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2023.10.25 2023.10.08|店舗デザイン
旅館の内装をデザインする際の注意点!ホテルとの違い・施工事例・工事費用も紹介
本記事で、旅館の内装をデザインする際の注意点を解説します。ホテルとの違い・施工事例・工事費用もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
旅館の内装デザイン・工事に関する基本情報
旅館の内装デザイン・工事を始める前に、基本情報を確認しましょう。そこで旅館の内装デザイン・工事が重要な理由と特徴、ホテル・簡易宿所・下宿との違い、業者選びを解説します。
重要な理由
まず旅館の内装デザイン・工事が重要な理由は、旅館のコンセプトを表現して集客と売上を向上させるためです。
例えば個人客向けにワンランク上の宿泊体験を提供する旅館と団体客向けのアットホームな雰囲気の旅館では、求められる内装デザインは異なります。ターゲットとする顧客層の求める内装をデザインできれば、興味や関心を集めやすいです。
また沖縄県の調査によると、宿泊施設を再訪した決め手として「部屋が良い」と答えた人が過半数を超えています。旅館の内装デザインは、新規顧客だけではなく、リピーターを獲得するためにも重要です。
参照元:沖縄県「5.宿泊施設のリピーターに関する分析」(P81)
特徴
次に旅館の内装デザイン・工事の特徴として、日本間として調和の取れた空間が挙げられます。旅館業法に基づいて、旅館の施設基準(畳や床の間、顧客が靴を脱いでゆったりとくつろげる広さなど)が政令によって定められています。
加えて旅館の客室には、食事が取れる座卓と座椅子や、布団を収納するための押入れなども必要です。ただし布団ではなく、ベッドの客室を提供する旅館もあります。
なお大勢が行き来できる広い玄関やフロントロビー、食事処、入浴設備(近隣に公衆浴場などがあれば不要)が必要な点も、旅館の内装デザイン・工事の特徴です。
ホテル・簡易宿所・下宿との違い
そして旅館とホテル・簡易宿所・下宿との違いは、旅館業法によって定められています。例えば旅館には「和式の構造及び設備」が必要なのに対して、ホテルには「洋式の構造及び設備」が求められます。
また旅館とホテルには玄関帳場(フロント)が必要ですが、簡易宿所と下宿には不要です。ホテルにはシャワーなどの入浴設備の設置が必要ですが、旅館・簡易宿所・下宿の周辺に公衆浴場がある場合には入浴設備の設置が義務づけられていません。
参照元:
なお簡易宿所である民泊を開業する流れとポイントについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
業者選び
また旅館の内装デザイン・工事を進める際には、業者選びが重要です。業者によって、内装デザイン・工事の費用や期間、得意分野などが異なります。関係法令(旅館業法や建築基準法、消防法など)を遵守するためには、旅館の内装に関する専門性が高い業者を選びましょう。
また旅館の内装デザイン・工事の実績も重要です。各業者のWebサイトや口コミサイトなどを調査してください。内装工事業者に依頼した失敗例や失敗しない選び方などについて詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
旅館の内装をデザインする際の注意点
基本情報を押さえたところで、旅館の内装をデザインする際の注意点も確認しましょう。7点(トレンド調査とコンセプト設計、法令遵守、動線設計、和のテイスト、窓、照明)の注意点を取り上げます。
トレンドの調査
まずトレンドの調査が、旅館の内装をデザインする際の注意点として挙げられます。旅館の内装にトレンドを取り入れることで、集客やブランディングをしやすいです。
2022年の調査によると、「ノスタルジックな旅」がトレンドとして挙げられています。宿泊客にノスタルジックな気分を味わってもらうためには、レトロやカントリーな雰囲気の内装が必要です。
参照元:ブッキング・ドットコム「2023年の旅に関する6つの旅行トレンド予測を発表」
なお旅館の内装デザインにも活用できるトレンドついて解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。
コンセプトの設計
次にコンセプトの設計も、旅館の内装をデザインする際の注意点です。競合旅館との差別化が図るために、独自のコンセプトを設計しましょう。独自のコンセプトを内装デザインに反映させることで、顧客満足度の向上を期待できます。
そこで市場調査を行い、競合旅館のサービスやターゲットとする顧客層のニーズなどを分析すると、差別化を図りやすいです。旅館の内装デザインにも活用できるコンセプトを設計する方法や事例などを解説していますので、次の記事も併せてご覧ください。
関係法令の遵守
そして関係法令の遵守も、旅館の内装をデザインする際の注意点です。旅館業法に基づいた施設基準を確認しておきましょう。
- 客室(和式の構造で5部屋以上、1室の床面積が7㎡以上)
- フロント(宿泊者が必ず通る場所)
- ロビー(椅子やテーブルの設置)
- エレベーターやエスカレーター(4階以上の建物の場合)
- 入浴設備(または近隣の公衆浴場など)
- 換気・採光・照明・防湿・排水・トイレの設備
参照元:
以上だけではなく、消防法と建築基準法によって建築物の内装が制限されています。消防法と建築基準法の内装制限について詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
宿泊客と従業員の動線設計
また宿泊客と従業員の動線設計も、旅館の内装をデザインする際の注意点です。宿泊客が過ごしやすい動線と従業員が働きやすい動線を両立させましょう。例えば大浴場の前に休憩スペース(自販機やソファなど)をレイアウトすると、宿泊客が入浴前後に休憩や待ち合わせをしやすいです。
従業員の業務効率を上げるためには、客室と収納スペースや更衣室と食堂の位置関係などの検討が必要です。旅館の内装デザインにも活用できる動線設計についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
和のテイスト
それから和のテイストも、旅館の内装をデザインする際の注意点です。2017年の調査では、旅館のイメージとして「日本文化・和風の雰囲気が楽しめる」と過半数以上の人が回答しています。
参照元:国土交通省「Ⅲ 観光産業の現状(宿泊業)調査」(P13)
そこで旅館の内装に和のテイストを表現するためには、自然素材(木材や竹材など、)や現代風のデザインなどを取り入れましょう。旅館にも活用できる和モダンな内装デザインについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
窓から見える景色
さらに窓から見える景色も、旅館の内装をデザインする際の注意点です。2017年の調査において、宿泊施設を選ぶ際に重視することとして、約半数の人が「客室からの眺望が良い」を挙げています。
参照元:国土交通省「Ⅲ 観光産業の現状(宿泊業)調査」(P11)
例えば客室に山の迫力を伝えるマウンテンビューの窓を施工すれば、宿泊客に非日常的な体験を提供できます。旅館にも活用できる窓の役割や種類などについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
照明の効果
なお旅館の内装をデザインする際の注意点として、照明の効果も挙げられます。もし旅館内の照明が暗すぎたり、青白すぎたりすると、宿泊客が気分よく過ごしづらいです。客室内の畳やふすまなどの色味を引き立てるためには、温かい色合いの照明を選びましょう。
また受付ロビーや脱衣場などに和紙や木枠の照明カバーを施工すると、和のテイストにマッチします。旅館にも活かせるおしゃれな照明デザインについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
旅館の内装施工事例
旅館に理想的な内装をデザインするために、参考となる施工事例を調査しましょう。本記事では施工事例5点を取り上げて、各旅館の内装デザインに関する魅力や特色などをご紹介します。
囲炉裏や水車のある旅館
「倭乃里」様は、岐阜県の飛騨高山にある旅館です。伝統的な合掌造りの住居が移築されて、囲炉裏や水車などがあります。伝統的なデザインと現代的なデザインが調和しています。
また旅館周辺の自然を体感できるように、全客室に大きな窓が施工。窓辺にソファとテーブルが配置され、景色を眺めながらゆったりとした過ごせるようにデザインされた内装空間です。
参照元:倭乃里「館内の施設/みどころ」
渓谷の絶景が見える旅館
「大牧温泉 観光旅館」様は、富山県にある旅館です。客室に大きな窓が施工されているため、渓谷の絶景が見えます。ロビーや食事処にも窓が施工されており、渓谷と反対側の客室に宿泊する顧客にも絶景を楽しんでもらえるようにデザインされています。
また客室やロビー、廊下などには、オレンジ色の照明が施工されています。畳や木材などの和の素材とマッチしていて、温かみを感じさせる内装デザインです。
参照元:大牧温泉 観光旅館「富山の旅館 船でしか行けない秘境の一軒宿」
全5室の温泉旅館
「お宿 ながお」は、神奈川県にある温泉旅館です。客室は全5室だけですが、合計22名の顧客が宿泊できます。畳や床の間、障子、漆喰の壁、掛け軸などがデザインされており、ノスタルジックな和のテイストを味わえる内装デザインです。
食事会場の広間には、厨房とつながる小さなカウンターが施工されています。従業員が厨房に出入りしなくても料理を配膳できるため、効率的な動線設計です。小規模な宿泊施設ですが、個人と団体の旅行者が宿泊できます。
参照元:お宿ながお「トップページ」
ペット同伴に特化した旅館
「箱根強羅グアムドッグ本店」様は、神奈川県にある旅館です。「わんちゃんゲスト最優先宣言」をコンセプトに、ペット同伴に特化されています。客室には、宿泊客とペットが並んで座れるハンキングチェアや添い寝に適したマットレスなどが設置されています。
また客室から箱根連山を眺められるように、大きなガラス窓が施工されています。各室の広さが12畳以上であるため、ペットも快適に過ごせる内装デザインです。
ワーケーションに対応した旅館
「自在館」様は、新潟県にある旅館です。ワーケーションに対応しており、客室やロビー、食堂にWi-Fiが完備されており、無料のコーヒーとお茶菓子の提供などのサービスも提供されています。
客室には明るい色合いの畳と壁が施工されており、暗い茶色の梁と組み合わされた和モダンのテイストです。オレンジ系の色合いと和紙や竹材のカバーの照明もデザインされており、和モダンのテイストにマッチしています。
参照元:自在館式湯治 「 ワーケーション&リフレッシュ休暇のすゝめ」
旅館の内装工事費用
旅館の内装デザイン・工事を業者に依頼するためには、予算が必要です。そこで旅館の内装工事費用の相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を削減できるように、節約法も確認しましょう。
相場
まず旅館の内装工事費用の相場は、坪単価30万〜60万円程度です。100坪の物件であれば、3000万〜6000万円程度かかります。しかし物件の立地や規模、種類(居抜き物件かスケルトン物件)、内装材や設備のグレードなどによって、工事費用は変動します。
内訳
次に旅館の内装工事費用の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、100坪のスケルトン物件に工事する費用を試算してありますので、ご覧ください。
費用の内訳 | 費用の目安 | 費用の試算 100坪のスケルトン物件 |
デザイン費 | 全体の10%程度 | 300万円〜600万円程度 |
諸経費 (施工監理や仮設、解体など) | 全体の20%程度 | 600万円〜1200万円程度 |
内装工事費 (天井や壁、床、建具、窓など) | 全体の30%程度 | 900万円〜1800万円程度 |
設備・機器・什器工事費 (電気・ガス・水道・空調・ 換気・照明・カウンターなど) | 全体の40%程度 | 1200万円〜2400万円程度 |
合計 | 100% (坪単価30万円〜60万円程度) | 3000万円〜6000万円程度 |
上表のとおり、設備・機器・什器工事費用が大半を占めます。旅館の開業前には、備品や人材採用、集客などに費用がかかります。設備・機器・什器にこだわるほど、工事費用がかかりますので、ご注意ください。
節約法
そして旅館の内装工事費用の節約法として、相見積もりと補助金や助成金、中古品・リース品などが挙げられます。相見積もりを取ることで、各業者の提案した工事の内容と費用、期間を比較できます。不要な工事を省いて、なるべく安く引き受けてくれる業者を選びましょう。
補助金や助成金を申請することで、返済義務のない資金を確保できます。例えば「IT導入補助金」を申請してセルフチェックインシステムを導入できれば、フロント業務にかかる費用の節約が可能です。
参照元:IT導入補助金「トップページ」
設備・機器・什器の中古品やリース品を選ぶことで、新品購入よりも初期費用を節約できす。ただし状態の悪い設備・機器・什器を選ぶと、開業後に修理や交換の費用がかかるため、ご注意ください。
集客できる旅館の内装をデザインしよう!
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監修者
-
IDEAL編集部
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