2024.09.12  2024.08.01|店舗デザイン

店舗デザインにおける採光の計算方法!デザインのポイントや事例もご紹介

店舗デザインにおける採光の計算方法!デザインのポイントや事例もご紹介

本記事で、店舗デザインにおける採光などの基準を解説します。またデザインポイントや事例もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

店舗の採光に関する基本情報

店舗の採光に関する基本情報

店舗の採光をデザインする前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、デザインしやすくなるからです。それでは店舗の採光の目的と法規制、メリット・デメリット、無窓居室をご紹介します。

目的と方法

まず店舗の採光の目的は自然光を取り入れることで、採光の方法はガラスの窓・ドアの施工です。自然光の温かさや明るさを取り入れると、店舗空間の快適性や開放感などが向上します。

採光だけではなく、窓には自然換気や店内から店外へのアピール、顧客に景観を楽しんでもらうことなどの役割もあります。店舗デザインにおける窓の役割をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

法規制

次に店舗の採光は、建築基準法の規制を受けません。店舗物件が、「採光のための開口部を設けることを要しない居室」に該当するからです。例えば地下にあるバーや防音性の高いダンススタジオなどには、窓が設置されていません。

参照元:

e-GOV法令検索「建築基準法」(第28・35条)

国土交通省「採光のための開口部を設けることを要しない居室について」

ただし店舗物件には換気・排煙の基準が適用され、無窓居室(建築基準法の基準を満たさない部屋)には避難・消火の基準が適用されますので、後ほどご紹介します。

メリット・デメリット

それから店舗の採光のメリットは、店舗空間の快適性や開放感の向上、照明・暖房のコスト削減などです。窓から自然光を取り入れることで、内装空間の明るさや温かさを高められます。

参照元:

NPO法人日本健康住宅協会「健康な住まいのあかりとは」

しかし内装や設備・機器・什器の劣化、夏場の高温などは、店舗の採光のデメリットです。直射日光により内装や設備・機器・什器が劣化すると、修繕費がかかります。夏場の強い日差しで店舗内が高温になりすぎないように、カーテンやブラインドを活用しましょう。

無窓居室

そして店舗の無窓居室とは、建築基準法や消防法の定める基準を満たさない部屋です。建築基準法の定める基準(採光・換気・排煙・避難)については、後ほどご紹介します。無窓居室についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

消防法の定める基準を満たさない無窓居室には、消防用設備(消火設備・警報設備・避難設備)の設置が必要です。店舗に必要な消防用設備の種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗物件に対する採光などの基準

店舗物件に対する採光などの基準

基本情報だけではなく、店舗物件に対する採光などの基準も確認しましょう。基準を守らなければ、店舗営業に支障をきたすからです。それでは店舗物件に対する採光・換気・排煙・避難・消火の基準をご紹介します。

採光の基準(床面積の1/5~1/10)は適用されない

まず店舗物件に対しては、採光の基準(床面積の1/5~1/10)は適用されません。「採光のための開口部を設けることを要しない居室」に該当するからです。

参照元:

e-GOV法令検索「建築基準法」(第28条)

国土交通省「採光のための開口部を設けることを要しない居室について」

ただしクリニックや学校、保育所などの物件に対しては、採光の基準(床面積の1/5~1/10)が必ず適用されます。待機児童解消のために、保育所に対する採光の基準は見直されました。

参照元:国土交通省「建築基準法における採光規定を見直します!~保育所の円滑な整備に向けて~」

換気の基準(床面積の1/20以上)は適用される

次に店舗物件に対して、換気の基準(床面積の1/20以上)は適用されます。建築基準法の定める換気の基準を満たせない場合には、機械換気設備の施工が必要です。機械換気設備の設置義務についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

参照元:e-GOV法令検索「建築基準法」(第28条)

なお飲食店や食品製造販売店などは、悪臭防止法による規制も受けます。都道府県の定める基準に基づいて、排気ダクトの施工が必要です。飲食店の排気ダクトに関する注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

排煙の基準(床面積の1/50以上)も適用される

それから店舗物件に対して、排煙の基準(床面積の1/50以上)も適用されます。建築基準法の定める排煙の基準を満たせない場合には、排煙設備の施工が必要です。

参照元:e-GOV法令検索「建築基準法施行令」(第126条第2項)

排煙設備には、火災の進行を遅らせ、避難経路を煙やガスから守る役割があります。排煙設備の種類は、2種類(自然排煙設備と機械排煙設備)です。法令に基づいて、排煙設備を施工しましょう。

参照元:横浜市建築局「排煙設備って何!?」

避難・消火の基準も適用される

そして店舗物件の無窓居室には、避難・消火の基準も適用されます。建築基準法の定める避難・消火の基準を満たせない場合には、消防用設備の施工が必要です。

参照元:e-GOV法令検索「建築基準法」(第35条第1項)

消防用設備は、3種類(消火設備・警報設備・避難設備)です。店舗に必要な消防用設備の種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗の採光をデザインする際のポイント

店舗の採光をデザインする際のポイント

店舗物件に対する採光などの基準と併せて、店舗の採光をデザインする際のポイント(コンセプトと立地、ガラスの窓やドア、窓の種類、ドアの種類、パーテーションの活用、ファサード、照明器具)もご紹介します。

店舗のコンセプト

まず店舗のコンセプトが、店舗の採光をデザインする際のポイントとして挙げられます。コンセプトは、店舗経営の基本方針です。コンセプトに基づいて店舗の採光をデザインすることで、商品・サービスを提供しやすくなります。

コンセプトは、事業計画書の作成や競合店との差別化にとっても重要です。独自性のあるコンセプトを設計しましょう。店舗のコンセプトを設計する流れと方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗物件の立地

次に店舗物件の立地も、店舗の採光をデザインする際のポイントです。店舗物件の立地は、採光率だけではなく、集客と売上に影響します。例えば空中店舗は路面店より自然光を取り入れやすいですが、集客しづらくなります。

地下店舗では窓から自然光や外気を取り入れられませんので、照明設備や機械換気設備などが必要です。地下店舗の内装・外装をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

ガラスの窓やドア

それからガラスの窓やドアも、店舗の採光をデザインする際のポイントです。窓やドアにおけるガラスのサイズや透過性によって、採光率が変化します。採光率が高くなるほど、明るく温かな雰囲気を演出できます。

そこで店舗のコンセプトや立地に合わせて、ガラスの窓やドアを施工しましょう。店舗の内装に施工できるガラスの種類・価格・場所をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

窓の種類

続いて窓の種類も、店舗の採光をデザインする際のポイントです。店舗に施工できる窓の種類をご確認ください。

  • はめ殺し窓
  • ルーバー窓
  • 上げ下げ窓
  • 引き違い窓
  • 内倒し窓
  • 外倒し(滑り出し)窓
  • 折りたたみ窓

以上のなかから、店舗に合う窓の種類を選びましょう。例えば開閉機能のない「はめ殺し窓」は、店舗のエントランスや高い位置に適しています。店舗にデザインできる窓の種類と工事費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

ドアの種類

さらにドアの種類も、店舗の採光をデザインする際のポイントです。店舗に施工できるドアの種類をご紹介します。

  • 引き戸
  • 引き分け戸
  • 片開きドア
  • 両開きドア
  • 親子扉
  • 自動ドア

以上のなかから、店舗に合うドアの種類を選びましょう。例えば自動ドアは他の種類よりも利便性が高いですが、工事費用がかかります。店舗ドアの種類と工事費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

パーテーションの活用

またパーテーションの活用も、店舗の採光をデザインする際のポイントです。パーテーションには遮音やプライバシー保護、動線確保、感染症対策などの役割がありますが、ガラスパーテーションなら内装空間の明るさを保てます。

そこで設置する目的を明確にしたうえで、パーテーションの素材や透過性を検討しましょう。店舗におしゃれなパーテーションをデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

ファサード

そしてファサードも、店舗の採光をデザインする際のポイントです。ファサード(店舗正面の外観)には、顧客の注目を集めて入店を促す役割があります。ファサードにガラス窓を施工したり、ドアを開放したりすれば、採光率が高まります

ただし店舗の業種・業態(例:生活関連サービス業のプライベートサロンなど)によっては、内装空間の視認性が低いほうが良いです。店舗のファサードをデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

照明器具

なお照明器具も、店舗の採光をデザインする際のポイントです。窓やドアを設置できない部屋には、照明器具を施工します。店舗における照明の効果は、内装空間の演出や商品・サービスのアピールなどです。

そこで店舗内の採光率や商品・サービスの提供方法などを考慮したうえで、照明器具を施工しましょう。店舗に施工できる照明の種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

店舗の採光デザイン事例

ポイントを押さえて店舗の採光をデザインできるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点(飲食店とサロン、ジム、医療センター、レッスン教室)を取り上げて、各事例の特徴をご紹介します。

ファサードの窓ガラスで採光されている飲食店

ファサードの窓ガラスで採光されている飲食店

まず「PINATA」は、メキシコ料理の飲食店です。内装空間の開放感が演出されるように、ファサードのガラス窓で採光されています。店外の通行人やドライバーが、店内の様子を確認できるデザインです。

内装空間は白をベースカラーに配色されており、グレーの床は職人の手で仕上げられました。木目の什器やインテリアが配置されており、シンプルながら清潔感と温かみのある内装デザインです。

大きな採光窓の施工されたサロン

大きな採光窓の施工されたサロン

次に「ヴォートル中野店」は、ネイル・まつげエクステの施術を提供するサロンです。明るく開放感な内装空間となるように、大きな採光窓が施工されています。顧客が外の景色を眺めながら、施術を受けられます。

内装空間は白をベースカラーに配色されており、アクセントに黒色の受付カウンターや什器が配置されています。施術用ソファーはカーテンで仕切られているため、顧客のプライバシーが配慮されている内装デザインです。

両側に採光窓が施工されたジム

両側に採光窓が施工されたジム

それから「ファインボディ」は、姿勢の改善をサポートするコンディショニングジムです。明るい雰囲気や採光・換気効率が保たれるように、店舗物件の両側に採光窓が施工されています。

内装空間には、顧客のニーズに応えられるように、女性専用のパウダールームがレイアウトされています。グリーンの人工芝が施工されたトレーニングフロアとは対照的に、清潔感のある白を基調としたパウダールームです。

南側に大きな採光窓の施工された医療センター

南側に大きな採光窓の施工された医療センター

続いて「Vitalité House」は、産前産後ケアを提供する医療センターです。利用者(産前産後の母親)が快適に過ごせるように、南側に大きな採光窓と交流スペースが施工されています。

内装空間には、温かさや安らぎを感じてもらえるように、木目の内装材や什器が配置されています。開放的な雰囲気も演出できるように、躯体を生かして天井が仕上げられている内装デザインです。

採光窓で圧迫感が軽減されたレッスン教室

採光窓で圧迫感が軽減されたレッスン教室

そして「つぐつぐ」は、金継ぎのレッスン教室です。小規模物件の圧迫感を軽減できるように、道路側に採光窓が施工されています。教室内の様子を店外へアピールする役割も果たしています。

採光窓だけではなく、開放感を演出できるように、天井はスケルトン状態で仕上げられています。グレーをベースカラーに配色され、木目の床材や什器が配置された内装空間です。

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監修者

IDEAL編集部

日本全国の美容室・カフェ・スポーツジム等の実績多数!
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