2024.09.25 2024.08.18|新規開業ノウハウ
耳鼻咽喉科クリニック開業のポイント!開業の事例や資金もご紹介
本記事で、耳鼻咽喉科クリニック開業のポイントを解説します。また耳鼻咽喉科クリニック開業の事例や資金もご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
耳鼻咽喉科クリニック開業の基本情報
耳鼻咽喉科クリニックの開業準備を計画する前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、計画を進めやすいからです。それでは耳鼻咽喉科クリニックの主なサービスと医師の不足、失敗する原因、開業医の年収をご紹介します。
主なサービス
まず耳鼻咽喉科クリニックの主なサービスは、聴覚や嗅覚、味覚、平衡感覚、摂食嚥下、音声言語などに関する診療です。耳、鼻、喉などの疾患に対して、検査や相談、手術、治療などを提供しています。
耳鼻咽喉科クリニックによっては、ワクチン接種やアレルギー症状・風邪に対する診療なども提供しています。ターゲットとする患者層のニーズに応じて、提供する医療サービスを検討しましょう。
参照元:はすいけ耳鼻咽喉科クリニック「このような症状のときは耳鼻咽喉科を受診しましょう」
医師の不足
次に耳鼻咽喉科クリニックの医師は、不足しています。医師不足の原因は、社会全体の高齢化や耳鼻咽喉科を目指す研修医の減少などです。美容外科やアレルギー科、産科、形成外科などと比べて、耳鼻咽喉科の医師数は減少しています。
耳鼻咽喉科の医師を増やすためには、研修医の育成環境や女性の働きやすい職場環境の整備が必要です。耳鼻咽喉科クリニックに複数の医師を配置する場合にも、若手や女性の医師が働きやすい職場環境を整備しましょう。
参照元:
厚生労働省「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」(医師)
Care Net「医師数統計公表、増えた診療科・減った診療科-厚労省調査」
ドクターズジャーナルオンライン「#02 総合的に診療しないと、耳鼻咽喉科領域の病気はわからない」
失敗する原因
それから耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗する原因は、曖昧な経営方針や不適切な立地・集患方法、資金や従業員の不足などです。経営方針が曖昧では、ターゲット層に適した立地や集患方法、サービスなどを選べません。
資金や従業員が不足してしまうと、長期的に安定して耳鼻咽喉科クリニックを経営できなくなります。耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントについては、後ほどご紹介します。
開業医の年収
そして耳鼻咽喉科クリニック開業医の年収は、以下の資料によると3,000万円程度です。小児科・産婦人科・眼科の開業医よりは低いですが、内科・精神科・整形外科の開業医よりは高い年収を獲得しています。
参照元:中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」(150ページ)
ただし開業するクリニックの規模や数、診療日数などによって、開業医の年収には変動します。またクリニックの損益差額には、開業医の年収だけではなく、内部留保も含まれています。
耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイント
基本情報だけではなく、耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントも押さえましょう。8点(コンセプト・事業計画書と開業資金、物件、医療設備・機器・什器、DX、資格・免許・届出・許可、採用・研修、集患活動)をご紹介します。
コンセプトの設計と事業計画書の作成
まずコンセプトの設計と事業計画書の作成が、耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントとして挙げられます。明確なコンセプト(経営方針)を設計して、競合店との差別化を図りましょう。
設計したコンセプトに基づいて、事業計画書を作成します。事業計画書は、開業資金の調達や経営の評価・改善などに必要です。耳鼻咽喉科クリニックにも活用できる事業計画書の書き方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
開業資金の調達
次に開業資金の調達も、耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントです。開業前の初期投資(物件取得費や設備購入費など)や開業後の運転資金(水道光熱費や人件費など)を計算したうえで、開業資金を調達しましょう。
開業資金の調達方法には、出資や借入、融資、補助金・助成金などがあります。耳鼻咽喉科クリニックにも活用できる開業資金を調達する際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
物件の選定とデザイン・工事
それから物件の選定とデザイン・工事も、耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントです。物件はコンセプトを実現させるための手段であり、立地は集客に影響を与えます。
選定した物件には、耳鼻咽喉科クリニックのコンセプトに基づいて、外観や内装をデザイン・工事します。クリニックの外観・内装デザインのポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
医療設備・機器と什器の手配
続いて医療設備・機器と什器の手配も、耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントです。耳鼻咽喉科クリニックのサービスに応じて、検査や診察、手術、治療等に必要な医療設備や電気・ガス・水道・空調・換気設備、照明・映像・音響機器などを手配します。
医療設備・機器だけではなく、受付カウンターや待合用ソファなどの什器も必要です。耳鼻咽喉科クリニックにも活用できる什器の分類や入手方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
DXの推進
さらにDXの推進も、耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントです。業務効率や利便性などを向上させるために、DX(デジタル技術による経営の仕組みやサービスなどの変革)を推進しましょう。
DXの方法には、オンライン予約システムやデジタルサイネージ、キャッシュレス決済システムなどがあります。耳鼻咽喉科クリニックにも活用できるDXを進める流れとポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
資格・免許の取得と届出・許可の申請
また資格・免許の取得と届出・許可の申請も、耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントです。資格・免許・届出・許可ごとに、申請の条件や方法などが異なります。
- 医師免許や耳鼻咽喉科専門医などの資格(専門医を目指す場合)
- 防火管理者の資格(該当する物件の場合)
- 医療経営士や病院経営管理士、医業経営コンサルタント
- 個人事業主の開業届または法人の設立届
- 防火管理者選任の届出(該当する物件の場合)
- 医療法人設立または診療所開設の届出
- 保険医療機関指定の申請
- 社会保険・労働保険の加入(従業員を採用する場合)
- 医師会への加入
参照元:
日本年金機構「事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」
従業員の採用・研修
そして従業員の採用・研修も、耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントです。質の高い医療サービスを提供できるように、看護師や医療事務員などの従業員を採用しましょう。
採用から診療開始日までには、患者の接遇や検査などに関する研修を計画します。耳鼻咽喉科にも活用できる人材採用のコツや研修の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
集患活動の計画
なお集患活動の計画も、耳鼻咽喉科クリニック開業に失敗しないためのポイントです。開業当初から新規患者を獲得し、安定したリピート率を保てるように、開業前から集患活動を計画しましょう。
集患活動には、オンライン(SNSやWebサイトなど)とオフライン(ポスティングや交通広告など)の方法があります。耳鼻咽喉科クリニックの集患にも活用できるアイデアや事例をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
耳鼻咽喉科クリニックの開業事例
ポイントを押さえて耳鼻咽喉科クリニックを開業できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(経営塾と人気キャラクター、メディカルモール、声の不調を専門、海外出張診療)をご紹介します。
クリニック経営塾を主催する耳鼻咽喉科クリニック
まず「みやはら耳鼻咽喉科」は、クリニック経営塾を主催する耳鼻咽喉科クリニックです。幅広い診療科目に導入できる実践的なノウハウを提供したり、開業医の課題に関する質問に応じたりしています。
クリニック経営塾だけではなく、クリニック見学会も開催されています。耳鼻咽喉科クリニックのオペレーションやマーケティング、スタッフマネジメントなどを学べるイベントです。
参照元:
日経BPセミナーナビ「『今、打つべき手』を具体的に学び、現場で活用するために」
人気キャラクターが出迎える耳鼻咽喉科クリニック
次に「こころみクリニック」は、人気キャラクターが出迎える耳鼻咽喉科クリニックです。耳鼻咽喉科と内科・小児科・婦人科が併設されており、小児科の内装空間にはバーバパパがデザインされています。
複数の診療科が併設されているため、原因の分からない疾患を抱える患者でも来院できます。土日の診療にも対応している耳鼻咽喉科クリニックです。
参照元:
こころみクリニック「健康の学びの場に バーバパパファミリーとの挑戦」
PR TIMES「「バーバパパ」のファミリークリニック、川崎市元住吉にオープン!|医療法人社団こころみ」
メディカルモールに開業した耳鼻咽喉科クリニック
それから「からさわ耳鼻咽喉科」は、メディカルモールに開業した耳鼻咽喉科クリニックです。メディカルモール内には、耳鼻咽喉科・整形外科・歯科のクリニックと薬局が入居しています。
からさわ耳鼻咽喉科の内装空間にはキッズスペースがレイアウトされているため、乳幼児の患者や子連れの患者でも来院しやすいです。鼻・喉の治療機器や聴力・平衡感覚の検査機器などを備えています。
参照元:
声の不調を専門とする耳鼻咽喉科クリニック
続いて「きゆな耳鼻科」は、声の不調を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。声帯の炎症やポリープ・結節・麻痺・萎縮、喉頭がん、発達障害などに対応し、検査や服薬、手術、複式発声法の訓練などを提供しています。
大きな声を出す職業(歌手やコールセンターのスタッフ、学校の先生など)の患者が通う耳鼻咽喉科クリニックです。耳鼻咽喉科の一般診療(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など)にも対応しています。
参照元:
沖縄タイムズプラス「『声の不調、気軽に相談を』 沖縄県内初のボイスクリニックが那覇市に誕生」
海外出張診療も行う耳鼻咽喉科クリニック
そして「たかまつ耳鼻咽喉科クリニック」は、海外出張診療も行う耳鼻咽喉科クリニックです。中国やカンボジアにて、定期的に出張診療を行っています。看護学生の日本留学や現地の医療サービス発達も支援しています。
日本国内では、耳鼻咽喉科だけではなく、小児科・内科・皮膚・泌尿器科のクリニックも展開している医療法人です。医療法人の理事長は、海外展開や国内の分院展開に関する書籍をまとめています。
参照元:
KYODO NEWS PRWIRE「医院経営書籍『流行る!翔和仁誠会流クリニック開業術』が9月23日に発売」
耳鼻咽喉科クリニックの開業資金
事例のような耳鼻咽喉科クリニックを開業するためには、資金が必要です。そこで耳鼻咽喉科クリニック開業資金の相場と内訳を確認しましょう。無駄な経費を削減できるように、開業資金の節約法もご紹介します。
相場
まず耳鼻咽喉科クリニック開業資金の相場は、坪単価150万〜300万程度です。例えば賃料月30万円で30坪の物件を貸借するなら、4,500万〜9,000万円程度の開業資金がかかります。ただし物件の立地や規模、種類(居抜きかスケルトン)、医療設備・機器・什器の種類と台数などによって、開業資金は変動します。
内訳
次に耳鼻咽喉科クリニック開業資金の内訳について、参考情報として、賃料30万円で30坪の物件を貸借する場合にかかる開業資金を試算してあります。
資金の内訳 | 各費用の目安 | 費用の試算 |
物件取得費 (敷金・礼金・前賃金) | 全体の5%程度 (賃料の7~15か月分程度) | 225万~450万程度 (賃料月30万円で 30坪の物件) |
施設のデザイン・工事費 (内装や外観、 医療設備・ 機器・什器など) | 全体の80%程度 | 3,600万~7,200万程度 |
諸経費 (開業前の資格・ 免許・届出・許可、 採用・研修、 集患など) | 全体の10%程度 | 450万~900万程度 |
運転資金 (開業後の水道光熱費や 賃料、人件費など) | 全体の5%程度 | 225万~450万程度 |
合計 | 100% (坪単価150万~300万円程度) | 4,500万〜9,000万円程度 |
上表のとおり、耳鼻咽喉科クリニック開業資金においては、施設デザイン・工事費が大半を占めます。つまり施設の内装や外観、医療設備・機器・什器などにこだわるほど、開業資金が増加するわけです。
節約法
そして耳鼻咽喉科クリニック開業資金の節約法には、相見積もりや居抜き物件、補助金・助成金などがあります。相見積もりを取って、各業者の見積もり(工事の費用や期間など)を比較すれば、無駄な経費を削減しやすいです。
居抜き物件を契約して、内装や外観、医療設備・機器・什器などを譲渡してもらえると、工事費用を削減できます。ただし居抜き工事にはデメリットもありますので、次の記事も併せてご覧ください。
補助金・助成金の申請が通れば、基本的に返済義務のない資金を獲得できます。ただし補助金・助成金ごとに申請の条件や期限などが異なりますので、次の記事も併せてご覧ください。
耳鼻咽喉科クリニックの開業準備を計画しよう!
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監修者
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