフードメニューを充実させましょう。

一方のセルフサービスでは顧客がカウンターで注文して、飲食物を受け取ったり片付けたりします。接客時間を減らして、リーズナブルな価格でメニューを提供しながら、回転率を上げやすいです。

独自性のあるコンセプトを設計する

また喫茶店経営では、独自性のあるコンセプトを設計することもポイントです。競合店との差別化を図れなければ、集客に苦労して売上につながらないからです。市場調査をして消費者ニーズと競合店のメニューを分析しましょう。

市場調査の分析結果を基にして、メインターゲットを明確にする必要があります。「30代の女性会社員」「60代以上の地域住民」「家族連れ」などと具体的なターゲットを設定することで、喫茶店を開業するエリアの選定や提供するメニューの開発を進めることができます。

喫茶店を含む飲食店のコンセプト設計について解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

メニューを絞り込む

設計した独自性のあるコンセプトに基づいて、メニューを絞り込むようにしてください。メニューを増やすごとに原価率が上昇して、経営を圧迫する恐れが高まるからです。また調理コストや食品ロスが増えるデメリットもあります。

競合店との差別化を図るメニューを開発するためには、食材の原価や売上目標、調理の手間などを総合的に検討する必要があります。次の記事で飲食店の原価率が低いメニューを紹介していますので、併せてご確認ください。

ターゲットに合わせて開業エリアを選定する

またターゲットに合わせて開業エリアを選定する点も、喫茶店経営のポイントです。会社員ならオフィス街や駅の近く、地域住民なら住宅街、家族連れなら駐車場を確保できる郊外が適しています。

例えば「少人数の客席でカップルがゆっくり過ごせる喫茶店」を設計しても、ファミリー層が出入りするエリアに開業してしまうと顧客ニーズとのミスマッチが起こります。コンセプトにふさわしいエリアとターゲットを選ぶべきです。

開業エリアを選定する際は、実際に現地に出向いて人々の動きや流れを把握しましょう。店舗物件の探し方を解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

顧客が過ごしやすい内装空間をデザインする

開業エリアを選定できたら、顧客が過ごしやすい内装空間をデザインしてください。設計した独自性のあるコンセプトに基づく点がポイントです。喫茶店のメニューと立地、内装に統一感を出すためです。

また顧客と従業員の動線やSNS映えを意識することで、顧客が入店してから退店するまで快適に過ごせる内装空間をデザインしやすくなります。喫茶店を含む店舗のおしゃれな内装デザインを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

適切な収支計画を立てる

さらに開業前の資金調達や開業後の資金繰りを滞りなく進めるために、適切な収支計画を立てる点も喫茶店経営のポイントになります。経費(賃料や人件費、材料費、水道光熱費など)を正しく管理して、販売価格や利益率を正確に計算しましょう。

特に喫茶店は飲食店の他業態より顧客単価が低い傾向であるため、厳格な経費管理が求められます。人件費や材料費を抑えるポイントなどを解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。

集客方法を工夫する

なお喫茶店の売上を安定させるためには、集客方法を工夫する必要があります。新規顧客だけではなくリピーターを増やすことも重要です。ターゲットの購買行動に基づいて、オフライン集客とオンライン集客を組み合わせることがポイントになります。

例えば新規顧客の集客にはチラシ配布やSNS広告などの方法があり、リピーター獲得のためにはポイントカードアプリや友達紹介制度などを導入しましょう。店舗へ集客する方法を紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。

喫茶店経営の事例

ポイントを押さえて経営されている喫茶店の事例をご紹介します。事例を参考にして、喫茶店経営に役立てましょう。

豊富なメニューで幅広い顧客を集客する喫茶店

豊富なメニューで幅広い顧客を集客する喫茶店

「喫茶グリルピノキオ」様は幅広い顧客を集客できるように、豊富なメニューを提供されています。喫茶メニューやグリルメニュー、看板商品のスイーツメニューなどです。品質にこだわり、多くのメニューが手作りされています。

参照:喫茶店ピノキオ「昔なつかしい、いつもそばに、ホッとくつろぐ喫茶店」

独自メニューで集客する喫茶店

独自メニューで集客する喫茶店

「港屋珈琲」様は、独自メニューで集客しています。例えばドリンクメニューには「固形燃料でポットを温めて提供される紅茶」などがあり、スイーツメニューには「くるくるソフトクリームパフェ」などがあります。

参照:港屋珈琲「厳選した最高級の 有機栽培珈琲豆を、 全ての珈琲商品に使用。」

和テイストで差別化を図る喫茶店

和テイストで差別化を図る喫茶店

「古民家そらCafe」様は、和テイストで差別化を図っています。和テイストに基づいて、昭和時代の古民家が店舗に改装されたり、和食中心のメニューが提供されたりしています。

また美味しい料理で心も身体も快適になってもらえるように、食材にこだわり、栄養バランスを考えたセットメニューなどが提供されています。

参照:古民家そらCafe「築70年の長屋を改装した店内で 美味しいごはんをお召し上がりいただき心と身体をほっこりと」

コワーキングスペースを併設する喫茶店

コワーキングスペースを併設する喫茶店

「,COMMA co-working,cafe&bar」様は店舗1階でカフェバーを営業して、2階に会員制コワーキングスペースを併設しています。仕事場と食事を同時に提供することで、集客と売上の相乗効果を期待できます。

カフェバーには、顧客同士が会話しやすいように広めのカウンターテーブルやベンチが設置されています。メニュー開発では、生産者にこだわり仕入れ先が選定されました。

参照:,COMMA co-working, cafe&barツイッター公式アカウント「@comma_shonan」

小規模な喫茶店

小規模な喫茶店

「bluscafe」様は客席数9席の小規模な喫茶店ですが、心地よく過ごせるように内装空間がデザインされています。例えば間隔にゆとりをもたせて、座席がレイアウトされています。

また競合店との差別化を図る独自メニューが提供されています。例えばサンドイッチには天然酵母や全粒粉が使用されて、中身の具材にボリューム感があります。

参照:bluscafe ブラスカフェ「bluscafeとは?」

独自性を出して喫茶店を経営しよう!

独自性を出して喫茶店を経営しよう!

喫茶店経営で利益を上げるためには、収支計画やコンセプト設計、集客などのポイントを押さえる必要があります。競合店との差別化を図りながら、独自性を出して喫茶店を経営しましょう。

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